「埼玉県でインターナショナルスクールを探しているのに、出てくるのは英語の幼児園ばかり」——そう感じているなら、それはあなたの調べ方が悪いわけではありません。人口730万人を超える埼玉県には英語ベースのスクールが20校前後ありますが、その大半は未就学児向けのプリスクールで、小学校・中学校・高校まで続けて通える学校は数えるほどしかない、というのが2026年時点の現実です。この記事では、埼玉県のインターナショナルスクールを「小学校以上まで通える学校」と「幼児中心のプリスクール」に分けて正直に整理し、そのうえで県内で見つからないときの3つの道——都内への通学、県内のIB認定校・国際コース、そして通わないオンラインという選択肢まで順にお伝えします。読み終えるころには、「埼玉県内で完結させるか、県境をまたぐか、通学そのものを手放すか」の判断軸がはっきりするはずです。

埼玉県のインターナショナルスクール事情と学費相場
まず前提として、埼玉県は国際化が急速に進んでいる県です。埼玉県の発表では、県内の外国人住民は約25万7千人(2025年1月1日時点、県人口の約3.5%)。なかでも川口市は約4万8千人が暮らし、全国の市区町村で在留外国人数が最多という状況です。それだけ多国籍な家庭が暮らしていながら、「英語で学び続けられる学校」の数がそれに追いついていない——ここが埼玉県のインターナショナルスクール事情の核心です。
県内のスクールは、大きく2層に分かれます。ひとつは、幼児(おおむね1〜6歳)を対象に英語で保育・幼児教育を行うプリスクール層。さいたま市・戸田市・川越市・越谷市・春日部市など、鉄道沿線の市に20校前後が点在しています。もうひとつが、小学校段階以上まで受け入れる本格的なインターナショナルスクール層で、こちらは県内で4校程度。さらに高校(G12)まで一貫して通えるとなると、所沢市のコロンビアインターナショナルスクールが事実上の中心的な選択肢になります。
学費の相場も、この2層で大きく変わります。幼児中心のプリスクールは月謝でおおむね月6万〜12万円、入学金や教材費・施設費を加えると年間おおよそ80万〜150万円が一つの目安。一方、小学校以上まで受け入れるインターは年間約100万〜250万円のレンジです。たとえばコロンビアインターナショナルスクールは、幼稚部で入学金21万円+年間学費1,612,500円(初年度計 約182万円)、学年が上がる中等・高等課程では年間250万円前後という公開情報があります。3〜5歳については幼児教育・保育の無償化の対象になっている園もあり、条件を満たせば負担が下がるケースもあります。
※学費等は2026年7月時点の公開情報です。改定される場合があるため、最新は各校公式サイトで必ずご確認ください。

埼玉県のインターナショナルスクール全4校【小学校以上まで通える学校】
ここからは、埼玉県内で小学校段階以上まで受け入れている学校を、判明分すべてご紹介します。無理に「7選」に水増しはしません。数は多くありませんが、カリキュラムも規模も方針も、それぞれかなり違います。
1. コロンビアインターナショナルスクール(所沢市)
1988年創立、埼玉県を代表するインターナショナルスクールです。所沢市の広いキャンパスに幼稚部・小学部・中学部・高等課程(専修学校高等課程)を持ち、幼稚園年代からG12までを一貫して受け入れています。カナダ・オンタリオ州教育省のカリキュラムを採用し、修了時にはオンタリオ州の高校卒業資格(OSSD)が得られるのが最大の特徴。米国のWASCの認定も受けています。在籍は約220名と少人数で、英語イマージョン環境ながら日本語教育も併走させる設計です。県内で「高校卒業まで英語で学び切る」ことを考えるなら、まず検討対象になる学校です。
- カリキュラム:カナダ・オンタリオ州カリキュラム(WASC認定/修了時にOSSD)
- 対象年齢:幼稚部(4歳前後)〜G12(高等課程)
- 学費目安:幼稚部は入学金21万円+年間学費1,612,500円(初年度計 約182万円)。中等・高等課程は年間250万円前後という公開情報あり。給食は別途年10万9,800円(選択制)。兄弟姉妹の割引制度・奨学金制度あり(2026年時点・要確認)
- こんな家庭に:県内で高校卒業まで英語で学び切りたい、海外大学進学も視野に入れたい家庭に
2. シャローム・インターナショナル・クリスチャン・スクール(志木市)
志木市にある、キリスト教精神を土台にしたインターナショナルスクール。併設のシャローム幼児学園(幼児部)に加え、小学部・中学部・高等部にあたる課程を持つ、県内では貴重な「幼児から中高まで」の学校です。少人数で、信仰と人格形成を重視した教育方針が特徴。規模が大きくないぶん、家庭的な雰囲気を求める家庭に向いています。学費や受け入れ枠は公開情報が限られるため、見学と直接の問い合わせが前提になります。
- カリキュラム:キリスト教教育を基盤とした英語での学び(幼児部〜中高課程)
- 対象年齢:幼児〜中高生(幼児学園+小中高課程)
- 学費目安:要問い合わせ(公開情報が限られるため公式サイト・見学時に確認を)
- こんな家庭に:少人数・家庭的な環境で、価値観教育も大切にしたい家庭に
3. LoV(ラブ)クリスチャン・インターナショナルスクール(戸田市)
戸田市にある、キリスト教系の英語スクール。米国で広く使われているABEKAカリキュラムを採用し、キンダーガーテンから小学部・ハイスクール相当までのプログラムを英語で提供しています。共働き家庭でも通わせやすい保育体制と、比較的抑えた学費設定を掲げているのが特徴です。県南(戸田・川口・蕨・和光)エリアで、幼児期のあとも英語環境を続けたい家庭にとって現実的な候補になります。
- カリキュラム:ABEKAカリキュラム(米国のクリスチャン教育プログラム)
- 対象年齢:キンダーガーテン〜小学部・ハイスクール相当
- 学費目安:第三者メディアの集計では年間100万円弱という情報もあるが、コース・通い方で大きく変わるため要問い合わせ(2026年時点)
- こんな家庭に:県南エリアで、費用を抑えつつ小学校段階も英語で続けたい家庭に
4. ヴィクトリー・インターナショナルスクール(春日部市)
春日部市にある、プリスクールからエレメンタリー(小学部)コースまでを持つスクール。ケンブリッジ系の英語カリキュラムを軸に、少人数で英語での学びを進めます。特徴的なのは、地元の公立小学校に籍を置いたまま通学するスタイルにも対応している点で、学校との出席・通知表の扱いについても調整を行っています。県東部(春日部・越谷・杉戸・久喜)で数少ない「小学生も通える」選択肢です。
- カリキュラム:英語による幼児教育+エレメンタリーコース(ケンブリッジ系)
- 対象年齢:プリスクール(幼児)〜小学生
- 学費目安:第三者メディアの集計では年間60万円前後という情報もあるが、コース・日数で変動するため要問い合わせ(2026年時点)
- こんな家庭に:県東部で、公立小と併用しながら英語環境も確保したい家庭に
エリア別に見る、埼玉県のインターナショナルプリスクール(幼児中心)
未就学児であれば、選択肢は一気に広がります。ここではエリア別に、県内のインターナショナルプリスクール・英語幼児園の主なものを整理します(幼児のみが対象で、小学校以上には進めない点にご注意ください)。
さいたま市エリア(大宮・浦和・武蔵浦和・浦和美園)
県内で最も選択肢が多いエリアです。大宮区のABCインターナショナルプリスクール、大宮イングリッシュ幼稚園、北浦和のホノルルインターナショナルスクール、武蔵浦和のグリーンベアイングリッシュ、さいたま新都心のKids Duo、大宮・浦和のブルードルフィンズなどが並びます。浦和美園エリアには2026年にASCインターナショナルスクールも開設されました。学童機能を併設し、小学生の放課後まで英語で過ごせる施設が多いのもこのエリアの特徴です。
県南エリア(川口・戸田・志木・新座・和光・朝霞)
外国人住民が最も多く、都内へのアクセスも良いエリア。戸田市のピュアイングリッシュ幼稚園やアメリカンキッズ英語保育園、新座市のインターナショナルプリスクール Caterpillar Kids などがあります。前述のLoVクリスチャン(戸田)とシャローム(志木)が近いため、幼児から小学校段階への「つなぎ」を県内で描きやすいのもこのエリアの強みです。
県西エリア(所沢・川越・狭山・ふじみ野)
所沢のコロンビアインターナショナルスクール(幼稚部)を中心に、川越のベリーイングリッシュやココス英語幼児園、ふじみ野のBeck English Preschool、狭山のEIGOTなどが点在します。西武線・東武東上線沿線に散らばっているため、「通学のしやすさ」が学校選びをかなり左右するエリアです。
県東エリア(春日部・越谷・草加・杉戸)
春日部のマイティーエイコーンズやヴィクトリー・インターナショナルスクール、越谷のバイリンガルキッズハウス、ビーンズ・インターナショナル(越谷・吉川美南)などがあります。ただしこのエリアは校舎の統廃合も起きており、実際に通う前に「今も開校しているか」「対象年齢は変わっていないか」の確認が特に大切です。
県内で見つからないときの3つの選択肢
「幼児のうちは県内で足りるけれど、小学校以降が続かない」——埼玉県の家庭がいちばんぶつかる壁です。ここでは現実的な3つの道を整理します。
1. 都内のインターナショナルスクールへ通う
埼玉県の強みは、都心へのアクセスの良さです。埼京線・湘南新宿ライン・東武東上線(副都心線直通)・西武線などを使えば、県南からは都内西部・城西エリアのインターまで1時間前後で届く家庭も少なくありません。ただし小学生の毎日の長距離通学は、体力と親の送迎負担という現実的なコストを伴います。学校選びの前に「所要時間×6年分」を一度計算してみてください。都内の学校の全体像は東京のインターナショナルスクールの記事で詳しく整理しています。
2. 県内の一条校で「英語で学ぶ」——IB認定校・国際コース
インターナショナルスクールでなくても、埼玉県内には国際教育に近い一条校(日本の正規の学校)があります。代表格が、さいたま市立大宮国際中等教育学校。2019年開校の公立校で、1〜4年生は全員が国際バカロレアのMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)を履修し、5〜6年生のグローバルコースではDP(ディプロマ・プログラム)に進むことができます。公立でこの環境が得られるのは全国的にも貴重です。また、杉戸町の昌平中学・高等学校も中学でMYPを全員履修し、高校にIBコース(DP)を設けています。狭山市の西武学園文理中学・高等学校も海外研修や国際理解教育に力を入れています(ただし同校の「グローバル選抜クラス」は難関大進学を目指す特別クラスで、英語で全教科を学ぶコースではない点は正直にお伝えしておきます)。日本の学籍を保ちながら国際的な学びを受けたい家庭には、有力な現実解です。
3. 通わずに、オンラインで国際教育を受ける
3つめが、そもそも通学を前提にしない選択です。学費や通学時間が壁になっている家庭にとって、ここ数年で最も現実的になってきた道でもあります。詳しくは次のセクションでお伝えします。全国47都道府県の一覧はこちらから、近隣県の状況も合わせて確認できます。
比較でわかる、わが家に合う選び方
県内のインター、都内の大手インター、オンライン国際校。この3つは「どれが優れているか」ではなく「わが家の制約に合うか」で選ぶものです。費用・入学のしやすさ・通学の負担・対面での体験・高校まで続けられるか——この5つの観点で並べると、迷いがかなり減ります。

費用の全体像をもう少し細かく知りたい方は、インターナショナルスクールの学費の内訳を解説した記事もあわせてどうぞ。授業料以外にかかるお金まで見えると、判断の精度が上がります。
オンラインでの学びのしくみを見る →

通える範囲に見つからないなら——オンラインという選択肢
ここまで読んで、「県内には続けられる学校がない。でも都内まで毎日通わせるのは難しい」と感じた方もいるはずです。そんな家庭のために、私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月開校のオンライン・インターナショナルスクールを準備しています。
運営は、日本でオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJIN。NIJINアカデミーにはすでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。NGAが大切にしているのは、脱偏差値——テストの点数で子どもを並べないこと。少人数の対話を中心に、「自分と世界を、好きになる」学びを設計しています。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳。住む場所を選ばないので、所沢でも春日部でも秩父でも、条件は変わりません。日本語の支えを前提に、少しずつ英語に触れられる設計にしているのも、日本の家庭にとって現実的だと考えているからです。学費は対面のインターナショナルスクールの約5分の1を目指しています。
正直な注意点もお伝えします。NGAはまだ開校前で、実績はこれから積み上げる段階です。そして、校庭で走り回る体験や、同じ教室で肩を並べる感覚は、対面の学校と同じようには提供できません。それでも「通えないから、あきらめる」を「通わなくても、続けられる」に変えられる家庭が、埼玉県には確かにいるはずだと考えています。
よくある質問
Q. 埼玉県内のどこからでも通えますか?
A. 学校は県南(戸田・志木)、県西(所沢)、県東(春日部)に分散しており、県内どこからでも均等に通えるわけではありません。特に秩父地域や県北(熊谷・行田・深谷)からは、県内の学校であっても片道1時間以上かかるケースが一般的です。まずは通学経路と所要時間を具体的に調べ、そのうえで「毎朝この時間を6年間続けられるか」を家族で確認することをおすすめします。
Q. 東京都内の学校に埼玉から通う家庭は多いですか?
A. 少なくありません。特に川口・戸田・和光・朝霞といった県南エリアは都内へのアクセスが良く、都内のインターに通学する家庭も見られます。ただしスクールバスの運行範囲は学校ごとに大きく違うので、志望校を絞る前に必ずバスルートを確認してください。バスの有無だけで、実現可能性が変わることがあります。
Q. 日本語のサポートはどうなりますか?
A. 学校によります。コロンビアインターナショナルスクールのように英語イマージョンのなかで日本語教育も併走させる学校もあれば、ほぼ英語のみという環境もあります。インターに通わせると日本語の力が中途半端になるのでは、と不安に感じる方は少なくありません。日本語が不安なご家庭には、姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。学校選びの際は「日本語をどう担保するか」を必ず質問リストに入れておきましょう。
「通えるか」ではなく「続けられるか」で選ぶ
埼玉県のインターナショナルスクール探しは、正直に言えば簡単ではありません。選択肢は多くなく、住んでいるエリアによっては県内で完結しないこともあります。でも、それは「あなたの子どもに国際教育は無理」という意味ではまったくありません。県内の学校、都内への通学、県内のIB認定校、そしてオンライン——道は一本ではなく、いま4本あります。
大切なのは、入学できる学校を探すことより、お子さんが何年も安心して続けられる学びを選ぶことです。焦らなくて大丈夫です。まずは今日、通学経路をひとつ調べてみる。それだけでも、選択肢の景色は変わります。


