「英語だけは、本格的にやらせたい」——お子さんが小学生になって、そう思い始めたあなたへ。先に結論をお伝えします。「本格的」の正体は、レッスンの値段でも教材の質でもなく、英語を使って何かを考えた時間の総量です。その時間を用意する役目は親が担えますが、親自身が英語を話せる必要はありません。ただし「親の英語力は関係ない」を、そのまま受け取らないでください。親の仕事がゼロになるのではなく、教える役から、環境を設計して伴走する役へ変わるだけです。公的データで「本格的とは何時間の話なのか」から確認していきます。年単位の時間がかかる現実も、正直に書きます。
この記事でわかること
- 小学校の英語は実際に何時間なのか(法令ベースの数字)
- 英会話・おうち英語・英語学童が、どこで止まりやすいか
- 親に英語力がなくてもできる、環境設計と伴走
- 日本の学校を辞めずに「英語で教科を学ぶ」時間を足す方法

小学生に英語を本格的に習わせたいなら、最初に見るべきは「時間の桁」
教室選びの前に、土台になる数字を3つだけ共有させてください。ここを飛ばすと、良い教室に通わせているのに伸びない、という一番つらい場所で止まります。
数字1:小学校の英語は、4年間でおよそ158時間。 授業時数は学校教育法施行規則の別表で定められています(e-Gov法令検索・学校教育法施行規則 別表第一)。第3・4学年の外国語活動が年35単位時間、第5・6学年の外国語科が年70単位時間。小学校の1単位時間は45分と同じ表の備考にあるので、小3から小6までの210単位時間は実時間でおよそ158時間です。中学校は外国語が各学年140単位時間・1単位時間50分(別表第二)なので、小3から中3までの9年を足しても約510時間。学校が手を抜いているのではなく、そもそも与えられている枠がこの量だという話です。
数字2:日本語話者にとって、英語は「遠い言語」。 米国務省の外交官養成機関FSIは、英語話者から見た言語の遠さを4段階に分けており、日本語は最難関のカテゴリーIV。職務遂行レベルに届く目安は2,200授業時間・88週とされています(ACTFL公式のテスト機関Language Testing Internationalによる解説:How Long Does it Take to Become Proficient in a Language?)。成人がフルタイムで学ぶ前提で、しかも英語話者が日本語を学ぶ側の数字ですから、お子さんにそのまま当てはめることはできません。それでも、日英が互いに最も遠い部類にあり、必要な時間の桁が「数百」ではなく「数千」の世界であることは、目安として知る価値があります。
数字3:9年学んでも、中3のA1相当以上は54.6%。 文部科学省の令和7年度「英語教育実施状況調査」(調査基準日2026年2月1日・同年6月18日公表)では、中学3年生でCEFR A1相当(英検3級程度)以上と判断された生徒は54.6%でした(文部科学省・令和7年度「英語教育実施状況調査」の結果について)。過去最高の数字ですが、裏を返せば9年かけて半数強が英検3級相当というのが、学校教育だけに任せた場合の到達点です。

英会話・おうち英語・英語学童が「本格的」に届きにくい、構造的な理由
先にお伝えすると、これらが無意味だという話ではまったくありません。学研教育総合研究所の小学生白書(2024年11月調査)では、小学生の習い事で英会話教室は水泳24.6%、塾16.9%に次ぐ3位・14.3%でした(学研教育総合研究所・小学生白書Web版)。英語の音に慣れる、口に出す抵抗が消える——ここは英会話やおうち英語がいちばん得意な領域です。
問題は「その先」で起きます。理由は3つあり、どれもお子さんの能力とは無関係です。
理由1:足し算しても、時間が届かない。 週1回50分を年40回受けたとして、単純計算で2,000分=年およそ33時間。6年続けても約200時間で、小学校の英語約158時間と足しても合計およそ360時間です。足りないのは熱意ではなく、単純に時間です。
理由2:英語が「目的」のままで終わる。 英会話やおうち英語では英語そのものが学習の対象です。ところが本格的に使える人は、英語を手段として使っています。実験の結果を英語で説明する、意見の違う相手に英語で反論する——この時間は、コマ数を増やしても自動的には生まれません。おうち英語をやり切ったご家庭がぶつかる壁は、おうち英語の「その先」で構造ごと整理しています。
理由3:出口が設計されていない。 英語学童は預かり時間が長く、触れる量では有利です。それでも多くは「英語環境のある放課後」であって、学年に沿って積み上がるカリキュラムを持つとは限りません。今日やったことが3年後の何につながるのかが見えないと、親も子も迷子になります。年齢ごとの目標は日本在住のバイリンガルの育て方で時期別に分けました。
つまり既存の選択肢は、「英語を学ぶ」道具として優秀すぎて、「英語で学ぶ」用にはできていないだけです。やめる必要はありません。足す種類を間違えないことのほうが大事です。
第三の答え:日本の学校を辞めずに「英語で教科を学ぶ」時間を足す
本格的にやらせたいと考えたとき、多くのご家庭が次に見るのが対面のインターナショナルスクールです。インターナショナルスクールとはで整理したとおり、そこでは英語は科目ではなく、算数も理科も英語で進みます。
ただ、フルタイムの対面インターには現実的な壁が2つあります。ひとつは、日本の多くのインターが一条校ではないため日本の学校を離れることになり、進学ルートの見通しが変わること。もうひとつは費用で、公的な支援を使えるかどうかは自治体によって異なります(インターナショナルスクールの無償化・補助金にまとめました)。
そこで出てくるのが、昼は日本の学校に通い、放課後や週末にオンラインでインターの授業を足す併用のかたち、ダブルスクールです。籍は日本の学校に残したまま、足りない種類の時間だけを加える。日本の学校の良さを手放さずに、世界を足す考え方です。この形なら、進学ルートも今のままです。
私たちNIJIN GLOBAL ACADEMYも、この形をとっています。2027年9月開校予定のオンライン・インターナショナルスクールで、対象は6〜18歳。英会話ではなく英語で教科を学ぶ授業を、少人数の対話で進めます。日本語の支えを前提に少しずつ英語へ移すので、英語ゼロからでも入口があります。学費は対面インターのおよそ5分の1を目指し、順位をつけない脱偏差値の方針は、運営元の株式会社NIJINが日本で運営し900名以上が在籍する「NIJINアカデミー」から引き継いでいます。まだ開校前で、卒業生の実績はこれからです。そこは正直にお伝えしておきます。


親がやるのは「教えること」ではなく、環境設計と伴走
学研が運営するスキルアップ研究所が2025年6月に英語学習中の子を持つ保護者200名へ行った調査では、保護者自身の英語力は「ほとんど話せない」40.5%、「簡単な会話ができる」42%で、8割以上が初心者から初級。関われない理由の最多は「英語力に自信がない」で57.7%でした(スキルアップ研究所・子どもの英語学習における親の関与実態調査)。サンプルは200名と大きくありませんが、多くの家庭が同じところで手を止めているようです。
ただ、ここで止まる必要はありません。英語を教えるのは、教える人の仕事です。親の仕事は別に3つあります。
1つめ、時間を確保して守ること。 どの曜日の何時を英語に充てるかを決め、他の予定に侵食されないよう守る。家庭のスケジュール権限を持つ人にしかできない仕事です。
2つめ、内容ではなく状態を見ること。 発音や文法を直す必要はありません。今日は楽しそうだったか、終わったあとに何か話したがっていたか。この観察は日本語でできます。合っていない環境は、たいてい表情に先に出ます。
3つめ、半年に一度、設計を見直すこと。 1年生のやり方を4年生に続けない。英語に「触れる」段階から英語で「考える」段階へいつ切り替えるかを決めるのは親です。ここにも英語力は要りません。
そして正直に付け加えます。この3つをやっても、バイリンガルは簡単には育ちません。会話が滑らかになるまでに数年、英語で教科を理解して意見を書けるところまではさらに年単位です。近道がないからこそ、早い時期に時間の設計を決める意味があります。

※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
よくある質問
Q. 親がまったく英語を話せなくても大丈夫ですか?
お子さんが伸びるかどうかに、親御さんの英語力はほとんど効きません。ただ「何もしなくていい」という意味ではありません。時間を守る、状態を見る、半年ごとに設計を見直す——この3つは親御さんにしかできず、すべて日本語でできる仕事です。英語ができないことより、設計しないまま続けてしまうことのほうが結果に響きます。
Q. 英語がほぼゼロなのに、英語で教科を学ぶのは無理では?
いきなりフル英語の授業に入れば、確かに無理があります。私たちが日本語の支えを前提にしているのはそのためで、最初は日本語で理解を確かめながら英語の割合を増やします。完璧に話せてから始めるという順番では、いつまでも入口に立てません。
Q. 英語を増やすと、日本語がおろそかになりませんか?
とても大切な視点で、私たちも同じ懸念を持っています。母語で抽象的に考える力は第二言語にも転移するというのが第二言語習得研究の基本的な考え方で、日本語を削って英語を増やすのは、いちばん避けたい進め方です。日本の学校に籍を残す併用型をおすすめするのは、この土台を崩さないためでもあります。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)。
「本格的」は、才能ではなく設計の話です
思っていたより長い道のりだと感じられたかもしれません。その感覚は正しいです。学校の英語は小学校で約158時間、中3までで約510時間。近道はありません。それでも、悪い知らせばかりではありません。足りないのは家庭の英語力ではなく、英語で何かを考える時間の種類だけだからです。そこがはっきりすれば、やることは「英会話をもう1コマ増やす」ではなく「英語で学ぶ時間を週に1つ足す」に変わります。その判断は、英語を話せなくてもあなたにできます。
お子さんが伸びる時期を親が決めることはできません。それでも、環境を用意することはできます。今の生活も日本の学校も手放さずに、足りない種類の時間だけを足す——その一歩を探しているなら、開校に向けた準備の様子をのぞいてみてください。
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