「静岡県 インターナショナルスクール」と検索して、思ったより情報が出てこないと感じていませんか。東京や横浜のような大手インターの名前は並ばないし、出てくるのは英会話教室ばかり——そんな戸惑いは、静岡県で学校を探すご家庭がほぼ全員通る道です。この記事では、静岡県内で実際に確認できるインターナショナルスクール・英語イマージョン校・プリスクール・外国人学校を東部/中部/西部のエリア別に整理し、公開されている学費、そして「県内が東西に長くて通えない」という現実まで正直にお伝えします。読み終えたとき、わが家がどのエリアの何を検討すべきかがはっきりしているはずです。

静岡県のインターナショナルスクール事情と学費相場
まず結論からお伝えします。静岡県には、東京や横浜にあるような「年間200万〜300万円台の大手英語圏インターナショナルスクール(幼稚部から高校まで一貫)」は、2026年7月時点で確認できません。そのかわり静岡県には、性格の異なる4つのタイプの学びが存在しています。
ひとつ目は一条校の英語イマージョン・国際バカロレア(IB)課程。沼津市の加藤学園がその代表で、日本の学校でありながら授業の多くを英語で行います。ふたつ目はクリスチャンスクール。掛川市のKakegawa International Christian Schoolが、幼児から高校年代までを英語カリキュラムで受け入れています。三つ目はプリスクール(未就学児中心の英語保育)。静岡市・浜松市・沼津市・三島市・富士市などに点在しています。そして四つ目が、静岡県ならではのブラジル・ペルー系の外国人学校です。
この4類型が並んでいる背景には、静岡県が全国有数の「外国人が暮らす県」であることがあります。静岡県国際交流協会(SIR)のまとめによると、県内の在留外国人は2024年末時点で124,281人と過去最高を更新し、前年から8,639人(7.5%)増えました。国籍別ではブラジルが32,151人で最多、次いでフィリピン20,737人、ベトナム20,277人と続きます。市町別では浜松市が31,210人で県全体の約25%を占め、静岡市14,169人、磐田市10,295人、富士市7,851人、袋井市6,177人が続きます。輸送用機器や楽器をはじめとする製造業が集積し、そこで働く外国人労働者とその家族が長く暮らしてきた——これが静岡県の国際教育の土台になっています。
学費の相場感も、この構造を反映しています。公開情報をもとにすると、加藤学園暁秀中学校・高等学校のバイリンガルコースはおおむね年間90万〜110万円台、Kakegawa International Christian Schoolは年間50万〜60万円台が目安です(詳細は後述)。首都圏の大手インターと比べればかなり抑えられますが、公立に通う場合と比べれば相応の負担であることに変わりはありません。学費の内訳をもっと詳しく知りたい方はインターナショナルスクールの学費内訳の記事もあわせてご覧ください。
そしてもう一つ、静岡県で必ず押さえておきたいのが距離です。県の東端(熱海)から西端(湖西・新居)まではJR東海道本線でおよそ150km。東京駅から静岡駅までの距離とほぼ同じスケールです。つまり「静岡県内にある」=「通える」ではありません。浜松に住む家庭にとって沼津の加藤学園は現実的な通学先ではなく、逆もまた同じ。静岡県の学校選びは、県単位ではなく東部・中部・西部という3つの生活圏単位で考える必要があります。

静岡県のインターナショナルスクール一覧【エリア別】
ここからは、静岡県内で公式サイトや自治体の公開情報から実在を確認できた学校を、エリア別にご紹介します。全国47都道府県の状況を横並びで見たい方は全国47都道府県のインターナショナルスクール一覧もご覧ください。
東部エリア(沼津市・三島市・富士市・長泉町)
静岡県の国際教育を語るうえで、最初に名前が挙がるのが沼津市の加藤学園です。ここは「静岡県で唯一」というより「日本で最初」の実績を持つ学校です。
- 加藤学園暁秀初等学校(沼津市大岡)|1972年に日本初のオープンプランスクールとして開校し、1992年には日本で初めて英語イマージョン・プログラムを導入した私立小学校です。1学年に「オープンプランコース」と「英語イマージョンコース」の2コースがあり、イマージョンコースでは学校生活の50%以上を英語で過ごします。日本の小学校(一条校)なので、義務教育としての在籍が認められる点も安心材料です。学費は「イマージョン維持費」が月額30,000円かかるほか、授業料等は学校へ要問い合わせ。
- 加藤学園暁秀中学校・高等学校 バイリンガルコース(沼津市)|国際バカロレアのMYP(中等教育プログラム)を2000年に、DP(ディプロマプログラム)を2002年に、いずれも学校教育法上の一条校として日本で初めて認定された学校です。英語で行う授業の割合は中学で約45〜55%、高校で約75%。IBディプロマは国内外の主要大学への出願資格として使えるため、「日本の高校卒業資格+国際資格」の両方を狙える設計になっています。公開されている学費情報では、入学時手続金の合計が155,000円、授業料等が月額49,500円、バイリンガルコースはこれに「二カ国語維持費」月額30,000円が加わります(年額の目安は約95万円前後)。
- ステラ インターナショナルスクール(沼津市)|プリスクール(幼稚園タイプコース)を中心に、1歳から大人まで幅広いコースを持つ英語スクールです。全日制の学校ではないため、幼児期の英語環境づくりや、放課後の継続学習として検討する形になります。学費は要問い合わせ。
- しらゆりインターナショナル・プリスクール(三島市)|1歳児から受け入れ、アフタースクール、サマースクール、英語学童など未就学児と小学生向けのプログラムを展開しています。学費は要問い合わせ。
- PASS Global(長泉町・清水町・三島市・沼津市・富士市・富士宮市)|東部の複数拠点で未就園児向けのインターナショナルプリスクールクラスを開講しています。東部は拠点が分散しているぶん、自宅から通いやすい教室を選びやすいのが利点です。
- GSISプリスクール(Good Shepherd International School)(富士市)|富士市で唯一、英語環境で子どもを預かる認可外保育施設と紹介されています。園長や外国人講師が海外のインターナショナルスクール出身で、モンテッソーリのアプローチとイマージョン教育を基本としています。学費は要問い合わせ。
東部エリアの強みは明確です。幼児から高校まで英語で学び続けられる道筋が、県内で唯一きちんとつながっているのが沼津・三島圏です。三島から新幹線を使えば東京へ約45分という立地もあり、首都圏のインターへの越境通学を検討する家庭も一定数います。
中部エリア(静岡市)
県庁所在地である静岡市には、意外にも小中高まで通える全日制インターナショナルスクールが2026年7月時点で確認できません。現在あるのは未就学児中心のプリスクールです。
- Alphabet Soup(アルファベットスープ)(静岡市葵区上石町)|2002年から静岡市内で子どもたちに英語を教えてきたスクールで、2013年4月にインターナショナルプリスクールを開校しました。ネイティブ講師とすべて英語で過ごす環境が特徴です。学費は要問い合わせ。
- MEKイングリッシュ・プリスクール(静岡市葵区・駿河区・清水区の一部)|静岡市内でプリスクールと英語教育を提供しています。学費は要問い合わせ。
ただし、静岡市の状況はこれから大きく変わる可能性があります。静岡市は2023年11月の静岡商工会議所からの要望を受け、高度外国人材とその家族の受け入れ環境を整えるため、インターナショナルスクールの誘致を進めています。清水区にある静岡県果樹研究センターの跡地を用地とし、2025年10月17日に設置・運営事業者の公募型プロポーザルを公表。募集要項では、幼児期から高校年代までの幅広い年代を対象とし、授業は主に英語で行い、開校時または一定期間内に国際バカロレア(IB)の認定を取得することが条件とされています。開校予定は2028年9月と報じられており、実現すれば静岡県中部で初めて、幼児から高校まで一貫して英語で学べる本格的なインターが誕生することになります。
とはいえ、いま小学生・中学生のお子さんがいるご家庭にとって、2028年9月は「間に合わない未来」かもしれません。だからこそ静岡市の家庭は、今この瞬間の選択肢を別に持っておく必要があります。
西部エリア(浜松市・掛川市・磐田市)
県内最大の外国人人口を抱える西部は、選択肢の「種類」がもっとも豊かなエリアです。
- Kakegawa International Christian School(KICS)(掛川市細谷)|2008年設立のクリスチャンスクールで、静岡県内では数少ない「K4(幼児)から高校年代まで」を英語カリキュラムで受け入れる学校です。英語カリキュラムは米国の私立学校で広く使われるBJU(Bob Jones University)を採用し、日本語のプログラムやバイリンガルのコースも選べます。2008年からACSI(Association of Christian Schools International)の加盟校。公開されている料金表(2022年時点)では、願書料11,000円(初回のみ)、入学金44,000円(幼稚部・幼稚園部のみ)、授業料が年間495,000円、教材費が年間33,000円、施設費が年間22,000円で、年間の目安はおよそ55万円。第2子・第3子には年49,500円の割引があるとされています。数字は改定されている可能性が高いため、必ず公式サイトでご確認ください。
- ファーストラーニング浜松(浜松市中央区上島)|2023年3月に開園したインターナショナルプリスクール。1歳から就学前までを対象に、外国人講師と日本人講師のペアティーチングを行っています。学費は要問い合わせ。
- そらまめインターナショナルプリスクール&学童保育(浜松市)|0歳からの英語環境と、小学生向けの学童保育を組み合わせて提供しています。学費は要問い合わせ。
- ハグミー・インターナショナルスクール(浜松市中央区)|浜松市内のプリスクール。学費は要問い合わせ。
- Kids Duo 浜松中央・佐鳴台(浜松市)|やる気スイッチグループの英語学童・プリスクールで、音楽や工作、ゲームなどをすべて英語で行うプログラムです。幼稚園の後や放課後に最大6時間過ごせるため、共働き家庭の選択肢になります。
浜松の外国人学校——静岡県ならではの「もう一つの国際教育」
「インターナショナルスクール」という言葉で検索すると出てきませんが、静岡県西部の国際教育を語るうえで外せないのがブラジル・ペルー系の外国人学校です。浜松市の公式情報によると、市内には3校の外国人学校があります。
- 学校法人ムンド・デ・アレグリア学校(浜松市中央区雄踏町宇布見9611-1)|もともと在日ペルー人の子どもたちのために設立された学校で、2005年4月にブラジル人クラスを新設しました。学校法人格を持つ外国人学校として知られています。
- エスコーラ・アレグリア・デ・サベール浜松(浜松市中央区半田山2-24-3)|ブラジル教育省の認可を受け、幼稚部から高等部までを擁するブラジル人学校です。各種学校の法人格を持ちます。
- エスコーラ・アウカンセ(浜松市中央区富塚町3002-3)|浜松市内のブラジル人学校のひとつです。
浜松市国際課の資料によると、2025年4月1日現在の市内在留外国人は30,286人(総人口781,011人の3.9%)で、ブラジル国籍が9,505人と全国の市の中で最多。ベトナム4,958人、フィリピン4,715人、中国2,307人、インドネシア1,965人が続きます。これらの学校は「英語で学ぶインター」ではなくポルトガル語・スペイン語で母国のカリキュラムを学ぶ場ですが、母語と母国のアイデンティティを守りながら学ぶという点では、まぎれもなく国際教育の一形態です。英語圏インターを探している日本人家庭の直接の選択肢にはなりにくい一方、この存在こそが「静岡県の国際化は英語だけの物語ではない」ことを教えてくれます。
なお、検索結果に出てくる「静岡インターナショナルスクール」は外国人向けの日本語学校であり、子ども向けのインターナショナルスクールではありません。また、まとめサイトの中には静岡県内に「56校」といった数字を掲げるものもありますが、その多くは英会話教室や学習塾を含んだカウントです。実際に全日制で通える学校は、上に挙げたとおり限られています。
※学費・カリキュラム等は2026年7月時点の公開情報です。最新の内容は必ず各校の公式サイトでご確認ください。
比較でわかる、わが家に合う選び方
静岡県で悩むご家庭の質問は、だいたい3つに集約されます。「一条校の英語イマージョンで十分なのか」「県外の大手インターまで通わせるべきか」「今すぐ始められる選択肢は何か」。この3つを同じ土俵で比べてみましょう。

加藤学園やKICSのような県内の学校は、費用面でも通学面でも現実的です。とくに加藤学園は日本の高校卒業資格とIBディプロマの両方を得られるため、「海外進学も日本の大学も残しておきたい」家庭には強い選択肢になります。一方で、沼津・三島・掛川という立地は、静岡市西部や浜松市の家庭にとって毎日の通学圏ではありません。片道1時間半を超える通学は、お子さんの体力と家族の生活を確実に削ります。
横浜や名古屋の大手インターへ越境通学するという道もありますが、新幹線通学は費用も時間も相当な負担になります。参考として横浜のインターナショナルスクールや名古屋のインターナショナルスクールも見ておくと、越境の現実味を判断しやすくなるはずです。
大切なのは「入れる学校」ではなく「続けられる学び」を選ぶこと。年間の費用と往復の時間を12年分で見積もったときに、無理なく続く形かどうか。そこが分かれ道になります。

通える範囲に見つからないなら——オンラインという選択肢
静岡県の学校探しでいちばん多いつまずきは、「良さそうな学校は見つかったけれど、そこまで毎日通えない」です。浜松から沼津へ、静岡市から掛川へ、伊豆半島から三島へ——地図の上では同じ県でも、生活としては別の場所です。この距離の壁は、家庭の努力ではどうにもなりません。
そこで検討していただきたいのが、通学を前提としない学びです。私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校するオンライン・インターナショナルスクールです。運営は日本の株式会社NIJIN。日本国内で運営するオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には、すでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。
NGAが大切にしているのは、テストの点数で子どもを並べない「脱偏差値」の考え方と、少人数の対話を中心にした学びです。掲げているのは「自分と世界を、好きになる」。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳で、住む場所を選びません。学費は対面のインターナショナルスクールのおよそ5分の1を目指しています。また、いきなり全部が英語になるのではなく、日本語の支えを前提にしながら少しずつ英語に触れていける設計です。日本語も英語も、どちらかを捨てなくていい——静岡県のように「近くに選択肢がない」地域のご家庭にこそ、この設計が届いてほしいと思っています。
正直な注意点もお伝えします。NGAはまだ開校前で、卒業生の進路実績はこれからです。そしてオンラインである以上、校庭で走り回る体験や、放課後に友だちと寄り道する時間は、対面の学校と同じようには提供できません。そこを重視されるご家庭には、県内の学校のほうが合っているはずです。それでも「通えないから諦める」を「通わなくても続けられる」に変えられるなら、検討する価値はあると思っています。
よくある質問
Q. 静岡県内なら、どこに住んでいても通えますか?
いいえ、県内全域から通える学校はありません。静岡県は東端の熱海から西端の湖西・新居までJR東海道本線でおよそ150km——東京から静岡市までとほぼ同じ距離があります。全日制の学校は沼津市(加藤学園)と掛川市(KICS)に集中しているため、浜松市や伊豆半島の南部から毎日通うのは現実的ではありません。まずはご自宅から片道どのくらいまでなら12年間続けられるかを決め、その円の中にある選択肢から検討することをおすすめします。
Q. 近隣県のインターナショナルスクールに通うことはできますか?
可能ですが、負担は正直に見積もってください。三島・沼津エリアからは新幹線で東京方面へ、浜松エリアからは名古屋方面へのアクセスがあり、実際に越境通学している家庭もあります。ただし新幹線定期の費用は年間で数十万円規模になり、小学生の一人通学には保護者の付き添いや送迎が必要になるケースがほとんどです。中高生になってから越境に切り替える、という段階的な設計を取る家庭も少なくありません。
Q. 英語がまったくできなくても入れますか?日本語のサポートはありますか?
プリスクールや幼稚部からの入園であれば、英語がゼロでも受け入れている園がほとんどです。一方、小学校高学年以降の編入では英語力の審査があるのが一般的で、学校ごとに基準が異なります。加藤学園のように日本の一条校であれば、国語をはじめとする日本語での学びが正規のカリキュラムに含まれるため、日本語力が落ちる心配は比較的小さいと言えます。逆に、外国ルーツのご家庭で「子どもの日本語が心配」という場合は、姉妹サービスのともだちじゃぱん(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。
静岡県だから、選べないわけじゃない
「東京や横浜だったら選べたのに」——静岡県で学校を探していると、そう思う瞬間があるかもしれません。でも静岡県には、日本で最初に英語イマージョンを始めた学校があり、日本で最初にIBのMYPとDPを一条校として取得した学校があります。ポルトガル語で母国のカリキュラムを学ぶ子どもたちが暮らす街もあります。選択肢が少ないのではなく、他の県とは違う形をしているだけです。
そして2028年には、静岡市に新しいインターナショナルスクールが生まれようとしています。県は変わりつつあります。ただ、お子さんの「今」は待ってくれません。だからこそ、県内の学校、越境、オンライン——3つを同じテーブルに並べて、ご家族が無理なく続けられる形を選んでください。どの道を選んでも、お子さんが自分と世界を好きになれるなら、それが正解です。


