「高校からインターナショナルスクールに入れたら、うちの子の世界はもっと広がるだろうか」——そう考えてはみたものの、調べるほどに不安が増していく。学費、英語力、そして何より「日本の大学を受けられなくなるのでは」という一点。先に結論をお伝えします。高校段階のインターは大きく3タイプあり、選択の分かれ目は「大学入学資格をどう確保するか」です。一条校(学校教育法第一条に定める学校)のインターコースやIB認定校なら日本の高校卒業資格がそのまま手に入り、非一条校のインターは原則として日本の高校卒業扱いになりませんが、国際的な評価団体の認定や国際バカロレアなどで大学入学資格が認められる道が用意されています。そして三つめが、日本の高校に籍を置いたままオンラインで国際教育を足す併用型です。この記事では文部科学省の一次情報をもとに、資格・費用・英語の3点をまっすぐ整理します。
この記事でわかること
- 高校段階のインターは3タイプ。それぞれの「日本の高校卒業資格」の扱い
- 非一条校でも大学入学資格が認められる3つのルート(文科省の一次情報)
- 高等学校等就学支援金が使えるか/使えないかの分かれ目
- 日本の高校を辞めずに国際教育を足す「第三の道」の現実的な設計

インターナショナルスクールの高校は3タイプ。分かれ目は大学入学資格
同じ「インターナショナルスクール」という言葉でも、高校段階では法的な位置づけがまったく違う3つのタイプが混在しています。ここを分けずに学校見学だけを重ねると、判断の軸が最後まで定まりません。
タイプ1・一条校のインターコース/IB認定校。日本の学校教育法上の高等学校でありながら、英語で教科を学ぶコースや国際バカロレア(IB)のディプロマプログラム(DP)を置いている学校です。文部科学省IB教育推進コンソーシアムによれば、一条校のIB認定校は95校、うちDP認定校は50校(日本語DP実施校37校を含む/令和8年6月30日現在・プログラム単位の校数)とされています(文部科学省IB教育推進コンソーシアム)。つまり日本の高校卒業資格と国際的な学びを両立できる道は、制度として確かに存在します。ただし数は限られ、通学圏に無いご家庭のほうが多いのが現実です。
タイプ2・非一条校のインターナショナルスクール。いわゆる各種学校などの位置づけで、英語で12年間の課程を学べる一方、卒業しても自動的に日本の高校を卒業した扱いにはなりません。ここが高校段階で最大の論点になります。
タイプ3・オンライン併用(ダブルスクール)。日本の高校に在籍したまま、放課後や週末にオンラインで英語による教科学習を足す形です。資格のリスクを負わずに国際教育を重ねられるのが特徴で、詳しい仕組みはダブルスクールの完全ガイドにまとめています。

非一条校でも大学入学資格は取れる。文部科学省が示す3つのルート
ここがこの記事のいちばん大事なところです。文部科学省の「大学入学資格について」には、大学入学資格が認められる場合が列挙されています(文部科学省・大学入学資格について)。高校段階のご家庭に関係するのは、主に次の整理です。
大前提として、一条校の高等学校または中等教育学校を卒業した者には、当然に大学入学資格があります。一方、非一条校のインターナショナルスクールは原則としてこれに当たりません。そのうえで、同ページは非一条校ルートの生徒にも道を用意しています。
ルートA・国際的な評価団体の認定を受けた教育施設の12年の課程を修了する。同ページはWASC、CIS、ACSI、NEASC、Cognia、COBISといった団体名を挙げ、さらにCISの旧名称であるECISの認定を受けた外国人学校の12年の課程を修了した者についても入学資格が認められる旨を記しています。志望校がどの団体の認定を、どの範囲で受けているかを必ず学校に確認してください。
ルートB・国際的な大学入学資格を取得する。国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCE Aレベル、国際Aレベル、欧州バカロレア資格の保有者が挙げられています。IBやIGCSEをオンラインで目指す場合の条件はIB・IGCSEをオンラインで取得できるかの整理で詳しく扱っています。
ルートC・高等学校卒業程度認定試験(高認・旧大検)に合格する。同ページに合格者が明記されています。非一条校に通いながら高認で資格を確保するご家庭は実際にあります。
ただし、これらの要件は細かく、年齢要件や課程年数など条件が付くものもあります。そして最終的に受験を認めるかどうかを判断するのは各大学です。この記事の記述を根拠にせず、必ず志望大学の募集要項で個別入学資格審査の有無を含めてご確認ください。高校1年の段階で1校でも問い合わせておくと、その後の選択が驚くほど楽になります。
もうひとつの現実。学費と高等学校等就学支援金の対象になるか
資格の次に効いてくるのがお金です。ここも制度の線引きがはっきりしています。
高等学校等就学支援金は、令和8年度(2026年度)から所得制限が撤廃され、私立高校の支給上限は年額45万7,200円に拡大されました(文部科学省・高等学校等就学支援金制度に関するQ&A)。対象は国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、高等専門学校1〜3学年、専修学校高等課程などの「高等学校等」です。各種学校である非一条校のインターナショナルスクールは、原則としてこの枠の外にあります。ただし例外があり、文部科学大臣が指定した外国人学校等の一覧が公表されています(高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧)。制度改正にともなう経過措置もあるため、志望校が対象かどうかは学校と都道府県の担当窓口の両方で確認するのが確実です。
支援金の外側にいるかどうかは、家計に直結します。文部科学省の令和5年度子供の学習費調査(訂正版)では、高等学校(全日制)の1年間の学習費総額は公立で約59万7,000円、私立で約117万9,000円でした(文部科学省・子供の学習費調査)。対して対面のインターナショナルスクールは、各校公式の学費ページを集計すると高校段階で年間200万円台に届く学校が珍しくありません(学校別の実額はインターナショナルスクール学費データベースにまとめています)。資格のリスクと費用の負担が、同じ選択肢に同時にのしかかる——これが高校からインターを検討したご家庭が立ち止まる、いちばん多い場所です。
だからといって、対面のインターが悪いわけではありません。毎日を英語の環境で過ごせること、多国籍の友人ができること、施設や課外活動の厚みは、オンラインでは代わりにならない価値です。問題は「その価値を得るために、日本の進路をいったん手放す覚悟が要る」という構造のほうにあります。
第三の道は、日本の高校を辞めないまま国際教育を足すこと
ここで視点を変えてみてください。インターに「入る」か「入らない」かの二択ではなく、日本の高校に籍を置いたまま英語で教科を学ぶ時間を足す、という設計があります。これがダブルスクール、つまり併用型です。
この形の最大の利点は、資格のリスクをまったく負わないことです。卒業資格も大学入学資格も、これまでどおり在籍している日本の高校が担保します。就学支援金も、在籍校が対象であれば従来どおり。そのうえで、放課後や週末に「英語で数学や理科や社会を考える」時間を重ねていく。英会話が英語を学ぶ時間であるのに対し、こちらは英語で学ぶ時間です。この差は、数年後の英語力の質にはっきり表れます。
私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校するオンラインのインターナショナルスクールです。運営は株式会社NIJIN。日本のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には900名以上が在籍しています。順位をつけない脱偏差値の考え方と、少人数の対話を中心にした授業を、日本語の支えを前提に少しずつ英語へ移していく形で設計しています。学費は対面のインターの約5分の1を目指しています。まだ開校前で、卒業生の実績はこれからです。そこは正直にお伝えします。
そして、ここは高校段階で特に大切な注意点です。NGA単独で日本の高校の代わりにはなりません。あくまで併用型であり、お子さんの籍は日本の高校に残したままです。日本の高校卒業資格そのものは、在籍している学校が発行します。この前提を外して考えると、進路設計が崩れてしまいます。


高校でインターを検討するときの、現実的な3ステップ
STEP1・出口から確認する。学校選びより先に、志望する大学の募集要項で入学資格の記載を読んでください。国内大学の一般選抜、総合型選抜、国際バカロレア入試、海外大学——どこを見ているかで必要な資格が変わります。非一条校を検討するなら、個別の入学資格審査があるかどうかを大学に直接問い合わせるのが最短です。
STEP2・3タイプを同じ表に並べる。学校ごとのパンフレットを比べるのではなく、「大学入学資格」「就学支援金の対象か」「英語で教科を学べるか」「年間費用」「通学の負担」の5行で3タイプを横並びにします。比べる軸をそろえるだけで、迷いの半分は消えます。
STEP3・辞めずに足せる部分から始める。高校は3年しかありません。転校の判断には時間がかかりますが、英語で教科を学ぶ時間を週に数コマ足すことは、来月からでも始められます。もし小学生や中学生のごきょうだいがいるなら、より早い段階からの積み方は小学生のオンラインインターの記事が参考になります。

※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
よくある質問
Q. 非一条校のインターを卒業したら、日本の大学は受けられないのですか?
受けられないと決まっているわけではありません。文部科学省は、国際的な評価団体の認定を受けた教育施設の12年の課程の修了、国際バカロレアなどの国際的な大学入学資格の保有、高等学校卒業程度認定試験の合格といった場合に大学入学資格が認められるとしています。ただし要件は細かく、最終的な判断は各大学です。志望校の募集要項と、必要なら個別入学資格審査の有無を必ず確認してください。「たぶん大丈夫」で進めていい話ではありません。
Q. 高校からでも英語は間に合いますか?
正直に申し上げると、英語で教科を理解して自分の意見を書けるレベルは、数年単位で育つものです。高校3年間で全部を仕上げようとすると、どうしても無理が出ます。ただ、間に合うかどうかは「いつ実を結ばせたいか」で変わります。大学以降に英語で学ぶ環境へ出ていくことを目標にするなら、高校からでも十分に射程内です。英会話だけを続けるのではなく、英語で教科を扱う時間を確保できるかが分かれ目になります。
Q. 日本の高校と併用すると、負担が重すぎませんか?
ここは正直にお伝えします。部活や受験勉強と重なる時期は、確実に時間の取り合いになります。だからこそ、毎日ではなく週に数コマから始めて、お子さんの様子を見ながら調整するのが現実的です。併用の強みは量ではなく、日本の進路を保ったまま選択肢を捨てずにいられることにあります。無理に詰め込むと、その強みごと失われてしまいます。
Q. 就学支援金は、オンラインで併用しても受け取れますか?
就学支援金は在籍している「高等学校等」に対する制度です。お子さんが日本の高校に在籍したままであれば、その高校が対象校である限り、これまでどおりの扱いになります。オンラインの併用先そのものが支援金の対象になるわけではありません。ここも混同しやすい点なので、在籍校または都道府県の担当窓口にご確認ください。
選択肢を捨てないことが、高校3年間でいちばん強い準備になります
ここまで読んで、思ったより制度が複雑だと感じられたかもしれません。その感覚は正しいです。高校段階のインターは、学校の雰囲気やカリキュラムの前に、まず資格と費用という2つの現実を通過しなければならない。それを知らずに走り出すと、3年生の秋に取り返しのつかない壁にぶつかることがあります。
でも、だからこそお伝えしたいことがあります。日本の高校で積み上げてきたものを手放さずに、世界を足していく道があります。友だちも、行事も、日本語で考える力も、そのまま残したままで。加えて、英語で教科を考える時間を重ねていく。どちらかを選ぶのではなく、両方を持っておく。ダブルスクールという選び方は、迷っているご家庭にとってもっとも損の少ない設計だと私たちは考えています。
高校生になったお子さんは、もう自分で決められる年齢です。親にできるのは、決められる材料と、選べる状態を用意しておくこと。その一歩を探しているなら、開校に向けた準備の様子をのぞいてみてください。
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