「IB校」「英国式」「アメリカンスクール」「バイリンガル校」「ボーディングスクール」「オンラインインター」。インターナショナルスクールを調べ始めると、似たような言葉が次々に出てきて、どれが何を指しているのか分からなくなります。けれど、これらは同じものさしで並ぶ選択肢ではありません。「何を学ぶか」「誰が運営するか」「どう通うか」という、別々の問いへの答えが混ざって並んでいるのです。
この記事では、インターナショナルスクールの種類を4つの軸で整理し、それぞれの種類が家庭にとって何を変えるのかを解説します。あわせて、各種類の実在校の2026-27年度の学費を公式サイトの数字で並べ、「種類で学費は決まるのか」も確かめました。円換算は2026年10月9日の参考レート(1ドル=158.25円・欧州中央銀行の参考値)で、目安としてご覧ください。

インターナショナルスクールの種類は「4つの軸」で分けると分かりやすい
まず前提として、「インターナショナルスクール」には世界共通の法的な定義がありません。日本でも法律上の決まった定義はなく、一般に「主に英語で授業を行い、外国のカリキュラムに沿って、さまざまな国籍の子どもが学ぶ学校」をそう呼んでいます。そのうえで、学校どうしの違いは次の4つの軸に分かれます。
- カリキュラム:IB(国際バカロレア)、英国式、米国式、各国の在外校、またはその組み合わせ
- 授業の言語:英語のみか、2言語(英語と中国語など)のバイリンガルか
- 運営:独立した学校法人・理事会か、複数の国に学校を持つグループか、UWCのような運動体か
- 通い方:通学(デイスクール)、寮(ボーディング)、オンライン
このうちお子さんの将来にいちばん効くのはカリキュラムです。どの試験を受け、どの卒業資格を持って18歳を迎えるかが、ここで決まるからです。なお日本国内では、これとは別に「一条校か、各種学校か、無認可か」という法律上の区分があり、就学義務との関係で大切になります。こちらはインターナショナルスクールと一条校・就学義務の関係で詳しく整理しています。そもそもインターとは何か、から知りたい方はインターナショナルスクールとはもあわせてどうぞ。
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カリキュラムで見るインターナショナルスクールの種類
IB校(国際バカロレア)
国際バカロレア機構(IBO)のプログラムを教える学校です。プログラムは年齢ごとに、PYP(3〜12歳)、MYP(11〜16歳)、DP(ディプロマ・16〜19歳)に分かれます。全部を通して置く学校もあれば、最後の2年間のDPだけを置く学校も少なくありません。IBは学校ごと・プログラムごとに認定(authorization)を出しており、「候補校(candidate school)」はまだ認定前の学校です。どのプログラムが認定済みかは、必ず確かめてください。DPそのものについてはIBディプロマとはで解説しています。
実在校の例:シンガポールのUWCSEAは11〜12年生でIBディプロマを教え、2026-27年度の授業料はSGD 39,069(1年生の学年帯)〜49,926(11〜12年生)、円にして約483万〜617万円です。バンコクのNIST International SchoolはPYP・MYP・DPのすべてを置き、THB 889,200(Year 2)〜1,132,800(Year 13)、約420万〜535万円です。
英国式の学校
イングランドのカリキュラムに沿う学校で、学年は「Grade」ではなく「Year」で数えます。16歳前後でIGCSE、18歳でAレベルの試験を受けるのが基本で、最後の2年間(シックスフォーム)でAレベルの代わりに、または並べてIBディプロマを置く学校もあります。英国政府の在外英国校の査察制度(British Schools Overseas)を受けていたり、COBIS(海外英国系学校協会)に加盟していたりする学校が多くあります。
実在校の例:ブリティッシュ・スクール・イン・東京(BST)は2026-27年度に296万円(Year 2)〜307万円(Year 13)。シンガポールのTanglin Trust Schoolは建設基金と9%の消費税込みでSGD 45,375〜58,080(約561万〜718万円)で、シックスフォームではAレベルとIBディプロマの両方を置いています。クアラルンプールのThe Alice Smith SchoolはMYR 89,070〜122,370(約345万〜474万円)です。
米国式の学校(アメリカンスクール)
アメリカのK〜12年生の学年構成で、単位を積み上げて米国の高校卒業資格(ディプロマ)を出します。高校ではカレッジボードのAP(アドバンスト・プレースメント)科目と試験を受けられ、多くの大学が入試や単位認定に使っています。認定はWASCやCogniaなど米国の認定団体から受けているのが一般的です。
実在校の例:東京のアメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)は2026-27年度に349.8万円(1年生)〜382.6万円(12年生)。台北アメリカンスクールはTWD 956,770〜1,055,105。韓国のSeoul International Schoolは授業料をウォンと米ドルの2本建てで請求し、1〜5年生はKRW 22,880,000+US$8,140、9〜12年生はKRW 27,840,000+US$9,900です。ASIJについてはアメリカンスクール・イン・ジャパンの学費で費目まで詳しくまとめています。
組み合わせ型:実は珍しくない
有名校ほど、ひとつの箱に収まらないことがあります。International School Bangkokは米国式でAPを置きつつIBディプロマも選べます(THB 1,015,000〜1,197,000、約479万〜565万円)。Shanghai American SchoolもAPとIBディプロマの両方、Jakarta Intercultural SchoolはIBのプログラムとAPを組み合わせています。「IBもAPも」「AレベルもIBも」という学校では、実際に多くの生徒がどちらのルートを選んでいるか、途中で切り替えられるかを聞いておくと安心です。
バイリンガル校
全学年を通して2つの言語で授業をする学校です。香港のChinese International Schoolは英語と中国語(普通話)で教え、IGCSEとIBディプロマにつながります。2026-27年度はHKD 300,300〜359,200(約606万〜724万円)です。家庭にとって両方の言語が大切なら有力な選択肢ですが、どちらかの言語が初めての子には負担が大きくなります。香港の学校選びは香港のインターナショナルスクールでまとめています。
各国の在外校(日本人学校など)
フランス人学校(リセ)、ドイツ人学校、そして日本人学校は、自国のカリキュラムを国外で教える学校です。インターと並べて紹介されることが多いものの、目的は「その国の教育制度に戻れるようにすること」で、性格が違います。文部科学省によると、日本人学校は49か国・1地域に94校(2024年4月15日現在)あり、原則として国内の学習指導要領に基づき、国内の教科書を使って授業をしています。数年後に日本へ戻る予定がはっきりしているなら、まず検討したい種類です。

インターの種類で学費は決まる? 実在校で比べると「ほぼ決まらない」
例に挙げた学校を並べると、はっきりした傾向が見えます。学費を動かしているのは、カリキュラムの種類よりも「どの都市の、どの学校か」です。東京では英国式のBST(約296万〜307万円)のほうが米国式のASIJ(約350万〜383万円)より安く、シンガポールでは逆に英国式のTanglin(約561万〜718万円・建設基金と消費税込み)がIB校のUWCSEA(約483万〜617万円)より高くなっています。なおUWCSEAには授業料とは別に、毎年SGD 5,166(初年度はSGD 9,537)の開発賦課金がかかりますが、足しても順番は変わりません。IB・英国式・米国式の学費の幅は、ほとんど重なっています。
さらに、授業料は請求の一部にすぎません。ASIJには入学時の施設維持費152.5万円、Tanglinには出願料・入学金・資本賦課金の合計SGD 10,000、International School Bangkokには入学時の登録料THB 260,000がかかります。The Alice Smith Schoolの学費には6%のサービス税(SST)が別にかかります。最終学年にはIBディプロマやAレベルの試験料が別にかかることもよくあります。アジア11都市・18校の学費を一覧で見たい方は、アジア主要都市のインターナショナルスクール学費をご覧ください。
ですから、種類は「何を学び、18歳でどこへ進むか」で選び、学費は学校ごとに比べるのが順番です。授業の進め方そのものを比べたい方は、NGAの学びのしくみもあわせてご覧ください。
運営で見る種類:誰が学校を決めているか
カリキュラムほど目立ちませんが、運営のかたちは学費の決まり方や意思決定に関わります。
- 独立した学校(理事会が運営):歴史のあるインターには、理事会や保護者が選ぶ理事会が運営する学校が多くあります。理事の選ばれ方と、学費の値上げがどう決まるかを聞いてみてください。
- 教育グループに属する学校:複数の国で学校を運営するグループの一校、というかたちです。たとえばホーチミンのBritish International School HCMCは、学費表をNord Anglia Educationのサイトで公開しています。グループ内の転校のしやすさなどの利点がある一方、何を現地で決めているのかは確かめたいところです。
- 運動体に属する学校:UWCSEAは、共通の理念を持つUWCの学校のひとつです。日本では軽井沢のUWC ISAK Japanも同じUWCに加わっています。
どれが優れている、という話ではありません。確かめたいのは「誰が決めて、それを保護者はどう知らされるのか」です。

通い方で見る種類:通学・寮・オンライン
通学(デイスクール)
多くのインターは自宅から通う学校で、ここまでの学費もすべて通学の授業料です。通学時間とスクールバス代も実質的な費用で、たとえばSeoul Foreign Schoolはバス代を年KRW 4,200,000と案内しています。
寮(ボーディングスクール)
寮での生活と生活面のケアがつく学校で、中学・高校の年齢からが一般的です。UWC ISAK Japanは全寮制です。寮を選ぶときは「どのカリキュラムか」より先に、「この子は親元を離れて暮らせるか」が問いになります。
オンラインのインターナショナルスクール
授業をインターネットで受ける学校で、家族が今いる場所を離れずに学べます。英国式(IGCSE・Aレベル)に進む学校もあれば、米国の卒業資格を出す学校もあります。代表例が英国式のKing’s InterHighや、ニュージーランド発のクリムゾン・グローバル・アカデミーです。英国式と米国式のオンライン校の違いはオンラインインターの英国式と米国式の違いで比べています。
「認定」は種類ではないが、どの種類でも必ず確かめる
認定は、どの種類の学校にも重なってかかる品質のチェックです。IB校ならプログラムごとのIBの認定、英国式ならBritish Schools Overseasの査察やCOBIS加盟、米国式ならWASCやCogniaなどの認定、そして種類を問わずCIS(国際学校評議会)の認定を受けている学校も多くあります。特にオンライン校は名乗るのが簡単な分、確かめる価値が大きくなります。調べ方はオンライン国際学校の「認定」の見分け方で手順を紹介しています。
主な3つの種類とNGAを並べて比べる
IB校・英国式・米国式の3つと、私たちが開校準備をしているNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)を並べると、次のようになります。NGAに×がつく項目も、そのまま載せています。

表のとおり、18歳で得られる確立した卒業資格が必要なら、選ぶべきはIB・英国式・米国式のいずれかです。NGAは開校前で、認定も受けておらず、今はそうした資格を出せません。NGAにできるのは別のことで、アジアのどこに住んでいても、校舎のある都市へ引っ越さずに、自宅から英語で学べることです。
わが子に合うインターの種類は? 3つの問いで絞る
- 大学はどの国で考えているか:英国なら英国式、米国ならAP付きの米国式が素直につながります。IBディプロマは多くの国で使われています。まだ決められないなら、IB校か、2つのルートを持つ学校のほうが選択肢を残せます。
- これから何回引っ越しそうか:IBは同じプログラムが多くの国で行われているので、転校の負担を小さくしやすい種類です。日本の学校に戻ることが決まっているなら、日本人学校がいちばん確実なこともあります。
- お子さんはどう学ぶと伸びるか:幅広く選びながら学ぶのが好きならIB、少ない科目を深めたいならAレベルが合うこともあります。見学では授業を実際に見せてもらい、在校生の保護者にも話を聞いてみてください。

NIJIN GLOBAL ACADEMY の立ち位置
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校予定の、6〜18歳のためのオンラインの国際学校です。運営する株式会社NIJINは、日本で不登校の子どもの学びの場であるNIJINアカデミーなどを運営し、これまで1000名以上の子どもたちが学んできました。偏差値による学力選抜はせず、8人前後の少人数のライブ授業で、英語で学ぶ教科を日英バイリンガルのメンターが支える形を考えています。
正直にお伝えすると、NGAはまだ開校前で、認定も受けていません(未認定)。学費は未公表で、卒業生もいません。お子さんにIB・英国式・米国式の卒業資格が必要な場面では、その代わりにはなりません。そのうえで、「近くに通えるインターがない」「校舎のある都市へは引っ越せない」「16歳でルートを選ぶ前に、小中学生のうちから英語で考え、話す力を育てておきたい」というご家庭には、比べる候補のひとつになれたらと考えています。
よくあるご質問
インターナショナルスクールの種類にはどんなものがありますか?
カリキュラムで分けると、IB校・英国式・米国式が主な3つで、ほかに組み合わせ型、バイリンガル校、日本人学校のような各国の在外校があります。さらに運営のかたち(独立校・グループ校・UWCなど)と、通い方(通学・寮・オンライン)でも分けられます。
IB・英国式・米国式では、どれがいちばん良いですか?
どの子にもいちばん、という種類はありません。大学をどの国で考えるか、何回引っ越すか、お子さんがどう学ぶと伸びるかで選びます。IBディプロマ、Aレベル、AP付きの米国の卒業資格は、いずれも大学入試で広く使われています。
IB校は英国式や米国式より学費が高いのですか?
一概には言えません。今回公式サイトで確認した2026-27年度の学費では、種類による差より都市と学校による差のほうがずっと大きく、シンガポールではIB校のUWCSEAが英国式のTanglinより安く、東京では英国式のBSTが米国式のASIJより安くなっていました。
日本人学校はインターナショナルスクールですか?
一般には別の種類として扱われます。日本人学校は、日本に戻る子どもたちのために国内の学習指導要領に沿って日本語で教える学校で、インターは英語(または2言語)でさまざまな国籍の子どもが学ぶ学校です。
名前より先に「どの道へ進むか」を決める
インターナショナルスクールの種類は、問いを分けてしまえば複雑ではありません。カリキュラムが18歳の資格を決め、言語・運営・通い方が毎日の暮らしを形づくり、学費の大部分は都市と学校で決まります。まず進む道を選び、そのあとで実在校の公表学費を比べていけば、迷いはずっと小さくなります。
校舎のある都市へ引っ越さずに、英語で学ぶ道を考えたいご家庭に向けて、NIJIN GLOBAL ACADEMY は2027年9月の開校(予定)と、2027年4〜5月のプレ開校(体験クラス)を準備しています。時間割やカリキュラムが固まり次第、メールでお知らせします。
今月中に種類を決める必要はありません。まずは「18歳のとき、この子はどこにいたいだろう」と家族で話してみてください。その答えが、たくさんの名前の中から2〜3校に絞る、いちばんの近道になります。


