「トロントへの駐在が決まった。子どもは現地の公立校でいいの? それともインター?」「トロントに日本人学校はある? 補習校には入れる?」「私立校の学費は年間いくら?」。そんな迷いからこの記事にたどり着いた方も多いと思います。先にひとつ、正直にお伝えしたいことがあります。トロントには全日制の日本人学校はなく、カナダの「インターナショナルスクール」は日本でいうインターとは意味が少し違います。トロントで日本人家庭が実際に選ぶのは、主に「学区の公立校」「IBなどを行う私立校(インデペンデント・スクール)」、そして日本語で日本の教科を学ぶ土曜日の「トロント補習授業校」の組み合わせです。この記事では、実在する6つの選択肢の学費(各校・教育委員会の公式情報)をカナダドルと円換算で比べたうえで、駐在・移住のご家庭が抱えやすい3つの不安――駐在中の学校選び、帰国後の受け皿、日本語を落とさない方法――に、正直にお答えします。
結論:トロントで選べる学校(早見)
- トロント教育委員会(TDSB)の公立校|JK(4歳)〜12年生|就労許可を持つ親と暮らす子は授業料なし(条件あり)。留学生扱いなら年間授業料C$17,000(約192万円)+出願料・保険|住所で通う学校が決まる、英語で学ぶ現地校
- TFS – Canada’s International School(旧 Toronto French School)|2歳〜12年生|年間C$26,460〜45,140(約298万〜509万円)+初回登録料C$10,000|フランス語と英語のバイリンガルで学ぶIB一貫校
- Upper Canada College(UCC)|JK〜Year 12(男子校・寮あり)|通学生 年間C$44,940〜48,720(約507万〜549万円)+登録料C$10,000|1829年創立、IBのPYP・MYP・ディプロマ
- Branksome Hall|JK〜12年生(女子校・寮あり)|通学生 年間C$45,140〜49,210(約509万〜555万円)+初回登録料C$9,500|1903年創立、IBのPYP・MYP・ディプロマ(またはIB Select)
- The York School|JK〜12年生(共学)|年間C$45,065(約508万円)+登録料C$10,000|英語圏のカナダで初めてIBの全課程を導入した共学校。留学生も同じ学費
- トロント補習授業校|幼稚部年中〜高等部3年|年間 約C$2,163〜3,432(約24万〜39万円・税込み)+入学金C$250|外務大臣指定の在外教育施設。土曜日に日本語で国語・算数(数学)・理科・社会を学ぶ
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※学費等は2026年11月1日時点で各校・教育委員会の公式サイトに掲載されている公開情報です(TDSBは2026-27・2027-28年度、私立校は2026-27年度、補習授業校は令和8年度。TFSは公式ページに年度の記載がないため閲覧時点の掲載額)。円換算は1カナダドル=約113円(三菱UFJ銀行の2026年10月30日公表値の中値)の目安で、為替によって変わります。最新は各校公式サイトでご確認ください。

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駐在中の学校選び:トロントのインターナショナルスクール事情と学費相場
日本で「インターナショナルスクール」といえば、英語で授業を行う外国人向けの学校を指します。ところがトロントのあるオンタリオ州では、学校の基本はあくまで英語で学ぶ現地の学校です。「International」という言葉は、公立の教育委員会が海外からの生徒を受け入れる「International Student(留学生)プログラム」を指すことが多く、日本の感覚の「インター」にいちばん近いのは、IB(国際バカロレア)を行う私立校です。TFSのように、学校名そのものに「Canada’s International School」と掲げる私立校もあります。
そのうえで、トロントの学校は大きく3つに分かれます。
- 公立校(TDSBなど):住所によって通う学校が決まります。TDSBの案内では、親のどちらかがカナダ移民・難民・市民権省(IRCC)の有効な就労許可を持ち、オンタリオ州に住んでいる場合、18歳未満の子どもは授業料なし(fee-exempt)で学校に直接登録でき、その扱いは親の就労許可の有効期間に合わせるとされています。この条件に当てはまらず留学生として通う場合は、2026-27・2027-28年度とも年間授業料C$17,000(1学期C$8,500)、出願料C$400、医療保険C$500(1年)がかかります。なお、トロントにはカトリック系の公立学区(TCDSB)もあります。
- 私立校(インデペンデント・スクール):名門の男子校・女子校・共学校があり、IBを行う学校が多いのが特徴です。通学生の学費はおおむね年間C$44,900〜49,200(約507万〜555万円)。さらに入学時の一時金(登録料)がC$9,500〜10,000(約107万〜113万円)かかり、制服・教材・昼食・行事費などは別です。
- 補習授業校:平日は現地校や私立校に通い、土曜日に日本の教科書で国語・算数(数学)・理科・社会を学ぶ学校です。トロントには全日制の日本人学校はなく、日本人家庭の「日本の学び」の受け皿はトロント補習授業校が担っています。
在留資格も大切なポイントです。カナダ政府(IRCC)の案内では、就労許可や就学許可を持つ親と一緒にカナダにいる未成年の子どもは、就学許可(Study Permit)がなくても小中高で学べるとされています(取得は推奨)。一方で、私立校の中には、カナダ市民・永住者以外の生徒に就学許可の取得を求める場合があると案内している学校もあります。つまりトロントでは、「どの学校が良いか」の前に「わが家の在留資格では、どの学校にどの料金で入れるのか」を確かめるのが最初の一歩です。
主な選択肢の学費を表にまとめました(年間授業料。円は1カナダドル=約113円の目安)。
| 学校 | 対象 | 年間授業料(カナダドル) | 円換算の目安 | 主な追加費用 |
|---|---|---|---|---|
| TDSB(公立) | JK〜12年生 | 就労許可の親と同居なら授業料なし(条件あり)/留学生C$17,000 | 0円/約192万円 | 留学生は出願料C$400、医療保険C$500(1年) |
| TFS | 2歳〜12年生 | C$26,460〜45,140 | 約298万〜509万円 | 初回登録料C$10,000、フランス語導入プログラムC$4,500(対象者) |
| Upper Canada College | JK〜Year 12 | C$44,940〜48,720(通学生) | 約507万〜549万円 | 登録料C$10,000(寮生C$7,500)、通学生の分割払いはデポジットC$2,000 |
| Branksome Hall | JK〜12年生 | C$45,140〜49,210(通学生) | 約509万〜555万円 | 初回登録料C$9,500(姉妹在籍はC$6,500)、活動費C$300など |
| The York School | JK〜12年生 | C$45,065 | 約508万円 | 登録料C$10,000、出願料C$300 |
| トロント補習授業校 | 幼稚部年中〜高等部3年 | 授業料 月C$105〜200(11か月分)+教材費・管理運営費 | 年 約24万〜39万円(HST込み) | 入学金C$250、HST13% |
私立校は授業料だけで年500万円前後になるため、駐在の場合は会社の教育手当でどこまで補助されるかで選択肢が大きく変わります。辞令が出たら、まず人事部に「現地校・私立校・補習校のどれが補助の対象か」を確認しましょう。学費の内訳の読み方はインターナショナルスクールの学費の内訳で整理しています。

トロントのインターナショナルスクール・公立校・補習校6選
ここからは、日本人家庭が検討することの多い6つの選択肢を紹介します。公立校、IBを行う私立校4校、そして補習授業校です。順番は優劣ではありません。トロントには私立校がほかにも数多くありますが、ここでは学費を公式に公開していて、日本の感覚の「インター」に近いIB校を中心に選んでいます。
1. トロント教育委員会(Toronto District School Board:TDSB)の公立校
トロント市の公立学区で、住所によって通う学校が決まります。駐在家庭にとって大きいのは、親が有効な就労許可(またはIRCCの承認レター)を持ち、オンタリオ州に住んでいれば、18歳未満の子どもは授業料なしで、学校に直接登録できるとTDSBが案内している点です。登録には、子どものパスポートと出生証明書(英訳つき)、カナダへの入国日がわかる書類、親のパスポートと就労許可、トロント市内の住所を証明する書類2点(賃貸契約書と公共料金の請求書など)が必要です。就労許可の申請中、親が就学許可でカレッジや大学に通っている場合などにも、それぞれ別の条件と書類が定められています。条件に当てはまらない場合は、留学生プログラムに授業料を払って通います。英語を母語としない子どもへの英語の支援(ESL・ELD)は、学校で受けられるかを登録時に確認しましょう。
- カリキュラム:オンタリオ州のカリキュラム(英語で学ぶ公立校。高校卒業でOSSD=オンタリオ州高校卒業資格)
- 対象年齢:JK(4歳)〜12年生
- 学費目安:就労許可を持つ親と同居し条件を満たせば授業料なし。留学生は授業料 年間C$17,000(1学期C$8,500)、出願料C$400、医療保険C$500(1年)・C$250(1学期以下)(2026-27・2027-28年度)
- こんな家庭に:就労許可で赴任し、現地の子どもたちと同じ環境で英語と学力を伸ばしたい家庭。日本語は補習授業校や家庭で支える前提
2. TFS – Canada’s International School(旧 Toronto French School)
「Canada’s International School」を名乗る、トロント北部ローレンス通り沿いのキャンパス(ほかにミシサガのWest Campus)をもつ私立校です。公式FAQでは、フランス語と英語の両方でIBの全課程を行う、カナダで唯一のIBワールドスクールと紹介しています。日本人家庭が知っておきたいのは、授業の中心がフランス語であることです。2歳から1年生までは授業がすべてフランス語、2年生から9年生は教科の約70%をフランス語・約30%を英語で学びます。フランス語の経験がない子どもも、7年生までなら1年間の「フランス語導入プログラム」(C$4,500)を経て入学できます。家庭の大多数はフランス語を話さない家庭だとされていますが、出願時には「英語をしっかり使えること」が求められます。
- カリキュラム:IB(フランス語・英語のバイリンガル)。フランス教育省の認定(9年生まで)もあり、フランスの中学修了試験(DNB)を受けられる
- 対象年齢:2歳(Jardin d’éveil)〜12年生
- 学費目安:Jardin d’éveil(2歳・全日・昼食込み)C$26,460、Pre-Kindergarten C$35,380、JK・SK C$39,720、1〜10年生C$41,860、11〜12年生C$45,140(トロント校)。初回登録料C$10,000、3人以上の在籍で1人C$500の家族割引。スクールバスは学校としては運行なし
- こんな家庭に:滞在が長く、英語に加えてフランス語も身につけさせたい家庭。小さいうちから3言語目に挑める子ども
3. Upper Canada College(UCC)
1829年創立、市中心部に近いロンズデール・ロードにあるカナダを代表する男子校で、IBワールドスクールです。JKから5年生がPYP、6年生から10年生がMYP、11・12年生は「IBディプロマ」「IBの科目単位で学ぶコース」「システム思考とデザイン思考を組み合わせた新しいIBディプロマの道」の3つから選べます。どの道でもオンタリオ州の高校卒業資格(OSSD)の要件を満たせると案内しています。8〜12年生の88人が暮らす寮もあり、寮費には国内生と留学生で別の料金が設けられています。公式サイトでは2027-28年度の出願受付が始まっています。
- カリキュラム:IB(PYP・MYP・ディプロマ)+オンタリオ州高校卒業資格(OSSD)
- 対象年齢:JK〜Year 12(男子校)
- 学費目安:通学生 JK〜Year 5 C$44,940、Year 6〜10 C$46,730、Year 11〜12 C$48,720。寮生 Year 8〜10 国内C$81,280・留学生C$87,580、Year 11〜12 国内C$83,270・留学生C$89,570(2026-27年度)。登録料 通学生C$10,000・寮生C$7,500(返金なし)
- こんな家庭に:男子校で、IBを軸に学業・課外活動・リーダーシップ教育を重視したい長期滞在の家庭
4. Branksome Hall
1903年創立の女子校で、市中心部に近いローズデール地区にあります。公式サイトでは在籍は全体で910人(うち寮生54人、寮生の出身は13か国)。JKからのIB一貫校で、11・12年生はIBディプロマか、得意分野に合わせて科目を組み立てる学校独自の「IB Select」を選べます。学費とは別に、学年ごとの活動費(C$300)や校外学習費などの「その他の費用」を一覧で公開しているので、総額を見積もりやすい学校です。
- カリキュラム:IB(PYP・MYP・ディプロマ、またはIB Select)
- 対象年齢:JK〜12年生(女子校・寮は7年生から)
- 学費目安:通学生 JK〜10年生C$45,140、11〜12年生C$49,210。寮生 7〜10年生C$86,640、11〜12年生C$90,710(2026-27年度)。新入生の初回登録料C$9,500(姉妹が在籍中ならC$6,500・返金なし)
- こんな家庭に:女子校で、IBを軸に一貫して学ばせたい家庭。総額を事前に細かく見積もりたい家庭
5. The York School
ヤング・ストリート沿いにある共学の私立校で、公式サイトでは英語圏のカナダで初めてIBの全課程を導入した学校と紹介しています。JK〜6年生がPYP、7〜10年生がMYP、11・12年生がIBディプロマまたはIBの科目単位のコースです。海外からの家庭向けのページがあり、留学生も国内生と同じ出願手続き・同じ学費で、海外から来た家庭向けのハンドブックや保護者アンバサダーも用意しています。寮やホームステイはない通学制です。英語の条件ははっきりしていて、JK・SK・1年生は英語が限られていても基礎力が高ければ出願でき、2〜6年生は学業成績と英語の基礎力が求められます。7〜11年生は英語の支援(ELL)がないため、英語力の証明(TOEFL・IELTS・Duolingoなど)が必要です。
- カリキュラム:IB(PYP・MYP・ディプロマ/IB Courses Pathway)。フランス語はJKから必修(9年生まで)
- 対象年齢:JK〜12年生(共学・通学制)
- 学費目安:授業料 JK〜12年生 C$45,065(2026-27年度)。登録料C$10,000(返金なし)、出願料C$300。授業料は3回(C$7,500・C$22,565・C$15,000)または月払い
- こんな家庭に:小さいうちに入学し、共学のIB校で英語とフランス語を伸ばしたい家庭。海外からの家庭へのサポートを重視する家庭
6. トロント補習授業校
1957年の会合を起点とする日系企業団体「トロント日本商工会」が設立・運営する、外務大臣の指定を受けた在外教育施設です。幼稚部年中組から高等部3年生まで、園児・児童・生徒は400名を超え、国語・算数(数学)だけでなく理科・社会も指導する数少ない大規模な補習授業校です。授業はTDSBの公立校の校舎を借りて、年間40日の土曜日に行います(小学部〜高等部は9時〜15時)。学校長と教頭は文部科学省からの派遣教員です。日本と同じ4月始まりで、日本で使うのと同じ教科書を使います。公式FAQでは「日本で5日かけて学ぶ内容を土曜日1日で学ぶ」ため、家庭での学習が非常に重要だと書かれています。
- カリキュラム:日本の学習指導要領(国語・算数(数学)・理科・社会など、日本語で学ぶ)
- 対象年齢:幼稚部年中組〜高等部3年生
- 学費目安(令和8年度):授業料 月額 幼稚部C$122・小学部C$105・中学部C$114・高等部C$200(11か月分)、教材費 学期ごとにC$50(小学部はC$104)、管理運営費 学期ごとにC$170(トロント日本商工会の登録会員)・C$229(非会員)、入学金C$250(入校時のみ)。これにHST(13%)がかかり、年間の目安は約C$2,163〜3,432(約24万〜39万円)。きょうだい割引はなし
- 入校の条件:日本語の指示を理解して行動できること、家庭で日本語の宿題を支援できること。日本国籍がなくても、永住・国際結婚の家庭も入学できる(長期滞在の後に帰国予定の家庭が優先)。原則として、子どもが自分の意志で単身留学している場合は入学できない
- こんな家庭に:平日は現地校や私立校に通いながら、帰国後の日本の学校・受験に備えて日本の教科を日本語で学び続けたい家庭
比較でわかる、わが家に合うトロントの学校選び

表のとおり、完璧な選択肢はありません。就労許可で赴任し、数年で帰国するなら、平日は授業料なしで通える公立校、土曜日はトロント補習授業校という組み合わせが、費用と帰国後の接続の両面で合理的です。滞在が長い・永住も視野に入れる・海外大学を目指すなら、IBの私立校で学ぶ選択肢が広がります。ただし私立校は年500万円前後の授業料に加えて登録料がC$10,000前後かかり、高学年ほど英語力の条件が厳しくなります。公立校は住所で学校が決まるので、住まいと学校をセットで考えるのが鉄則です。年間数百万円の授業料が重いと感じるなら、インターの学費が高すぎると感じたときの考え方も参考になります。
オンラインで学ぶ場合の1日の流れを知りたい方は、こちらもどうぞ。オンラインでの学びのしくみを見る →
同じカナダのバンクーバーのインターナショナルスクール、北米のニューヨークのインターナショナルスクールやロサンゼルスのインターナショナルスクールも、日本人家庭の目線で学費と選び方を整理しています。転勤の可能性がある方はあわせてご覧ください。
出願・編入の時期:トロントの私立校は秋〜冬、補習校は1月と6月
トロントでは、現地の学校と補習授業校で年度の始まりがずれていることを押さえておくと、赴任のタイミングを決めやすくなります。
- 公立校(TDSB):9月始まりです。就労許可の家庭は、トロントに住まいが決まり書類がそろえば、学校に直接登録します。年度途中でも受け付けていますが、住所の証明が必要なので、住まいが先です。留学生として通う場合は、9月〜1月・2月〜6月の学期単位で、TDSBの留学生・入学オフィス(ISAO)を通じて出願します。
- 私立校:9月入学に向けて、前年の秋から冬に出願・入学試験・面接が行われるのが一般的です。The York Schoolは授業料の第1回分の期限を1月末に設定しており、UCCは公式サイトで2027-28年度の出願受付を始めています。赴任が決まったら、まず各校の入学担当に空席と出願期限を問い合わせましょう。
- トロント補習授業校:4月入校は毎年1月中旬〜2月中旬頃に申し込み(幼稚部年中は20名程度、ほかの学年は定員の余裕による)、9月編入は6月中旬〜7月上旬頃に申し込みます。入学説明会はオンラインで、4月入校向けは12〜2月、9月編入向けは6〜7月に開かれます。幼稚部〜中学部は筆記テストはなく(面接はあり得る)、高等部は小論文・数学の筆記試験と面接があります。満員の学年はウェイティングとなり、空きが出れば毎月最初の開校日から入校です(2月・3月の入学はなし)。保護者の在留査証が入国まで手に入らない場合は、その旨とカナダ入国予定日を書いて申し込めます。小中学部の教科書は、日本で海外子女教育振興財団(JOES)から無償給付を受けるか、現地で自費購入が必要です。
高校段階(IBディプロマ・OSSD)と大学進学:トロントで高校まで通うなら
トロントの公立高校ではオンタリオ州の高校卒業資格(OSSD)を、IBの私立校ではIBディプロマ(またはIBの科目修了証)とOSSDの両方をめざせます。IBディプロマはカナダや米国、英国の大学はもちろん、日本の大学の帰国生入試や国際バカロレア入試でも評価されます。トロント補習授業校には高等部(3年生まで)があるのが心強い点で、高校段階でも日本語で国語や数学を学び続けられます。ただし公式FAQにあるとおり、補習授業校の卒業証書は日本の正式な学校の卒業証書とは異なり、日本の高校を卒業したことにはなりません。日本の大学を受験するときは、現地の高校の卒業資格(OSSDやIBディプロマ)で出願することになります。中学のうちに「高校はどこで、何の資格で卒業し、どの国の大学へ進むか」を家族で話し合っておくと、転校と出費の両方を減らせます。
帰国後の受け皿:日本の学校・帰国子女枠・国内のインターナショナルスクール
駐在家庭がいちばん心配するのが「帰国したあと、子どもはどこへ行けるのか」です。受け皿は大きく3つあります。
- 日本の公立・私立の学校(一条校):学校教育法第1条で定められた、いわゆる普通の学校です。公立の小中学校には帰国後いつでも編入できますが、授業は日本語で進むため、日本語の読み書きと教科の学力が追いついているかが鍵になります。トロント補習授業校の通知表(年2回)や学習内容は、帰国後に日本の学校へ編入するときに評価されることがある、と公式FAQに書かれています。
- 帰国子女枠(帰国生入試):私立中学・高校や大学には、海外在住経験のある子どもを対象にした入試があります。「海外在住が何年以上」「帰国後何年以内」といった条件は学校ごとに異なるため、志望校の募集要項を早めに確認しておきましょう。英語力を評価する学校もあれば、日本語での作文・面接を重視する学校もあります。
- 日本のインターナショナルスクール:英語で学び続けたい場合の受け皿です。ただし多くのインターは一条校ではないため、義務教育期間に通う場合の扱いや、日本の高校・大学への進学条件は事前に確認が必要です。東京の選択肢は東京のインターナショナルスクールおすすめ7選で、学費とあわせて整理しています。
トロントの現地校や私立校に通っていた子どもが帰国すると、英語は話せても日本語の読み書きや教科の語彙が学年に届いていない、ということがよく起こります。逆に、帰国後に英語が急速に抜けていくのもよくある話です(帰国子女の英語を維持する方法)。駐在中から「日本語」と「英語」の両方を切らさないことが、帰国後の選択肢を広げます。
日本語を落とさない:トロント補習授業校・家庭での日本語・オンライン
「海外在住で子供が日本語を忘れる」は、トロントで現地校に通う日本人家庭からもよく聞く悩みです。平日は英語で授業を受け、私立校ならフランス語の授業もあり、友だちとの会話も英語――そんな環境では、学年が上がるほど「考える言語」は英語に寄っていきます。これは子どもの努力不足ではなく、環境として自然なことです。だからこそ、どこで・どれだけ日本語に触れるかを家族で設計することが大切です(くわしくは海外在住で子供が日本語を忘れるときの対策にまとめています)。
- トロント補習授業校:週1回の土曜日に、日本の教科書で日本の学年と同じ内容を学びます。宿題は学年によって毎日20〜60分程度。公式FAQのとおり「日本語を教える語学学校ではなく、日本語で日本の教科を学ぶ学校」なので、学年相当の日本語の力が求められ、学年を落として入ることはできません。入れる力があるうちに入っておくことが、いちばんの日本語の保険になります。
- 家庭での日本語:家庭内の会話は日本語、寝る前の読み聞かせ、日本の本や漫画を手の届く場所に置く、祖父母とのビデオ通話――小さな習慣の積み重ねが「日本語を使う理由」になります。補習授業校の事務所が入るビルの地下の図書室や、借用校の図書スペースで、開校日に本を借りることもできます。漢字の読み書きは会話だけでは伸びないので、短時間でも毎日続ける仕組みを。
- オンライン:補習授業校の定員がいっぱいだったり、土曜日に通うのが難しかったりする家庭は、オンラインで日本語の授業を足す方法もあります。日本語が不安なご家庭には、姉妹サービスのともだちじゃぱん(NIJIN運営の子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。
帰国子女の日本語教育でつまずきやすいポイントや、家庭でできる立て直し方は帰国子女が日本語できないと悩む前に、インターに通う場合の日本語の遅れについてはインターナショナルスクールで日本語が遅れる?で詳しく書いています。

学費や通学が壁なら——「オンライン」というもうひとつの選択肢
6つの選択肢を見て「私立校の年500万円前後は続けられない」「公立校で英語は伸びても、日本語と日本の学びが心配」「補習校の空きを待つ間が不安」「次の転勤先でまた学校探しになる」と感じた方に、もうひとつの選択肢としてご紹介したいのが、私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)です。NGAは、株式会社NIJIN(日本)が運営する、2027年9月開校予定のオンライン・インターナショナルスクールです。日本で運営するオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には1000名以上が在籍しており、その経験をもとに設計しています。
- 脱偏差値:テストの点数で子どもを並べず、少人数の対話を中心に学びます。
- 日本語の支えを前提に、少しずつ英語へ:日本語を土台にしながら英語に触れていく設計です。
- 住む場所を選ばない:転勤や帰国があっても、同じ学校で学びを続けられます。
- 学費:対面のインターの約1/5を目指しています。
一方で、正直にお伝えしたいことがあります。NGAはまだ開校前で、実績はこれからです。主な対象として設計しているのはアジア・オセアニアの6〜18歳で、トロントと日本の時差は13〜14時間あるため、ライブの授業の時間帯が合うかは、開校情報で必ずご確認ください。また、対面の校庭や施設、放課後のクラブ活動、多国籍の友達と毎日顔を合わせる経験など、キャンパスがあるからこそできる体験は提供できません。補習授業校のように日本の学習指導要領に沿って学ぶ学校でもありません。具体的な時間割や学び方、受講環境については開校情報でお知らせします。
たとえば「平日は現地校、日本語と日本の学びをオンラインで足す」「帰国が決まったあとの移行期の学びとして」というように、ほかの選択肢と組み合わせて考えるのもひとつの方法です。
よくある質問
Q. トロントに日本人学校はありますか?
A. トロントには、平日に通う全日制の日本人学校はありません。日本語で日本の教科を学べるのは、土曜日に授業を行うトロント補習授業校(外務大臣指定の在外教育施設、幼稚部年中組〜高等部3年生)です。多くの日本人家庭は、平日は公立校や私立校に通い、土曜日に補習授業校で学ぶという組み合わせにしています。4月入校の申し込みは1月中旬〜2月中旬頃、9月編入は6月中旬〜7月上旬頃で、学年によっては空きを待つことがあります。
Q. 駐在員の子どもは、トロントの公立校に無料で通えますか?
A. TDSBの案内では、親のどちらかがIRCCの有効な就労許可(または承認レター)を持ち、オンタリオ州に住んでいる18歳未満の子どもは、授業料なし(fee-exempt)で学校に直接登録できるとされています。その扱いは親の就労許可の有効期間に合わせます。必要書類がそろわない場合は授業料がかかることがあり、留学生扱いでは年間C$17,000、出願料C$400、医療保険C$500です。また、カナダ政府の案内では、就労許可を持つ親と一緒にカナダにいる子どもは、就学許可がなくても学べるとされています(取得は推奨)。最新の条件は、TDSBの留学生・入学オフィス(ISAO)に確認してください。
Q. トロントの私立のインターナショナルスクールの学費は、年間いくらですか?
A. 今回紹介したIBの私立校では、通学生の授業料が年間C$44,940〜49,210(約507万〜555万円)が中心で、TFSは年齢によりC$26,460〜45,140(約298万〜509万円)です。これに入学時の登録料C$9,500〜10,000(約107万〜113万円)、制服・教材・昼食・行事費などが加わります。寮は年間C$81,280〜90,710(約916万〜1,023万円)です。トロント補習授業校は、授業料・教材費・管理運営費にHST(13%)を加えて年間約C$2,163〜3,432(約24万〜39万円)、入学金C$250です。
トロントでの時間を、お子さんの一生の財産に
トロントには、住まいの学区で通える公立校があり、IBを軸にした歴史ある私立校があり、400名を超える子どもたちが土曜日に集うトロント補習授業校があります。同時に、在留資格による授業料の違い、私立校の高い学費と英語の条件、帰国後の進路、日本語の維持という、駐在・移住のご家庭にしか見えない悩みもあります。大切なのは「一番有名な学校」を探すことではなく、わが家の在留資格と滞在年数、帰国先、そしてお子さんらしさに合った学び方を選ぶこと。公立校も、私立校も、補習授業校も、家庭での日本語も、オンラインも、対等な選択肢として並べてみてください。焦らなくて大丈夫。あなたの一歩を、私たちは応援しています。
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