「鹿児島県 インターナショナルスクール」と検索して、少し戸惑っているのではないでしょうか。出てくるのは英語の幼児園ばかりで、小学生になってからも英語で学べる学校がどうしても見つからない——。それはあなたの調べ方が悪いわけではありません。2026年7月時点の公開情報を調べたかぎり、鹿児島県内に小学校段階以上の子どもを英語で受け入れる全日制のインターナショナルスクールは確認できませんでした。県内で「インターナショナル」を名乗る施設は判明分で9つ。そのすべてが鹿児島市にあり、対象はほぼ0〜6歳です。この記事では、鹿児島県のインターナショナルスクールをエリア別に学費付きですべて並べたうえで、6歳の先をどうつなぐか——県内のIB認定校、熊本・福岡への通学、そして通わないという選択肢まで、4つの道を正直に整理します。読み終えるころには、鹿児島で何ができて何ができないのかがはっきりするはずです。

鹿児島県のインターナショナルスクールの現状と学費相場
前提として、鹿児島県は着実に国際化が進んでいる県です。鹿児島労働局のまとめによると、県内で働く外国人労働者は令和6年10月末時点で14,240人。前年の12,015人から18.5%増えて過去最高を更新しました。国籍別ではベトナム・インドネシア・フィリピン・ミャンマーが上位を占め、製造業や農林業、建設業を中心に、多国籍な家庭が県内各地で暮らしています。それだけの人が集まりながら、英語で学び続けられる学校の数がまったく追いついていない——ここが鹿児島県のインターナショナルスクール事情の核心です。
県内の施設は、幼児期に強く集中しています。判明分の9施設はすべて鹿児島市内にあり、対象年齢はおおむね0〜6歳。もっとも「学校らしい」存在である鹿児島市高麗町のRaJA Global Academyでさえ、通えるのは年少から年長までの3〜5歳です。小学生向けにあるのは、放課後に英語で過ごすアフタースクール(英語学童)やイマージョン型の教室で、全教科を英語で学ぶ全日制の場ではありません。つまり鹿児島県で起きているのは、選択肢がないことではなく、6歳で道が途切れることなのです。県人口の約4割が集まる鹿児島市ですらこの状況で、霧島市・鹿屋市・薩摩川内市といった他の主要都市には、常設の施設そのものが見当たりません。
学費の相場は、この構造を反映して首都圏よりかなり抑えめです。幼児向けの施設は月謝でおおむね月2万円台〜6万円、年間にするとおよそ40万〜80万円が目安。たとえばRaJA Global Academyは年間72万円(月6万円×12回・公式FAQ)、鴨池インターナショナルキンダーガーテンは入園料3万円+年間維持費3万5,000円に月4万1,000円〜4万9,000円が加わる形です。加えて3〜5歳児は幼児教育・保育の無償化の対象になる施設が多く、自治体の新2号認定を受けられる共働き家庭なら年間最大37万円ほどの給付を受けられるケースもあります。首都圏の大手インターナショナルスクールが年間200万〜300万円という水準であることを考えれば、費用の壁は鹿児島ではずいぶん低い。ただしその安さは「6歳で終わる」ことと表裏一体でもあります。そもそもインターナショナルスクールとは何か、一条校(日本の正規の学校)との違いや義務教育の扱いについてはインターナショナルスクールとは?で整理しています。
※学費等は2026年7月時点の公開情報です。改定される場合があるため、最新は各校公式サイトで必ずご確認ください。

鹿児島県のインターナショナルスクール一覧【エリア別】
ここからは、2026年7月時点で確認できた施設を、判明分すべてエリア別にご紹介します。無理に「おすすめ7選」に水増しはしません。数は限られていますが、性格はそれぞれ違います。
鹿児島市中心部(高麗町・下荒田・荒田)
県内でもっとも選択肢が厚いのが、鹿児島市中心部です。中核にあるのが株式会社RaJAの運営するRaJA Global Academy(RGA)。高麗町の本社ビルを拠点に、4月1日時点で3〜5歳(年少〜年長)の子どもを受け入れ、探究をベースに一日を英語で過ごす園です。公式サイトでは国際バカロレアPYP(初等教育プログラム)の候補校であることを掲げており、認定校に向けた準備段階にあります(候補校は認定校とは異なる位置づけです)。学費は年間72万円を12回に分けた月6万円で、出席日数にかかわらず定額。英語がゼロからでも入れる一方、書類と家族面談による選考があります。
同じ運営母体は、0〜2歳を対象としたRaJA International Preschool(下荒田)を企業主導型保育園として運営しており、7:00〜20:00という長時間の預かりに対応しています。小学生向けには、3歳から小学6年生までが平日通い放題で月2万5,000円(おやつ込み)の英語学童C-Labを2022年から展開。さらに荒田2丁目には、通信制の代々木高等学校のサテライト施設としてかえる留学があり、日本の高校卒業資格を取りながら留学を組み合わせる進み方も用意されています。県内では珍しく、幼児から高校年代までを一つの事業者が薄くつないでいる形です。
鹿児島市・鴨池エリア
鴨池には、幼児から小学生までをカバーする施設が集まっています。鴨池インターナショナルキンダーガーテンは2004年開設、鴨池一丁目の施設で2歳半〜6歳を受け入れ、プリスクール(2歳半〜3歳)とキンダーガーテン(4〜5歳)の一貫プログラムを組んでいます。開所は8:30〜19:00で延長保育もあり、無償化の対象となる認可外保育施設です。第三者データベースの公開情報では入園料3万円、年間維持費3万5,000円、月額はプリスクール4万1,000円・キンダーガーテン4万9,000円(延長は1時間400円)。公式サイトでは通園日数に応じた料金設定も案内されているため、実際の負担は週何日通うかで変わります。同じ敷地内のKOOKA KIDS ENGLISH HOUSE(クカキッズ)は、園児と小学生を対象にしたオールイングリッシュのアフタースクールです。
鴨池一丁目のウィング鴨池1階にあるDuckPond International School(ダックポンド)も、幼稚園児から小学生までを対象としたイマージョン型の施設。ネイティブまたはネイティブレベルの講師が全編英語で授業を行い、英語でのピアノや弦楽器のレッスン、英検対策、送迎サービスまで用意しています。英語は目的ではなく手段だという考え方を前面に出しているのが特徴です。
鹿児島市・田上/武岡/谷山エリア
市の西部・南部にも、英語環境に力を入れる園があります。田上四丁目の田上幼稚園は、公式サイトで英語クラスのカリキュラムを掲げ、音楽・英語・体力づくりを軸にした情操教育を行う幼稚園。外部のインターナショナルスクール情報サイトでは、外国人講師によるイマージョン形式の英語教育を行う園として紹介されてきました。対象は2歳からで、預かりは7:00〜19:00と長め。料金体系は公開情報が限られるため、要問い合わせと考えてください。
武岡一丁目のヴェリタスこども園は、幼保連携型認定こども園としてバイカルチャー教育を理念に掲げ、0〜5歳が毎日ネイティブ講師と英語に触れられる環境を用意しています。第三者データベースの公開情報では、3〜5歳は無償化適用後で月およそ2万4,000円(給食費・施設費・特別教育費などを含む)。認定こども園なので日本の教育・保育制度の中にあり、費用面ではもっとも入りやすい選択肢のひとつです。谷山中央七丁目には、0〜2歳を対象としたRaJA International Preschool 谷山BASEが2022年4月に開園しています。
鹿屋・大隅エリア
大隅半島には、単独の校舎を持つインターナショナルスクールは確認できませんでした。ただし、次世代教育森学園のマリア・インターナショナル・スクールが、鹿屋市や肝付町の幼稚園・こども園(星幼稚園、鹿屋幼稚園、松下こども園、みなみのたいよう保育園など)に外国人講師を派遣し、園の中で英語教育を行うプログラムを展開しています。これは通う学校ではなく、いま通っている園に英語の時間が加わる形です。個別レッスンとグループレッスンを組み合わせられ、費用は要問い合わせ。大隅で英語環境を求める家庭にとって、現実的な第一歩になります。
霧島・薩摩川内・姶良・県北、そして離島
正直にお伝えします。霧島市・薩摩川内市・姶良市・出水市など県北・県央の主要都市には、2026年7月時点で常設のインターナショナルスクールやインターナショナルプリスクールを確認できませんでした。全国のプリスクール検索データベースでも、鹿児島県の登録は鹿児島市に集中しており、他市町村はゼロと表示されます。英会話教室やオンライン英語のスクールは各地にありますが、日中を英語で過ごす園という意味での選択肢は、県内ではほぼ鹿児島市に限られるのが現状です。
離島の家庭にとっては、さらに条件が厳しくなります。奄美大島の名瀬から鹿児島市へはフェリーで約11時間、空路でもおよそ1時間。種子島・屋久島・徳之島なども、鹿児島市へ行くこと自体が船か飛行機での移動になります。つまり離島に暮らす家庭にとって、通えるインターナショナルスクールは事実上存在しません。これは努力や情報収集でどうにかなる問題ではなく、地理そのものが決めている現実です。だからこそ、後半でお伝えする通わない選択肢の意味が、鹿児島では他県より大きくなります。全国47都道府県のインターナショナルスクール一覧から、他県の状況もあわせて確認できます。
県内にある「国際教育に近い」選択肢——IB認定校2校
インターナショナルスクールではなくても、国際教育に近い学びは県内にあります。文部科学省のIB教育推進コンソーシアムが公開する認定校・候補校の一覧によると、鹿児島県の国際バカロレア認定校は2校。いずれも中学校段階のMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)のみで、小学校のPYPと高校のDPの認定校は県内にありません。
鹿児島修学館中学校(鹿児島市永吉二丁目)は、九州で初めてMYPの認定を受けた中高一貫校です。11〜16歳を対象とした5年間のプログラムを、中学1年から高校1年相当までで実施し、探究と教科横断のユニットを軸に据えています。DPについては関心校という位置づけで、導入時期は未定です。学費は公式サイトの令和8年度の案内で入学金10万円、授業料月額5万1,000円、教育充実費年額3万6,000円。授業料と教育充実費だけで年間およそ65万円という計算になります。成績や兄弟姉妹の在籍に応じた奨学金制度もあります。
もう1校が、薩摩川内市隈之城町の川島学園れいめい中学校。こちらもMYP認定校で、JR隈之城駅から徒歩1分、さつま・入来・阿久根方面からのスクールバスも運行しています。学費は公式サイトの案内をご確認ください。
ただし、この2校はいずれも日本の一条校で、授業の中心は日本語です。IBの探究的な学び方には触れられますが、全教科を英語で学ぶ環境ではありません。目的が「英語で教科を学ぶこと」なのか「探究型の学びに触れること」なのかで、評価は大きく変わります。
比較でわかる、わが家に合う選び方
県内の幼児向けインター、熊本や福岡など県外の学校、オンライン国際校。この3つは、どれが優れているかではなく、わが家の制約に合うかで選ぶものです。費用・入学のしやすさ・通学の負担・対面での体験・小学校以降も続けられるか——この5つの観点で並べると、迷いがかなり減ります。

鹿児島県の場合、引っかかるのはほぼ確実に最後の行です。県内の施設は費用も通学も入学のしやすさも申し分ないのに、6歳でいったん終わってしまう。だから多くの家庭が、年長の秋になって初めて「その先」を探し始め、選べる時間が残っていないことに気づきます。逆に言えば、いま調べているあなたはまだ間に合います。費用の全体像をもう少し細かく知りたい方は、インターナショナルスクールの学費の内訳を解説した記事もあわせてどうぞ。授業料以外にかかるお金まで見えると、判断の精度が上がります。
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近隣県のインターナショナルスクール(通学圏として現実的か)
鹿児島県から小学校段階以上の英語環境を求めるなら、県外に目を向けることになります。もっとも近いのは熊本県です。鹿児島中央駅から熊本駅までは九州新幹線でおよそ45分。熊本市内には英語で学べる学校があり、詳しくは熊本県のインターナショナルスクールの記事で整理しています。さらに北へ向かえば、九州でもっとも選択肢が多いのが福岡です。鹿児島中央駅から博多駅までは新幹線でおよそ1時間20分。校数・カリキュラムの幅ともに九州随一で、福岡のインターナショナルスクールの記事にまとめています。南に目を向ければ沖縄県にも米国系を中心とした学校が複数あり、沖縄県のインターナショナルスクールの記事で紹介しています。
ただし、ここも正直にお伝えします。新幹線で45分という数字は、通学が現実的だという意味ではありません。往復の交通費は年間で数十万円規模になりますし、小学生が毎朝新幹線に乗る生活を6年間続けるのは、体力の面でも家庭の送迎負担の面でもかなり重いものです。実際に県外の学校を選ぶ家庭の多くは、転居するか、寮のある学校を選ぶか、保護者のどちらかが平日だけ別居する形をとっています。志望校を絞る前に、通学時間だけでなく「その形を6年間続けられるか」を家族で一度話し合ってみてください。
通える範囲に見つからないなら——オンラインという選択肢
ここまで読んで、「県内には続けられる学校がない。でも熊本や福岡まで毎日通わせるのは無理だし、転居もできない」と感じた方も多いはずです。そんな家庭のために、私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年4月開校のオンライン・インターナショナルスクールを準備しています。
運営は、日本でオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJIN。NIJINアカデミーにはすでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。NGAが大切にしているのは、脱偏差値——テストの点数で子どもを並べないこと。少人数の対話を中心に、「自分と世界を、好きになる」学びを設計しています。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳。住む場所を選ばないので、鹿児島市でも霧島でも鹿屋でも、そして奄美大島や種子島でも、条件はまったく変わりません。フェリーで11時間かかる島に暮らしていても、教室までの距離は同じゼロです。日本語の支えを前提に、少しずつ英語に触れられる設計にしているのも、日本の家庭にとって現実的だと考えているからです。学費は対面のインターナショナルスクールの約5分の1を目指しています。
地元の学校に籍を置いたまま、放課後や週末にオンラインで英語で学ぶダブルスクールという形もあります。いきなり学びの中心を移すのが不安なら、こちらから始める家庭も少なくありません。
正直な注意点もお伝えします。NGAはまだ開校前で、実績はこれから積み上げる段階です。そして、校庭で走り回る体験や、同じ教室で肩を並べる感覚は、対面の学校と同じようには提供できません。それでも「近くに無いから、あきらめる」を「通わなくても、続けられる」に変えられる家庭が、鹿児島県には確かにいるはずだと考えています。
よくある質問
Q. 鹿児島県に、小学生が通えるインターナショナルスクールはありますか?
A. 全教科を英語で学ぶ全日制の学校は、2026年7月時点の公開情報では確認できませんでした。小学生向けにあるのは、鹿児島市のC-Lab(3歳〜小6・平日通い放題で月2万5,000円)やDuckPond International School、KOOKA KIDS ENGLISH HOUSEのような放課後型の英語環境です。地元の小学校に通いながら英語の時間を厚くする形になるため、「学校を英語に置き換える」ことを望む場合は、県外への転居かオンラインを検討することになります。
Q. 奄美大島など離島に住んでいます。国際教育はあきらめるしかないですか?
A. 通学という形にこだわるなら、正直に言って難しいです。奄美大島から鹿児島市までフェリーで約11時間、空路でも約1時間かかり、毎日の通学は成立しません。ただし国際教育=通学ではありません。オンラインの国際校であれば、住んでいる島と本土の家庭とで条件はまったく同じになります。実際に、通学圏という考え方から自由になった瞬間に選択肢が一気に増えるのは、離島に暮らす家庭のほうです。
Q. 英語を増やすと、日本語の力が中途半端になりませんか?
A. よくいただく不安です。鹿児島県の場合、県内の施設はほとんどが日本の制度の中にある園やこども園なので、日本語の土台は保たれやすい環境にあります。一方で、英語の時間を大きく増やす場合は、日本語をどう担保するかを先に決めておくことが大切です。日本語が不安なご家庭には、姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。学校選びの際は、パンフレットの説明ではなく実際の週間時間割を見せてもらいましょう。
「通えるか」ではなく「続けられるか」で選ぶ
鹿児島県のインターナショナルスクール探しは、正直に言えば簡単ではありません。全日制の英語校はなく、施設は鹿児島市に集中し、IB認定校は中学のMYPが2校だけ。そして離島からは、そもそも通うという発想が成り立ちません。でもそれは、あなたのお子さんに国際教育は無理という意味ではまったくありません。県内の幼児向けインター、県内のIB認定校、熊本・福岡・沖縄への進学、そしてオンライン——道は一本ではなく、いま4本あります。
大切なのは、入れる学校を探すことより、お子さんが何年も安心して続けられる学びを選ぶことです。焦らなくて大丈夫です。まずは今日、気になった施設をひとつ見学予約してみる。それだけでも、選択肢の景色は変わります。
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