週に2時間、英語学童に通わせている。楽しそうに通ってはいる。でも——本当に「効果」は出ているのだろうか。先に結論をお伝えします。英語学童は「意味がない」わけではありません。共働きのご家庭にとって、放課後の預かりと英語がひとつになった環境は、時間もお金も限られた中で選べる、とても合理的な選択です。ただし、そこには構造からくる限界があります。それは運営する会社や先生の努力不足ではなく、「放課後の預かりの場」という形そのものが持つ性質です。この記事では、英語学童の効果とデメリットを出典つきで正直に整理したうえで、今の英語学童をやめずに、足りない部分だけを足すという第三の答えをご提案します。

この記事でわかること
- 英語学童が本当に果たしている役割(預かり・生活の中の英語・友だち)
- 「効果が見えない」と感じる5つの構造的な理由
- 「週2時間で足りる?」に、授業時数と第二言語習得の考え方から答える
- 英語学童をやめずに、放課後の枠へ「英語で教科を学ぶ時間」を足す方法
「英語学童の効果」に、私たちは本当は何を期待しているのか
こども家庭庁の集計では、放課後児童クラブ(学童)の登録児童数は1,570,645人、クラブ数は25,928か所にのぼります(令和7年5月1日現在)。放課後をどう過ごさせるかは、共働き家庭にとって最大級のテーマです。そこに「せっかく預けるなら英語も」という願いが重なって生まれたのが、英語学童・英語アフタースクールという形でした。預かりと習い事を一度に解決できる——この発明は、率直に言ってよくできています。
ところが1年、2年と通わせるうちに、多くの親御さんが同じ場所で立ち止まります。あいさつや簡単なやりとりは出てくる。歌やゲームは楽しんでいる。けれど、英語で何かを考えている姿は見えてこない。ここで「英語学童は効果がないのでは」「デメリットの方が大きいのでは」と検索が始まります。
でも、立ち止まっている本当の理由は「効果がない」ことではありません。期待していたものと、提供されているものが、少しだけ別のものだった——それだけです。英語学童が育てているのは主に「生活の中で使う英語」。多くの親御さんが本当に見たかったのは「考えるための英語」でした。同じ英語という名前でも、この2つは育ち方がまったく違います。

英語学童ができること・できないこと(効果とデメリットを構造で見る)
批判ではなく、設計の話として整理します。まず、英語学童が確かに果たしている役割から。
できること1:長時間の預かりそのもの。 たとえば大手のKids Duo(キッズデュオ)は、公式サイトで標準の預かり時間を13時30分〜19時30分、延長で20時30分までと案内しています(2026年8月時点)。学童保育としての機能が、まず親を助けています。これは英語の効果とは別軸の、まぎれもない価値です。
できること2:生活時間の中で英語に触れられること。 おやつ、工作、外遊び、けんかの仲裁まで英語で進む環境は、週1回の教室型レッスンでは作れません。「英語=勉強」ではなく「英語=空気」という感覚は、この形だからこそ育ちます。
できること3:英語を使う友だちができること。 「間違えても平気」という空気は、教材からではなく人からしか生まれません。ここを軽く見るべきではないと私たちは思っています。
そのうえで、限界も正直に書きます。
限界1:育つのは主に「会話の言語」で、「教科の言語」ではない。 カナダの言語学者ジム・カミンズは、第二言語の力をBICS(生活言語能力)とCALP(学習言語能力)に分けて説明しました。日常会話の流暢さは十分な接触があればおよそ1〜3年で立ち上がる一方、教科の内容を理解し、書いて論じられるレベルの言語力は5〜7年かかるとされています。英語学童の中心は遊びと生活、つまりBICS側です。CALPは、算数や理科を英語で扱う時間の中でしか育ちません。
限界2:日本語に戻る力が強く働く。 在籍する子どもの多くが日本語話者である以上、子ども同士の会話は自然と日本語へ流れます。これは子どものせいでも運営のせいでもなく、集団の言語環境が持つ性質です。結果として「滞在時間」と「実際に英語で考えていた時間」の間に、無視できない差が生まれます。
限界3:指導者が入れ替わる。 ネイティブ講師の在籍期間は施設によってばらつきがあり、担当が替われば関係づくりはやり直しになります。子どもが安心して英語を出せるようになるまでには時間がかかるため、この入れ替わりは学びの連続性に影響します。
限界4:学年が上がるほど内容が合わなくなる。 多くの英語学童は未就学児から小学校低学年に重心があります。高学年になると、子ども自身が「歌とゲームはもういい」と感じ始める。一方で、その年齢に合った「英語で抽象的なことを考える」プログラムは用意されていないことが多い。この端境期に、多くのご家庭が続けるか迷います。
限界5:費用対効果が見えにくい。 英語学童は料金体系が施設ごとに異なり、公式サイトに月額を掲載していない場合も少なくありません(大手でも公式サイトに月額を掲載せず、各校舎への問い合わせが必要なケースがあります/2026年8月時点)。比較の土台がないと、「払っている額に見合っているか」を親が判断できません。金額が高いことが問題なのではなく、効果と金額を突き合わせられないことが問題です。なお教室型の英会話であれば料金は比較的公開されており、たとえばヤマハ英語教室の小学生英語コースは1回50分・年42回で月額8,030円〜9,130円(税込・2026年8月時点、教材費や施設費は別途)と公式に案内されています。検討中の施設については、必ず公式の料金表と契約条件をご確認ください。
「週2時間で足りますか?」に、数字で正直に答える
いちばん多い質問に、はっきり答えます。まず、週2時間は決して少なくありません。
学校の英語と比べてみましょう。文部科学省の学習指導要領が定める標準授業時数は、小学3・4年の外国語活動が年35単位時間、小学5・6年の外国語科が年70単位時間、中学校の外国語が各学年140単位時間。小3から中3までの9年間で630単位時間です。1単位時間は小学校45分・中学校50分なので、実時間ではおよそ510時間、1年あたりにならすと約57時間にしかなりません。
これに対し、週2時間の英語学童は年40週として年間約80時間。週2日×3時間なら年間約240時間です。つまり量だけを見れば、英語学童は学校の英語授業をすでに大きく上回っています。ここは自信を持っていい部分です。
では、その先は。英語の試験機関LanguageCertは、CEFRの各レベルを修了する目安としてA1・A2が各95時間、B1・B2が各180時間、C1が200時間、C2が250時間という数字を公開しています(同社は「これらは累積値ではない」と明記)。単純に積み上げれば、中級上位のB2まででおよそ550時間。ここに前述のCALP=5〜7年という話が重なります。
ここで大切なのは、「◯時間やればバイリンガル」という話ではないということです。年齢、母語の発達、家庭での使用、本人の関心によって必要な時間は大きく変わります。私たちは「短期間で楽にバイリンガルになる」とは言いません。第二言語の習得には年単位の時間がかかる、というのが正直なところです。
そのうえで申し上げたいのは、足りないのは「時間の長さ」より「時間の種類」だということ。週2時間を4時間に増やしても、中身が遊びと会話のままなら伸びるのはBICS側です。CALPを伸ばしたいなら、たとえ週1〜2コマでも英語で教科を学ぶ時間が必要になります。「英語を学ぶ」と「英語で学ぶ」の違いはオンライン英会話だけでは足りない理由で、放課後の英語環境の選び方は放課後にインターの学びを取り入れる方法で詳しく書きました。
第三の答え:やめずに「足す」。放課後の枠で、英語で教科を学ぶ
ここまで読んで、「では英語学童をやめるべきか」と思われたかもしれません。答えはいいえです。預かりが必要なご家庭にとって、英語学童をやめることは生活そのものを壊しかねません。そこで育った「英語は怖くない」という感覚は、次の段階の土台にもなります。せっかく積んだものを崩す必要はありません。
私たちが提案したいのは、引き算ではなく足し算です。英語学童は続けたまま、週に1〜2コマだけ、英語で教科を学ぶ時間を放課後に加える。これがダブルスクールという考え方です。
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校予定のオンライン・インターナショナルスクールです。運営は日本の株式会社NIJIN。日本の学校に籍を残したまま放課後や週末に参加できるので、就学義務は日本の学校でクリアしたまま、進学ルートも今の友だち関係もそのままです。学ぶのは英会話ではなく、算数や理科や社会を英語で考える本物のインター型。順位や偏差値で競わせず、少人数の対話を通じて「自分と世界を、好きになる」ことを大切にしています。対象は6〜18歳で、いきなり英語漬けにするのではなく、日本語の支えを前提に少しずつ英語へ移行します。学費は対面インターナショナルスクールの約5分の1を目標としています(開校前のため具体額は非公開です)。
正直に書いておきます。NIJINのオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には900名以上が在籍していますが、NGA自体はまだ開校前で、実績はこれからです。そして、校庭で走り回ることも、対面で肩を並べる友だちも、オンラインでは提供できません。そこは英語学童の方が優れています。だからこそ、どちらかを選ぶのではなく役割を分けて両方持つのが現実的だと考えています。


英語学童を続けながら「足す」ための3ステップ
大きく変える必要はありません。順番を守れば、家計も生活リズムも壊さずに進められます。
最初にやるべきは、期待を3つに分けて書き出すことです。「放課後の預かり」「英語への前向きさ」「英語で教科を学ぶ力」。この3つを混ぜたまま1つのサービスに求めるから、「効果がない」という言葉が出てきます。分けてしまえば、預かりと前向きさは英語学童が担い、教科の英語だけを別に足せばいい、と整理できます。
次に、いま通っている英語学童は続けると決めてください。ここを揺らさないことが、お子さんの安心につながります。そのうえで週1〜2コマ、負担にならない範囲で英語で教科を学ぶ時間を試す。曜日は英語学童のない日か、帰宅後の落ち着いた時間帯がおすすめです。
最後に、3か月単位で見ること。第二言語の力は、階段ではなく踊り場のある坂道で伸びます。1か月で判断すると、たいてい「効果がない」という結論になります。見るべきは点数ではなく、「英語で何かを言おうとした回数」です。

※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
よくある質問
Q. 英語学童をやめてダブルスクールに切り替えたほうが効率的では?
A. 放課後の預かりが必要なご家庭では、おすすめしません。英語学童が担っている「安全に過ごせる居場所」という機能は、オンラインでは代替できないからです。切り替えではなく併用を前提に、家計と時間の許す範囲で足すのが現実的です。逆に、預かりの必要がなくなり、内容の物足りなさだけが残っているご家庭なら、比重を移していく判断はあり得ます。
Q. 英語で教科を学ぶなんて、うちの子には早すぎませんか?
A. 英語ゼロから始めるお子さんは珍しくありません。NGAは日本語の支えを前提に、少しずつ英語の割合を増やしていく設計です。いきなり全部を英語にすると、内容の理解も自信も同時に失われてしまいます。大切なのは、わからないと言える場所であることです。少人数の対話を中心にしているのは、そのためでもあります。
Q. 英語ばかりで、日本語のほうが心配になってきました。
A. とても大切な視点です。前述のCALP(学習言語能力)は、実は母語の育ち方と深く結びついています。日本語で抽象的なことを考えられる力があるほど、英語での教科学習も進みやすくなる、というのが一般的な理解です。日本の学校に籍を残す併用型をおすすめしているのは、この土台を崩さないためでもあります。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)。
Q. 英語学童と両立させたら、負担が大きすぎませんか?
A. 週1コマから始めていただいて構いません。オンラインなので送迎が不要で、移動時間はゼロです。習い事の掛け持ちで親がいちばん消耗するのは授業料より送迎の時間、という実感は多くのご家庭に共通するところではないでしょうか。まずは生活リズムに収まる頻度を見つけることを優先してください。
「効果がない」のではなく、「まだ足りていない」だけ
英語学童に通わせてきた時間は、決して無駄ではありません。お子さんの中には、英語を怖がらない感覚と、英語で笑い合った記憶が確実に残っています。あとから買い直せないものです。
ただ、その先——世界の同年代と対等に議論したり、理科の実験結果を英語で説明したりする力は、遊びの時間の延長線上には自然には現れません。そこにだけ、意識して別の時間を足す。やめるのではなく、足す。それだけで、これまで積み上げてきたものが次の景色につながっていきます。
焦らなくて大丈夫です。お子さんの伸びる時期は、親が決められるものではありません。それでも、放課後の1〜2時間の使い方を少し変えるだけで、見える世界が変わることはあります。もし今、その一歩を探しているなら、開校に向けた準備の様子をのぞいてみてください。


