「英語をやらせたい。でも、日本語や国語力が育たなくなるのでは」——そう検索されたあなたに、先に結論をお伝えします。日本語の維持と英語の習得は、時間を奪い合う関係ではありません。むしろ研究が繰り返し示してきたのは、母語である日本語が年齢相応に育っているほど、第二言語である英語も伸びやすいという関係です。ただしこれは「放っておけば両方育つ」という意味ではありません。日本語で考え、読み、書く時間が構造的に確保されているかどうかで、結果は大きく変わります。この記事では、インターと日本語をどう両立させるかを、フルタイムの対面インター・英会話・補習といった選択肢と比べながら、一次情報と研究をもとに整理します。
この記事でわかること
- 「英語を増やすと国語力が落ちる」は本当か(研究が示していること)
- ダブルリミテッドという言葉の、正しい理解と誤解
- 対面インター・英会話・補習が、それぞれどこで足りなくなるか
- 日本の学校に籍を残す併用型なら、国語が毎日ある構造になる理由

インター併用で日本語を維持できるのか——その不安を、研究で分解する
不安の輪郭をはっきりさせるために、土台になる事実を3つ共有させてください。ここを取り違えると、英語も日本語もどっちつかずになりがちです。
事実1:母語は、第二言語の土台になる。 カナダ・トロント大学のジム・カミンズは、二つの言語を氷山にたとえ、水面下では共通の土台(共有基底言語能力)でつながっていると説明しました。これが相互依存仮説です。日本語で深く考えられる力は、英語という別の水面に出たときにも使われます。彼はあわせて、日常会話の力(BICS)と、教科を理解して論じる力(CALP)を区別し、母語の発達がある水準を超えているほど二言語の恩恵を受けやすいという敷居仮説も示しました(東京大学 山内研究室によるカミンズ理論の解説)。
事実2:第二言語の到達度をもっとも強く予測するのは、母語で受けた学校教育の量。 米国で21万人規模の子どもを追跡したトーマス&コリアーの全米研究は、「第二言語の学力をもっとも強く予測するのは、母語による正規の学校教育の量である」と報告しています。さらに、母語を育てながら学ぶバイリンガル教育を受けた子どもは、4〜7年後には全教科で単一言語教育の子どもを上回ったとされています(Thomas & Collier, A National Study of School Effectiveness for Language Minority Students, 2002/ERIC)。日本語を削って英語を増やすのは、この知見からすると逆向きの選択です。
事実3:ダブルリミテッドは「英語をやったから」起きるものではない。 二つの言語のどちらも年齢相応に育たない状態は、日本ではダブルリミテッドと呼ばれてきました。ただし研究者の議論はもっと慎重です。バイリンガル教育研究者の中島和子氏は、幼児期の言語環境に由来する一時的な現象と、長期的な教育的支援を要するダブルリミテッド現象を区別すべきだと論じています(母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究 第3号)。また静岡大学の宇都宮裕章氏は、この言説そのものが持つ強さと危うさ——子どもにレッテルを貼ってしまうリスク——を指摘する批判的論考を発表しています。実際に日本語の支援を必要としている子どもは、文部科学省の調査で公立学校に69,123人(うち日本国籍が11,405人)。その多くは日本語で学ぶ環境そのものが不十分な状況に置かれた子どもたちです(文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和5年度)」)。週に数時間の英語が原因ではありません。問われているのは、日本語で学ぶ時間が日常に組み込まれているかどうかです。

対面インター・英会話・補習——それぞれ、どこで足りなくなるのか
フルタイムの対面インターは、日本語が「家庭の言葉」に縮みやすい。 授業も休み時間も英語で回るため、日本語は教科の言語ではなくなります。国語に相当する時間が別枠で用意されていても、多くの場合は週数コマ。加えて、日本のインターの大半は学校教育法第一条に定める学校(一条校)ではないため、就学義務や進学ルートの整理が必要になります。この論点はインターナショナルスクールは義務教育?一条校一覧と進学で詳しくまとめています。そもそもインターとは何かを整理したい方はインターナショナルスクールとはもあわせてどうぞ。
英会話・英語学童は、日本語は守られるが英語が浅いところで止まる。 日本語環境をまったく崩さない点は大きな長所です。ただし、そこで扱われるのは基本的に「英語を学ぶ」時間であり、「英語で理科や社会を考える」時間ではありません。カミンズの区分でいえばBICSまでは届いても、CALPには届きにくい構造です。
補習校や国語の家庭教師は、後から足す分だけ負担が重なる。 フルタイムのインターに通わせ、日本語が心細くなってから補習を追加する——という順番は、時間もお金も二重にかかります。海外赴任や教育移住で日本語をどう保つかについては、教育移住で日本語はどうなる?で親ができるサポートを整理しています。
第三の答え:日本の学校に籍を残す併用型なら、国語は毎日ある
ここで発想を反転させます。日本語を守る最強の仕組みを、すでにお子さんは持っています。日本の学校です。学校教育法施行規則の別表第一が定める標準授業時数では、小学校の国語だけで6年間に1,461単位時間——45分換算でおよそ1,100時間が確保されています(学校教育法施行規則 別表第一/e-Gov法令検索)。中学校でも国語は続きます。トーマス&コリアーの言う「母語による正規の学校教育の量」を、日本に住むお子さんは毎日ただで積み上げているわけです。
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)がオンラインの併用型である理由は、まさにここにあります。籍は日本の学校に残したまま、放課後や週末に「英語で教科を学ぶ時間」だけを足す。国語・漢字・日本語での思考は日本の学校が毎日担い、NGAは英語で考える時間を上乗せする。日本の学校の良さを引き算せず、世界を足す設計です。就学義務も進学ルートもそのままなので、日本語が心配だから英語をあきらめる、という二択に立たされません。詳しくはダブルスクールという選び方をご覧ください。
NGAは英会話ではなく、英語で教科を学ぶ本物のインターナショナルスクールです。ただし日本語をいきなり切り離すことはしません。対象は6〜18歳、日本語の支えを前提に、少しずつ英語へ移行していきます。順位や偏差値をつけず、少人数の対話を中心に進めるため、日本語での表現に自信のないお子さんが置いていかれにくいのも設計上の特徴です。運営は日本のNIJIN。オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」には900名以上が在籍しています。学費は対面インターの約5分の1を目指していますが、2027年9月開校でまだ実績はこれから——ここは正直にお伝えします。


今日から始める3ステップ
まず、日本語を「量」ではなく「深さ」で棚卸しします。1週間のうち、お子さんが日本語で理由を説明した時間、本を読んで考えた時間はどれくらいでしたか。会話量ではなく、抽象的なことばを使った時間を数えてください。ここが薄いなら、英語を足す前に整えるべきはこちらです。
次に、日本語の時間を削らずに、英語で学ぶ時間を週1コマだけ足す。国語の宿題や読書をやめて英語に振り替える——これがいちばん避けたい形です。増やすのは量ではなく種類。日本語で考える回路と、英語で考える回路を、両方まわします。
最後に、半年ごとに配分を見直す。低学年は日本語の土台づくりが優先、思考が育つ高学年以降は英語で教科を扱う比重を上げられます。同じ配分を何年も続けないこと。それだけで事故はかなり防げます。

※費用・制度は2026年8月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。
よくある質問
Q. 英語を始めると、国語の成績が下がりませんか?
日本語の学習時間を英語に置き換えれば、当然その分は影響します。しかし、日本語の時間を保ったまま英語を足す場合、研究が示すのは逆の関係です。トーマス&コリアーの追跡研究では、母語を育てながら学んだ子どもが4〜7年後に全教科で上回りました。下がる原因になるのは英語そのものではなく、日本語を削るという判断のほうです。
Q. 日本の学校に通ったまま、インターも併用できますか?
できます。NGAはオンラインなので、平日の日中は日本の学校、放課後や週末にNGA、という形が取れます。籍は日本の学校に残るため、就学義務も進学ルートもそのままです。制度の詳細はインターナショナルスクールは義務教育?一条校一覧と進学をご確認ください。
Q. 海外赴任や移住が決まったら、日本語はどう守ればいいですか?
現地校に入ると、日本語は家庭内だけの言葉になりやすく、抽象的なことばから先に痩せていきます。読書・作文・日本語で議論する相手の3つを意識して確保してください。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです(NIJIN運営・子ども向けオンライン日本語)。移住全般の日本語対策は教育移住で日本語はどうなる?にまとめています。
Q. 費用面で、公的な支援は使えますか?
インターに関する無償化・補助の適用は、その学校が一条校かどうかや自治体の制度によって大きく変わります。対象条件と指定校についてはインターの無償化・補助金2026|指定校一覧と対象条件で整理していますので、ご家庭の条件に当てはまるか確認してみてください。
日本語をあきらめずに、世界を足していい
「英語か、日本語か」という問いに、ずっと居心地の悪さを感じてこられたのではないでしょうか。その違和感は正しいものだったと思います。研究が示しているのは二者択一ではなく、日本語という土台の上に英語が伸びるという順序でした。
そしてお子さんは、その土台をすでに毎日積んでいます。日本の学校で、国語の時間に。だからこそ私たちは、日本の学校を辞めることを前提にしませんでした。今の生活を壊さず、足りない種類の時間だけを足す。それがNGAの併用型です。
お子さんが伸びる時期を親が決めることはできません。それでも、日本語を痩せさせずに世界とつながる環境を用意することはできます。まずは、開校に向けた準備の様子だけでも見に来てください。
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