「うちの子、英語はまったくできないんですが、大丈夫でしょうか」——インターナショナルスクールの説明会で、いちばん多く出る質問かもしれません。インターの入学前にできる英語準備として何をすればいいのか、そもそも英語ゼロのまま飛び込ませていいのか。学校からは「大丈夫ですよ、みなさん最初はそうです」と言われる。ありがたい言葉なのに、帰り道でまた考え込んでしまう。その迷いは、自然なものだと思います。
先にお伝えします。英語ゼロで入学して伸びていくお子さんはいますし、準備のないまま入って最初の数か月が苦しくなることもあります。分かれ目は「入学前にどれだけ英語を詰め込んだか」ではなく、学校側の受け入れ体制と、家庭で英語と母語の両方をどう設計したかにあります。この記事では、インターの入学前にできる英語準備を7つ、正直に並べます。

英語ゼロで入学して大丈夫なのかは、学校の「受け入れ体制」で決まる
結論から言うと、いちばん大きな変数はお子さんの英語力ではなく、その学校がEAL(English as an Additional Language)またはESLと呼ばれる、英語を母語としない子どもへの支援をどれくらいの厚みで持っているかです。専任教員がいて取り出し指導や課題の調整まで行う学校もあれば、名前としてEALはあっても実態は週数回の補習にとどまる学校もあります。
そして、ここが大事なところです。この体制の厚みは学校ごとの差が非常に大きく、外から見ただけでは分かりません。学校案内に一行だけ書かれたEALという語で判断しないでください。人数、頻度、担当者の専門性、いつまで受けられるのか。必ず各校に直接確認してください。学校の種類から整理したい方はインターナショナルスクールとはもどうぞ。

もうひとつ確認したいのが、入学時に求められる英語レベルの基準です。学年が上がるほど基準が上がる学校が多く、低学年なら英語ゼロでも受け入れる一方、中学以降は一定の運用能力を求める設計はよく見られます。小学校からインターに入れる場合の考え方も見ておくと、時期の判断がしやすくなります。
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インターの入学前にできる英語準備 7つ
7つ並べますが、全部やる必要はありません。生活時間に無理なく入るものを、2つか3つ選んでください。どれも必ず伸びると約束はできませんが、入学後の最初の数か月を軽くする方向には働きます。
1. 「聞く量」を毎日の生活に埋め込む
最初のハードルは単語力ではなく、耳が英語の音のかたまりに慣れているかどうかです。何のためかというと、教室で指示が流れたとき、意味は分からなくても「いま指示が出ている」と気づけるようにするため。机に向かう時間を増やすより、朝の支度中や車内など生活の隙間に置くほうが続きます。今日からできる最小の一歩は、毎日決まった15分だけ英語の音を流すと決めることです。詳しくはおうちで英語を伸ばす方法へ。
2. フォニックスで「読める音」を作る
フォニックスは、文字と音の対応を体系的に学ぶ方法です。これが効くのは、初めて見る単語でも音にできる回路があると、教室で配られたプリントを前に固まらずに済むからです。c-a-t を音でつないで cat になる感覚があると、入学後の読む活動が軽くなります。今日からできる最小の一歩は、アルファベット26文字の「名前」ではなく「音」を、1日3文字ずつ声に出すことです。
3. 絵本の音読・多読で「知っている単語」を増やす
フォニックスで音にできても、意味が結びつかなければ読解にはなりません。何のためかというと、絵という手がかりとセットで単語を蓄えると、辞書を引かずに意味を推測する力が育つため。難易度は1ページに知らない単語が1〜2個くらいが目安です。今日からできる最小の一歩は、寝る前の1冊を英語の絵本に替え、保護者が読んでお子さんは聞くだけ、という形から始めることです。
4. 少人数のオンライン英会話で「発言する回数」を確保する
インプットだけでは、口は動くようになりません。入学後に本人を助けるのは、結局「言えた」という経験の回数です。そしてその回数は、大人数のレッスンでは伸びにくいのが実情です。20人のクラスで45分なら、一人あたりの発話が数十秒にしかならないこともあります。今日からできる最小の一歩は、体験レッスンを2つ受けて、お子さんが実際に何回声を出したかを数えることです。

5. 教科の言葉(算数・理科の英語)に先に触れておく
研究の世界では、日常会話の力(BICS)と、教科を読み書きして考える学習言語の力(CALP)は別のものと区別されてきました。会話が流暢でも教科の文章でつまずくのは、このためです。何のためかというと、add、subtract、half、shape、plant といった教科の基本語を先に知っていると、内容に集中できるため。今日からできる最小の一歩は、いま習っている算数の単元名を英語で1つ調べることです。
6. 母語の土台を落とさない設計を同時に作る
英語準備の話で、いちばん正直にお伝えしたいのがこの項目です。英語に時間を寄せた結果、どちらの言語も年齢相応の深さに届かない、いわゆるダブルリミテッドの心配は実際に語られてきました。考える言葉の土台が育っているほど、新しい言語もその上に積み上がりやすくなります。まず今週やるとしたら、日本語の本を読む時間を、英語より先にカレンダーへ書き込むことです。
7. 学校見学で聞く「質問リスト」を作る
最後の1つは、お子さんではなく保護者の準備です。英語ゼロの子に学校が何をしてくれるかは、結局のところ聞かなければ分かりません。EALの担当は専任か兼任か。取り出し指導は週に何回で、いつまで受けられるか。課題は個別に調整されるか。答えの内容より、具体的に答えられるかどうかが体制の厚みを映します。今日からできる最小の一歩は、この質問をメモに保存しておくことです。
どこで英語を伸ばすか——4つの選択肢を同じ観点で比べる
7つの準備を、どの場でやるか。手段は大きく4つです。すべてに丸がつく選択肢はありません。費用も方針も幅が大きいので、下の表は一般的な傾向として見てください。

| 観点 | 英会話教室(通学) | おうち英語(家庭中心) | オンライン少人数クラス | 学校のEALサポート |
|---|---|---|---|---|
| 始めやすさ・手軽さ | ○ | ○ | ○ | × |
| 費用のやさしさ | △ | ○ | △ | ○ |
| 発言・アウトプットの量 | △ | × | ○ | ○ |
| 学校の授業に直結する度合い | × | △ | △ | ○ |
学校のEALサポートは授業に直結しますが、入学後にしか使えず、入学前の半年〜1年を埋められません。おうち英語は費用がやさしく毎日続く一方、発言の回数は自然には増えません。だから多くのご家庭は、おうち英語を土台に、発言の回数だけを別の手段で足す組み合わせに落ち着きます。
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入学までの半年〜1年、英語準備をどう配分するか
期間が半年でも1年でも、順番は変わりません。最初にやるのは教材選びではなく、いまの位置を測ることです。測っていないと、不安だけが増えていきます。

STEP 1は、いまの位置を測ること。アルファベットの音が言えるか、知っている単語はどれくらいか、英語で一言返せるか。スマートフォンで1分だけ動画を撮っておくと、3か月後に比べられます。STEP 2は、週の型を1つだけ決めること。毎日15分の音源、週2回のオンラインクラス、寝る前の絵本。増やしたくなりますが、続かない設計にしないほうが大事です。STEP 3は、3か月ごとに見直すこと。半年〜1年あれば、途中で一度組み替える余裕は十分にあります。
よくある質問
何歳から始めれば間に合いますか?
「何歳までに始めないと手遅れ」という線は、はっきりとは引けません。年齢が低いほど音の習得は楽になる一方、年齢が高い子は文字や文法の理解が早く、学習言語に届くのがむしろ速いこともあります。大切なのは開始年齢よりも、確保できる時間の総量です。開始年齢そのものについては子どもの英語は何歳から始めるべきかで詳しく整理しています。
英語ゼロだと、授業についていけませんか?
学校のEAL体制と、入る学年によります。低学年で厚いEALがある学校なら、英語ゼロからの入学は珍しくありません。一方、学年が上がるほど言語の負荷と学習の負荷が同時にかかります。体制の中身を各校に直接確認することが最初の一歩です。
親が英語を話せなくても大丈夫でしょうか?
保護者が英語を教える必要はありません。ご家庭の役割は、英語に触れる時間を生活に組み込むこと、続く形を守ること、お子さんの母語と気持ちを支えることです。発音を直す役も会話の相手役も、外部に任せてかまいません。
英語を増やすと、日本語が遅れませんか?
時間は有限なので、英語に寄せれば日本語の時間は減ります。だから6番目に、母語の土台を守る設計を入れました。英語の時間を足すときは、日本語の読書や対話の時間も同時に予定へ入れておいてください。
英語がゼロでも、スタートラインには立てます
「英語ができないのに、この子を連れて行っていいのだろうか」。その問いは、お子さんを大切に思っているからこそ出てくるものです。ただ、世界中のインターナショナルスクールには毎年、英語ゼロで入ってくる子がいます。それは想定された入り口です。準備は、その入り口を少しなだらかにするためのもので、入る資格を得るためのものではありません。
NIJIN GLOBAL ACADEMYは、2027年9月に開校予定のオンライン国際学校です。加えて、2027年春(4〜5月)に体験クラスとしてのプレ開校を準備しています。少人数で発言の回数を確保する学び方や、1期生募集の情報は、メールで先にお届けします。今日は何も決めなくて大丈夫です。半年後、お子さんが英語で一言返せるようになっていたら、それだけで十分な前進です。


