「カナダに赴任が決まった。現地の学校と並行して、英語の授業をオンラインで足せないか」「日本にいながら、カナダの高校卒業資格(OSSD)をオンラインで取れると聞いた」。カナダのオンラインスクールを調べ始めると、州の公的な遠隔教育から、国外の生徒を受け入れる私立のオンライン高校まで、性格のまったく違う選択肢が同じ「オンラインスクール」という言葉で並んでいます。
しかも、カナダの教育は国ではなく州ごとに仕組みが違います。住んでいる州が違えば無料で使える制度も違い、日本や他の国から受講する場合は、そもそも対象外になる制度もあります。この記事では、カナダのオンラインスクールを「カナダに住んでいるか」「どの卒業資格がほしいか」の2軸で整理し、学費は各校の公式サイトで2026年10月に確認した数字だけでお伝えします。為替は1カナダドル=約111円(2026年10月9日)で計算しています。

カナダのオンラインスクールは「州の制度」と「私立校」の2種類
まず押さえておきたいのは、カナダには国の教育省がなく、学校教育は州(プロビンス)の管轄だということです。オンラインスクールも大きく2つに分かれます。
1つめは、州が用意する公的なオンライン教育です。ブリティッシュコロンビア(BC)州の公式ページは、オンライン学習の対象を「BC州に普段から住んでいる人(ordinarily resident in B.C.)」としています。アルバータ州も、州内の住民を前提にした公立のオンライン校を紹介しています。カナダに住んでいれば、まずはここが第一候補になります。
2つめは、オンタリオ州の査察を受け、OSSDの単位を出せる私立のオンライン高校です。こちらは国外からの入学を受け付けていて、日本やアジアに住んだまま、オンタリオ州の高校卒業資格(OSSD)の単位を取れます。その代わり、学費は1単位ごとにかかります。
そしてその中間に、オンタリオ州の公共放送TVOが運営するILC(Independent Learning Centre)があります。オンタリオ州の住民(独立受講生)は多くの場合1科目40ドル、国外向けの公式サイトでは1科目500ドルと案内されています(国外向けサイトは通貨を「$」とだけ表示)。
「通えるインターが近くにない」ご家庭へ
NIJIN GLOBAL ACADEMYは、校舎を持たないオンラインのインターナショナルスクールです。日本の学校に通いながら世界とつながって学べます(ダブルスクール)。対面インターのおよそ1/5の学費。
🎁 ご登録の方に学校案内PDF(日本語版・英語版)を自動返信でその場でお届けします。学費・体験クラスの先行案内もいち早くお送りします。
登録は無料。いつでも解除できます。
オンラインインターナショナルスクール NIJIN GLOBAL ACADEMYってどんな学校? 特徴と1日の流れを見る →
カナダに住んでいるなら:まず州のオンライン教育を確認する
赴任や移住でカナダに住む場合、最初に確認したいのは、住む州の公立校とオンライン教育の制度です。住民向けの制度は公立校の一部として提供されていますが、費用の扱いは州の公式ページに明記されていません。また、BC州もアルバータ州も、公式ページには「州の住民」を前提とした説明しかなく、国外からの受講や費用の細かい条件までは書かれていません。手続きは州や学区ごとに違うため、住所が決まった段階で、学区(school district)に直接問い合わせるのが確実です。
日本人家庭の場合、平日は現地校、週末は日本語補習校という組み合わせがよく知られています。オンラインスクールは、その現地校の代わりというより、「引っ越しの前後に途切れた単位を補う」「現地校にない科目を足す」ための道具として使われることが多い、と考えておくと選び方を誤りません。同じように州ごとに制度が分かれる国の例として、オーストラリアのオンラインスクール選びやニュージーランドのオンラインスクールもあわせて読むと、比べる軸がはっきりします。
日本やアジアから:オンタリオ州の私立オンライン高校でOSSDを取る
カナダに住んでいなくても、オンタリオ州の私立オンライン高校なら、国外からOSSDの単位を取れます。OSSDの単位を出せるのは、州の査察を受けた私立校で、各校には州教育省の学校番号(BSID)があります。今回公式サイトで確認した3校の国際生向けの学費は、次のとおりです。

Virtual High School(VHS)
オンタリオ州の私立オンライン高校(BSID 665681)です。国際生の学費は、11〜12年生の科目が1単位929ドル(約10.3万円)、9〜10年生の科目が799ドル、0.5単位の科目が629ドル。カナダ国籍・永住者向けはそれぞれ629ドル・499ドル・329ドルなので、国際生は1単位あたり300ドル高くなります。採点を早めるファストトラックは175ドルの追加です。学生ビザは不要で、学校側は「卒業要件はどの国からでも満たせる」と明記しています。期末試験は第三者によるオンライン監督で、Webカメラと身分証明書が必要です(追加料金なし)。
Ontario Virtual School(OVS)
BSID 665804の私立オンライン高校です。就学許可(学生ビザ)を持たない国際生は、科目にかかわらず1単位1,249ドル(約13.9万円)。これとは別に事務手数料300ドルがかかります。期末試験は、生徒が自分で手配した承認済みの監督者の前で、対面で受けます。監督者への謝礼などは生徒の負担です。
Toronto eSchool
BSID 886520の私立オンライン高校です。国際生(就学許可なし)は1単位1,200ドル(約13.3万円)、0.5単位は699ドル。オンタリオ州の教育番号(OEN)を持っていない国際生には、初回の登録料350ドルがかかります。試験は承認済みの監督者の前で受ける形で、自宅で受けられないと案内されています。
3校とも、学費は1単位ごとの積み上げです。仮に高校の最後の2年分にあたる11〜12年生の16単位を取るとすると、VHSは929ドル×16=14,864ドル(約165万円)、Toronto eSchoolは1,200ドル×16+登録料350ドル=19,550ドル(約217万円)、OVSは1,249ドル×16+事務手数料300ドル=20,284ドル(約226万円)になります(事務手数料は1回分で計算)。どの科目を何単位取るかで総額は大きく変わるので、あくまで目安としてご覧ください。

OSSDを取るために必要なこと:30単位だけでは足りない
オンタリオ州教育省の公式ページ(2026年9月更新)によると、OSSDには30単位が必要です。2024年9月以降に9年生になった生徒は必修17単位+選択13単位、それより前の生徒は必修18単位+選択12単位です。そのうえで、単位とは別に次の条件があります。
- 読み書きの要件:通常はオンタリオ州の読み書きテスト(OSSLT)に合格すること。VHSは、オンタリオ州外の生徒は代わりにオンラインの読み書き科目(OLC4O)で満たせると案内しています。
- オンライン学習2単位:オンラインで2単位を取ること(免除の申請もできます)。オンラインスクールで学ぶ場合は、自然に満たせることが多い要件です。
- 40時間の地域活動(ボランティア):国外の生徒がどう満たすかは、今回確認した3校とも公式サイトに書いていません。出願前に必ず確認したい点です。
- 金融リテラシー:2024年以降に9年生になった生徒には、金融リテラシーの要件も加わります。
もうひとつ、どの学校も公開していないのが「OSSDを出してもらうために、その学校で最低何単位取る必要があるか」です。他校で取った単位をどこまで認めてもらえるかも含めて、出願前に問い合わせてください。米国の認定や卒業資格との違いは、オンライン国際学校の「認定」の見分け方とオンラインで取れる国際的な卒業資格で整理しています。
ここまで読んで「単位を取ることと、英語で学ぶ力がつくことは別の話では」と感じた方もいるかもしれません。どの学校も自分のペースで進める形が中心で、決まった時間に先生や仲間と話す授業はほとんどありません。学び方そのものを比べたい方は、NGAの 学びのしくみ もあわせてご覧ください。
カナダのオンラインスクールと州の制度・NGAを比べる
ここまでの内容を、州の公的なオンライン教育、オンタリオ州の私立オンライン高校、そして私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)で並べると、次のようになります。NGAに×がつく項目も、そのまま載せています。

表の通り、カナダの高校卒業資格がほしいなら、選ぶべきはオンタリオ州の私立オンライン高校かILCです。NGAは開校前で、OSSDのような卒業資格は出せません。一方、州の制度は小学生から使えるものの、州の住民が前提です。国外から受けられる私立校は高校の単位が中心で(OVSには7〜8年生の科目もあります)、ILCは14歳以上が条件です。国外に住む小学生が英語で学ぶ土台をつくる場所は、別に考える必要があります。
日本人家庭がカナダのオンラインスクールを使うときの注意点
時差:日本の夜は、トロントの朝
トロントなどカナダ東部と日本の時差は、夏時間の期間が13時間、それ以外は14時間です。カナダ西部(バンクーバー)はさらに時差が開きます(BC州は時刻制度の変更を公表しているので、最新の時差は公式で確認してください)。VHSやOVSのように自分のペースで進める学校なら時差はあまり問題になりませんが、先生との面談や試験の監督は、カナダの日中に合わせる場面が出てきます。
試験の受け方は学校ごとに違う
VHSはオンライン監督、OVSとToronto eSchoolは承認済みの監督者の前で受ける形です。日本に住んでいる場合、監督を頼める人や場所を自分で用意できるかどうかで、選べる学校が変わります。
日本の大学に進むなら、出願先の条件を先に見る
海外の高校卒業資格で日本の大学を受ける場合、一般的に「学校教育12年の課程を修了していること」などが出願の条件になります。OSSDをどう扱うかは大学ごとに違うので、志望校の募集要項を先に確認しておくと、取るべき単位の計画が立てやすくなります。特に日本に住んだまま海外のオンライン高校を修了する場合は、出願資格として認められるかを志望校に事前に確認してください。

NIJIN GLOBAL ACADEMY の立ち位置
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月開校予定の、6〜18歳のためのオンラインの国際学校です。運営する株式会社NIJINは、日本で不登校の子どもの学びの場であるNIJINアカデミーなどを運営し、これまで1000名以上の子どもたちが学んできました。偏差値による学力選抜はせず、8人前後の少人数のライブ授業で、英語で学ぶ教科を日英バイリンガルのメンターが支える形を考えています。
正直にお伝えすると、NGAはまだ開校前で、認定も受けていません(未認定)。学費は未公表で、卒業生もいません。OSSDのような卒業資格の代わりにはなりません。また、時間割はアジア・オセアニアの日中を中心に組むため、カナダにお住まいのご家庭には、ライブ授業が夜や早朝にかかる可能性があります。そのうえで、日本やアジアに住みながら「高校でOSSDを目指す前に、小中学生のうちから英語で考え、話す力を育てておきたい」というご家庭には、比べる候補のひとつになれたらと考えています。
よくあるご質問
カナダのオンラインスクールは日本から受講できますか?
オンタリオ州の私立オンライン高校(今回確認したVHS・OVS・Toronto eSchool)は、国外からの入学を受け付けています。TVOのILCにも国外向けの公式サイトがあります。BC州やアルバータ州の公的なオンライン教育は、州の住民を前提にしています。
OSSDをオンラインで取ると、全部でいくらかかりますか?
学費は1単位ごとなので、取る単位数で決まります。国際生向けの1単位の学費は、VHSが799〜929ドル、Toronto eSchoolが1,200ドル、OVSが1,249ドルです。11〜12年生の16単位を取る場合の目安は、約165万〜226万円(登録料・事務手数料込み、1カナダドル=約111円)です。
小学生や中学生でも使えますか?
国外から受けられる私立校は高校の単位が中心ですが、OVSには7〜8年生(中1〜2相当)の科目もあります。ILCは14歳以上が条件です。州の公的なオンライン教育は小学生から使えますが、州の住民が前提です。なお、日本に住む日本国籍の小中学生の場合、海外のオンラインスクールに在籍するだけでは、保護者の就学義務を果たしたことにはなりません。
カナダのオンラインスクールに日本語のサポートはありますか?
今回確認した3校の公式サイトには、日本語でのサポートの案内はありませんでした。授業も手続きも英語が前提です。
「どこに住み、どの資格がほしいか」から選ぶ
カナダのオンラインスクールは、名前だけ並べると違いが見えにくいのですが、「カナダに住んでいるか」「どの卒業資格がほしいか」の2つに答えると、候補はすぐに絞れます。カナダに住むなら州の制度から、日本やアジアからOSSDを目指すならオンタリオ州の私立オンライン高校から。どちらの場合も、試験の受け方とボランティア要件だけは、出願の前に学校へ確かめておいてください。
高校で海外の卒業資格を目指す前の数年間を、英語で考え、話す時間にしたい。そんなご家庭に向けて、NIJIN GLOBAL ACADEMY は2027年9月の開校(予定)と、2027年4〜5月のプレ開校(体験クラス)を準備しています。時間割やカリキュラムが固まり次第、メールでお知らせします。
急いで1校に決める必要はありません。まずは、お子さんが高校を卒業する年に「どの国で、どんな進路を選んでいたいか」を家族で一度話してみてください。その答えが、カナダのオンラインスクールを選ぶ、いちばん確かな地図になります。


