「岐阜県 インターナショナルスクール」と検索して、思ったより情報が出てこないと感じているのではないでしょうか。人口約190万人、名古屋まで新快速でわずか20分という立地でありながら、県内で英語を学びの言語として使い続けられる学校は、判明分でごくわずか。その一方で岐阜県には、全国でも有数のブラジル人学校の集積があり、日本で第一号のIB(国際バカロレア)初等教育プログラム認定を受けた一条校もあります。つまり岐阜県は、選択肢が少ない県ではなく、選択肢の中身がほかの県とかなり違う県なのです。この記事では、2026年7月時点で確認できた県内13校を、岐阜市・西濃(大垣)・中濃(各務原・美濃加茂・可児)・東濃・飛騨のエリア別に学費付きで整理します。そのうえで、県南部の家庭にとって現実的な名古屋・愛知への通学、そして通わないという第4の道まで、正直にお伝えします。読み終えるころには、県内で完結させるのか、県境をまたぐのか、通学そのものを手放すのかという判断軸がはっきりするはずです。

岐阜県のインターナショナルスクール事情と学費相場
前提として、岐阜県は国際化がかなり進んだ県です。出入国在留管理庁の統計をもとにした岐阜新聞の分析によると、県内で暮らす在留外国人は2025年6月末時点で77,301人。10年前の約1.65倍にあたり、県人口に占める割合は4%を超えました。自動車・航空機・機械の産業が集まる西濃(大垣)や中濃(可児・美濃加茂・各務原)には、ブラジル、フィリピン、ベトナムにルーツを持つ家庭が多く暮らしています。この背景があるからこそ、岐阜県のインターナショナル教育は、英語圏の駐在家庭向けの学校よりも、ポルトガル語で母国課程を学べる学校のほうが層として厚いという、全国でもめずらしい形になっています。
県内の学校は、大きく4層に分かれます。ひとつめは、日本の正規の学校(一条校)でありながら国際バカロレアのプログラムを持つ学校。岐阜市のサニーサイドインターナショナルスクールと、可児市の帝京大学可児高等学校IBコースの2校です。ふたつめが、ブラジル本国の課程で学ぶブラジル人学校で、大垣市・各務原市・美濃加茂市・可児市に計5校。文部科学省が「高等学校の課程と同等」として指定している教育施設一覧にも、この5校すべての名前があります。3つめが、朝鮮学校(岐阜市の岐阜朝鮮初中級学校)。そして4つめが、幼児を対象にした英語プリスクール層で、岐阜市・瑞穂市・各務原市に5施設ほどが確認できました。合計13校というのが、2026年7月時点で私たちが確認できた岐阜県の全体像です。
学費の相場も、この層ごとに大きく変わります。幼児期のプリスクールは、その多くが幼児教育・保育の無償化の対象で、認可外保育施設なら3〜5歳で月額37,000円までの補助が使えるため、実質負担が大きく下がるケースがあります。小学校段階では、サニーサイドインターナショナルスクールの小学部が公式の公開情報で年間おおよそ86万〜89万円。高校段階の帝京大学可児高等学校IBコースは、公開されている金額を確認できなかったため要問い合わせです。ブラジル人学校も学費を公開していない学校がほとんどで、こちらも要問い合わせになります。比較のために書き添えると、名古屋市内のインターナショナルスクールは年間120万〜330万円台が中心。岐阜県内の選択肢は「数は少ないが、費用は名古屋よりかなり抑えめ」という特徴があります。そもそもインターナショナルスクールとは何か、一条校との違いや義務教育の扱いについてはインターナショナルスクールとは?で整理しています。
※学費等は2026年7月時点の公開情報です。改定される場合があるため、最新は各校公式サイトで必ずご確認ください。

岐阜県のインターナショナルスクール一覧【エリア別】
ここからは、2026年7月時点で確認できた県内の学校を、エリア別にすべてご紹介します。無理に「◯選」に絞らず、判明分をそのまま並べます。
岐阜市・岐阜圏域(県南西部の中心)
県内でもっとも選択肢が集まるエリアです。中心となるのが、岐阜市岩井のサニーサイドインターナショナルスクール(学校法人渡辺学園)。2001年に岐阜県内の教育改革のモデル事業として始まり、日本人教員と外国人教員がチームで1クラスを担当する形からスタートしました。2016年1月にIBワールドスクールとして認定され、日本の一条校としては第一号のIB初等教育プログラム(PYP)認定校となっています。幼稚園部と小学部を置き、日本語と英語の両方を指導言語に使うバイリンガル型。一条校なので、日本の小学校としての学籍がそのまま認められる点は、他のインターナショナルスクールにはない大きな違いです。1クラス最大24名の少人数制で、探究学習を教育の中心に据えています。
- カリキュラム:IB初等教育プログラム(PYP)認定校/日本の一条校(幼稚園・小学校)
- 対象年齢:幼稚園部(満3歳〜年長)・小学部(1〜6年)
- 学費目安:公式の募集要項で、幼稚園部は入学金5万円・授業料月34,300円(幼児教育無償化の補助適用後)・設備充実費月1万円・教材費年1万5,000円・用品代約12万円。小学部は入学金5万円(内部生)/10万円(外部生)・授業料月5万5,000円・設備充実費月1万円・教育環境費年3万円・校外学習費年3万〜6万円ほかで、年間おおよそ86万〜89万円(2026年時点・要確認)。スクールバスは往復月5,500円
- こんな家庭に:日本の学籍を保ちながら、探究型・国際的な学び方を小学校段階で選びたい家庭に
公式サイトはこちら/学費の出典は募集要項ページ。なお第三者データベースのInternational Schools Databaseでは年間42万6,600〜63万円という掲載もあり、どの費目まで数えるかで見え方が変わります。必ず公式の要項でご確認ください。
未就学のお子さんであれば、岐阜市内の選択肢はもう少し広がります。同じ岐阜市岩井にあるサニーサイドインターナショナルプリスクールは、生後6か月から2歳児までを対象にした定員19名の小規模保育施設(認可・A型)で、保育料は岐阜市の基準にもとづきます。岐阜県庁前のクレマティス(Seas & Stars Clematis)は、英語85%・中国語10%・日本語5%という三言語構成のプリスクールで、1歳4か月から6歳まで。幼児教育・保育の無償化の対象園で、対象児童は月額最大3.7万〜4.2万円が無償になると公式に案内されています。岐阜市下奈良のオブリージュインターナショナル幼稚舎は3〜5歳が対象の認可外保育施設で、各務原校も運営。英語を中心にした知能教育としつけを掲げています。同じく岐阜市のあさひキッズインターナショナルは0歳から就学前までを受け入れる企業主導型保育園(定員19名)で、1日6時間・年間約2,000時間の英語環境をうたっています。少し西の瑞穂市別府には、1歳4か月から6歳までが遊びも食事もすべて英語で過ごすMarty’s International Kinderがあり、こちらも無償化の対象施設です。
西濃エリア(大垣市周辺)
大垣市は、岐阜県のブラジル人教育の中心地です。上面にあるHIRO学園(Escola Brasileira Professor Kawase)は2000年創立で、日本で初めて学校法人の認可を受けたブラジル人学校として知られています。ブラジル教育省(MEC)の認可を受け、日本では各種学校として認可。インターナショナルHIRO保育園(幼児)から初等部(1〜5年)、中等部(6〜9年)、高等部(Ensino Médio)まで一貫しており、ポルトガル語を軸に日本語・英語も学びます。同じ大垣市にはコレジオ・ソニオ・デ・クリアンサ(Colégio Sonho de Criança)もあり、乳幼児から高校相当までを受け入れています。いずれも文部科学省が高等学校相当として指定した教育施設一覧に掲載されているため、卒業後に日本の大学を受験する道も開かれています。学費はいずれも公開情報を確認できなかったため、要問い合わせです。
大垣駅から名古屋駅までは新快速でおよそ38分。県内の学校と名古屋の学校を、同じテーブルの上で比べられるエリアでもあります。
中濃エリア(各務原市・美濃加茂市・可児市)
ものづくり産業と外国人集住地域が重なる中濃エリアには、ブラジル人学校が3校あります。各務原市のセントロ・エドカショナル・ノヴァ・エターパ(Centro Educacional Nova Etapa)は保育段階から高校相当まで。美濃加茂市のコレージオ・イザキ・ニュートン(Colégio Isaac Newton)は初等段階から高校相当まで。可児市のソシエダーデ・エドカショナル・ブラジリアン・スクールも同様に高校相当までを備えています。この3校も、大垣の2校と同じく文部科学省の指定一覧に名前があります。ポルトガル語圏にルーツを持つご家庭にとって、母国課程での教育を日本にいながら受けられる環境が県内に5つもあるのは、全国的に見てもかなり恵まれた状況です。学費はいずれも要問い合わせ。
そしてもう1校、英語で学びたい家庭にとって重要なのが可児市の帝京大学可児高等学校IBコースです。2022年2月に岐阜県で最初のIB認定校となり、高校1年次は日本の高校教育課程を英語で学び、2年次から2年間の国際バカロレア・ディプロマプログラム(DP)に取り組みます。修了するとIB資格と日本の高校卒業資格の両方が得られる設計。募集は各学年20名で国籍不問、国際学生寮を備えています。出願には日本の中学3年生相当の学力に加え、TOEIC 700以上・TOEFL iBT 50以上といった英語力の基準が公式に示されています。県内で英語を学びの言語として使い続けたい家庭にとって、高校段階の受け皿はいまのところここが中心です。
- カリキュラム:IBディプロマプログラム(DP)/授業は英語(岐阜県初のIB認定校・2022年2月認定)
- 対象年齢:高校1〜3年(高2からの編入枠もあり)
- 学費目安:2026年7月時点で金額の公開情報を確認できませんでした。国際寮の費用やIB関連費も別途かかるため、要問い合わせ
- こんな家庭に:中学までを日本の学校で過ごし、高校からIBに挑戦したい家庭に
東濃・飛騨エリア(多治見市・中津川市・高山市など)
ここは正直にお伝えします。多治見市・土岐市・瑞浪市・中津川市といった東濃エリア、そして高山市・下呂市・飛騨市といった飛騨エリアには、2026年7月時点で常設のインターナショナルスクールも英語イマージョン型のプリスクールも確認できませんでした。東濃からはJR中央本線で名古屋方面へ出やすいものの、小学生が毎日通うには負担が小さくありません。飛騨エリアにいたっては、名古屋まで特急を使っても片道2時間を超えます。この地域のご家庭にとっては、後半でお伝えするオンラインという選択肢が、もっとも現実的な答えになることが多いはずです。
なお、岐阜市には岐阜朝鮮初中級学校もあります。朝鮮学校は民族教育を行う外国人学校で、いわゆる英語圏のインターナショナルスクールとは性格が異なりますが、県内の外国人学校の全体像として押さえておくとよいでしょう。全国のほかの県の状況とあわせて見たい方は、全国47都道府県のインターナショナルスクール一覧もご覧ください。
名古屋まで新快速20分——愛知県への通学という現実的な選択肢
岐阜県の学校選びで、ほかの県にはない最大の武器がこれです。JR岐阜駅から名古屋駅までは新快速で19〜21分。同じ県内の東濃や飛騨に行くより、はるかに近いのです。大垣駅からでも新快速で約38分。県南部にお住まいなら、名古屋のインターナショナルスクールは通学圏内と考えて差し支えありません。
名古屋には、IBのPYP・MYP・DPを通しで提供する学校や、カナダ式・日本式を組み合わせた学校など、性格の異なる学校が複数あります。年間学費はおおむね120万〜330万円台と幅が広く、費用面のハードルは県内の学校より確実に上がりますが、「高校まで英語で一貫して続けられる」という点では県内にない強みがあります。具体的な学校名・カリキュラム・学費の比較は名古屋のインターナショナルスクールの記事で、愛知県全体の分布は愛知県のインターナショナルスクールの記事で詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。
ただし、越県通学には現実的なコストが伴います。定期代は路線と学年によって年間で数十万円規模になることがありますし、スクールバスの運行範囲は学校ごとにまったく違います。小学生が毎朝1時間近くを移動に使う生活を、6年間続けられるかどうか。志望校を絞る前に、「所要時間×学年数」を一度紙に書き出してみてください。それだけで、判断の解像度がかなり上がります。
比較でわかる、わが家に合う選び方
県内の学校、名古屋・愛知の学校、オンライン国際校。この3つは「どれが優れているか」ではなく「わが家の制約に合うか」で選ぶものです。費用・入学のしやすさ・通学の負担・対面での体験・高校まで続けられるか——この5つの観点で並べると、迷いがかなり減ります。

岐阜県の場合、いちばん引っかかりやすいのは最後の行です。サニーサイドの小学部は6年生まで、帝京大学可児高等学校IBコースは高校から。つまり英語で学び続けたい場合、中学段階の受け皿が県内で見えにくいという構造的な切れ目があります。この空白期間をどう埋めるか——名古屋に出るのか、日本の中学に通いながら英語の学びを外で足すのか——を早めに考えておくと、あとの選択がぐっと楽になります。地元の学校に籍を置きながら国際教育を並行させるダブルスクールという形も、選択肢のひとつです。費用の全体像をもう少し細かく知りたい方は、インターナショナルスクールの学費の内訳を解説した記事もあわせてどうぞ。授業料以外にかかるお金まで見えると、判断の精度が上がります。
オンラインでの学びのしくみを見る →

通える範囲に見つからないなら——オンラインという選択肢
ここまで読んで、「県内には続けられる学校がない。でも名古屋まで毎日通わせるのは難しい」と感じた方もいるはずです。とくに東濃・飛騨のご家庭にとっては、距離そのものが最初の壁になります。そんな家庭のために、私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月開校のオンライン・インターナショナルスクールを準備しています。
運営は、日本でオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJIN。NIJINアカデミーにはすでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。NGAが大切にしているのは、脱偏差値——テストの点数で子どもを並べないこと。少人数の対話を中心に、「自分と世界を、好きになる」学びを設計しています。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳。住む場所を選ばないので、岐阜市でも高山でも中津川でも、条件はまったく変わりません。日本語の支えを前提に、少しずつ英語に触れられる設計にしているのも、日本の家庭にとって現実的だと考えているからです。学費は対面のインターナショナルスクールの約5分の1を目指しています。
正直な注意点もお伝えします。NGAはまだ開校前で、実績はこれから積み上げる段階です。そして、校庭で走り回る体験や、同じ教室で肩を並べる感覚は、対面の学校と同じようには提供できません。それでも「近くに無いから、あきらめる」を「通わなくても、続けられる」に変えられる家庭が、岐阜県には確かにいるはずだと考えています。
よくある質問
Q. 岐阜県内のどこからでも通えますか?
A. 残念ながら、均等には通えません。学校は岐阜市・瑞穂市・大垣市・各務原市・美濃加茂市・可児市という県南部に集中していて、東濃(多治見・中津川など)と飛騨(高山・下呂など)には確認できませんでした。飛騨エリアからは県内の学校であっても片道2時間前後かかります。まずは通学経路と所要時間を具体的に調べ、そのうえで「毎朝この時間を何年間も続けられるか」を家族で確認することをおすすめします。
Q. 名古屋のインターナショナルスクールに岐阜から通う家庭は多いですか?
A. 県南部では現実的な選択肢です。JR岐阜駅から名古屋駅までは新快速で19〜21分、大垣駅からも約38分と、通学時間だけを見れば無理のない範囲に収まります。ただし学校の最寄り駅までの移動を足すとドアtoドアではもっとかかりますし、定期代とスクールバスの運行範囲は学校ごとに大きく違います。名古屋の学校一覧で候補を絞ってから、必ずバスルートと定期代の両方を確認してください。
Q. 日本語のサポートはどうなりますか?
A. 学校によって大きく違います。サニーサイドインターナショナルスクールは日本の一条校なので日本語の学びが土台にありますが、ブラジル人学校はポルトガル語が中心で、日本語の扱いは学校ごとに異なります。インターに通わせると日本語の力が中途半端になるのでは、と不安に感じる方は少なくありません。日本語が不安なご家庭には、姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。学校選びの際は「日本語をどう担保するか」を必ず質問リストに入れ、パンフレットの説明ではなく実際の週間時間割を見せてもらいましょう。
「通えるか」ではなく「続けられるか」で選ぶ
岐阜県のインターナショナルスクール探しは、ほかの県とは少し勝手が違います。英語で学び続けられる学校は多くありません。けれど、日本で第一号のIB PYP認定一条校があり、県内初のIB高校があり、文部科学省が高校相当と指定したブラジル人学校が5校あり、そして名古屋まで20分という距離があります。道は一本ではなく、いま4本あります。
大切なのは、入学できる学校を探すことより、お子さんが何年も安心して続けられる学びを選ぶことです。焦らなくて大丈夫です。まずは今日、通学経路をひとつ調べてみる。それだけでも、選択肢の景色は変わります。
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