「熊本県 インターナショナルスクール」と検索したとき、出てくる情報がばらばらで戸惑いませんでしたか。英会話教室と本格的なインターが同じリストに並び、学費はどこにも書かれていない——そんな状態から一歩進めるための記事です。この記事では、熊本県内で公式情報から実在を確認できたインターナショナルスクール・英語イマージョン校・プリスクール・そして公立や国立附属の国際教育プログラムまでを、熊本市の区ごと・県内のエリアごとに整理します。公開されている学費、TSMC(JASM)進出で変わりつつある県内の状況、そして「県内にあっても毎日は通えない」という現実まで、正直にお伝えします。読み終えたときには、わが家がどのエリアの何を検討すべきかがはっきりしているはずです。
結論:熊本県で選べる学校(早見)
ここだけ読めば全体像がつかめます。学校が確認できるエリアごとに校名を並べ、最後にオンラインという選択肢も同じ粒度で載せました。エリアごとの詳しい状況(学校が無いエリアを含む)は本文で正直に扱っています。
- 熊本市東区 — 熊本インターナショナルスクール(KIS)/メープルツリーインターナショナルスクール(熊本市東区佐土原1-10-70ほか東町・長嶺)/スリーライオンズインターナショナルスクール(熊本市東区秋津2-6-22)
- 熊本市中央区 — 九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部(LIS)(熊本市中央区黒髪3-12-16)/熊本大学教育学部附属小学校・中学校 国際クラス(熊本市中央区)/Emile International School(エミルインターナショナルスクール)(熊本市中央区 坪井・九品寺)
- 熊本市北区 — 熊本クリスチャンインターナショナルスクール初等部(KCI)(熊本市北区龍田陳内2-15-17)/ヒルトップインターナショナルスクール(熊本市北区龍田陳内2-31-18)/APPLE BEE INTERNATIONAL SCHOOL(熊本市北区)
- 熊本市南区・その他の区 — ロンドンブリッジインターナショナルスクール
- 八代エリア — 熊本県立八代高等学校は2025年2月18日にIBのDP候補校として認定され、県は2027年度のDP導入を目指しています
- NIJIN GLOBAL ACADEMY(オンライン) — 6〜18歳/2027年9月開校・現在は開校情報の登録受付中/対面インターのおよそ1/5の学費帯/日本語の支えあり。通える範囲や学費が壁になる家庭の選択肢。

熊本県のインターナショナルスクール事情と学費相場
先に結論をお伝えします。熊本県で小学部以上を全日制で受け入れているインターナショナルスクールは、2026年7月時点で確認できたかぎり熊本市内に4校です。加えて、未就学児中心のプリスクール・英語保育園が県内に十数園あり、さらに一条校(日本の学校)の中で英語で学べるプログラムが2026年から新たに動き出しています。つまり熊本県は、「インターは無い県」ではなく、「選択肢の形がここ数年で急に増えた県」です。
その背景には半導体産業の集積があります。台湾積体電路製造(TSMC)の子会社JASMが菊陽町に工場を構えたことで、県内の外国人住民は急増しました。地方経済総合研究所のレポートによると、熊本県の外国人人口は2024年に25,121人となり、前年比の伸び率は+24.2%で全国1位でした。熊本日日新聞の報道では、台湾から赴任する従業員とその家族は約750人で、子ども約130人の大半が熊本インターナショナルスクール(KIS)に通う見込みとされています。KISが熊本市東区戸島西に新校舎を建て、2023年9月から授業を始めたのは、この需要に応えるためでした。
学費の相場感も、この構造を反映しています。公開されている情報をもとに整理すると、小学部以上の全日制インターは年間およそ115万〜140万円(入学金は別に20万〜30万円程度)。プリスクールは年間およそ70万〜90万円が目安です。加えて、週1〜4日の通学頻度を選べるタイプなら年間20万円台から始められる学校もあります。首都圏の大手インター(年間200万〜300万円台)と比べれば抑えられていますが、公立に通う場合と比べれば相応の負担であることに変わりはありません。学費の中身をもっと細かく知りたい方はインターナショナルスクールの学費内訳の記事を、そもそもインターとは何かを整理したい方はインターナショナルスクールとは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。
もうひとつ、熊本県で必ず押さえておきたいのが立地の偏りです。全日制の学校はすべて熊本市内に集中しています。菊陽町・大津町・合志市といった半導体エリアからは熊本市東区へ通えますが、八代市・天草市・人吉市・玉名市などから毎日通うのは現実的ではありません。「熊本県内にある」=「通える」ではない。ここを最初に認めてしまうほうが、学校選びは早く進みます。

熊本県のインターナショナルスクール一覧【エリア別】
ここからは、公式サイトや自治体・県教育委員会の公開情報から実在を確認できた学校を、エリア別にご紹介します。全国の状況を横並びで見たい方は全国47都道府県のインターナショナルスクール一覧もご覧ください。
熊本市東区——県内の中心はここ
熊本県で「小学校から高校まで英語で学び続ける」道が最もはっきりしているのが東区です。半導体エリア(菊陽町・大津町)からのアクセスもよく、実質的に県の国際教育の中心になっています。
- 熊本インターナショナルスクール(KIS)(熊本市東区戸島西4-2-61/プリスクールは東区西原1-22-24)|熊本県で唯一の国際バカロレア(IB)認定校です。小学部(1〜6年)がPYP認定校、中学部(7〜10年相当)がMYP候補校、高等部はDPを設置し、11年生が2025年に、12年生が2026年に始まりました。プリスクール「ピカソ」は2歳から。英語・日本語・中国語の3言語教育を掲げ、在籍約300名の生徒は19か国の出身と公式サイトに記載されています。公開されている2027年度の学費は、入学金300,000円(初年度のみ)、授業料が月額83,000円、施設費が1期70,000円×年3期、教材費が小学部で年間約52,000円、中高等部で年間約158,000円。年間の目安は小学部で約126万円、中高等部で約136万円です(給食・制服・保険等は別)。プリスクールは入学金100,000円、月額70,000円、施設費年間45,000円で年間の目安は約88万円。出願前に説明会への参加が必須で、英語と算数の試験と面接があります。
- メープルツリーインターナショナルスクール(熊本市東区佐土原1-10-70ほか東町・長嶺)|1歳から小学部までを受け入れる少人数制のスクールで、2024年6月に九州で初めてケンブリッジ国際教育の認定校となりました。プリスクール部分は保育料無償化の対象園です。小学部は週1〜4日から通学頻度を選べる設計で、第三者の調査記事では年間216,000円〜600,000円(通う日数による)と紹介されています。金額は必ず学校にご確認ください。全日制の一条校ではないため、地元の公立小学校に籍を置きながら通う形(いわゆるダブルスクール)を選ぶ家庭もあります。
- スリーライオンズインターナショナルスクール(熊本市東区秋津2-6-22)|英語のレッスンとサッカークラブを組み合わせて運営しているスクールです。全日制の学校ではないため、幼児期の英語環境づくりや放課後の継続学習として検討する形になります。費用は要問い合わせ。
熊本市中央区——一条校の中の国際教育が動き出したエリア
中央区は、2024年以降に新しい形の国際教育が続けて生まれた区です。とくに国立大学附属校の動きは、全国的にも例がありません。
- 九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部(LIS)(熊本市中央区黒髪3-12-16)|2024年4月に開校した小学部(1〜6年)で、国際バカロレアPYPの候補校です。日本の学習指導要領をベースにしながら探究型の学びを組み合わせる設計で、大学附属という環境も特徴です。第三者の調査記事では年間約115万円(授業料950,000円+教育充実費100,000円+施設費100,000円)と紹介されていますが、公式サイトでは募集要項内での案内となっているため、最新の金額は必ず学校に直接ご確認ください。
- 熊本大学教育学部附属小学校・中学校 国際クラス(熊本市中央区)|2026年度から設置される国際クラスです。日本の学習指導要領に沿いながら多くの教科を英語で学ぶ英語イマージョン教育を行い、日本人と外国人の児童生徒が同じ学級で学ぶ編制を想定しています。授業は日本人教師とネイティブの外国人教師の二人体制。国立大学附属校がこの形で国際クラスを設けるのは全国で初めてと報じられており、私立インターとは学費の水準がまったく異なる点が最大の特徴です(国立附属校の費用体系のため、詳細は募集要項でご確認ください)。定員が限られ入学試験があるため、早めの情報収集が要になります。
- Emile International School(エミルインターナショナルスクール)(熊本市中央区 坪井・九品寺)|0歳から就学前までを受け入れる企業主導型保育の英語環境スクールです。英語を「教える」のではなく、子どもが好きなものを通して自然に英語を使う保育を掲げています。平日は朝7時半から夜まで開いており、共働き家庭にとって現実的な選択肢です。第三者の調査記事では0〜2歳が月額約15,000円、3〜5歳が月額約35,000円(無償化の補助適用時)と紹介されています。小学生向けのEmile After School(学童・英語アフタースクール)も同区内で運営されています。
熊本市北区——2026年開校の新しい小学部
- 熊本クリスチャンインターナショナルスクール初等部(KCI)(熊本市北区龍田陳内2-15-17)|2026年4月に開校した小学部です。2006年に開設された英語イマージョン園「ヒルトップインターナショナルスクール」の約20年の実績を土台にしており、2025年9月には国際クリスチャン学校協会(ACSI)の加盟校になりました。英語のカリキュラムに加えて、日本の学習指導要領に沿った日本語教育も行うのが特徴です。公開されている学費は入学金300,000円(初回のみ・返金なし)、授業料が年間1,020,000円(月額85,000円×12か月)、施設維持費が100,000円×年2回、テクノロジー・教材費が年間50,000円で、年間の目安は約127万円。第2子以降は月額30,000円の減額があります。入学時には学年に応じた英語力の確認があります。
- ヒルトップインターナショナルスクール(熊本市北区龍田陳内2-31-18)|2006年開設の英語イマージョン園で、上記KCIの母体です。公開されている料金表(2025年4月時点)では、月額授業料58,000円、入学金60,000円、施設費年間26,500円、教材費年間10,000〜20,000円、保険料年間5,000〜10,000円、給食1食300円。延長保育は月額9,500円(14:30〜16:30)から14,000円(14:30〜18:30)まで。年間の目安は約72万円で、第2子以降は月額15,600円の減額があります。幼児期から小学部(KCI)まで同じ系列で続けられるのが強みです。
- APPLE BEE INTERNATIONAL SCHOOL(熊本市北区)|北区の英語プリスクールとして複数のプリスクール検索サイトに掲載されています。対象年齢・費用は要問い合わせ。
熊本市南区・その他の区
- ロンドンブリッジインターナショナルスクール/London Bridge International Nursery School(熊本市南区田迎町大字田井島236-4/中央区京町本丁)|熊本市内で長く運営されているスクールで、こども家庭庁所管の企業主導型保育園も併設しています。未就学児が中心です。費用は要問い合わせ。
菊陽町・大津町・合志市——半導体エリアの現実
JASM(TSMC子会社)の工場がある菊陽町と、周辺の大津町・合志市は、県内でもっとも外国人家庭が増えているエリアです。ただしこの3市町の中に、小学部以上を英語で受け入れる全日制インターは2026年7月時点で確認できません。実際の受け入れ先になっているのは、熊本市東区のKISです。菊陽町からKISのある戸島西までは車で30分前後(時間帯によって渋滞の影響が大きい)で、送迎前提の通学になります。
- ピースインターナショナル(菊池郡菊陽町)|菊陽町の英語プリスクールとしてプリスクール検索サイトに掲載されています。対象年齢・費用は要問い合わせ。未就学のうちは町内で、小学校からは熊本市へ——という段階的な設計を取る家庭もあります。
半導体関連の進出はこれからも続く見込みで、この一帯の教育環境は今後さらに変わる可能性があります。裏を返せば、いま定員が最も逼迫しやすいエリアでもあるということです。KISは出願前に説明会への参加が必須のため、検討している方は募集時期を早めに押さえてください。
八代エリア——公立でIBが受けられる、全国でも珍しい選択肢
「学費が高いから無理」と考えている県南のご家庭に、ぜひ知っておいていただきたい動きがあります。熊本県立八代中学校が2026年6月25日に国際バカロレアMYPの認定校となり、九州の公立校では初めてのIB認定校になりました(熊本県公表・熊本日日新聞報道)。さらに熊本県立八代高等学校は2025年2月18日にIBのDP候補校として認定され、県は2027年度のDP導入を目指しています。県教育委員会は2021年度からこの中高でのIB導入を進めてきました。
これは英語で全教科を学ぶ英語圏インターとは別の形ですが、公立の学費水準で国際バカロレアの学びに触れられるという点で、県内でも極めて価値の高い選択肢です。八代市周辺にお住まいで、費用を理由にインターを諦めていたご家庭は、まず県のホームページと八代中・八代高の公式サイトで募集要項を確認してみてください。
なお、八代市・天草市・人吉市・玉名市などには英語プリスクールや英会話教室はあるものの、小学部以上を英語で受け入れる全日制インターは確認できませんでした。まとめサイトで「熊本県に◯十校」と書かれている場合、その多くは英会話教室や学習塾を含んだ数字です。
※学費・カリキュラム・認定状況等は2026年7月時点の公開情報です。金額は改定されることがあるため、最新の内容は必ず各校の公式サイトでご確認ください。
熊本県のインターナショナルスクール 学費・料金の早見表【全10件を1表で比較】
ここまで各校ごとにお伝えしてきた費用を、1つの表に組み直します。熊本県で学校を探すご家庭からいちばん多く寄せられるのが「結局いくらかかるのか」「どこが安いのか」という問いだからです。下の金額は、この記事の各校の項目で出典を確認したものだけを並べています。推計で埋めた数字はありません。金額が公表されていない学校は、埋めずに表から外しています。
先に要点をお伝えします。熊本県で小学部以上を全日制で受け入れる学校の年間費用は、およそ115万円〜136万円のレンジに収まります。首都圏の大手インター(年間200万〜300万円台)のおよそ半分です。未就学のプリスクールは年間72万〜88万円程度。そして公立の学費水準で国際バカロレアを受けられる県立中高という、全国的にも珍しい選択肢が県南の八代にあります。
| 学校名 | エリア | 対象 | 年間の目安 | 内訳(公開情報) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熊本インターナショナルスクール(KIS)小学部 | 熊本市東区 | 小1〜小6 | 約126万円 | 入学金30万円(初年度のみ)/授業料 月83,000円/施設費 70,000円×年3期/教材費 年約52,000円 | IB PYP認定校。給食・制服・保険は別 |
| 熊本インターナショナルスクール(KIS)中高等部 | 熊本市東区 | 中1〜高3相当 | 約136万円 | 入学金30万円(初年度のみ)/授業料 月83,000円/施設費 70,000円×年3期/教材費 年約158,000円 | MYP候補校・DP設置。12年生は2026年開始 |
| 熊本インターナショナルスクール プリスクール「ピカソ」 | 熊本市東区 | 2歳〜 | 約88万円 | 入学金10万円/月70,000円/施設費 年45,000円 | 英語・日本語・中国語の3言語教育 |
| 熊本クリスチャンインターナショナルスクール初等部(KCI) | 熊本市北区 | 小1〜(2026年4月開校) | 約127万円 | 入学金30万円(初回のみ・返金なし)/授業料 年1,020,000円/施設維持費 100,000円×年2回/教材費 年50,000円 | ACSI加盟校。第2子以降は月30,000円減額 |
| 九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部(LIS) | 熊本市中央区 | 小1〜小6 | 約115万円 | 授業料950,000円+教育充実費100,000円+施設費100,000円 | IB PYP候補校。第三者調査記事の数値のため要確認 |
| ヒルトップインターナショナルスクール | 熊本市北区 | 未就学 | 約72万円 | 入学金60,000円/月58,000円/施設費 年26,500円/教材費 年10,000〜20,000円/保険 年5,000〜10,000円 | 給食1食300円は別。第2子以降は月15,600円減額 |
| メープルツリーインターナショナルスクール 小学部 | 熊本市東区ほか | 1歳〜小学部 | 約22万〜60万円 | 週1〜4日の通学頻度による | ケンブリッジ国際教育認定(九州初)。第三者調査記事の数値のため要確認 |
| Emile International School | 熊本市中央区 | 0歳〜就学前 | 月15,000〜35,000円 | 0〜2歳 月約15,000円/3〜5歳 月約35,000円(無償化の補助適用時) | 企業主導型保育。朝7時半から夜まで開所 |
| 熊本大学教育学部附属小・中 国際クラス | 熊本市中央区 | 2026年度〜 | 国立附属の費用体系 | 私立インターとは水準が異なる。詳細は募集要項 | 国立大学附属校の国際クラスとしては全国初と報道 |
| 熊本県立八代中学校/八代高等学校 | 八代市 | 中1〜高3 | 公立の学費水準 | 公立校の費用体系 | 八代中はIB MYP認定(2026年6月25日・九州の公立初)/八代高はDP候補校 |
※2026年7月時点で各校の公式サイト・募集要項・自治体の公表資料から確認できた金額です。第三者の調査記事を出典とした行はその旨を明記しています。入学金・給食費・制服・教材・スクールバス・保険などの扱いは学校ごとに異なります。実際の請求額は必ず学校にご確認ください。スリーライオンズインターナショナルスクール、APPLE BEE INTERNATIONAL SCHOOL、ロンドンブリッジインターナショナルスクール、ピースインターナショナル(菊陽町)は費用が公表されていないため、この表には含めていません。
この表からわかる、熊本の3つの構造
①全日制インターの費用差は、実はとても小さい。KIS小学部126万円、KCI初等部127万円、LIS115万円。年間で最大12万円ほどの差しかありません。つまり熊本での学校選びは、金額の比較ではほとんど決まらないということです。決め手になるのは、カリキュラム(IB/ケンブリッジ/ACSI/一条校ベース)と、毎日の通学が続けられるかどうかの2点です。
②きょうだいで通うと構造が変わる。KCIは第2子以降が月30,000円減額(年間36万円)、ヒルトップは月15,600円減額(年間約19万円)。2人以上のお子さんを想定しているご家庭は、1人あたりの学費だけで比べると判断を誤ります。
③週1〜4日という選び方がある。メープルツリーの小学部は通学頻度を選べる設計で、年間216,000円から。地元の公立小学校に籍を置きながら通う形(ダブルスクール)を取るご家庭もあります。「全日制インターか、公立か」の二択ではないという点は、費用が壁になっている場合にとくに知っておく価値があります。
熊本市のインターナショナルスクールはどこにある?——区別の早わかり
熊本県の全日制インターナショナルスクールは、2026年7月時点で確認できたかぎり、すべて熊本市内にあります。ですので「熊本市で探す」ことは、実質的に「熊本県で探す」こととほぼ同じです。ただし市内でも区によって性格がはっきり分かれます。ここでは区ごとの違いを、通学の現実とあわせて短くまとめます。
| 区 | この区の性格 | 小学部以上を受けられる学校 | 未就学中心の園 |
|---|---|---|---|
| 東区 | 県の国際教育の中心。半導体エリア(菊陽町・大津町)からの受け皿 | 熊本インターナショナルスクール(KIS/IB)、メープルツリー小学部 | KISプリスクール「ピカソ」、スリーライオンズ |
| 中央区 | 一条校の中の国際教育が動き出したエリア | 九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部(LIS)、熊本大学教育学部附属 国際クラス(2026年度〜) | Emile International School |
| 北区 | 20年続いた英語イマージョン園から小学部が生まれた系列型 | 熊本クリスチャンインターナショナルスクール初等部(KCI/2026年4月開校) | ヒルトップ、APPLE BEE |
| 南区・その他 | 未就学中心 | — | ロンドンブリッジ |
熊本市で小学校からインターに通わせたい場合、候補は3校
お子さんが小学生以上で、英語で学び続ける環境を探しているなら、熊本市内の現実的な候補はKIS(東区)・KCI(北区)・LIS(中央区)の3校です。ここに2026年度から熊本大学教育学部附属の国際クラス(中央区)が加わります。それぞれ性格が違います。
- 国際バカロレアで海外大学まで見据えるなら KIS。県内唯一のIB認定校で、小学部PYP・中学部MYP候補・高等部DPと、小1から高3まで一本の道がつながっている唯一の学校です。
- 日本語の学力も並行して積みたいなら KCI。英語のカリキュラムに加えて、日本の学習指導要領に沿った日本語教育を行います。母体のヒルトップから続けて通えるのも強みです。
- 大学附属の環境と探究型の学びなら LIS。IB PYP候補校で、日本の学習指導要領をベースにした設計です。
そして費用が壁なら、2026年度から始まる熊本大学教育学部附属の国際クラスを検討する価値があります。国立大学附属校がこの形で国際クラスを設けるのは全国で初めてと報じられており、私立インターとは学費の水準がまったく異なります。ただし定員が限られ入学試験があるため、情報収集は早いほど有利です。
菊陽町・大津町・合志市から通う場合の現実
JASM(TSMC子会社)の工場がある菊陽町周辺には、小学部以上を英語で受け入れる全日制インターは2026年7月時点で確認できません。実際の受け入れ先は熊本市東区のKISで、菊陽町から戸島西までは車で30分前後。ただしこの区間は時間帯によって渋滞の影響が大きいため、朝の所要時間は説明会で必ず実測値を聞いてください。送迎を毎日続けられるかどうかが、この地域では学費以上に重い判断材料になります。
また、この一帯はいま県内でもっとも定員が逼迫しやすいエリアでもあります。KISは出願前に説明会への参加が必須のため、検討している方は募集時期を早めに押さえてください。
熊本のインターナショナルスクールの評判は、どう調べれば確かめられるのか
「熊本インターナショナルスクール 評判」と検索される方が一定数いらっしゃいます。気持ちはとてもよくわかります。年間120万円を超える選択をするのに、判断材料がパンフレットと説明会しかないのは不安だからです。
ただ、この記事で特定の学校の良し悪しを断じることはしません。匿名の口コミは、書いた方のお子さんの性格・入学した年・担任の先生によって評価が正反対になるからです。合わなかったご家庭の声も、合ったご家庭の声も、どちらも本当のことで、そのどちらもあなたのお子さんの結果を予測しません。
代わりに、一次情報で確かめられる5つの視点をお伝えします。私たち自身が学校を見るときに使っている物差しでもあります。
- 認定を、発行元で照合する。「IB認定校」「ケンブリッジ認定」「ACSI加盟」は、学校のサイトではなく認定団体側の学校検索で確認できます。熊本県内では、KISがIB認定(小学部PYP/中学部MYP候補/高等部DP)、メープルツリーがケンブリッジ国際教育認定(2024年6月・九州初)、KCIがACSI加盟(2025年9月)、LISがIB PYP候補校です。候補校(candidate)と認定校(authorized)は別物です——候補校は認定に向かう過程にあり、認定が下りない可能性も残ります。ここは必ず区別して読んでください。
- 学年の断絶がないかを見る。熊本でいちばん起きやすいのが、「小学部までしかない学校に入れて、中学で行き先を失う」という事態です。県内で小1から高3まで一本でつながっているのは、確認できたかぎりKISだけです。KCIは2026年4月に開校した初等部、LISは小学部です。入学の時点で「この学校は何歳まで通えるのか」を必ず確認してください。
- 卒業生・修了生の進路を聞く。説明会で「卒業生はどこへ進みましたか」と尋ねるのがいちばん早い方法です。答えが具体的であるほど、その学校は出口を設計しています。開校して間もない学校(KCI・LIS・熊大附属の国際クラス)にはまだ実績がありません。これは欠点ではなく、単に判断材料がまだ存在しないという事実です。その場合は母体の実績(KCIならヒルトップの約20年)を代わりに見ます。
- 見学では、子どもの様子を見る。設備でも先生の英語の流暢さでもなく、子どもたちが先生に自分から話しかけているかを見てください。教室の空気は、パンフレットには絶対に写りません。
- 費用の総額を、書面でもらう。授業料だけでなく、入学金・施設費・教材費・給食・制服・スクールバス・保険・行事費まで含めた年額を書面で出してもらいます。上の早見表の「内訳」の列は、そのまま質問リストとして使えます。
九州のほかの県と比べると、熊本はどの位置にあるのか
「インターナショナルスクール 九州」で探している方のために、周辺県との関係も整理しておきます。九州でインターナショナルスクールの選択肢がもっとも多いのは福岡県で、次いで沖縄県です。熊本県の特徴は、学校数ではなく動きの速さにあります。半導体産業の集積で外国人人口の伸び率が全国1位(2024年・前年比+24.2%)となり、KISの新校舎(2023年9月授業開始)、LISの開校(2024年4月)、KCI初等部の開校(2026年4月)、熊本大学教育学部附属の国際クラス(2026年度)、県立八代中のIB MYP認定(2026年6月)と、3年のあいだに5つの新しい選択肢が生まれた県は九州でほかにありません。
お住まいの場所によっては、県境を越えたほうが選択肢が広がることもあります。近隣県の状況は、福岡のインターナショナルスクール、長崎県のインターナショナルスクール、鹿児島県のインターナショナルスクール、大分県のインターナショナルスクール、沖縄県のインターナショナルスクールの各記事でご確認いただけます。
九州のインターナショナルスクールを県別に比べる——熊本は九州で何番目に選択肢が多いのか
熊本県の学校を調べていると、どこかで必ず「九州全体ではどうなのか」という問いにぶつかります。転勤や移住の可能性があるご家庭ほどそうです。熊本市に見つからなくても福岡なら、あるいは大分なら——という比べ方は、じつはかなり合理的です。九州は新幹線と高速バスで県をまたぐ移動が現実的な地域だからです。ここでは私たちが2026年に九州7県+沖縄を一県ずつ調べ直した結果を、県別の数で並べます。
| 県 | 確認できた施設・学校数 | 小学校以上まで英語で学べる全日制 | IB認定校 | 県別ガイド |
|---|---|---|---|---|
| 熊本県 | 15 | あり(県内唯一のIB認定校 KIS ほか) | あり | 本記事 |
| 福岡県 | 九州最多(福岡市・北九州・久留米・糸島に分散) | あり | あり | 福岡県のインターナショナルスクール |
| 沖縄県 | 12 | あり | あり | 沖縄県のインターナショナルスクール |
| 大分県 | 11 | あり | — | 大分県のインターナショナルスクール |
| 鹿児島県 | 9 | 限定的 | — | 鹿児島県のインターナショナルスクール |
| 宮崎県 | 6 | 限定的 | — | 宮崎県のインターナショナルスクール |
| 長崎県 | 3 | 限定的 | — | 長崎県のインターナショナルスクール |
| 佐賀県 | 3 | 確認できず | — | 佐賀県のインターナショナルスクール |
※施設数は各県の記事で調査した時点に公開情報から確認できた数です。プリスクール(未就学児のみ)を含みます。調査時点が県ごとに異なるため、最新は各県の記事と各校の公式サイトでご確認ください。
この表を縦に見ると、熊本県は九州のなかで福岡県に次ぐ選択肢の厚みを持っていることがわかります。県内にIB認定校があり、小学校以上を英語で学び続けられる学校も複数ある。九州で「県内で完結できる」県は、福岡・熊本・沖縄・大分にほぼ限られます。県内では未就学児の園しか確認できなかった長崎県や佐賀県から見れば、熊本の家庭が持っている選択肢はかなり恵まれた部類です。
県をまたいで通う・移り住むなら、先に測るのは「時間」ではなく「回数」
熊本から福岡までは九州新幹線でおよそ33〜40分。数字だけ見れば通学圏に見えます。ただ、毎日となると交通費が月10万円規模になるため、現実的なのは週に何回そこへ行く必要があるかで設計する形です。全日制なら移住か寮、週1〜2回の通学で足りるプログラムなら新幹線通学、という切り分けになります。県外の学校を検討するときは、所要時間より先に「週何回・何年間」を決めてください。ここを決めずに見学へ行くと、良い学校ほど判断が鈍ります。
九州全体をもう一度俯瞰したい方は、全国47都道府県のインターナショナルスクール一覧から各県の記事へ進めます。
比較でわかる、わが家に合う選び方
熊本県のご家庭からいただく質問は、だいたい3つに集約されます。「KISのような本格インターに年間130万円かけるべきか」「一条校の国際クラスやIBで十分なのか」「そもそも通える距離に無い場合はどうするか」。この3つを同じ土俵に並べてみましょう。

熊本市内の全日制インターは、IB認定やケンブリッジ認定といった国際的な枠組みの中で、幼児から高校まで続けられる道筋を持っています。とくにKISはPYP・MYP・DPをそろえつつあり、「海外進学も日本の大学も残しておきたい」家庭には強い選択肢です。一方で、年間126万〜136万円という費用と、送迎を含む通学の負担は12年分で見積もる必要があります。
一条校の国際クラスやIB(熊大附属の国際クラス、県立八代中・高)は、費用の面でまったく別の水準です。日本の卒業資格が確実に得られ、日本語での学びも正規カリキュラムに含まれるため、日本語力を心配しなくていいのも大きな安心材料です。ただし定員が限られ、入学試験があります。そして地元の学校に通いながら英語や国際的な学びを別に足していくという考え方もあります。この形についてはダブルスクールという選び方の記事で詳しく整理しています。
大切なのは「入れる学校」ではなく「続けられる学び」を選ぶこと。年間の費用と往復の時間を12年分で見積もったときに、家族が無理なく続く形かどうか。そこが分かれ道になります。

通える範囲に見つからないなら——オンラインという選択肢
熊本県の学校探しでいちばん多いつまずきは、「良さそうな学校は見つかったけれど、そこまで毎日通えない」です。八代から熊本市へ、天草から中央区へ、人吉から東区へ——地図の上では同じ県でも、生活としては別の場所です。この距離の壁は、家庭の努力ではどうにもなりません。菊陽町・大津町のように学校が近くても、渋滞と定員という別の壁があります。
そこで検討していただきたいのが、通学を前提としない学びです。私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校するオンライン・インターナショナルスクールです。運営は日本の株式会社NIJIN。日本国内で運営するオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には、すでに1000名以上の子どもたちが在籍しています。
NGAが大切にしているのは、テストの点数で子どもを並べない「脱偏差値」の考え方と、少人数の対話を中心にした学びです。掲げているのは「自分と世界を、好きになる」。対象はアジア・オセアニアの6〜18歳で、住む場所を選びません。学費は対面のインターナショナルスクールのおよそ5分の1を目指しています。また、いきなり全部が英語になるのではなく、日本語の支えを前提にしながら少しずつ英語に触れていける設計です。日本語も英語も、どちらかを捨てなくていい——熊本県のように「学校はあるけれど、うちからは通えない」地域のご家庭にこそ、この設計が届いてほしいと思っています。
正直な注意点もお伝えします。NGAはまだ開校前で、卒業生の進路実績はこれからです。そしてオンラインである以上、校庭で走り回る体験や、放課後に友だちと寄り道する時間は、対面の学校と同じようには提供できません。そこを重視されるご家庭には、熊本市内の学校のほうが合っているはずです。それでも「通えないから諦める」を「通わなくても続けられる」に変えられるなら、検討する価値はあると思っています。
よくある質問
Q. 熊本県内なら、どこに住んでいても通えますか?
いいえ、県内全域から通える学校はありません。小学部以上を全日制で受け入れる学校は、いま確認できるかぎりすべて熊本市内(東区・中央区・北区)にあります。菊陽町・大津町・合志市・益城町あたりからは車での送迎で通えますが、八代市・天草市・人吉市・水俣市などから毎日通うのは現実的ではありません。まずはご自宅から片道どのくらいまでなら12年間続けられるかを決め、その円の中にある選択肢から検討することをおすすめします。県南にお住まいなら、県立八代中・八代高のIBプログラムを先に調べる価値があります。
Q. 福岡県など近隣県のインターナショナルスクールに通うことはできますか?
可能ですが、負担は正直に見積もってください。熊本駅から博多駅までは九州新幹線で最短約33分ですが、自宅から熊本駅までと博多駅から学校までを足すと、片道で1時間半から2時間になる家庭が多くなります。新幹線定期の費用は年間で数十万円規模になり、小学生の一人通学にはほぼ確実に保護者の付き添いが必要です。小学校のうちは県内、中高から越境に切り替える、という段階的な設計を取る家庭も少なくありません。
Q. 英語がまったくできなくても入れますか?日本語のサポートはありますか?
プリスクールや幼稚部からの入園であれば、英語がゼロでも受け入れている園がほとんどです。一方、小学校以降の編入では英語力の確認があるのが一般的で、KISは英語と算数の試験と面接、KCIも学年に応じた英語力の確認があると案内されています。日本語については、KISが英語・日本語・中国語の3言語教育を掲げ、KCIも日本の学習指導要領に沿った日本語教育を行うなど、県内の学校は日本語の学びを残す設計が多いのが特徴です。外国ルーツのご家庭で「子どもの日本語が心配」という場合は、姉妹サービスのともだちじゃぱん(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)もおすすめです。
熊本県だから、選べないわけじゃない
数年前まで、熊本県で国際教育を探すのはずっと難しいことでした。でもいま、県内には九州で唯一に近いIB認定インターがあり、九州初のケンブリッジ国際認定校があり、国立大学附属に全国初の国際クラスが生まれ、公立中学校が九州で初めてIB認定を受けました。半導体の街に集まった家族たちが、この県の教育を確かに動かしています。
それでも、選択肢が増えたことと、わが家が選べることは別の話です。距離、費用、定員——どれかが必ず壁になります。だからこそ、熊本市の全日制インター、一条校の国際クラスやIB、そしてオンライン。3つを同じテーブルに並べて、ご家族が無理なく続けられる形を選んでください。どの道を選んでも、お子さんが自分と世界を好きになれるなら、それが正解です。
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