「インターナショナルスクール 義務教育」。この言葉を検索窓に入れたとき、頭にあったのは、たぶん次のどれかだったはずです。インターに通わせたら義務教育違反になるのではないか。公立小学校の籍はどうなるのか。学校を休むことになるから不登校扱いにされるのではないか。このままだと、うちの子は中卒扱いになってしまうのではないか——。
制度の話は、調べるほど怖くなります。断片的な情報があちこちに散らばっていて、どれが本当なのか分からないからです。そこでこの記事は、文部科学省の公式見解と、法令の条文そのものだけを使って整理します。そのうえで、明日あなたが在籍校や教育委員会に何をどの順で聞けばいいかまで落とし込みます。なお、これは制度の一般的な説明であり、個別の法的助言ではありません。取扱いは自治体や学校によって異なるため、最新の扱いは必ず在籍校・お住まいの教育委員会にご確認ください。
結論:インターナショナルスクールと義務教育の関係(早わかり)
- 一条校でないインターに通わせても、就学義務を履行したことにはなりません。文部科学省が就学事務Q&Aで明言しています(保護者が日本国籍を有する子の場合)。
- ただし「違反=すぐ罰金」ではありません。学校教育法第144条の罰則は、就学義務の履行の督促を受けてもなお履行しない場合の規定です。
- 公立小学校の籍を残せるかどうかは、自治体の判断です。学齢簿は市町村教育委員会が住民基本台帳に基づいて編製します。全国一律のルールはありません。
- 不登校扱いになるかは、自動では決まりません。長期欠席の理由区分や指導要録上の出欠の扱いには、在籍校の判断が関わります。
- 中卒扱いかどうかは、学校が一条校かで変わります。一条校でなければ日本の中学校の卒業資格は得られませんが、高校へ進むルートは法令上いくつか用意されています。
- 外国籍のお子さんは前提が違います。学校教育法第17条は、外国籍の児童生徒の保護者には適用されません。
- 確認の順番は決まっています。学校に一条校かを聞く→在籍校に学籍と出欠の扱いを聞く→教育委員会に自治体の運用を聞く。この3つで、不安の大半は片づきます。

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インターナショナルスクールは義務教育違反になるのか——条文と文部科学省の答え
先に制度の骨格から。学校教育法第16条は「保護者は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う」と定め、第17条第1項・第2項が、その子を小学校と中学校(義務教育学校の前期課程・後期課程、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部・中学部を含む)に就学させる義務として具体化しています。ポイントは、義務の中身が「教育を受けさせること」で終わらず、決められた種類の学校に就学させることまで含んでいる点です。
そのうえで、文部科学省は就学事務Q&Aで次のように明記しています。「保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません」(文部科学省「11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」)。ここははっきりしています。ネット上でよく見る「グレーゾーン」という言い方は、少なくとも文部科学省の整理の上では正確ではありません。
では「違反」すると、どうなるのか
ここは落ち着いて条文を追ってください。学校教育法施行令第20条は、校長は、在学する学齢児童生徒が休業日を除き引き続き7日間出席せず、その他出席状況が良好でない場合において、出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに市町村の教育委員会に通知しなければならない、と定めています。第21条で、通知を受けた教育委員会は保護者に出席を督促します。そして学校教育法第144条は「第十七条第一項又は第二項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、十万円以下の罰金に処する」と定めています。
つまり罰則は督促を受けてもなお履行しない場合の規定であって、インターに通わせた瞬間に罰金が科される、という構造ではありません。ただしだから気にしなくていい、という話でもありません。制度上「履行したことにならない」という事実は動かず、実際の扱いは自治体の判断に委ねられます。確認の手順は後半にまとめました。

一条校でない学校とは何か——各種学校・無認可と、「義務教育にならない」と言われる理由
学校教育法第1条は「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」と定めています。この9種類が、いわゆる一条校です。第17条が就学先として挙げているのは、このうちの小学校・中学校などにあたります。
一方、文部科学省は同じQ&Aで、インターナショナルスクールについて「法令上特段の規定はありません」とし、一条校として認められたものもあるが「多くは学校教育法第134条に規定する各種学校として認められているか、又は無認可のものも少なからず存在しているようです」と説明しています。第134条は「第一条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの…は、各種学校とする」という条文です。各種学校も無認可も、一条校ではありません。だから「義務教育にならない」と整理されるわけです。
逆に言えば、一条校の認可を持つインターナショナルスクールであれば、就学義務の問題は生じません。どの学校がそれに当たるのかを一覧で確かめたい方は、一条校のインターナショナルスクール一覧と見分け方にまとめてあります。学校選びの段階なら、まずここを見るのがいちばん早い道です。
もうひとつ、見落とされがちな影響があります。同じQ&Aは、一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望しても認められないこととなる、中学部の途中で日本の中学校へ編入学を希望する場合も同様、と示しています。「とりあえず小学校はインターで、中学から公立に戻せばいい」という前提は、制度上そのまま通るとは限らないということです。入る前に知っておきたい点です。
公立小学校の籍はどうなる?——いわゆる二重学籍の実際
「公立小学校 籍」で検索する方が多いのは、地元の学校に籍を残したままインターに通えるのかを知りたいからです。いわゆる二重学籍と呼ばれる形ですが、先に言っておくと、「二重学籍」という制度が法令にあるわけではありません。
制度の側にあるのは学齢簿です。学校教育法施行令第1条は、市町村の教育委員会は区域内に住所を有する学齢児童・学齢生徒について学齢簿を編製しなければならず、その編製は住民基本台帳に基づいて行う、と定めています。つまり日本に住民登録がある限り、お子さんは学齢簿に載り、就学すべき学校を指定される立場にあります。そのうえで在籍を続ける形になるのか、別の扱いになるのかは、市町村の教育委員会と在籍校の判断で、運用が分かれます。全国一律の答えはありません。
ただ、教育委員会の側にも配慮が求められています。前述のQ&Aは市町村教育委員会に対し、憲法に定める教育を受ける権利を保障するために義務教育制度が設けられていることに鑑み、経済的な事情、居住地の変更等のやむを得ない事情により学齢児童生徒が実際的に未就学となるような状況が生じないよう留意することを求めています。相談に行くのは、責められに行くことではありません。
不登校扱いになる?——長期欠席の扱いと、指導要録上の出欠
ここも不安の大きいところです。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、指導要録の欠席日数等の合計により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒を、理由別の長期欠席として集計します。理由の区分は「病気」「経済的理由」「不登校」「その他」などに分かれています。
そのうち「不登校」は、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者と定義されています。一方「その他」の具体例には、保護者の教育に関する考え方などの家庭の事情から長期欠席している者や、外国での長期滞在のため長期欠席している者が挙げられています(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説」)。統計上の区分としては、家庭の教育方針による欠席が自動的に「不登校」の箱に入るわけではないということです。ただし、どの理由で報告するかを判断するのは在籍校であり、一律の答えはありません。
指導要録上の出席扱いについても、誤解が広がっています。学校外の公的機関や民間施設で指導等を受けている場合に出席扱いとできる枠組みは確かにありますが、それは文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)が示す不登校児童生徒についての仕組みであり、インターナショナルスクールに通っていれば自動的に適用されるものではありません。出欠がどう記録されるかは、必ず在籍校の校長に直接確認してください。

中卒扱いになる?——卒業資格と、その先のルート
「中卒扱いになるのでは」という不安の正体は、高校に入れるのかという問いです。順に見ます。一条校でないインターナショナルスクールの課程を修了しても、日本の中学校を卒業したことにはなりません。ただし、高校入学の道がそれで閉じるわけではありません。
学校教育法施行規則第95条は、高等学校入学に関し中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者として、(1)外国において学校教育における9年の課程を修了した者、(2)文部科学大臣が中学校の課程と同等の課程を有するものとして認定した在外教育施設の当該課程を修了した者、(3)文部科学大臣の指定した者、(4)就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定規則により中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認定された者、(5)その他高等学校において、中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者——の5つを挙げています。最後の(5)があるため、実際に受け入れられるかどうかは、受験する高校の判断による部分が残ります。志望校に直接確認してください。
中卒認定と高卒認定は、別のものです
(4)に出てくるのが、いわゆる中卒認定(就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験)です。文部科学省は、これを学校教育法第18条の規定により就学させる義務を猶予・免除された子等に対して中学校卒業程度の学力があるかどうかを認定するために国が行う試験であり、合格した者には高等学校の入学資格が与えられると説明しています。受験資格には、その年度末までに満16歳以上になる者や、日本の国籍を有しない者で満15歳以上になる者なども含まれます(文部科学省「就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験」)。
よく混同されますが、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)は別の試験です。こちらは高等学校を卒業できなかった方等の学習成果を評価し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定する試験で、合格者には大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます(文部科学省「高等学校卒業程度認定試験 概要」)。中卒認定は高校の入口、高卒認定は大学等の入口、と覚えると混乱しません。高校を出たあとの受験資格は論点が多いので、インターナショナルスクール卒業後の大学受験資格のしくみに分けてまとめてあります。
外国籍のお子さんは、就学義務の扱いが違います
ここは明確です。文部科学省は、学校教育法第17条は日本国民に対し日本国内で効力を有すると解されており、外国籍の児童生徒の保護者には第17条の規定は適用されない、よって日本の学校のみならず、民族学校やいわゆるインターナショナルスクールに就学させることも可能と示しています(文部科学省「13. 外国人の子等の就学に関する手続について」)。
あわせて同じページでは、外国人の子の保護者に対する就学義務はないものの、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、日本人児童生徒と同様に無償で受け入れているとも説明されています。国際結婚のご家庭など、お子さんの国籍によって前提がまるごと変わります。まずはお子さんの国籍で場合分けをしてから、次の手順に進んでください。

在籍校と教育委員会に、何をどの順で確認すればいいか
ここからが、この記事でいちばん使ってほしい部分です。運用が自治体ごとに分かれる以上、最後に効くのはあなたの自治体の答えだけです。順番があります。
手順1:その学校が一条校かどうかを、学校に直接確認する
最初の分岐点はここです。聞き方は「認可はありますか」ではなく、「こちらは学校教育法第1条に規定する学校(一条校)でしょうか。それとも第134条の各種学校、あるいは無認可でしょうか」と具体的に。一条校であれば、この記事で扱った心配のほとんどは消えます。パンフレットに書かれていないことも多いので、遠慮なく聞いてください。
手順2:在籍校の校長に、学籍と出欠の扱いを確認する
すでに公立に在籍しているなら、次は在籍校です。「籍を残したままにできるか」「欠席はどの理由で扱われるか」「指導要録にはどう記録されるか」の3点を、担任ではなく管理職に。責められる場ではなく、記録のしかたを確認する場だと考えてください。
手順3:市町村教育委員会に、自治体としての取扱いを確認する
最後は教育委員会です。窓口は学務課・教育総務課などの名称が一般的です。「一条校でないインターナショナルスクールに通わせる場合、こちらの自治体ではどのような取扱いになりますか」と、自治体の運用として聞きます。口頭で終わらせず、担当部署名・担当者名・日付をメモに残してください。担当者が替わったときに、この記録が効きます。
確認しておきたい5点は、次のとおりです。
- その学校は一条校か、各種学校か、無認可か(学校に確認)
- 公立小中の学籍を残せるか。残す場合の手続きは何か(在籍校・教育委員会)
- 欠席はどの理由区分で扱われ、指導要録にどう記録されるか(在籍校の校長)
- 将来、日本の中学校や高校に戻る場合、どの学年にどう編入できるか(教育委員会・志望校)
- 高校入学資格を、施行規則第95条のどのルートで満たす想定か(志望校に確認)

第三の選択肢——日本の学校に籍を置いたまま、世界とつながる
はじめに、正直に書いておきます。NIJIN GLOBAL ACADEMYは学校教育法第1条に規定するいわゆる一条校ではありません。ですから、ここだけに通わせる形では、この記事で見たとおり就学義務を履行したことにはなりません。私たちが設計しているのは、日本の学校に在籍したまま並行して学ぶ形です。
ここまで読んで、苦しいのは「国際教育か、日本の学籍か」の二択に見えるからだと気づいた方も多いと思います。実際、多くのご家庭が迷っているのは教育の中身ではなく、この二択そのものです。
私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)が2027年9月の開校に向けて設計しているのは、その二択を外す形の学校です。校舎を持たないオンラインの国際学校なので、日本の学校に通いながら並行して学ぶダブルスクールの形が取れます。平日の日中は地元の学校で過ごし、放課後や週末に世界とつながる、という組み方です。この形なら、この記事で扱った学籍の問題そのものが起きにくくなります。住む場所も選びません。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳。テストの点数で子どもを並べない脱偏差値の設計で、少人数の対話を学びの中心に置いています。学費は対面インターのおよそ5分の1を目指しており、二重の負担を現実的な範囲に収めることを前提にしています。
運営は株式会社NIJIN。国内のオルタナティブスクールNIJINアカデミーには900名を超える子どもたちが在籍しています。正直に書けば、NGAはまだ開校前で、卒業生の実績はありません。対面のインターと同じ体験ができるわけでもありません。2027年4〜5月にプレ開校として体験クラスを予定しているので、中身を見てから判断していただければ十分です。日本語の読み書きが不安なご家庭には、姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もあります。インターという選択肢の弱点をまとめて知っておきたい方は、インターナショナルスクールのデメリットの正直な整理もあわせてどうぞ。
よくある質問
インターナショナルスクールに通わせると、義務教育違反になりますか?
文部科学省は、保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させても、就学義務を履行したことにはならない、と示しています。一方、罰則(学校教育法第144条)は履行の督促を受けてもなお履行しない場合の規定です。実際の扱いは自治体により異なるため、市町村の教育委員会に確認してください。
公立小学校に籍を残したまま、インターに通えますか?
法令に「二重学籍」という制度があるわけではありません。学齢簿は市町村の教育委員会が住民基本台帳に基づいて編製するため、住民登録がある限りお子さんは学齢簿に載りますが、在籍をどう扱うかは教育委員会と在籍校の判断で運用が分かれます。全国共通の答えはないので、両方に確認してください。
インターに通うと、不登校扱いになりますか?
文部科学省の調査上の「不登校」は、心理的・情緒的・身体的あるいは社会的な要因・背景により登校しない、またはしたくともできない状況にある者を指します。保護者の教育に関する考え方などの家庭の事情による長期欠席は「その他」の具体例に挙げられており、自動的に不登校に分類されるわけではありません。ただし、どの区分で報告し、指導要録にどう記録するかを判断するのは在籍校です。
一条校でないインターの中学部を出たら、中卒扱いになりますか?
日本の中学校を卒業したことにはなりません。ただし学校教育法学校教育法第57条を受けた施行規則第95条は、外国で9年の課程を修了した者、文部科学大臣が認定した在外教育施設の課程を修了した者、中学校卒業程度認定試験に合格した者、その他高等学校が同等以上の学力があると認めた者などを、高校入学に関して中学校卒業と同等以上の学力があると認められる者としています。最終判断は高校側に残るため、志望校に直接確認するのが確実です。
外国籍の子どもでも、同じ扱いになりますか?
いいえ、前提が異なります。文部科学省は、学校教育法第17条は外国籍の児童生徒の保護者には適用されないため、民族学校やインターナショナルスクールに就学させることも可能である、としています。同時に、公立の義務教育諸学校への就学を希望する場合は日本人児童生徒と同様に無償で受け入れられることも示されています。
制度は、あなたの家族を責めるためにあるのではありません
「義務教育違反」という強い言葉に触れて、自分の選択が間違っているのではないかと感じた方もいると思います。けれど条文をたどれば見えるのは、子どもが誰ひとり未就学のまま取り残されないようにするための仕組みです。文部科学省が教育委員会に対して、未就学となる状況が生じないよう留意するよう求めているのは、まさにそのためです。
やることは多くありません。学校が一条校かを確かめること。在籍校に学籍と出欠の扱いを聞くこと。教育委員会に自治体の運用を聞いて、日付つきでメモを残すこと。この3つを済ませれば、不安の大半は「分からないこと」から「確認済みのこと」に変わります。そして、日本の学籍と国際的な学びは、必ずしもどちらかを捨てなければならないものではありません。
NIJIN GLOBAL ACADEMYは2027年9月開校(予定)、2027年4〜5月にプレ開校の体験クラスを予定しています。オンラインでの学びのしくみや、1期生募集の情報をメールでお届けします。
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