フルタイムで働きながら、子どもにインターの学びも——そう考えたとき、最初に立ちはだかるのは英語力ではなく1日の時間割です。先に結論をお伝えします。共働き家庭がインターを併用するスケジュールは、「夜を延ばす」のではなく「放課後の枠を1つ入れ替える」ことで成立します。学童のあとに新しい予定を積み増すのではなく、すでにある放課後の時間のうち週1〜2コマを、英語で教科を学ぶ時間に置き換える。この記事では、平日1日と1週間のタイムテーブルを3つの働き方パターンで具体的に示し、学童の終了時刻や高学年の受け皿といった現実を公的データで確認したうえで、睡眠を削らずに続けられる設計と、正直に「向かないご家庭」の条件までお伝えします。
この記事でわかること
- 共働きの平日1日のモデル時間割(フルタイム×2/時差出勤/在宅併用の3パターン)
- 週7日をどう配分するか——「やらない日」を先に決める1週間モデル
- 学童の終了時刻・待機・小4の壁を、こども家庭庁の最新データで確認
- 睡眠を削らないための上限ルールと、この方法が向かないご家庭の条件

共働きで「インター併用」がうまくいかないのは、英語ではなくスケジュールの問題
総務省の労働力調査(2024年平均)によれば、共働き世帯は1,300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯。すでに共働きが標準です。そのうえで多くのご家庭が、放課後の時間を学童・宿題・習い事・夕食・入浴・就寝という動かしがたいブロックで埋めています。ここに「インターの学びも」と足そうとすると、押し出されるのはたいてい睡眠か、家族の会話です。だから続かない。英語への意欲の問題ではありません。
もうひとつ、見落とされがちな前提があります。対面のインターナショナルスクールに通わせる場合、それは時間割の追加ではなく、生活そのものの引っ越しになります。送迎、朝の同行、平日の行事、そして日本の学校を離れるという判断。共働きでこれを回すのは簡単ではありません。インターナショナルスクールとは何かを整理すると、「学校を替える」以外の道が見えてきます。
そこで考え方を変えます。時間を増やす発想をやめ、いまある放課後の枠のうち週1〜2コマだけを入れ替える。これなら、朝の出発時刻も、お迎えの時刻も、就寝時刻も動きません。この記事でご紹介するのは、その「入れ替え」の具体的な設計図です。

いまの選択肢の現実——学童・英語学童・対面インターを時間で見る
感覚ではなく数字で確認します。こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)によると、放課後児童クラブの登録児童数は1,570,645人で過去最高、クラブ数は25,928か所です。平日の終了時刻は18時31分〜19時00分が14,229か所(54.9%)と最も多く、19時01分以降は1,912か所(7.4%)。18時半を超えて開所しているクラブは全体の約62%にのぼります。裏を返せば、18時までに終わるクラブも約16%あります(17時00分まで0.4%+17時01分〜18時00分15.7%)。お住まいの自治体がどちらなのかで、設計できる時間割はまったく変わります。まずここを確認してください。
次に、続けられる期間の問題です。同じ資料の学年別登録児童数を見ると、小学1年生が456,418人(29.1%)なのに対し、小学4年生は198,714人(12.7%)、小学5年生は102,111人(6.5%)、小学6年生は52,553人(3.3%)。低学年で全体の約78%を占めます。さらに待機児童数16,330人の内訳は、小学4年生が5,589人で全学年中もっとも多い状態です。多くの自治体が低学年を優先するため、4年生への進級と同時に放課後の居場所が消える——いわゆる小4の壁が、データとしてはっきり出ています。
英語学童・英語アフタースクールは、この預かりと英語をひとつにした賢い解です。ただし育つのは主に生活の中の英語で、教科を英語で考える力とは別物でした。この構造は英語学童の効果と限界で詳しく書いています。そして高学年になるほど、内容も学年も合わなくなっていきます。
対面インターは中身では申し分ありません。けれど平日の通学時間、送迎、そして日本の学校を離れる判断が、共働きの生活と正面からぶつかります。どれかが悪いのではなく、どれも時間の面で共働きと相性の悪い部分を抱えている——これが出発点です。
第三の答え——日本の学校に籍を残したまま、放課後の枠を入れ替える
私たちが提案するのは、放課後の枠のうち週1〜2コマをオンラインで英語で教科を学ぶ時間に入れ替えるダブルスクールという形です。制度面・費用面を含めた全体像はダブルスクール完全ガイドに、放課後だけインターの学びを取り入れる方法は放課後インターという選び方にまとめています。
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校予定のオンラインインターナショナルスクールです。運営は日本の株式会社NIJIN。子どもは日本の学校に在籍したまま参加するため、就学義務は日本の学校でクリアしたまま、進学ルートも今の友だち関係も変わりません。学ぶのは英会話ではなく、算数や理科や社会を英語で考えるインター型の授業です。順位や偏差値で競わせず、少人数の対話を中心に「自分と世界を、好きになる」ことを大切にしています。対象は6〜18歳。いきなり英語漬けにするのではなく、日本語の支えを前提に少しずつ英語へ移していきます。
共働きにとって決定的なのは、送迎がゼロになることです。学童から帰ってきた食卓で、そのまま画面を開けば授業が始まる。この15分の移動時間が要らないという一点が、平日の時間割では驚くほど効きます。学費は対面インターナショナルスクールの約5分の1を目標としています(開校前のため具体額は非公開です)。費用の全体像や公的な支援制度の有無についてはインターナショナルスクールに補助金・助成はあるのかもあわせてご確認ください。
正直に書いておきます。NIJINが運営する日本のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には900名以上が在籍していますが、NGA自体はまだ開校前で、実績はこれからです。校庭で走り回ることも、放課後に肩を並べる対面の友だちも、オンラインでは提供できません。そして預かりの機能はありません。学童の代わりにはならない、というのは繰り返しお伝えしておきたい点です。


共働きのスケジュール実例——平日1日の時間割モデル3パターン
ここからが本題です。働き方によって設計はまったく変わるので、代表的な3パターンでお見せします。共通のルールはひとつだけ。就寝時刻から逆算して組み、絶対に後ろへずらさないことです。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、小学生に9〜12時間、中学・高校生に8〜10時間の睡眠を参考値として示しています。この下限を割る時間割は、どれだけ内容が良くても失敗します。
※NGAの正式な時間割は開校前のため未確定です。以下は「放課後の枠に週1〜2コマのオンライン授業(45分前後)を置いたら生活はどうなるか」を検討するための設計例としてお読みください。
パターンA:フルタイム×2・学童は18時30分まで
もっとも多いケースです。授業の枠は夕食と入浴を終えたあとに置き、週2日だけにします。宿題は学童で終わらせてくる前提です。
| 時刻 | 子ども | 親 |
|---|---|---|
| 6:45 | 起床・朝食・支度 | 朝食準備/交代で出勤準備 |
| 7:50 | 登校 | 出勤 |
| 15:00 | 下校→学童(宿題はここで完了) | 勤務中 |
| 18:30 | 学童終了・お迎え | 先に帰れる方がお迎え |
| 19:00 | 夕食(会話の時間) | 夕食・片づけ |
| 19:45 | 入浴 | 洗い物・翌日準備 |
| 20:15 | 週2日:オンライン授業(45分前後)/他の日は読書・自由時間 | 同席は最初の数回だけ。あとは家事を進める |
| 21:00 | 画面を閉じて、今日の話を少しする | 聞き役に回る |
| 21:30 | 就寝(起床6:45で睡眠9時間15分) | — |
睡眠は9時間15分。小学生の参考値9〜12時間の下限ぎりぎりです。ここは正直に書きます。低学年のお子さんや、朝が弱いお子さんの場合、このパターンAはおすすめしません。次のパターンBかC、あるいは土曜日に寄せる設計に切り替えてください。
パターンB:時差出勤・どちらかが早番でお迎えできる
片方の親が早番(7時始業・16時30分退勤など)にできるなら、設計は一気に楽になります。授業を夕食前に置けるからです。子どもの集中力も、この時間帯の方が確実に高くなります。
| 時刻 | 子ども | 親 |
|---|---|---|
| 6:15 | 起床・朝食 | 早番の親は6:30に出発 |
| 15:00 | 下校→学童(宿題) | 勤務中 |
| 17:00 | お迎え→帰宅(17:30) | 早番の親がお迎え |
| 17:35 | おやつ・切り替えの15分 | 夕食の下ごしらえ |
| 18:00 | 週2日:オンライン授業(45分前後) | 同じ部屋で家事。声かけはしない |
| 19:00 | 夕食(遅番の親も合流) | 遅番の親が帰宅 |
| 20:00 | 入浴・自由時間 | 翌日準備 |
| 21:00 | 就寝(起床6:15で睡眠9時間15分) | — |
朝が早いぶん、就寝も早めています。授業の前に「おやつと15分の何もしない時間」を必ず挟むのがコツです。学童から帰ってすぐ画面に向かわせると、子どもは高い確率で「もういやだ」と言い始めます。
パターンC:在宅勤務を週2日組み合わせられる
在宅の日だけ学童を休み、明るいうちに授業を置く設計です。3つの中でもっとも睡眠に余裕が出ます。ただし親が在宅=親が対応できる、ではないという点は割り切ってください。同じ家にいても仕事中は仕事中です。オンラインなら、そこが両立できます。
| 時刻 | 子ども | 親(在宅) |
|---|---|---|
| 15:30 | 下校→直帰・おやつ | 在宅勤務中(会議は入れない時間帯に) |
| 16:00 | オンライン授業(45分前後) | 別室で勤務。開始だけ見届ける |
| 17:00 | 宿題・外遊び・自由時間 | 勤務中 |
| 18:30 | 夕食 | 勤務終了・夕食 |
| 19:30 | 入浴・家族の時間 | 片づけ |
| 21:00 | 就寝(起床6:45で睡眠9時間45分) | — |
1週間の設計——「やらない日」を先に決める
1日の時間割よりも、じつは1週間の配分のほうが重要です。共働きの時間割が壊れるのは、たいてい予定を詰めすぎた週の水曜日あたりだからです。そこで、埋める前に何もしない日を2日決めてしまうことをおすすめします。
| 曜日 | 放課後 | 夜 | この日の「やらないこと」 |
|---|---|---|---|
| 月 | 学童(宿題) | 読書・自由 | 週明けは何も足さない |
| 火 | 学童(宿題) | オンライン授業① | この日は習い事を入れない |
| 水 | 習い事(スイミング等) | 早めに就寝 | 英語は完全にお休み |
| 木 | 学童(宿題) | 何もしない日 | 予定を入れない(予備日) |
| 金 | 学童(宿題) | オンライン授業② | 翌日が休みなので少し遅くてもよい |
| 土 | 午前に課題や振り返り30分 | 家族の時間 | 午後は勉強に触れない |
| 日 | 完全オフ | 完全オフ | 来週の予定確認だけ5分 |
この1週間で、英語で教科を学ぶ時間は週2コマ+土曜の30分。少なく見えるかもしれませんが、1年間で確実に続くほうが、3か月で燃え尽きるより圧倒的に強いというのが、私たちの正直な考えです。第二言語で教科を理解し論じられる力は、年単位で育つものだからです。短期間で楽にバイリンガルになる、とは申し上げません。
設計の原則を3つだけ挙げます。第一に習い事と喧嘩させないこと。スイミングやピアノを削って英語を入れると、子どもの中で英語が「奪ったもの」になります。既存の習い事はそのまま、空いている曜日にだけ置いてください。第二にやらないことを先に決めること。週に2日は完全に空けます。第三に就寝時刻は動かさないこと。授業が延びたら、その分は翌週に回します。睡眠を削って捻出した時間は、翌月の体調不良で必ず返済させられます。
この記事で参照した出典
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/houkago-jidou
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
- 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2024年平均」に基づく共働き世帯数の集計(労働政策研究・研修機構)https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/04/c_01.html
※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
始め方の3ステップ
いきなり週2コマから始める必要はありません。順番があります。
最初にやることは、いまの1週間をそのまま書き出すことです。頭の中で管理していると、必ず「なんとなく忙しい」で終わります。放課後から就寝までを紙に書き出すと、たいてい週に1〜2枠、惰性で埋まっているだけの時間が見つかります。まずは学童の終了時刻と、水曜の夜が本当に埋まっているかを確認してください。
次に、週1コマだけ、曜日を固定して置く。曜日を毎週変えると、家族全員の記憶容量を食います。固定してしまえば、3週目には誰も意識しなくなります。同時に、その日はやらないことを1つ決めるのを忘れずに。ここを飛ばすと、単なる予定の積み増しになって崩れます。
最後に、3か月続けてから増やすかを決める。判断材料はテストの点数ではありません。お子さんが授業の話を自分から始めたかどうかです。話し始めていれば週2コマへ。まだなら、時間帯を変えるか、そのまま週1コマで続けます。

よくある質問
Q. 学童をやめてダブルスクールに切り替えるべきでしょうか?
いいえ、切り替えないでください。オンラインのスクールに預かりの機能はありません。学童が担っているのは「安全に過ごせる居場所」であり、そこは代替できないからです。前提は併用です。ただし小学4年生以降、待機や低学年優先で学童の枠から外れるご家庭は少なくありません(令和7年の待機児童は小4が5,589人で最多)。その時期に、放課後の過ごし方を組み替える選択肢として検討していただくのが現実的だと思います。
Q. 平日は本当に余裕がありません。土日だけの参加はできますか?
週末に寄せる設計は十分に成立します。むしろ低学年のお子さんや、学童のお迎えが19時近くになるご家庭では、平日に無理に入れるより週末型のほうが続きます。その場合も、土日の両方を埋めないでください。片方は完全に空けておくことをおすすめします。
Q. 親が横についていないといけませんか?仕事中は無理です。
最初の数回は同じ部屋にいてあげてください。接続や名前の呼ばれ方に慣れるまでの安心のためです。そのあとは、同じ家にいるけれど別のことをしている状態で問題ありません。学習内容を親が教える必要はなく、そこは講師の役割です。親御さんの仕事は、終わったあとに「今日は何の話だった?」と一言聞くことだけです。
Q. 日本の学校の勉強や、日本語が心配になりませんか?
週1〜2コマの併用であれば、生活の中心は日本の学校のままです。日本の学校が積み上げてきた基礎学力や集団生活の力は、私たちが手放してほしくないと考えているものでもあります。ダブルスクールは日本の学校を否定するものではなく、その上に世界を足す設計です。なお、ご家庭の事情で日本語の維持そのものが不安な場合は、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです。
時間が足りないのは、あなたの努力不足ではありません
共働きで子どもを育てながら、教育の選択肢まで考える。それだけで、すでに十分すぎるほどのことをされています。時間割が組めないのは、頑張りが足りないからではなく、放課後という枠がもともと狭いからです。
だから私たちは、増やすのではなく入れ替えることをおすすめしています。週にたった1コマ、夕食のあとの45分。それでも、お子さんが英語で世界のことを考える時間は、確実にゼロではなくなります。最後に正直なことを書いておきます。学童のお迎えが毎日19時を回るご家庭や、平日に一切余裕がないご家庭では、平日型の併用は無理をすることになります。週末型にするか、いまは見送るという判断も十分に正しいと思います。家族が笑っていられる時間割であることが、何よりの前提です。いつか夕食の席で「今日ね、英語でこんなことを話したよ」と言い出す日のために、いまできる小さな入れ替えを一緒に考えさせてください。
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