「オンラインインターナショナルスクール 比較」で検索すると、学校名を並べたページはたくさん出てきます。でも読み終えても、結局どれが我が家に合うのかは、あまりはっきりしない——そう感じたことはないでしょうか。理由ははっきりしています。多くの比較記事が学費という、いちばん最後に見るべき数字から並べているからです。
この記事では順番を変えます。オンラインインターナショナルスクールの比較で本当に効く軸は3つ、①課程と出口 ②授業形式 ③日本時間の授業帯です。この3つで並べると、候補は7つから2つか3つに減ります。減ってから学費を見る。そのほうが、間違いなく速くて正確です。
なお、以下に挙げる各校の情報は2026年9月時点で各校が公式サイトに掲載している内容のみにもとづいています。伝聞や第三者まとめの数字は使っていません。募集要項・料金体系は変わりますので、最終的な判断は必ず各校の公式でご確認ください。

比較の軸を3つに絞る——学費は最後でいい
①課程と出口。IGCSE、A Level、IB(国際バカロレア)、米国式のハイスクール・ディプロマ。どの資格を取り、その先どこへ出るのか。日本の高校・大学へ戻る可能性を残したいのか、海外の大学を目指すのか。ここで候補の半分は決まります。
②授業形式。決まった時間の少人数ライブ授業か、自分のペースで進めてメンターが伴走する形か、録画中心の非同期型か。これは予算ではなくお子さんの性格と体調に直結する軸です。人と一緒でないと進まない子と、人がいると疲れてしまう子では、合う形が正反対になります。
③日本時間の授業帯。いちばん見落とされ、いちばん効きます。イギリスの学校の一日(現地9時〜15時)は、日本時間では夏は17時〜23時ごろ、冬は18時〜24時ごろ。アメリカ東部時間の学校なら、日本時間の21時〜翌朝5時ごろになります。カリキュラムがどれだけ良くても、家庭の生活が回らなければ続きません。一日の流れについてはオンラインインターナショナルスクールの一日を時間割で見る記事で詳しく扱っています。

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日本から選べる7つの選択肢
ここからは具体的に並べます。順位ではありません。どの家庭にどれが向くかで読んでください。
1. King’s InterHigh(イギリス)|ライブ授業で、A LevelとオンラインIBの両方を選べる
7〜11歳のPrimaryから、11〜14歳のMiddle、GCSEを扱うSenior、16〜19歳のSixth Formまでを持つイギリスのオンライン校です。Sixth FormではA Levelに加えて、完全オンラインのIBディプロマを選べると公式に案内しています(出典:King’s InterHigh 公式サイト)。
学費を公式に明示している数少ない学校でもあります。2026/27年度の年間契約は£4,395から(学年区分により£5,995の設定もあり)、これに一回限りの登録料£100、保証金はイギリス国内£500・国外£1,000、科目を追加する場合は年£405または£435が加わると記載されています(出典:King’s InterHigh Fees/2026年9月確認)。「年額」だけを見て予算を組むと足りなくなることが、この内訳からよくわかります。
向いているのは:イギリスの資格をきちんと取りたい家庭。注意点は:授業は日本時間の夕方から夜になります。
2. Minerva Virtual Academy(イギリス)|全員に週1回の専属メンターがつく
11〜18歳を対象とした英国のオンライン校で、英国教育省(DfE)の認定を受けていることを公式に掲げています。Year 7・8、Year 9、Year 10・11(GCSE)、Sixth Form(A LevelおよびBTEC)という区分で、生徒全員に専属のメンターがつき、毎週1対1で面談するのが設計の中心です(出典:Minerva Virtual Academy 公式サイト)。
興味深いのは、中東・GCC地域の家庭向けに別の時間帯(GSTタイムゾーン)を用意している点です。オンライン校にとって時間帯が本質的な論点であることを、学校側が認めている証拠でもあります。アジアからの場合は、英国時間帯での参加になります。
向いているのは:ひとりで進めるのが不安な子、体調や気持ちに波がある子。注意点は:日本時間では夕方以降になります。
3. Nisai(イギリス)|配慮が必要な子どもへの支援に厚い
英国のカリキュラムを実際の教員によるライブ授業で提供し、Pearsonの認定資格を扱うオンライン校です。英国教育省のSection 41承認を受けた独立専門プロバイダーであること、30か国以上の生徒に教えていることを公式に記載しています(出典:Nisai 公式サイト)。
公式サイトに並ぶ保護者の声を読むと、学校という環境そのものが苦しくなってしまった子ども、特別な支援が必要な子どもを受け止めてきた実績が中心にあることがわかります。日本でも「教室に入れなくなった」段階のご家庭が探し当てることの多い形です。
向いているのは:不安の強い子、集団が負担になる子。注意点は:日本語や日本の学校制度への対応は前提にされていません。
4. Crimson Global Academy(グローバル)|英米両方のカリキュラムを一校で
7〜18歳を対象とし、International GCSE、International A Level、AP、米国ディプロマをすべて扱うオンライン私立校です。少人数のライブ授業を掲げ、認定校であることを公式に明記しています(出典:Crimson Global Academy 公式サイト)。
英国式と米国式のどちらにも進める設計は、進路が固まりきっていない段階の家庭にとって実務的な強みです。大学進学支援を出自に持つグループの学校でもあります。
学費も公式に公開されています。2026年9月時点の公式サイトでは、フルタイムでIGCSE が年 $17,875、A Level が年 $18,000、初等課程が年 $18,000(いずれも米ドル)と記載されています。科目単位のパートタイム受講も可能で、IGCSE は1科目 $3,255、A Level は1科目 $4,100。加えて出願料が申込ごとに $160、試験料は受験地により別途かかると明記されています(出典:Crimson Global Academy 公式・Fees and Scholarships/2026年9月確認)。
向いているのは:海外大学進学を視野に入れ、英米どちらにも寄せられる状態を保ちたい家庭。注意点は:1科目から始められるぶん、科目を足していくと総額が大きく動きます。年額とパートタイム単価の両方で見積もってください。
5. Pearson Online Academy(アメリカ)|米国式の学びと、USディプロマ
米国のオンライン私立校で、Southern Association of Colleges & Schools Council on Accreditation and School Improvement、Northwest Accreditation Commission、North Central Association CASI、そしてMiddle States Associationの認定を受けていることを公式に記載しています(出典:Pearson Online Academy 公式サイト)。
ただしアジアの家庭にとっては、時差が決定的です。米国東部時間の学校の一日は日本時間の夜から明け方にあたるため、実質的には録画と課題で進める「非同期の学校」として選ぶことになります。それが合う子もいますが、想定と違ったという声も出やすいところです。
向いているのは:米国の大学を視野に入れ、自走できる年齢の子。注意点は:ライブ授業への参加は現実的ではありません。
6. 日本の学校(または通信制)+オンラインで英語の教科学習を足す
ここからは「学校名」ではなく形の話です。日本の学校に在籍したまま、放課後や週末にオンラインで英語による教科学習を足す。この形の最大の利点は、制度上の論点がまったく発生しないことです。日本の学校に通い続けている以上、就学義務は果たされており、籍も進級も卒業資格もそのまま。位置づけは習い事と同じです(詳しくはインターナショナルスクールと義務教育の関係をご覧ください)。
逆に言えば、英米の卒業資格をそのまま取る道ではありません。ここは正直に線を引いておきます。
向いているのは:今の学校生活を壊したくない家庭、取り返しのつく順番で試したい家庭。
7. NIJIN GLOBAL ACADEMY(日本)|アジアの時間帯で、併用を前提に
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校(予定)のオンライン・インターナショナルスクールです。運営は株式会社NIJIN。アジアの時間帯で運営し、日本の学校に通いながら放課後に併用する形を前提にしています。英会話ではなく英語で教科そのものを学び、順位をつけない少人数の対話を中心に置く「脱偏差値」の設計です。2027年4〜5月には、本開校に先立つプレ開校として体験クラスを予定しています。
正直に書くべきこともあります。開校前の学校なので、卒業生の進学実績はまだありません。校庭も、対面の行事もありません。英国・米国の卒業資格をそのまま出す設計でもありません。上の1〜5とは、そもそも狙っている場所が違います。オンラインでの学びのしくみを見る →

一覧で見る——7つの選択肢の骨格
| 選択肢 | 主な課程・出口 | 授業形式 | 日本時間の授業帯 |
|---|---|---|---|
| King’s InterHigh | GCSE/A Level/オンラインIB | 少人数ライブ | 夕方〜夜 |
| Minerva Virtual Academy | GCSE/A Level/BTEC | ライブ+週1の専属メンター | 夕方〜夜 |
| Nisai | 英国カリキュラム/Pearson認定資格 | 少人数ライブ・個別配慮 | 夕方〜夜 |
| Crimson Global Academy | IGCSE/A Level/AP/米国ディプロマ | 少人数ライブ | クラスにより異なる |
| Pearson Online Academy | 米国式/USディプロマ | 実質的に非同期 | 深夜〜早朝 |
| 日本の学校+オンライン併用 | 日本の卒業資格を維持 | 放課後・週末 | 放課後 |
| NIJIN GLOBAL ACADEMY | 英語で教科を学ぶ/併用前提 | 少人数の対話・順位なし | 放課後(アジア時間帯) |
※各校が2026年9月時点で公式サイトに掲載している情報にもとづく整理です。時間帯はクラス・学年により異なる場合があります。学費は構成も通貨も学校ごとに違うため、この表には含めていません。必ず各校の公式ページでご確認ください。
比較のときに、必ず起きる3つの落とし穴
ひとつめ。「年間学費」だけで予算を組んでしまう。King’s InterHighの公開情報が示すとおり、実際には登録料、保証金、追加科目の費用が積み上がります。さらに外部試験の受験料は学費と別建てになるのが一般的です。比較するなら、公式ページに書かれた項目をすべて足し算した「総額」で並べてください。
ふたつめ。ランキング記事の順位を信じてしまう。オンライン校のランキングは、評価基準を開示していないものが少なくありません。順位は「誰にとって良いか」を含んでいないので、順位ではなく、我が家の3つの軸に照らして読むほうが確実です。
みっつめ。日本語と日本の学校制度を後回しにしてしまう。海外のオンライン校は、日本語の教科指導も日本の学習指導要領も前提にしていません。日本に戻る可能性が少しでも残るなら、「戻るときにどうなるか」を最初に確認しておくべきです。日本語に不安があるご家庭には、対話で日本語を学べるともだちじゃぱんのようなサービスを組み合わせる手もあります。

7つから2つに絞る、3ステップ
STEP 1、出口から逆算する。「日本に戻る可能性を残す」なら6・7が中心になり、「海外大学へ出る」なら1〜5が中心になります。この一問で、候補は半分になります。
STEP 2、時間割を日本時間に直す。残った候補の時間割を、必ず自分の手でJSTに変換してください。生活が回らない候補はここで落ちます。ここを飛ばすと、入学後に落ちます。
STEP 3、総額を公式ページだけで足す。年額、登録料、保証金、追加科目、試験料。第三者のまとめではなく、学校の公式ページに書かれた数字だけを使ってください。2つ残れば、比較は終わりです。

よくある質問
Q. オンラインインターナショナルスクールの比較で、いちばん先に見るべきなのはどこですか?
A. 出口(どの資格で、どこへ進むか)です。ここが決まらないまま学費や評判を比べても、判断材料になりません。日本の高校・大学へ戻る可能性を残したいのか、海外大学を目指すのか。この一問を先に家庭で決めてください。候補が半分になり、そのあとの比較がとても速くなります。
Q. 日本にいながら、英国式・米国式の卒業資格は本当に取れますか?
A. 取れます。IGCSEやA Levelは認定された試験センターで受験する仕組みで、外部受験者(private candidate)の枠組みも用意されています(出典:Cambridge International)。ただし受験できる会場と時期は限られ、受験料は学費と別です。学校を決める前に「日本のどこで受験するのか」を必ず確認してください。
Q. 学校を1つに絞れません。併願のように複数を試せますか?
A. 体験授業や説明会は複数受けてかまいませんし、そうすべきだと思います。ただしフルタイムの学校を同時に2つ在籍するのは、費用の面でも子どもの負担の面でも現実的ではありません。もし迷いが消えないなら、まず日本の学校を続けながら併用型で小さく始め、手応えを見てからフルタイムへ移る——という順番のほうが、取り返しがつきます。
比べることの本当の目的は、順位をつけることではありません
ここまで読んでくださったあなたは、たぶん「いちばん良い学校」を探しているのではなく、我が子が消耗せずに続けられる場所を探しているのだと思います。だとすれば、比較表を完璧に埋める必要はありません。出口を決め、時間割を日本時間に直し、総額を公式で足す。この3つだけで、たいていの家庭は答えにたどり着きます。
そして、今日ここで決める必要もありません。子どもは来年も再来年も変わっていきますし、選択肢も増えています。まずは情報を受け取りながら、家庭の中で話し続けてください。


