「上海への駐在が決まった。子どもは日本人学校か、それともインターナショナルスクールか」。そんな迷いからこの記事にたどり着いた方も多いと思います。上海はアジア屈指のインター激戦区であり、同時に「外国籍の子どもしか入れない学校がある」という中国独自のルールが働く街でもあります。この記事では、上海で検討したい実在の7校を、カリキュラム・学費の目安(人民元と円換算)・入学資格・向いている家庭まで正直に整理します。読み終わるころには、「わが家が次にすべきこと」が見えるはずです。

上海のインターナショナルスクール事情と学費相場
上海市が公開する外籍人員子女学校の名録(出典:上海市の公開名録)には、幼稚園や補習機関まで含めて45件ほどが並びます。アメリカ系・イギリス系・IB系はもちろん、ドイツ語やフランス語で学ぶ学校、シンガポール式、日本語で学ぶ上海日本人学校まで揃い、選択肢の厚さはアジアでも屈指です。枠組み自体を整理したい方はインターナショナルスクールとは何かを解説した記事もどうぞ。
そして上海で最初に理解すべきなのが、学校の「種別」です。中国の国際教育は制度上、大きく2つに分かれます。ここを取り違えると、どれだけ学校を比べても意味がありません。
- 外籍人員子女学校(純外籍校):中国に合法的に滞在する外国籍住民の子どものための学校。上海アメリカンスクールやドルウィッチ、SCISなど、日本人がイメージする「インターナショナルスクール」の多くがこちらです。原則として中国国籍の子どもは入学できず、外国パスポートと保護者の就労・居留手続き(居留許可)が前提になります。日本人駐在家庭は、まさにこの枠です。
- 民辦学校(私立のバイリンガル校):中国国籍の子どもも通える私立校。ただし義務教育段階では中国の国家カリキュラムを履修する前提があり、IBやIGCSE・Aレベルは高校段階で本格的に重ねる設計が一般的です。中国語の力も育てたい家庭には有力な選択肢になります。
つまり上海では、「どの学校が良いか」より先に「わが子はどちらの種別に入れるのか」を確認するのが正しい順番です。外籍校側にも、外国パスポート保持者のほか、海外で生まれた中国籍の子ども、香港・マカオ・台湾の住民の子どもといった受け入れ区分があり、必要書類も異なります。上海市の行政サービスポータルに就学資格審査の手続きが公開されているので、可否は必ずそこと志望校のアドミッションで確認してください。
学費の相場は年間およそ14万〜41万元、1元=約24円で換算すると約340万〜990万円程度と幅があります(換算レートは2026年7月時点の目安で、円換算はいずれも丸めた概算です)。14万元台から始まる学校もあり、「上海のインターは一律に高い」わけではありません。加えて出願料(2,500〜3,800元)、初年度のキャピタルフィー(8,000〜33,000元)、スクールバス(学期あたり9,000元前後)、教材・技術費が上乗せされます。表示学費の2〜3割増しが実際の年間支出と見ておくと見積もりを外しません。内訳の構造は都市が変わっても似ているので、インターナショナルスクールの学費の内訳もどうぞ。
もうひとつの大きな分岐が「日本人学校か、インターか」です。上海日本人学校は虹橋と浦東の2キャンパスを持ち(浦東には高等部もあります)、日本の学習指導要領に沿った教育を受けられます。数年で帰国して日本の高校・大学へ進むと決まっているなら合理的な選択です。一方インターは英語環境と国際カリキュラムが手に入る代わりに、日本語や日本の教科内容は家庭で補う前提になります。決めきれないなら、どちらかに通いながら足りない側を補うダブルスクールという考え方も現実的な解です。
なお、赴任先の候補が複数ある方は、入学資格のルールが似た都市と読み比べると判断が早くなります。国籍や海外居住歴による制限があるソウルのインターナショナルスクール事情と並べると、上海の制度の位置づけが立体的に見えてきます。

上海のインターナショナルスクールおすすめ7選
ここからは、知名度・カリキュラムの多様性・価格帯のバランスで選んだ7校を紹介します。ランキングではありません。学費は各校の公式情報または学費データベースに基づく年間レンジ、円換算は1元=約24円(2026年7月時点の目安レート)で計算した、丸めた概算です。
1. Shanghai American School(上海アメリカンスクール/SAS)
1912年にルーツを持つ、上海を代表する米国式インター。浦西(閔行)と浦東の2キャンパスを構え、規模・施設・進学サポートのいずれもトップクラスです。APとIBディプロマの両方を用意しており、米国の大学にも世界の大学にも道が開けるのが強み。日本人家庭の在籍も長く、情報を得やすいのも実務的なメリットです。
- カリキュラム:米国式(AP)+IBディプロマ
- 対象年齢:幼児(Pre-K)〜18歳(G12)
- 学費目安:年間約24.6万〜31.1万元(約590万〜750万円程度)/別途、出願料・入学関連費
- こんな家庭に:米国大学進学も視野に、大規模校の設備とサポートを重視する家庭。
2. Concordia International School Shanghai(コンコーディア)
浦東・金橋にある米国式のクリスチャンスクール。駐在家庭が多く住むエリアにあり、通学のしやすさで選ばれることも多い学校です。一人ひとりを見る文化と、APに加えて中国語プログラムやSTEM・アートを厚く積む設計が特徴。ELL(英語サポート)も用意されています。
- カリキュラム:米国式(AP)+中国語プログラム
- 対象年齢:幼児(Preschool)〜18歳(G12)
- 学費目安:年間約25万〜33万元(約600万〜790万円程度)/出願料2,500元・キャピタルフィー25,000元
- こんな家庭に:浦東・金橋圏で、面倒見のよいアメリカ式の学校生活を求める家庭。
3. Dulwich College Shanghai Pudong(ダリッジ・カレッジ上海浦東)
英国の名門ダリッジ・カレッジの国際ネットワーク校で、浦東に立地。英国式カリキュラムを土台に、最終学年でIBディプロマへつなげる構成です。音楽・演劇・スポーツなど課外の層の厚さに定評があり、イギリス系大学への道を意識する家庭に選ばれています。学費は上海でも最高水準です。
- カリキュラム:英国式(英国ナショナル・カリキュラム/IGCSE)+IBディプロマ
- 対象年齢:2〜18歳
- 学費目安:年間約28.2万〜41.2万元(約680万〜990万円程度)
- こんな家庭に:英国式の伝統と課外活動の厚みを重視し、予算に余裕のある家庭。
4. Shanghai Community International School(SCIS)
虹橋と浦東にキャンパスを持つ非営利のIB校で、幼児から高校まで一貫してIBを提供。活動費・教材費・遠足費まで学費に含むオールインクルーシブ型の料金設計を掲げており、追加費用が読みにくい上海では家計の見通しを立てやすい選択肢です。英語が母語でない子どもへのサポート文化も根づいています。
- カリキュラム:IB(PYP・MYP・DP)
- 対象年齢:2〜18歳
- 学費目安:年間約15.3万〜33.6万元(約370万〜810万円程度)※半日プリスクール〜G12、キャンパスにより異なる
- こんな家庭に:IB一貫で学ばせたい家庭、費用の見通しをはっきりさせたい家庭。
5. Yew Chung International School of Shanghai(YCIS/上海耀中)
1993年開校の老舗で、「英語と中国語の二人担任制(コティーチング)」というユニークな仕組みで知られます。英語ネイティブと中国語ネイティブの教師が同じ教室に立ち、幼児期から本気で中国語を積み上げる設計。せっかく中国に住むのだから中国語も資産にしたい、という家庭には唯一無二の選択肢です。上級学年ではIGCSEとIBディプロマに接続します。
- カリキュラム:英中バイリンガル+IGCSE・IBディプロマ
- 対象年齢:2〜18歳
- 学費目安:年間約24.4万〜36.6万元(約590万〜880万円程度)
- こんな家庭に:英語だけでなく中国語も本格的に身につけさせたい家庭。
6. Western International School of Shanghai(WISS)
閔行区にある、中国本土で最初にIBの4プログラム(PYP・MYP・DP・CP)すべてを認定されたフルコンティニュアム校。CP(キャリア関連プログラム)まであるため、「大学一直線」ではない進路も設計できるのが強みです。給食・教材・EAL(英語サポート)・制服などを含む料金設計で、価格帯は名門校より中位に収まります。
- カリキュラム:IBフルコンティニュアム(PYP・MYP・DP・CP)
- 対象年齢:幼児〜18歳
- 学費目安:年間約16.2万〜27.7万元(約390万〜660万円程度)
- こんな家庭に:IBを軸にしつつ、費用と進路の柔軟性も確保したい家庭。
7. Shanghai Livingston American School(SLAS/上海リビングストンアメリカンスクール)
長寧区にある米国式の中規模校で、30以上の国籍の生徒が学びます。今回の7校で学費がもっとも抑えめ、ELD(英語サポート)のクラスも小学部・中高等部それぞれに用意。公式サイトに日本語ページと日本語デスクがあり、出願の相談を日本語でできるのは、着任直後で情報も時間も足りないご家庭に現実的な助けになります。
- カリキュラム:米国式(幼児〜高校まで一貫)
- 対象年齢:幼児〜18歳(G12)
- 学費目安:年間約14.1万〜23.3万元(約340万〜560万円程度)/出願料2,500元・キャピタルフィー8,000元
- こんな家庭に:予算を抑えたい家庭、日本語で相談しながら手続きを進めたい家庭。
※学費等は2026年7月時点の公開情報です。学費は毎年改定され、入学条件・定員・キャンパスごとの設定も変わります。最終的な数字と受験資格は、必ず各校の公式サイトとアドミッションでご確認ください。
上海のインターナショナルスクール一覧|学費・エリア・対象段階で比較
紹介した7校を、エリア・対象段階・カリキュラム・年間学費の目安で並べ直しました。学費は各校の公式情報または学費データベースに基づく年間レンジで、出願料・キャピタルフィー・スクールバス代などは含みません。円換算は1元=約24円(2026年7月時点の目安レート)で丸めた概算です。記事内に記載のない項目は「—」としています。
| 学校名 | エリア・最寄駅 | 対象段階(対象年齢) | カリキュラム | 年間学費の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Shanghai American School(SAS) | 浦西(閔行)・浦東の2キャンパス | 幼児(Pre-K)〜18歳(G12) | 米国式(AP)+IBディプロマ | 約24.6万〜31.1万元(約590万〜750万円程度) |
| Concordia International School Shanghai | 浦東・金橋 | 幼児(Preschool)〜18歳(G12) | 米国式(AP)+中国語プログラム | 約25万〜33万元(約600万〜790万円程度) |
| Dulwich College Shanghai Pudong | 浦東 | 2〜18歳 | 英国式(英国ナショナル・カリキュラム/IGCSE)+IBディプロマ | 約28.2万〜41.2万元(約680万〜990万円程度) |
| Shanghai Community International School(SCIS) | 虹橋・浦東の2キャンパス | 2〜18歳 | IB(PYP・MYP・DP) | 約15.3万〜33.6万元(約370万〜810万円程度) |
| Yew Chung International School of Shanghai(YCIS) | — | 2〜18歳 | 英中バイリンガル(二人担任制)+IGCSE・IBディプロマ | 約24.4万〜36.6万元(約590万〜880万円程度) |
| Western International School of Shanghai(WISS) | 閔行区 | 幼児〜18歳 | IBフルコンティニュアム(PYP・MYP・DP・CP) | 約16.2万〜27.7万元(約390万〜660万円程度) |
| Shanghai Livingston American School(SLAS) | 長寧区 | 幼児〜18歳(G12) | 米国式(幼児〜高校まで一貫) | 約14.1万〜23.3万元(約340万〜560万円程度) |
比較でわかる、わが家に合う上海の学校選び
7校を並べても、「結局どれがうちに合うの?」と迷うのが正直なところだと思います。上海では、学校を「名門インター」「中堅・新興インター」「オンライン国際校」の3タイプで捉え、何を最優先するかで絞るのが近道です。費用の手頃さ、入学のしやすさ、通学の負担、対面の校庭・施設、日本語や母語の支え——どれを譲れないかで、答えは変わります。

加えて上海特有の事情が、「帰任のタイミングが読めない」という現実です。3年で帰国か、5年になるのか、次はシンガポールなのか。決まらないまま学校を決めるご家庭は少なくありません。だからこそ環境が変わっても積み上げが無駄にならない学びという視点を持っておくと安心です。学びの中身から比べたい方は、オンラインでの学びのしくみを見る →もご覧ください。

学費や入学資格が壁なら——「オンライン」という第8の選択肢
ここまで7校を見て、「この学費を12年続けられるだろうか」「駐在が終わったらどうなるのだろう」と感じた方もいるかもしれません。その迷いは自然なものです。そんなあなたにこそ知っておいてほしいのが、オンラインという第8の選択肢です。
私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校予定のオンライン・インターナショナルスクールです。日本の株式会社NIJINが運営し、母体である日本のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には、すでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。
NGAが大切にするのは、テストの点数で子どもを並べない「脱偏差値」の考え方と、少人数の対話を中心にした学び。「自分と世界を、好きになる」を合言葉に、アジア・オセアニアの6〜18歳を対象としています。住む場所を選ばないので、上海から日本へ、次の赴任地へ移っても学校を変えずに続けられ、外籍人員子女学校のように国籍やビザの区分に左右されることもありません。日本語の支えを前提に少しずつ英語に触れられる設計なので、「いきなりオール英語は不安」というご家庭にも寄り添えます。学費は対面インターの約5分の1を目指しています。
正直にお伝えすべき点もあります。NGAはまだ開校前で、進学実績はこれから積み上げる段階です。広い校庭で走り回る体験や、対面の教室にしかない空気感を、そのまま置き換えられるわけでもありません。それでも「制度や費用や転勤で、国際的な学びをあきらめなくていい」——そんな選択肢を必要とするご家庭に、まっすぐ届けたいと考えています。
よくある質問
Q. 何歳から入れますか? 学年の途中で編入もできますか?
A. 上海の対面インターの多くは2〜3歳の幼児クラスから受け入れています(学校により異なります)。編入は空き枠次第で、人気校・人気学年は年度途中だと待機になることも珍しくありません。辞令が出たら、赴任日より先に志望校のアドミッションへ問い合わせるのが鉄則です。NGAは6〜18歳が対象です。
Q. 日本国籍なら、どの学校でも入学資格がありますか?
A. 外籍人員子女学校は、外国パスポートを持つ子どもと、保護者の中国での就労・居留手続きが前提です。日本人駐在家庭は基本的に条件を満たしますが、必要書類は受け入れ区分ごとに異なり、資格審査もあります。一方の民辦学校は中国国籍の子どもも通える代わりに、義務教育段階で国家カリキュラムを履修する前提があります。志望校がどちらの種別かを、最初に必ず確認してください。
Q. 英語が不安です。日本語のサポートはありますか?
A. 対面のインターは英語(+中国語)が中心で、EAL・ELDといった英語サポートは多くの学校にありますが、日本語の学習支援は学校によって差が大きいのが実情です。上海には土曜日の日本語補習授業校という選択肢もあります。駐在中の日本語維持や、帰国後の日本語が不安なご家庭には、姉妹サービスのともだちじゃぱん(NIJIN運営の子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。NGAは日本語の支えを前提に設計しているため、英語へ少しずつ移行したい日本人家庭でも始めやすいのが特徴です。
Q. 授業料のほかに、どんな費用がかかりますか?
A. 出願料が2,500〜3,800元、初年度のキャピタルフィーが8,000〜33,000元、スクールバスが学期あたり9,000元前後、これに教材・技術費が加わります。表示されている学費の2〜3割増しが実際の年間支出と見ておくと、見積もりを大きく外しません。なお、SCISは活動費・教材費・遠足費まで学費に含むオールインクルーシブ型、WISSも給食・教材・EAL・制服などを含む料金設計なので、費用の見通しは立てやすくなります。
Q. 予算を抑えたい場合、どの学校から見ればよいですか?
A. 本記事の7校では、Shanghai Livingston American School(SLAS)が年間約14.1万〜23.3万元(約340万〜560万円程度)ともっとも抑えめです。次いでShanghai Community International School(SCIS)が約15.3万〜33.6万元、Western International School of Shanghai(WISS)が約16.2万〜27.7万元。ただし出願料・キャピタルフィー・スクールバスなどが上乗せされるため、比較は必ず総額で行ってください。
Q. 英語だけでなく中国語も本格的に身につけさせたいのですが。
A. Yew Chung International School of Shanghai(YCIS)は、英語ネイティブと中国語ネイティブの教師が同じ教室に立つ二人担任制(コティーチング)で、幼児期から中国語を積み上げる設計です。Concordia International School Shanghaiも、米国式(AP)に中国語プログラムを組み合わせています。中国語の力をより重視するなら、中国国籍の子どもも通える民辦学校(私立のバイリンガル校)も選択肢に入ります。ただし民辦学校は義務教育段階で中国の国家カリキュラムを履修する前提がある点は押さえておいてください。
Q. 上海日本人学校とインターナショナルスクール、どちらを選ぶべきですか?
A. 帰国の見通し次第です。上海日本人学校は虹橋と浦東の2キャンパスを持ち(浦東には高等部もあります)、日本の学習指導要領に沿った教育を受けられるため、数年で帰国して日本の高校・大学へ進むと決まっているご家庭には合理的な選択です。一方インターは英語環境と国際カリキュラムが手に入る代わりに、日本語や日本の教科内容は家庭で補う前提になります。決めきれない場合は、どちらかに通いながら足りない側を補うダブルスクールという考え方も現実的です。
上海での数年を、お子さんの財産に変えるために
上海には世界水準のインターナショナルスクールがそろっています。同時に、学費という現実と、種別・国籍・ビザという制度の壁があるのも事実です。大切なのは、条件で消去法的に「入れる学校」を選ぶことではなく、お子さんがのびのびと自分らしく学べる環境を家族で選び取ること。その選択肢の中に、日本人学校も、対面のインターも、オンラインも、対等に並んでいていいのだと思います。焦らなくて大丈夫。あなたの一歩を、私たちは応援しています。


