「せっかく英語を続けてきたのに、塾が始まってから、ほとんど手をつけられていない」——中学受験を控えたご家庭から、いちばんよく聞くのがこの悩みです。結論から言えば、中学受験と英語の両立は可能です。ただし「どちらも同じ量」でやろうとすると、必ずどちらかが崩れます。現実的な道は3つ。①受験に集中しながら英語を「保つ」道、②英語を受験そのものに「組み込む」道(英語入試・グローバル系コース)、③受験と並走しながら、あるいは受験にこだわらず国際教育を「足す」道。この記事では、首都圏模試センターなどの公表資料をもとに英語入試の実態を確認しながら、学年ごとの現実的な時間配分まで、正直に整理します。

中学受験と英語の両立が難しいのは、あなたの家庭だけではない
まず、事実から。首都圏模試センターの推定によれば、2025年の首都圏(1都3県)の私立・国立中学受験者数は52,300名、受験率は18.10%で、過去2番目の高さでした(出典:首都圏模試センター/ONETES)。つまり、およそ5〜6人に1人が受験する世界です。そして多くのご家庭で、小学3〜4年生の通塾開始とともに、それまで続けてきた英会話や英語教室が「いったん休止」になります。
理由はシンプルで、時間が足りないからです。塾選ジャーナルが2025年8月に中学受験の保護者100名に行った調査では、小学6年生の平日の家庭学習時間は「1〜2時間未満」が52.9%で最多、4時間以上はゼロ。一方で休日は約3割が4時間以上でした(出典:塾選ジャーナル)。これは塾の授業時間とは別の、家での学習時間です。ここに週2回の英語レッスンと宿題を足せば、どこかが必ず削られます。時間の奪い合いは、気のせいではなく実在します。だからこそ、精神論ではなく「どこを減らし、どこを守るか」の設計が要ります。

「やめる」も「同じ量で続ける」も、どちらも苦しい理由
ここで多くのご家庭が、2つの極に振れます。ひとつはいったん全部やめる。受験勉強に集中できるという意味では、合理的な判断です。ただ、正直に言えば、英語は積み上げに年数がかかる力です。数年止めると、聞き取れていた音が遠くなり、口が動かなくなる。中学入学後にゼロから戻すのは、本人にとってもつらい作業になりがちです。
もうひとつはこれまでと同じ量で続ける。こちらは5年生の後半から6年生にかけて限界が来ます。塾の宿題が終わらない日に英語のレッスンが入ると、親子とも消耗し、「英語のせいで受験がうまくいかない」という気持ちが生まれてしまう。これがいちばん避けたい結末です。
そして、意外に見落とされるのがオンライン英会話や英語教室では埋まりにくい部分があること。週に数十分の会話練習は、英語を学ぶ時間としては有効ですが、算数や理科を英語で考える、つまり英語で学ぶ段階には届きにくい。受験期に「量を減らす」判断をしたとき、削られるのはたいてい会話練習のほうです。残したいのは、英語を使って考える経験のほうなのに。
選択肢1・2——英語を「受験に組み込む」道は、実際にどこまで開いているか
次に、英語を受験の武器そのものにする道を見ておきましょう。ここは煽りが多い領域なので、公表資料で確認します。首都圏模試センターがまとめた資料では、2025年入試で英語(選択)入試を導入した学校は140校。対象は1都3県に茨城・栃木・静岡と出張校を加えた私立・国立で、公立中高一貫校は含みません(出典:首都圏模試センター「英語(選択)入試導入校140校一覧<2025年入試>」/栄光ゼミナールの解説記事)。2024年入試の同資料は142校で、ここ数年は140校前後で推移しています。形式は、4教科と並列で英語を課すもの、英語+国語または算数の2科型、英語1教科型、英検などの資格を得点化・加点する資格利用型など、学校ごとに大きく異なります。
ただし、ここは正直に書きます。英語入試の募集枠は、けっして大きくありません。たとえば2026年度入試では、英語1教科型の募集人数が15名、他の入試回と合算で20名といった規模の学校もあります(出典:中学受験スタディ「英語入試特集」)。国語・算数の学力もあわせて問う学校が多く、「英語ができれば受験が楽になる」わけではありません。英語入試は、英語を続けてきたお子さんにとって選択肢が1つ増えるものであって、近道ではない。ここを取り違えると、受験も英語も苦しくなります。グローバル系コースや帰国生入試も同様に、学校ごとに条件も評価軸も大きく違います。必ず各校の募集要項でご確認ください。※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
つまり選択肢1(英語を保つ)と選択肢2(受験に組み込む)は、どちらが上でもありません。共通して必要なのは、受験期でも週に少しだけ、英語を触り続ける「器」があるということです。
選択肢3——日本の学校も受験も手放さずに、国際教育を「足す」
そこで現実的なのが、ダブルスクールという形です。お子さんは日本の学校に在籍したまま通い続け、放課後や週末にオンラインのインターナショナルスクールを併用する。中学受験をする家庭でも、しない家庭でも、併願しながらでも、同じように成り立ちます。中学受験そのものを否定する必要はまったくありません。日本の学校と受験の良さは残したまま、そこに世界を足すという発想です。
この形の大きな安心は、制度面にあります。文部科学省は、一条校(学校教育法第1条に定める学校)でないインターナショナルスクールに日本国籍の子を就学させても、就学義務を履行したことにはならない旨を明記しています(出典:文部科学省)。フルタイムで対面インターに移る道には、この不安がついてまわります。一方で日本の学校に通い続ける併用型なら、就学義務も進学ルートもそのまま。制度の詳しい整理はインターと就学義務の関係を解説した記事にまとめています。
私たちNIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、この併用を前提に2027年9月の開校を予定しているオンラインインターナショナルスクール一覧です。運営は、日本のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」に900名以上が学ぶ株式会社NIJIN。特徴は、(1)日本の学校に籍を残すので進学ルートはそのまま、(2)対面インターの約5分の1をめざす費用設計、(3)英会話ではなく英語で教科を学ぶ本物のインター、(4)順位をつけない少人数の対話という4点です。対象は6〜18歳。日本語の支えを前提に、少しずつ英語へ移っていく設計にしています。正直にお伝えすると、NGAは日本の学校の代わりではありませんし、中学受験の得点対策にもなりません。開校前なので実績もこれからです。それでも、受験勉強とは別の軸で「自分と世界を、好きになる」時間を持てることは、受験期の子どもにとって思いのほか支えになります。


学年別・現実的な時間配分——6年生は「伸ばす」でなく「維持」に切り替える
両立の設計図は、学年で変えるのが基本です。目安として、次のような組み方が現実的です。
小3〜小4(塾が始まる時期):ここが英語をいちばん積める時期です。週2コマ程度+家庭で1日10〜15分の音読やリスニング。塾の負荷がまだ軽いうちに、聞く・話すの土台をつくります。小5(負荷が上がる時期):週1〜2コマに減らし、家庭学習は1日10分でも「毎日触る」ことを優先。増やすより、途切れさせないことが目的です。小6(受験学年):思い切って維持モードへ。週1コマ、あるいは家庭での15分だけに絞ります。前述のとおり6年生の平日の家庭学習は1〜2時間未満が最多ですから、ここで英語を積もうとすると必ず破綻します。目標は「上手くなること」ではなく「戻れる状態を保つこと」。受験後(2月以降):ここが最大のボーナス期間です。入学までの約2か月と中1の1年間は、英語を一気に伸ばせる時期。維持モードで火種を残しておいた家庭ほど、この再加速が効きます。
そして、この「週1コマの維持」と「受験後の再加速」を同じ場所で続けられることが、オンライン併用の強みです。通学時間がゼロなので、塾のスケジュールに合わせてコマ数を上げ下げしやすい。通い方の全体像はダブルスクールの完全ガイドで、併用の仕組みはダブルスクールのご案内ページで詳しくご覧いただけます。

よくある質問
Q. 中学受験と英語、結局どちらを優先すべきですか?
A. 受験を選んだご家庭は、受験を優先して構いません。この記事の提案は「英語も同じ量でやる」ではなく、受験期は英語を維持モードに落とすというものです。週1コマ、あるいは1日15分でも、火は消えません。優先順位を下げることと、やめることは違います。
Q. ダブルスクールをすると、就学義務や進学に影響はありませんか?
A. NGAの併用は、お子さんが日本の学校に在籍し通い続けることが前提です。日本の学校に通っている以上、就学義務は通常どおり履行され、中学受験も公立中学への進学も、これまでどおり選べます。一条校でないインターにフルタイムで通う場合との違いはここです(就学義務を満たさない旨は文部科学省が明記)。
Q. 英語入試のために、NGAは対策になりますか?
A. なりません。NGAは英語で教科を学ぶインターナショナルスクールであって、特定の中学の入試対策をする場ではありません。英語入試を狙う場合は、必ず志望校の募集要項と過去問を確認し、必要に応じて受験の専門家にご相談ください。NGAが担うのは、受験の前も後も続く英語の土台のほうです。
Q. 英語がほとんどゼロでも始められますか?
A. 始められます。日本語の支えを前提に、少しずつ英語へ移っていく設計です。ただし「すぐバイリンガルになる」とは言いません。英語で教科を理解できるようになるには年数がかかります。だからこそ、受験期に完全に止めず、細くても続けることに意味があります。
受験も、英語も、どちらかを諦めなくていい
中学受験は、お子さんが一生懸命に努力する、価値ある挑戦です。それを削ってまで英語をやる必要はありません。けれど、受験のために英語を完全に手放すのも、もったいない。あなたが本当に願っているのは、志望校の名前そのものよりも、お子さんが自分と世界を好きになり、選べる道が増えていくことのはずです。週1コマでも、1日15分でも、火を絶やさない。その小さな維持が、受験が終わったあとの飛躍を支えます。大きな決断は、いま必要ありません。まずは、開校の最新情報を受け取るところから始めてみてください。
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