英語学童のパンフレットを開いて、月謝の数字でそっと閉じた——そんな経験はありませんか。先に結論をお伝えします。英語学童の費用は、公的な学童(放課後児童クラブ)と比べると月あたりでおよそ10倍前後になることがあります。ただし、それは「高すぎる」という意味ではありません。預かりと英語をひとつにまとめたサービスなのですから、値段が上がるのは当然です。本当に見るべきなのは月額そのものではなく、「公的学童との差額を、英語の中身の時間で割った1時間あたり単価」と、「入会金や実費まで含めた1年あたり総額」の2つです。この記事では、こども家庭庁の最新調査と、公式サイトで金額を公開している事業者の実データだけを使って、その2つを実際に計算します。
この記事でわかること
- 公的学童(放課後児童クラブ)の月額利用料の実際の分布(こども家庭庁の一次データ)
- 英語学童の料金の実際(公式サイトに金額が出ているものだけ)と、公開していない事業者の見積もり方
- 月額を「1時間あたり単価」「1年あたり総額」に並べ直すやり方
- 費用対効果を、感情ではなく「時間×濃度×何を学ぶか」で判断する3ステップ

英語学童の費用が「高い」と感じるのは、比べる相手が公的学童だから
多くのご家庭が最初に比べるのは、地域の学童と英語学童です。ところがこの2つは、そもそも料金の成り立ちが違います。公的な放課後児童クラブは児童福祉法にもとづく事業で、市町村の補助が入った利用料が設定されています。一方、英語学童は民間事業ですから、家賃・ネイティブスタッフの人件費・少人数の運営コストがそのまま料金に乗ります。同じ「放課後の預かり」という名前でも、値段の作られ方が別物なのです。
だから、月額を横に並べて「10倍だ」と驚くところで思考が止まってしまう。ここを抜けるために、費用を見る物差しを3つに分けます。この3つを持つだけで、パンフレットの数字が判断材料に変わります。

土台になる数字:公的学童の月額利用料は、いくらが最も多いのか
まず基準線を引きます。こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在・全国1,741市町村が対象)によれば、全国のクラブ数は25,928か所、登録児童数は1,570,645人。このうち利用料を徴収しているクラブは25,296か所(全体の97.6%)です。その月額利用料の分布が、次の表です。
| 月額利用料 | クラブ数 | 割合 |
|---|---|---|
| 2,000円未満 | 292 | 1.2% |
| 2,000〜4,000円未満 | 4,381 | 17.3% |
| 4,000〜6,000円未満(最多) | 6,615 | 26.2% |
| 6,000〜8,000円未満 | 5,048 | 20.0% |
| 8,000〜10,000円未満 | 4,054 | 16.0% |
| 10,000〜12,000円未満 | 2,136 | 8.4% |
| 12,000〜14,000円未満 | 965 | 3.8% |
| 14,000〜16,000円未満 | 542 | 2.1% |
| 16,000〜18,000円未満 | 213 | 0.8% |
| 18,000〜20,000円未満 | 163 | 0.6% |
| 20,000円以上 | 382 | 1.5% |
| おやつ代等のみ徴収 | 505 | 2.0% |
| 計 | 25,296 | 100.0% |
出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)/こども家庭庁 放課後児童健全育成事業のページ。割合は利用料を徴収しているクラブ数25,296に対するもの。
最も多い価格帯は4,000〜6,000円未満で26.2%。8,000円未満までで全体の約65%、10,000円未満までで約81%が収まります。つまり、多くのご家庭にとっての学童費用の実感は「月5,000円前後」です。
ただし、これで終わりではありません。同じ調査には、おやつ代などの実費徴収の月額も出ています。実費徴収なしが36.1%である一方、最も多い帯は2,000〜2,500円未満(19.5%)、次いで1,500〜2,000円未満(18.1%)。公的学童でも、実際の持ち出しは「利用料+実費」で月7,000円前後になる家庭が珍しくないということです。
もう1点、時間の条件もそろえておきます。同調査では、年間開所日数が300日以上のクラブが59.6%、280〜299日が28.8%。平日の終了時刻は18時01分〜18時30分が54.9%で最多、18時31分以降も合わせると全体の約8割が18時を過ぎて閉まります。公的学童は「ほぼ毎日、18時過ぎまで」を月5,000円前後で担っている——これが比較の土台です。かりに月20日・1日3時間の利用とすると月60時間ですから、1時間あたりの単価は100円を下回る水準になります(利用料5,000円での試算)。
英語学童の料金の実際:公式サイトに金額が出ているものだけを並べる
ここからが本題です。英語学童の費用については、まとめ記事に「相場は月3万〜10万円」といった数字が並びます。けれど、その多くは出典をたどれません。ですのでこの記事では、事業者の公式サイトに金額が明記されているものだけを扱います。金額を公開していない事業者は、推測で埋めずに「非公開」と書きます。
| サービス | 形態 | 公式サイトに出ている金額 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 英語学童ACCESS | 英語学童(15:00〜19:00の4時間・うちAcademic Timeが16:00〜18:00の2時間) | 入会金32,400円/月謝:週3日 43,200円・週4日 52,920円・週5日 59,400円/諸経費:2,700〜4,320円/月。別途おやつ代2,400〜4,000円、夕食代7,200〜12,000円、延長保育350円(15分)、お迎え基本サービス6,480〜9,720円/月 | 公式・料金ページ |
| ウィズダムアカデミー | 送迎・習い事付きの民間学童(英語プログラムあり/英語型の別ブランドも展開) | 入会金55,000円(税込)/レギュラー会員の月額はプラン別に、アフター5が14,300円〜、基本プランが20,350円〜、セレクト4が22,440円〜、プレミアムブーストが51,260円〜、オールインクルーシブが94,380円〜。スポット会員は8,800円/回 | 公式・会員制度ページ |
| Kids Duo | 全国展開の英語学童(預かり型) | 公式サイトでは料金非公開・要問い合わせ。よくある質問にも金額の記載はなく、月会費は口座振替とだけ案内されています | 公式サイト/よくある質問 |
※各社の公式サイト掲載内容にもとづく。校舎・学年・プランにより異なります。
この表から、費用を考えるうえで大事な事実が2つ読み取れます。
1つめ。月謝は「入り口」でしかありません。ACCESSの公式料金表を見ると、月謝のほかに諸経費・おやつ代・夕食代・延長保育・送迎が独立して並んでいます。これは不誠実なのではなく、むしろ内訳を全部出してくれているということです。裏を返せば、月謝だけで家計を組むと必ず足りなくなる。
2つめ。大手ほど、公式には金額を出していないことがあります。Kids Duoのように全国に教室がある事業者は、教室ごとに条件が違うため一律の表を出せません。これは避けるべき事業者という意味ではまったくなく、見学の場で「うちの家庭の条件だと総額いくらか」を必ず聞く必要があるというだけのことです。聞くべき項目は、入会金・月謝・諸経費・教材費・おやつ/食事代・延長料金・送迎料金・長期休暇中の追加費用・きょうだい割引の9つ。この9つを埋めれば、どの事業者でも横並びで比べられます。
※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
月額を「1時間あたり単価」と「1年あたり総額」に並べ直す
ここが、この記事のいちばん実用的なところです。金額が公開されているACCESSの数字を使って、実際に並べ直してみます(あくまで公式の公開金額を使った試算で、特定の学年・校舎の請求額を示すものではありません)。
【週3日で通った場合】
月謝43,200円+諸経費2,700円=月45,900円。週3日×4週=月12日、1日4時間の滞在なので月48時間。単純に割ると1時間あたり約956円です。
ところが、英語で「学ぶ」時間として設計されているのはAcademic Timeの2時間です。ここで割り直すと月24時間になり、1時間あたり約1,913円。さらに、公的学童であれば月5,000円で済んでいた分を差し引くと(45,900円−5,000円=40,900円)、英語のために追加で払っている単価は1時間あたり約1,704円ということになります。
【1年あたりの総額】
週3日で12か月なら45,900円×12=550,800円。初年度は入会金32,400円が乗って583,200円。おやつ代(2,400円×12=28,800円)を足すと約61万円、送迎の基本サービス(6,480円×12=77,760円)まで使うと約69万円です。週5日・夕食と送迎まで利用する設計にすると、初年度は約110万円に達します。一方、公的学童は月5,000円+実費2,000円として年間約8万4千円。差額は年50万円前後——これが、私たちが実際に判断すべき数字です。
年50万円を「高い」と切り捨てる必要はありません。共働きのご家庭にとって、18時過ぎまで安心して預けられて、送迎まで頼めて、その時間が英語で満たされている——この価値は本物です。問うべきは1点だけ。その年50万円で買っている時間は、お子さんにとって「何を学ぶ時間」なのか。効果そのものをどう見極めるかは英語学童の効果とデメリットを構造で整理した記事で詳しく扱っていますので、あわせて読んでみてください。
第三の選択肢:日本の学校に在籍したまま、放課後に「英語で教科を学ぶ」
費用を1時間単価まで分解すると、多くのご家庭が同じ疑問にたどり着きます。「同じくらいの単価を払うなら、英語に触れるだけでなく、英語で中身を学ぶ時間にできないか」。ここに、対面インターでも英語学童でもない第三の選択肢があります。日本の学校に籍を置いたまま、放課後や週末にオンラインでインターナショナルスクールを併用するダブルスクールという形です。
この形の要点は4つです。①在籍は日本の学校のままなので、就学義務も進学ルートもそのまま。学校を辞める決断は要りません。②費用は対面フルタイムのインターの約5分の1を目指す設計(NIJIN GLOBAL ACADEMYの金額は開校準備の段階のため、この記事では書きません)。③英会話ではなく、英語で教科を学ぶ。算数や理科や社会の中身を英語で扱うので、「英語を学ぶ時間」ではなく「英語で学ぶ時間」になります。④順位をつけない、少人数の対話が中心。点数で子どもを並べないので、英語が得意でない子でも、自分の考えを出す側に回れます。
放課後の枠にインターを重ねるという発想そのものは放課後だけのインターナショナルスクールという選び方で、対面インターの学費が家計に重い理由はインターの学費が高すぎると感じるときに考えたいことで、それぞれ詳しく整理しています。
ただし、ここは正直に書きます。オンラインのダブルスクールに「預かり機能」はありません。18時までお子さんを見てもらう、というニーズには応えられません。校庭で走り回る対面の友だちも作れません。だから、英語学童とダブルスクールは「どちらが優れているか」ではなく、用途が違うのです。次の表で正直に並べます。


費用対効果を見直す3ステップ
最後に、いまのご家庭の状況にそのまま当てはめられる手順にします。紙とスマホの電卓があれば10分で終わります。
STEP 1では、いま実際に出ている金額を「実質の月額」にします。月謝だけでなく、諸経費・教材費・おやつや食事代・延長料金・送迎料金・長期休暇中の追加費用まで、12か月ぶんを足して12で割ってください。多くのご家庭で、思っていた月謝より2割ほど高い数字が出ます。
STEP 2では、その金額から公的学童の月額を引いて「英語のために追加で払っている額」を出し、それを英語の中身に使われている時間で割ります。滞在時間ではなく、レッスンや英語での活動に充てられている時間です。ここが分からなければ、事業者に「1か月あたり、英語のプログラムは何時間ですか」と聞けば済みます。
STEP 3で、出てきた単価を「何を学ぶ時間か」で並べ直します。英語に慣れる時間なのか、英語で教科の中身を学ぶ時間なのか。同じ単価でも、この2つは3年後にまったく違う場所へ着きます。費用対効果とは、時間×濃度×何を学ぶかの掛け算です。

よくある質問
Q. 公式サイトに料金が出ていない英語学童は、どう見積もればいいですか?
見学や体験の場で、9つの項目を埋めてください。入会金・月謝・諸経費・教材費・おやつや食事代・延長料金・送迎料金・長期休暇中の追加費用・きょうだい割引です。まとめ記事に載っている相場をあてにするより、この9項目を自分の条件で聞いたほうが、はるかに正確な数字になります。金額を公開していないこと自体は、教室ごとに条件が違うためで、珍しいことではありません。
Q. 公的学童と英語学童は併用できますか。費用はどうなりますか?
自治体や事業者の規定によりますが、曜日を分けて併用しているご家庭はあります。公的学童は多くの自治体で月額の定額制なので、日数を減らしても料金が下がらないことがある点に注意してください。なお、こども家庭庁の同調査によれば、利用料の減免を行っているクラブは22,574か所(利用料を徴収しているクラブの89.2%)にのぼります。減免の対象や方法は自治体ごとに違うので、お住まいの市町村の要綱をご確認ください。
Q. 英語学童をやめて乗り換えたほうが、結果的に安くつきますか?
やめる前提で考える必要はありません。放課後にお子さんを安心して預けられる場所は、それ自体が家計を支えています。共働きで働き続けられることの価値を、月謝の比較に入れずに判断してはいけません。おすすめしたいのは、まず日数を見直すこと。週5日を週3日にして浮いた分で、英語で教科を学ぶ時間を放課後の別の日に足す——この組み替えなら、総額をほとんど動かさずに中身を変えられます。
Q. ダブルスクールは、日本の学校に在籍したまま始められますか?
はい。ダブルスクールは日本の学校を辞める形ではありません。籍は日本の学校に置いたまま、放課後や週末の時間に国際教育を足す併用型です。就学義務も進学ルートもそのままなので、「合わなかったら戻れない」という不安を抱えずに始められます。ただし、お子さんの放課後の時間は有限です。習い事を1つ整理する覚悟は、正直に必要になります。
Q. 英語がまったく話せなくても、費用に見合いますか?
英語ゼロから始めるお子さんは珍しくありませんし、日本語の支えを前提に少しずつ英語へ移していく設計であれば、いきなり置いていかれることはありません。ただし、数か月でバイリンガルになるという話は、どの選択肢でもありません。年単位でかかります。だからこそ、月額ではなく1年・3年の総額と、その時間で何を学ぶのかで判断していただきたいのです。
お金の話は、いちばん誠実な愛情の話です
月謝の数字を前に手が止まるのは、家計に余裕がないからではありません。限られたお金を、この子のいちばん効く場所に使いたいと本気で思っているからです。その気持ちは、迷いではなく設計力です。
英語学童は、共働きのご家庭にとって現実的で、よくできた答えです。預かりと英語を同時に解決してくれるサービスは、そう多くありません。そのうえで、もし1時間あたり単価を計算してみて「この時間を、英語で中身を学ぶ時間にしたい」と感じたなら——日本の学校を辞めずに、放課後に足すという道があります。今日いきなり決めなくて大丈夫です。まずは、実質の月額を紙に書き出すところから始めてみてください。
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