バンコクへの赴任が決まり、子どもをインターナショナルスクールに入れようと調べ始めると、多くの保護者が同じところで手が止まります。「バンコクの国際学校にも受験はあるの?」「何をいつまでに準備すればいいの?」。日本の中学受験のような筆記試験を想像すると、何から手をつければよいかわからなくなってしまいます。
この記事では、バンコクの主要な国際学校4校(NIST、Bangkok Patana、ISB、Shrewsbury)と、比較のためにシンガポールの4校(Tanglin、UWCSEA、Dulwich、Singapore American School)の公式サイトに書かれている入学選考の流れを、2026年10月時点の情報で整理しました。学費の金額は扱わず、「どう選ばれ、いつ動けばよいか」に絞っています。

結論:バンコクの国際学校の受験は、日本式の一斉入試ではない。3つの材料で決まる
今回調べた8校のうち、日本の入試のように全員が同じ日に同じ筆記試験を受ける学校はありませんでした。流れはどの学校もほぼ同じで、「オンラインで出願→出願料(返金なし)→書類の審査→アセスメントや面接→合格の通知(オファー)→席を確保する費用の支払い」です。
合否を決める材料は、大きく3つです。
- これまでの成績表と先生の推薦:成績表と、いまの担任の先生からの推薦書を求めます。今回の8校のうち半数(Patana・Shrewsbury・Tanglin・UWCSEA)は直近2年分の成績表を明記しています。
- 英語力の確認:英語を母語としない子には、英語のアセスメントがあります。学年が上がるほど求められる水準も上がります。
- 年齢に合わせた評価と面接:幼児は遊びの様子を見る「観察」、小学校高学年以上は算数や英語、学校によっては認知テストや面接が加わります。
そのうえで、学校によって「選抜校」だと明言しているところ(Shrewsbury など)と、主に定員の空きと英語力で判断するところ(ISB・NIST・Patana など)に分かれます。バンコクの国際学校の受験は、「点数で順位をつける試験」というより、「この学校の授業についていけるか」と「入りたい学年に空きがあるか」を確かめる手続きだと考えるとわかりやすいでしょう。
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バンコクの国際学校4校の入学選考
NIST International School:在住なら12月中旬までに出願
NISTは、出願前フォーム→本出願→入学委員会の審査→アセスメントや面接→合格通知→費用の支払い、という流れです。小学部は個別または少人数でのアセスメント(バンコク外に住んでいる場合はオンラインも可)、中等部は学年に合わせたテストを受けます。審査では年齢・学年・空き状況・英語力・これまでの成績などを総合的に見るとしています。
出願時期は、バンコクに住んでいる家庭は翌年度に向けて12月中旬までに出願し、1月から審査が始まります。海外からの出願は通年で受け付けていて、「できるだけ早く」と案内しています。英語については、小学部は英語の初心者も受け入れられる一方、中等部は中級以上の子だけを支援できるとしています。出願料は6,000バーツ、アセスメント料は2,500バーツで、どちらも返金されません。
Bangkok Patana School:英語のアセスメントと、国籍のバランス
Bangkok Patana は、いまの担任から学校に直接送ってもらう推薦書と作文、直近2年分の成績表などをそろえてオンラインで出願します。英語を母語としない子は、席が確定する前にEALの専門教員による英語のアセスメントを受けます。幼児(Foundation Stage)は対面での就学準備のアセスメントです。
2027/28年度の出願は2026年9月1日に始まっていて、締切は示されていませんが、待機になることが多いので早めの出願をすすめています。空きを待つ場合は、兄弟がいるか、以前在籍していたか、性別・国籍・言語のバランス、出願を完了した日などを考慮するとしていて、ひとつの国籍が全体の20%を超えないようにしている点も特徴です。合格後は、席を確保するために返金されない費用(50,000バーツ)を払います。
International School Bangkok(ISB):Pre-K〜4年生は英語力の下限なし
ISBは、オンラインで出願→書類のアップロード→出願料→審査(必要に応じてテスト・学校での観察・面接)→合否という流れです。英語を母語としない子は、幼稚部から12年生まで英語のアセスメントを受けます。面接は録画式で、Pre-K〜5年生は保護者、6〜12年生は本人が答えます。
外国籍の家庭は通年で受け付けていて(出願開始は9月15日)、合否も順次出ます。ただし学年によっては席が少なく、早く出したほうが入りやすいとしています。英語については、Pre-Kから4年生までは入学に必要な英語力の下限がありません。5〜12年生は学年が上がるほど高い英語力を求めます。
Shrewsbury International School Bangkok:公式に「選抜校」
Shrewsbury は、公式サイトで自校を「選抜制の学校」と明記しています。幼い子は就学準備の確認、Year 3(日本の小学2年生ごろ)以上は認知テストを受け、算数や英語のテスト、面接が加わることもあります。Aレベルから入る場合は、科目ごとの入学試験があります。
出願は通年で受け付けていますが、入学したい時期の12か月以上前に出すようすすめています。Year 10以上(日本の中学3年生ごろ以降)は、課程の途中からの入学は例外的な場合に限られます。出願料は5,000バーツです。

シンガポールのインター4校と比べると:締切と英語の条件が厳しめ
赴任先の候補がバンコクとシンガポールの両方にある家庭も多いので、シンガポールの4校とも比べてみます。大きな違いは2つ。出願に締切のある学校が多いことと、英語を学ぶ子の受け入れに厳しい学校が多いことです。
- Tanglin Trust School:入学の3年前から出願でき、2027/28年度の締切は2027年2月15日。大半の合格は3月以降に出ます。英語を学ぶ子のための専用プログラム(EAL)はなく、年齢相応の英語力と、シンガポールに住む保護者の少なくとも一人が英語に堪能であることを求めています。
- UWCSEA:2027年8月入学は2026年9月1日に出願開始。第1ラウンドの締切が2026年11月2日(合格は1月)、第2ラウンドが2027年2月1日(通学生・合格は3月)。先着順ではなく、適格な出願者が定員を上回るのが通常だとしています。幼児は45分の「Meet and Play」で観察、学年が上がると英語で学んだ年数(1〜3年以上)が目安になります。
- Dulwich College (Singapore):入学の18か月前から出願でき、10月31日までに出すと11月に早期の合格が出る可能性があります(大半は3月に結果)。学業による選抜があると明記し、専用のEALプログラムはありません。
- Singapore American School:唯一、通年で出願を受け付けます。合格水準に達した子は waitpool(空き待ちのプール)に入り、米国籍の家庭や米国企業に勤める家庭などの「優先レーン」の順に席が案内されます。4年生以上は英語力が必要で、5年生以上には英語を学ぶ子のためのEALプログラムがありません。
つまり、バンコクは「英語がまだ弱くても、早めに出せば入れる可能性がある」学校が比較的多く、シンガポールは「決められた時期に出し、英語力の条件を満たす」ことが前提になりやすい、という違いがあります。シンガポールの学校選びはシンガポールのインターナショナルスクールまとめで詳しく紹介しています。


8月入学から逆算する出願スケジュール
今回の8校の多くは8月に新年度が始まります(NIST・Tanglin・UWCSEA・SAS など)。8月入学に向けた動き方には共通の目安があります。
- 前年の9月ごろ:出願が始まる(Patana と UWCSEA は9月1日、ISB は9月15日)。学校見学の受付時期は各校に確認しましょう。
- 前年の10月〜2月:締切がある学校は出す(Dulwich の早期は10月31日、UWCSEA は11月2日と2月1日、Tanglin は2月15日、NIST はバンコク在住なら12月中旬)。
- 11月〜3月以降:合否と空き待ち(Dulwich の早期合格は11月、多くの学校は1〜3月)。合格したら、席を確保する費用を期限内に払います(UWCSEA は通常2週間以内)。
赴任の内示が春に出て、夏に引っ越すご家庭は、この流れにどうしても乗り遅れがちです。その場合は、通年で受け付けているバンコクの ISB や、シンガポールの SAS のような学校を軸にしつつ、入りたい学年の空き状況を学校に直接確認するのが近道です。Tanglin のように、空きは在校生の転出で生まれると説明する学校もあり、タイミング次第で状況が変わります。

書類と英語の準備:日本にいるうちにやっておくこと
国際学校の入学選考で慌てる原因の多くは、試験そのものより書類です。次の3つは、日本にいるうちに始めておくと安心です。
- 成績表(通知表)の英訳:直近2年分を求める学校が多く、英語以外の書類は翻訳が必要です。UWCSEAは公証翻訳を求めています。
- 担任の先生への推薦書の依頼:Patana のように、先生から学校へ直接送ってもらう形式もあります。英語の書式に戸惑う先生も多いので、早めにお願いしましょう。
- パスポート・出生証明・ビザ関連:ISB と Patana は有効な非移民ビザを求め、UWCSEA や Dulwich は滞在パスのコピーを求めます。Dulwich は予防接種の記録も求めています。
英語については、小学校低学年までなら「入ってから伸ばす」選択肢があるバンコクの学校もありますが、高学年以上は、今回調べた学校の多くが一定の英語力を求めます。どの程度の準備が必要かは、インター入学前の英語の準備とインターナショナルスクールの入学条件で詳しく解説しています。
制度の面で知っておきたいこと
- タイ:外国籍の子がインターに入ることについて、国としての制限は公式情報では確認できませんでした。実務上は学校が有効なビザを求めるので、ビザの手続きと出願を並行して進めます。
- シンガポール:インターがシンガポール国民を入学させるには教育省(MOE)の承認が必要ですが、これは国民が対象のルールで、外国籍の日本人家庭には関係しません。また入国管理局(ICA)は、有効な Dependant’s Pass(家族帯同ビザ)などを持っていれば学生ビザ(Student’s Pass)の申請は不要としています。
- 日本:文部科学省は、日本の就学義務は海外に住む日本人の子どもには直接は適用されないと説明しています。帰国して転入の手続きをすると、住民登録をもとに通う学校と編入の日が通知されます。

入れなかったとき、待つあいだの選択肢
空き待ちが長引くこともあれば、学年の途中で入れる学校が見つからないこともあります。そのあいだの選択肢として、バンコクにはタイ国日本人協会が運営する日本人学校(泰日協会学校)や、英国式・米国式・IBなどさまざまな国際学校があり、バンコクのインターナショナルスクールまとめで比べられます。学費の目安は海外赴任家庭のためのアジアのインター学費まとめをご覧ください。
もうひとつ、住む場所に左右されないオンラインの国際学校という選び方もあります。空きを待つあいだや、数年で次の国へ異動しそうなとき、英語で学ぶ時間を途切れさせないための手段になります。授業の進め方は学びのしくみで紹介しています。
NIJIN GLOBAL ACADEMY の立ち位置
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校予定の、6〜18歳のためのオンラインの国際学校です。運営する株式会社NIJINは、日本で不登校の子どもの学びの場であるNIJINアカデミーなどを運営し、これまで1000名以上の子どもたちが学んできました。偏差値による学力選抜はせず、少人数のライブ授業で、英語で学ぶ教科を日英バイリンガルのメンターが支える形を考えています。
正直にお伝えすると、NGAはまだ開校前で、認定も受けていません。学費は未公表で、卒業生もいません。バンコクやシンガポールの国際学校のように、毎日通う校舎や対面の同級生、確立した卒業資格を用意できるわけではありません。それでも、「入れる学校が見つかるまでのつなぎ」「異動が続いても変わらない学びの場」として、比べる候補のひとつになれたらと考えています。
よくあるご質問
バンコクの国際学校に受験はありますか?
日本の入試のような一斉の筆記試験はありません。成績表・先生の推薦・英語のアセスメント・年齢に合わせた評価や面接で判断します。ただし Shrewsbury のように選抜制を明言する学校では、認知テストや科目のテストもあります。
英語が話せなくても入れますか?
学年と学校によります。ISB は Pre-K〜4年生に英語力の下限がなく、NIST は小学部なら英語の初心者も受け入れます。一方、学年が上がると英語力を求める学校が多く、シンガポールの Tanglin や Dulwich には英語を学ぶ子のための専用プログラムがありません。
いつから準備すればいいですか?
8月入学なら、前年の9月ごろに出願が始まる学校が多く、Shrewsbury は入学の12か月以上前の出願をすすめています。赴任が決まったら、まず成績表の英訳と推薦書の依頼から始めましょう。
年度の途中でも入れますか?
ISB・NIST(海外からの出願)・Shrewsbury・SAS などは通年で受け付けています。ただし、入れるかどうかはその学年に空きがあるかで決まるので、学校に直接確認してください。
「受かるかどうか」より「この学校で毎日を過ごせるか」
バンコクの国際学校の入学選考は、点数で競う受験ではありません。学校が見ているのは、お子さんが英語の授業についていけそうか、学校の雰囲気に合いそうか、そして入りたい学年に席があるか、です。だからこそ、早めに動き、書類をていねいにそろえ、学校見学でお子さんの表情を見ることが、いちばんの準備になります。
空き待ちのあいだや次の赴任先でも続けられる学び方を知りたい方へ。NIJIN GLOBAL ACADEMY は2027年9月の開校(予定)に先立ち、2027年4〜5月の体験クラスから始めます。授業の進め方と学費の案内が出そろったら、お知らせメールでお届けします。


