オーストラリアに住んでいて「現地校が合わない」「帰国の予定がある」と感じたとき、まず調べるのが「オーストラリア オンラインスクール」ではないでしょうか。ところが検索結果には、州の遠隔教育校、私立のオンライン校、ホームスクール用の教材、海外のオンライン校が混ざって出てきて、違いが見えにくいのが実情です。
この記事では、オーストラリアのオンラインスクールを3つのルートに分け、各州の公式サイトに書かれていることだけで整理します(2026年10月時点で確認)。とくに日本人家庭の分かれ道になる「在留資格(ビザ)と費用」を丁寧に見ていきます。

オーストラリアのオンラインスクールは3つのルートに分かれる
学校教育は州ごとに制度が違いますが、日本人家庭の目線で整理すると選択肢は3つです。

1つめは州の教育省が運営する遠隔教育校(Distance Education)で、州の修了資格につながりますが「通学できない理由」が必要です。2つめは私立のオンライン校と、親が州に登録して家庭で教えるホームエデュケーション。3つめが州の制度の外にある国際オンライン校です。どれが合うかは、評判よりも在留資格・滞在期間・卒業資格をどこで取りたいかで決まります。
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ルート1:州の遠隔教育校(公立のオンラインスクール)
州の遠隔教育校は、学校から遠く離れた子どものために生まれた公立校で、今はオンライン授業が中心です。共通しているのは、「近くの学校に通えない理由」を書類で示す必要があることです。
| 州 | 代表的な学校 | 主な対象(公式サイトの記載) |
|---|---|---|
| NSW | Sydney Distance Education High School(7〜12年生)/Sydney Distance Education Primary School(K〜6年生) | 州内に11校。遠隔地、移動、海外での一時滞在、病気など |
| QLD | Brisbane School of Distance Education(P〜12年生) | 8区分。家庭の選択(By choice)の区分あり |
| VIC | Virtual School Victoria(F〜12年生) | 病気、移動、遠距離など6区分。州の住民のみ |
| SA | Open Access College | 遠隔地、1学期以上の移動、病気など |
| WA | School of Isolated and Distance Education(SIDE) | 遠隔地、家族との長期の移動、長期の病気など |
州によって違いもはっきりあります。たとえばクイーンズランド州のBrisbane School of Distance Educationには「By choice(家庭の選択)」という区分があり、通学できる距離に住んでいても家庭の判断で申し込めます。そのかわり、2026年5月半ば以降の申込みには年$1,738.80の遠隔教育費に学年ごとの教材費が加わります(2026年8月付の公式の料金表)。ビクトリア州のVirtual School Victoriaは、対象区分に当てはまれば入学金はかかりません。
日本人家庭にとって大事なのは、多くの遠隔教育校が「その州に住む市民・永住者」を基本にしていることです。Brisbane School of Distance Educationは一時滞在ビザを一部のサブクラスに限って個別に確認し、Virtual School Victoriaは原則として受け入れていないと明記しています。
一時滞在ビザの家庭が知っておきたい費用のルール
駐在(482ビザなど)や留学中の親の家族として滞在している場合、公立校でも授業料がかかることがあります。ルールは州とビザのサブクラスの組み合わせで決まります。公式に確認できた原則は次のとおりです。
- NSW州:多くの一時滞在者は、州の「Temporary Residents Program」の申請料と授業料を払います。金額はビザのサブクラスで変わり、2025年からは地方の対象校に通う482ビザの家族の授業料免除もあります。Sydney Distance Education Primary Schoolも、一時滞在ビザの家庭はこの手続きに従うよう案内しています。
- QLD州:一時滞在ビザを持つ学齢期の子どもの多くは、公立校で授業料を払う必要があります。ビザによっては免除制度があります。
- WA州:457・482ビザの家族は、子どもの人数にかかわらず家族単位で年AUD 4,000の授業料(2025/2026年の案内)。
- SA州:482ビザの家族向けに、世帯収入から計算する2026年の授業料計算ツールが公開されています。
つまり、「公立だから無料」「オンラインだから安い」とは限りません。申し込む前に、お子さんのビザのサブクラスで、州の公式ページを確認するのがいちばん確実です。

ルート2:私立のオンライン校とホームエデュケーション
州の条件に当てはまらない場合の候補が私立です。代表例がキリスト教系のAustralian Christian College(ACC)の遠隔教育です。NSW州のMarsden Park校はK〜12年生が対象で、2026年の年額は、K〜2年生$1,280、3〜6年生$2,155、7〜8年生$3,005、9〜10年生$3,460、11〜12年生$6,285(第1子)。宗教教育を含む学校なので、方針が合うかは確かめておきたいところです。
もう1つの道がホームエデュケーション(ホームスクール)です。学校に在籍しない場合は、州に登録して家庭で教育します。NSW州では2025年5月に登録の窓口がNESAから州の教育省に移り、州のシラバスにもとづく学習計画を出すと、担当者(Authorised Person)が家庭を訪問して確認します。
ここでよく名前が挙がるのがEuka Future Learningです。Eukaは学校ではなく、オーストラリアのカリキュラムに沿ったオンライン教材と、州への登録書類づくりを手伝うサービスを提供するホームエデュケーションの支援事業者です。「Eukaに入学する」のではなく、「親が州に登録し、教材としてEukaを使う」形です。自由度は高い一方、保護者の伴走の負担も大きくなります。日本の不登校の選択肢との違いが気になる方は、ホームスクーリングとオンラインスクールの違いもあわせて読んでみてください。
決め手は「誰が、どう教えてくれるのか」です。ライブ授業での学び方は学びのしくみで紹介しています。
ルート3:国際オンライン校という選択肢
3つめが、州の制度の外にある国際オンライン校です。州やビザの条件に左右されにくく、帰国や異動があっても同じ学校で学び続けられるのが特徴です。
時差が小さいのも利点です。シドニーやメルボルンは日本より1時間進んでいて(夏時間の時期は2時間)、ブリスベンは通年で1時間、パースは日本より1時間遅れです。日本やアジアの時間帯の授業なら、オーストラリアからも無理なく参加しやすいのです。

注意点は2つです。1つは州の就学義務との関係。学齢期の子どもは学校に在籍するか、ホームエデュケーションとして登録するのが基本なので、海外のオンライン校だけに在籍する場合の扱いは住んでいる州の窓口で確認してください。もう1つは卒業資格と進路。その卒業資格がどの国の大学で認められるかを先に確かめましょう(オンラインスクールの卒業資格と大学進学)。国際カリキュラムで選ぶならIB・IGCSEをオンラインで学ぶ方法も参考になります。
あなたの家庭はどのルート? 決め方の3ステップ

STEP 1は、在留資格と滞在の見通しです。市民・永住者でこれからも暮らすなら、州の遠隔教育校が第一候補。一時滞在ビザで数年後に帰国や異動がありそうなら、条件と費用を確かめつつ国際オンライン校も並べて考える価値があります。
STEP 2は、卒業資格をどこで取りたいかです。オーストラリアの大学を目指すなら、州の修了資格(HSCやVCEなど)につながるルート1か私立が自然です。日本や第三国の大学も視野に入れるなら、国際的な卒業資格も比べましょう。全体の比べ方はオンラインインターナショナルスクールの選び方やオンラインインターナショナルスクールの比較にまとめています。
STEP 3は、費用と家庭の伴走力です。ホームエデュケーションは費用を抑えやすい一方、保護者が学びを組み立てる時間が要ります。先生がつく学校なら、親は「見守る人」でいられます。対面の選択肢も含めて考えたい方は、シドニーのインターナショナルスクールの記事もご覧ください。隣のニュージーランドの制度はニュージーランドのオンラインスクールの選び方で整理しています。

NIJIN GLOBAL ACADEMYはどのルートにあたるのか
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校予定のオンラインの国際学校で、この記事でいえばルート3にあたります。学力試験(偏差値)による選抜はせず、少人数のライブの対話を中心に学びます。運営の株式会社NIJINは「NIJINアカデミー」などで延べ1000名を超える子どもの学びを支えてきました。
正直にお伝えすると、NGAはまだ開校前で、オーストラリアの州の修了資格につながる学校ではありません。時間割や学費も開校情報でお知らせする段階です。州のルートとどう組み合わせるかも含めて、ご家庭に合う形を一緒に考えていけたらと思っています。
よくあるご質問
オーストラリアのオンラインスクールは無料ですか?
州の遠隔教育校は、対象区分の市民・永住者なら負担は小さめです。ただしQLD州の「By choice」区分(遠隔教育費 年$1,738.80)や一時滞在ビザでは費用がかかります。私立のACCは年$1,280〜$6,285(2026年)です。
駐在(482ビザ)の家族でも州の遠隔教育校に入れますか?
州と学校で違います。Virtual School Victoriaは原則受け入れず、Brisbane School of Distance Educationは一部のサブクラスを個別に確認、NSW州は一時滞在者向けの手続きに従います。サブクラスを添えて各校に問い合わせてください。
日本のオンライン校に通うなら、時差は問題になりませんか?
東部は日本より1時間(夏時間は2時間)進み、パースは1時間遅れなので、日本の時間帯の授業に参加しやすいです。州の就学義務との関係は州で確認してください。
オーストラリアのオンラインスクールは、ルートが決まれば選びやすくなる
不安になるのは、選択肢が少ないからではなく、制度が州ごと・ビザごとに違って見通しにくいからだと思います。けれど3つのステップを確かめれば、検討すべきルートは1つか2つに絞れます。
NIJIN GLOBAL ACADEMYは2027年9月開校(予定)、2027年4〜5月にプレ開校(体験クラス)を予定しています。詳細は決まり次第メールでお届けします。
今日決める必要はありません。まずはお子さんのビザのサブクラスと、あと何年オーストラリアにいそうかを書き出してみてください。それがいちばんの近道です。


