「帰国して2年。あんなに英語で話していたのに、もう単語が出てこない」——そう検索してたどり着いたあなたに、先に結論をお伝えします。帰国子女の英語は「忘れる」のではなく、使わなくなった分だけ静かに減っていきます。研究では、帰国からわずか1年で英語に触れる時間そのものが激減することが実測されています。しかも先に細るのは「英語で教科を理解する力」で、日常会話はしばらく残るため、家庭からは「まだ話せているから大丈夫」に見えてしまいます。必要なのは英会話を足すことではなく、英語で考える時間を生活に構造として戻すこと。この記事では、失われる仕組みを研究と一次情報で整理し、日本の学校を辞めずに英語を維持する第三の道までご案内します。
この記事でわかること
- 帰国後の英語が減る順番(何から先に消えるのか)
- 「まだ話せている」が安心材料にならない理由
- 英会話・英語塾・インター編入が足りなくなる地点
- 日本の学校に籍を残したまま英語で教科を学ぶ道

帰国子女の英語が消える仕組み——維持の前に、減り方を知る
「帰国子女 英語 維持」と調べると教材や英会話の一覧は山ほど出てきます。その前に、打ち手がぶれなくなる事実が3つあります。
事実1:英語に触れる時間が、帰国1年で桁違いに減る。 Kubota ら(2020)が学術誌 Frontiers in Psychology で報告した研究は、英語圏から帰国した日英バイリンガルの子ども36名(平均9歳8か月、海外滞在は平均4年)を追跡しました。帰国直後は起きている時間のうち英語に触れる割合が平均46.8%だったのに対し、約1年後には4.5%まで下がっていました。本人がサボったのではなく、日本で普通に暮らすだけで英語の入力はこの水準まで落ちる、ということです。
事実2:最初に落ちるのは、流暢さと語彙。 Tomiyama(1999・2000)は、8歳で帰国した子どもの英語を33か月にわたり毎月記録しました。最初の約19か月で目立って影響を受けたのは流暢さ(言葉がすっと出てくる感覚)で、文法や語形の乱れが見え始めたのは帰国から20か月ほど後です。つまり「言い淀むようになった」が初期症状で、文法が崩れた時点ではすでに後半に入っています。
事実3:会話が残っていても、教科の英語は別物。 トロント大学のジム・カミンズは、生活の会話力(BICS)と教科を学ぶ言語力(CALP)を区別し、会話の流暢さは約2年で実用水準に達するのに対し、教科の学習で母語話者に追いつくには平均5〜7年かかると整理しました。時間をかけて積んだものほど、支える環境を失うと痩せます。帰国後に真っ先に消えるのが算数や理科を英語で理解する力なのは、そのためです。
つまり家庭で聞こえる流暢な会話は、安全のサインになりません。守るべきは会話の滑らかさではなく「英語で考え、英語で理解する時間」のほうです。

「通えるインターが近くにない」ご家庭へ
NIJIN GLOBAL ACADEMYは、校舎を持たないオンラインのインターナショナルスクールです。通学時間ゼロで、日本の学校に通いながら世界とつながって学べます(ダブルスクール)。対面インターのおよそ1/5の学費。
🎁 ご登録の方に学校案内PDF(日本語版・英語版)を自動返信でその場でお届けします。学費・体験クラスの先行案内もいち早くお送りします。
登録は無料。いつでも解除できます。
英会話・英語塾・インター編入——どこまで届き、どこで足りなくなるか
多くのご家庭が選ぶ手段を、届く範囲と届かない範囲で整理します。どれも良い選択肢です。ただし目的が「教科の英語の維持」であるとき、それぞれに構造上の限界があります。
オンライン英会話・英会話教室。 続けやすさと費用では最有力です。ただ時間の量を計算すると壁が見えます。週1回50分を年40回で年間およそ33時間。現地校で週25時間英語に浸っていた子の1年分(約1,000時間)と比べるとおよそ30分の1です(週数と時間を仮定した単純な試算)。会話の勘は保てても、教科の言語を支えるには時間の桁が違います。
帰国子女向けの英語塾・英語保持教室。 教材や指導の質は高く、英検やTOEFLなど外部指標に向けた設計も整っています。課題は地域偏在で、選択肢が実質的に都市部に集中していること。近くに良い教室があるなら迷わず活用すべきです。
対面インターナショナルスクールへの編入。 英語で教科を学ぶ環境としては本命です。ただし現実が2つ。ひとつは費用。もうひとつは制度で、文部科学省は「一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させても、就学義務を履行したことにはならない」という見解を示しています(学校教育法第17条/出典:文部科学省)。日本の学校に籍を置かない選択には、進学ルートを含めた覚悟が要ります。
家庭での多読・動画・海外の友人との連絡。 無料で始められ、効果もあります。ただ本人の意欲に依存するため、学年が上がって宿題や部活が増えると真っ先に削られます。気持ちで支える施策は、続かないときに家族が疲れます。
つまり多くのご家庭は「英語を学ぶ機会」はあるのに「英語で学ぶ時間」だけがぽっかり空いている状態にあります。育て方の全体像は日本にいながらバイリンガルに育てるロードマップに整理しましたが、帰国子女はすでに土台がある分、失う速さのほうが問題です。
第三の道——日本の学校に籍を残したまま、放課後を「英語で学ぶ時間」に戻す
「日本の学校か、インターか」の二択で考えると、帰国子女のご家庭はいつも損をします。日本の学校を選べば英語で学ぶ時間が消え、インターを選べば就学義務・費用・進学ルートの不安を引き受けることになるからです。
そこで現実的なのが、日本の学校に在籍したまま、放課後や週末にオンラインのインターを併用する「ダブルスクール」という形です。私たち NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校のオンライン・インターナショナルスクールとして、この併用型を前提に設計しています。全体像はダブルスクールという選び方とダブルスクール完全ガイドにまとめています。
- 就学義務はそのままクリア。 籍は日本の学校に残るので、進学ルートも卒業資格も変わりません。ようやく落ち着いた学校生活をリセットせずに済みます。
- 英会話ではなく、英語で教科を学ぶ。 守りたいのは教科の言語でした。だから授業は「英語を学ぶ」ではなく「英語で考える」時間として設計します。小学生の併用イメージは小学生のオンラインインターをご覧ください。
- 対面インターの約5分の1の学費を目指す。 編入を断念した理由が費用だったご家庭ほど、続けられる金額かどうかが維持の成否そのものになります。
- 順位をつけない、少人数の対話。 帰国直後に「英語ができる子」として浮いた経験のあるお子さんほど、点数で比べない場が効きます。
正直にお伝えすると、NGAはオンラインなので校庭も対面の友だちもありません。そこは日本の学校が担う前提です。開校前のため卒業生の実績もまだありません。運営元の株式会社NIJINは、オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」に900名以上が在籍し、そこで積んだ少人数・対話中心の学びを国際教育に持ち込む段階です。


帰国後の英語を維持する、3つのステップ
STEP 1:会話量ではなく「説明できるか」で棚卸しする。 好きなアニメの話を英語でできるかではなく、理科の実験の手順や算数の考え方を英語で説明できるかを見てください。前者が残って後者が消えているなら、教科の言語から先に痩せています。気づいた時点が、いつでも最も早いタイミングです。
STEP 2:週の中に「英語で学ぶ枠」を固定する。 大切なのは量より種類です。英会話をやめる必要はありません。そこに教科を英語で扱う時間を足します。宿題や国語を削って入れ替えると続かないので、削るのではなく足す設計にしてください。
STEP 3:半年ごとに配分を見直す。 小学生は日本語の土台を優先しつつ英語の入力を絶やさない、中高生は英検やTOEFLを目印にする、と重心は年齢で変わります。帰国生入試を考える場合も、維持がなければ受験そのものが成立しません。
なお帰国子女のご家庭では、英語より日本語のほうが不安というケースもあります。日本語と英語は奪い合わないという整理はインター併用で日本語・国語力は落ちないのかにまとめました。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです。
文部科学省の公表では令和6年時点、海外の補習授業校は51か国1地域に242校・約2万1千人(出典:文部科学省「在外教育施設の概要」)。海外では日本語を保つため週末に通うのが当たり前でした。帰国後にその鏡像として要るのが、英語を保つ時間です。

よくある質問
もう英語がかなり落ちてしまいました。今からでも間に合いますか?
「元通りになる」と保証できる方法はありません。ただ Tomiyama の研究が示すように、失われ方には段階と順番があります。いま何が残っているかを見て、その土台の上に積み直すことが出発点です。時間がかかる前提でいてください。バイリンガルは短期間ではつくれません。
日本の学校を辞めなければいけませんか?
いいえ。ダブルスクールは併用型なので、籍は日本の学校に残ります。文部科学省は一条校でないインターへの就学は就学義務の履行にあたらないとしていますが、日本の学校に在籍したまま放課後にオンラインで学ぶ形なら、この論点自体が発生しません。進学ルートも今のままです。
費用はどのくらいかかりますか?
NGAは対面インターのおよそ5分の1の学費を目指しています。金額は開校に向けて確定していくため、ここでは具体額を書きません。ただ英語の維持は数年単位の話なので、「一度払えるか」ではなく「何年続けられるか」で比べてください。続かない設計が、結局いちばん高くつきます。
日本の学校の宿題や受験勉強と両立できますか?
鍵は量ではなく時間帯の設計です。放課後や週末の枠を固定し、日本の学校の学習は削らないこと。英語のために国語や宿題を犠牲にすると、どちらも中途半端になります。NGAが少人数・対話中心で順位をつけないのも、子どもが疲れ切らずに続けられることを前提に置いているためです。
「せっかくの英語」を、守れなかった話にしないために
海外で過ごした数年は、お子さんが自分の力で言葉を獲得した時間です。それが薄れるのを見るのはつらいことだと思います。けれど原因は努力不足ではありません。英語を使う時間が生活からなくなっただけです。そして時間は、設計すれば戻せます。
日本の学校で友だちと過ごす日常はそのままに、放課後の数時間だけ、もう一度英語で世界とつながる。それは取り戻す作業というより、お子さんが持ち帰ってきたものに居場所を用意してあげることに近いのだと思います。焦らなくて大丈夫です。今日、何が残っているかを見るところから始めてください。
※費用・制度は2026年9月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。


