「教育移住」を調べれば調べるほど、現実の壁が見えてきた——仕事、ビザ、住まい、きょうだいの年齢差、親の介護、そして帰国後の進路と日本語。教育移住をしないという結論に傾いているご家庭は、決して少数派ではありません。先に結論をお伝えします。移住を見送っても、お子さんに国際的な学びを届けることはあきらめなくて大丈夫です。目的が「世界とつながる学び」なら、手段は移住だけではないからです。この記事では、移住に踏み切れない理由を出典つきで正直に整理したうえで、引っ越さずにオンラインで世界とつながる「第三の選択肢」をご紹介します。移住を選んだご家庭を否定する記事ではありません。どちらも、お子さんを思う立派な決断です。
この記事でわかること
- 教育移住をしない・見送るご家庭の、現実的な5つの事情(仕事とビザ/費用/家族/帰国後の進路/日本語)
- 移住しないと決めたあと、英会話や英語学童では物足りなくなる理由
- 引っ越さずに日本の学校へ「世界」を足す、ダブルスクールという第三の道
- 移住しない国際教育を、今日から始めるための3ステップ

教育移住を「しない」と決める家庭が、本当に引っかかっていること
教育移住が難しいのは、多くの場合「子どもの教育の話」ではなく「大人の暮らしの話」だからです。子どもにとって良さそうだとわかっていても、家族全体の生活を動かすとなると、話は一気に複雑になります。よく語られるのは、次の5つです。
1. 仕事とビザ。会社の海外赴任に伴う移住ですら、帯同する側のキャリアは大きな影響を受けます。駐在ファミリーサポート協会が2025年に実施した駐在員配偶者アンケート(回答54名)では、帯同にあたり72.2%が退職し、帯同休職制度を使えた人は16.7%にとどまりました。マーサージャパンが2023年に発表した調査でも、配偶者の海外赴任に帯同するための休職制度がある企業は約37%、復職・再雇用制度があるのは約30%です。まして、会社都合ではない「自主的な教育移住」では、そもそも現地で働けないことが少なくありません。たとえばマレーシアの学生ビザに紐づく保護者(ガーディアン)ビザは就労不可・1年ごとの更新が原則で、長期滞在ビザのMM2Hも2024年6月の改定でシルバーランクでも定期預金15万米ドル(約2,250万円・2026年時点、最新は要確認)と不動産購入が求められるようになりました。共働きで住宅ローンを抱えるご家庭にとって、これは「気持ちの問題」ではなく計算の問題です。
2. 費用。教育移住の費用は学費だけでは終わりません。マレーシアに母子で移った方の公開記録では、初期費用が約105万円、月々の生活費が親子2人で約25万円(家賃約13万円・クアラルンプール中心部、2022年時点の実例)。ここに年間約34万〜449万円(中央値およそ88万円・全土110校のYear1調査/2026年時点・最新は要確認)の学費が乗ります(出典:Go for it マレーシア 学費ランキング2026)。国内の対面インターナショナルスクールも年間おおよそ約200万〜345万円(2026年時点・最新は要確認)が目安(出典:エグシス「国内トップ14校インターナショナルスクールの学費まとめ 2025–26年度版」ほか各校公開情報)です。詳しくはインター学費データベースもご覧ください。
3. 家族それぞれの事情。きょうだいの年齢差は、想像以上に大きな壁になります。上のお子さんが中学3年、下のお子さんが小学1年なら、「移るのに最適なタイミング」は永遠に一致しません。さらに、親世代の介護も現実です。総務省の令和4年就業構造基本調査では、介護をしながら働く人は約365万人、介護を理由に離職した人は年間約10.6万人にのぼります。「今、日本を離れられない」という判断は、決して後ろ向きなものではありません。
4. 帰国後の進路。意外と知られていないのが、帰国生入試の出願資格です。多くの学校が「保護者の海外勤務に伴う海外在留」を前提としており、子ども本人や保護者の希望による留学・母子留学は対象外となる場合があります。学校ごとに条件が大きく異なるため、「移住すれば帰国生枠が使える」と考えるのは危険です。必ず志望校の募集要項でご確認ください。
5. 日本語とアイデンティティ。英語環境に入るほど、日本語の読み書きや日本の歴史・文化の学びは手薄になりがちです。だからこそ海外では、日本人学校(世界94校・約1.6万人)に加え、土曜日や放課後に日本語で学ぶ補習授業校が242校・約2.1万人という規模で運営されています(令和6年4月15日現在・文部科学省)。移住とは、日本語を「守る努力」とセットで始まるものなのです。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)。
教育移住そのものの全体像(人気の国・費用・後悔しないコツ)は、教育移住とは?完全ガイドで詳しくまとめています。移住する可能性を残しているなら、あわせてお読みください。

「移住しない」と決めたあと、手元に残る選択肢が物足りない理由
移住を見送ったご家庭が次に検討するのは、たいてい国内で完結する方法です。それぞれに良さがありますが、「教育移住で得たかったもの」と比べると、どうしても足りない部分が出てきます。
オンライン英会話・英語教室は、手軽に始められて発話量も確保できます。ただし本質は「英語を学ぶ」時間であって、「英語で学ぶ」時間ではありません。教育移住を考えた方が本当に求めていたのは、算数や理科や社会を英語で考え、世界の同年代と議論する経験のはずです。この違いは、続けるほど大きくなります。
英語学童・プリスクールは未就学児や低学年が中心で、学年が上がるほど選択肢が細ります。国内の対面インターナショナルスクールはフルタイムで国際教育を受けられる一方、多くは学校教育法第1条に定める学校(一条校)ではないため、文部科学省は「いわゆるインターナショナルスクールなどへの就学は就学義務を履行していることにはならない」と明示しています。就学義務との関係はインターと就学義務の解説で整理しています。加えて、通学圏に学校がなければそもそも選べません。費用面の考え方はインター学費が高いと感じたときの選択肢もご参照ください。
つまり——移住しないと決めた瞬間、「英語に触れる」か「暮らしごと変える」かの両極端しか残らないように見えてしまう。ここに、多くのご家庭が行き詰まる原因があります。
第三の選択肢:引っ越さずに、日本の学校へ「世界」を足す
ここで視点をひとつ広げてみてください。移住のゴールが「子どもに国際的な学びを届けること」なら、その学びをオンラインで家に届けるという道があります。私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月開校予定のオンライン・インターナショナルスクールで、日本の学校に籍を残したまま、放課後や週末に世界とつながる学びを「足す」ダブルスクールという形を大切にしています。
この形なら、就学義務は日本の学校でクリアしたまま、進学ルートも友だち関係もそのままです。教育移住で最も重くのしかかる「仕事を辞める」「家を手放す」「きょうだいの学年を合わせる」という判断が、そもそも必要ありません。学ぶ内容は英会話ではなく英語で教科を学ぶ本物のインター型。順位や偏差値で競わせず、少人数の対話を通じて「自分と世界を、好きになる」ことを目指します。学費は対面インターの約5分の1を目標としています(開校前のため具体額は非公開です)。運営は日本の株式会社NIJIN。オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には800名以上が在籍していますが、NGA自体はまだ開校前で、実績はこれからです。そこは正直にお伝えします。
そしてもう一点。これは移住を否定する選択肢ではありません。将来もし海外や地方へ移ることになっても、オンラインなら引っ越しても学びが途切れない。「今は動かない」を選んでも、「いつか動く」を選んでも、どちらでも使える——それがこの選択肢のいちばんの強みです。


移住しない国際教育の、始め方3ステップ
いきなり大きく変える必要はありません。移住という選択肢を保留にしたまま、小さく試して、続くかどうかを確かめる。この順番なら、家計も生活リズムも壊さずに進められます。
大切なのは、「移住しない=あきらめる」ではないと家族の中で言葉にしておくことです。目的(英語力なのか、自己肯定感なのか、世界の友だちなのか)が決まっていれば、手段は後からいくらでも選び直せます。逆に目的が曖昧なまま移住してしまうと、現地で「思っていたのと違う」となりやすい——これは移住を経験した方々が共通して語ることでもあります。

※費用・制度は2026年7月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
よくある質問
Q. 教育移住をしないと、子どもの英語は本物になりませんか?
A. 「生活まるごと英語」という環境の強さは事実で、そこはオンラインでは再現しきれません。ただし、英語で教科を学び、英語で考えを伝え合う経験は、住む場所を変えなくても積み重ねられます。一方で「バイリンガルはすぐに完成する」という話は現実的ではありません。移住しても、しなくても、言語が育つには年数がかかります。だからこそ、無理なく続けられる形を選ぶことが結果的にいちばんの近道です。
Q. 日本の学校に通いながらで、就学義務は大丈夫ですか?
A. はい。NGAは日本の学校を辞めて通うものではなく、日本の学校に在籍したまま併用するダブルスクールです。就学義務は在籍している日本の学校で履行され、進学ルートもそのまま。日本の学校の良さを手放さずに、そこへ国際教育を「足す」形になります。
Q. 学校の宿題や習い事と両立できますか?費用も気になります。
A. 放課後や週末の時間に組み込む前提で設計しているため、毎日フルタイムで拘束されることはありません。ご家庭のペースに合わせて頻度を選べるようにしています。費用は対面インターの約5分の1を目指していますが、開校前のため具体額は非公開です。決まり次第最新情報でご案内します。
「動かない」という決断も、子どもの未来のための決断です
教育移住を見送ったことに、うしろめたさを感じる必要はまったくありません。仕事を守ること、家族の暮らしを守ること、親御さんのそばにいること——それらはすべて、お子さんの土台を守ることでもあります。住む場所を変えられなくても、お子さんが出会う人、触れる言葉、考える問いは、今日から変えられます。日本の学校の良さを大切にしながら、そこに世界を少しずつ「足していく」。あなたとお子さんに合ったペースで、その一歩を選んでいきましょう。


