「教員 残業代」で調べたあなたが確かめたいのは、たぶん一点だけだと思います。先に結論を書きます。公立学校の教員に、残業代(時間外勤務手当)は支給されません。職場の運用ではなく、法律にそう書いてあります。給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)第3条は、教育職員に給料月額の一定率を「教職調整額」として支給すると定め、その上で時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないと明記しています。この率は1971年(昭和46年)の制定以来ずっと4%でした。そして2026年1月1日から5%になりました。約50年ぶりの引き上げです。
4%の出どころも記録に残っています。文部科学省が中央教育審議会に示した資料によれば、この率は1966年度(昭和41年度)の勤務状況調査で把握された1週間あたり平均1時間48分=月おおむね8時間の超過勤務を基礎に決められました。一方、文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」の教諭の平日1日あたりの在校等時間は小学校10時間45分・中学校11時間1分、週60時間以上働く教諭は小学校14.2%・中学校36.6%。制度が前提にした「月8時間」と、いまの実態との差——それが「残業代が出ない」という言葉の中身です。
| 時期 | 教職調整額の率 | 給料月額36万4,069円での月額 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1971年〜2025年12月 | 4% | 1万4,563円 | 給特法(制定時) |
| 2026年1月1日〜(現在) | 5% | 1万8,203円 | 令和7年成立の改正法 |
| 以後 | 段階的に引き上げ | — | 同上 |
| 令和12年度(2030年度)まで | 10% | 3万6,407円 | 文科省「教師の処遇改善」 |
| 時間外勤務手当(残業代) | 改正後も支給なし | 0円 | 給特法第3条 |
試算に用いた36万4,069円は、総務省「令和7年地方公務員給与実態調査」の小・中学校教育職の平均給料月額(平均年齢41.3歳)。実額は自分の給料月額で決まり、条例で定めるところにより支給されるため自治体差があります。管理職は対象外です。
残業代が出ない理由——「働いた時間」と支給額が切り離されている
給特法の核心は2つの決めごとです。ひとつ、給料月額の一定率(現在5%)を一律に上乗せする。ふたつ、その代わり時間外勤務手当と休日勤務手当は支給しない。だから月の時間外在校等時間が10時間でも80時間でも、支給額は同じです。立法時の趣旨は、教員の職務は自発性・創造性による部分が大きく勤務時間の内外を機械的に切り分けにくい、という認識にありました。教職調整額は給料として扱われ期末・勤勉手当にも反映されますが、時間が増えても額が動かない点は変わりません。
この一点こそ、多くの人が引っかかっている場所です。裏返せば、働く時間と報酬の関係を自分で決められる仕組みなら同じ悩みは構造的に起きません。NIJIN GLOBAL ACADEMYの創業メンバー募集を見る →——募集ページには5つの働き方モデルと報酬レンジの例があります(担任中心のモデルで合計月25〜30万円、規模が育った例で月95〜114万円)。ただし事業計画に基づく試算で確定額を保証するものではなく、報酬テーブル自体は面談時に全公開という留保付きです。それでも「働く量と担う役割を自分で決め、在宅で働く」という設計は、給料表と教職調整額の世界とは別物で、教員を辞めて自由に働きたい方、在宅で働きたい方には比べる材料になると思います。
仕組みは3つの部品でできている——教職調整額・超勤4項目・上限指針

部品1:教職調整額——一律の上乗せ
給料月額に対する定率の上乗せで、2026年1月から5%。時間に比例せず、勤務時間の記録とも連動しません。実額は給料月額×5%で確かめられます。給料表の読み方は教員の給料表の見方で整理しています。
部品2:超勤4項目——時間外勤務を「命じられる」のは4つだけ
給特法と政令により、時間外勤務を命じられるのは①校外実習等、②修学旅行その他の学校行事、③職員会議その他の学校運営、④非常災害等でやむを得ない場合の4業務に限られ、しかも臨時または緊急のやむを得ない必要があるときに限るとされています。裏を返せば、日々の授業準備・採点・保護者対応・部活動は時間外勤務命令の対象外で、制度上は自発的な業務として扱われてきました。ここが「実態と制度がずれている」と長く指摘されてきた核心です。
部品3:上限指針——月45時間・年360時間
2020年施行の改正で、文部科学省の告示として時間外の在校等時間は月45時間以内・年360時間以内という上限指針が定められました。ここで数えるのは命令が出た時間ではなく、命令によらない業務も含めた在校等時間です。つまり時間は把握されている。把握された時間が支給額に反映されない、という構造だけが残っています。
2026年の給特法改正——確定したことと、議論が続いていること
確定していることを、文部科学省の公表内容の範囲で書きます。給特法等の一部を改正する法律は2025年(令和7年)5月15日に衆議院、6月11日に参議院本会議で可決・成立しました。同省は内容を①働き方改革の加速、②指導・運営体制の充実、③教師の処遇改善の3本柱と説明し、処遇改善について「教職調整額の水準を4%から令和12年度までに10%に引き上げ」としています。起点は2026年1月1日で、現在は5%。あわせて教育委員会への働き方改革の計画策定・公表の義務づけ、新たな職主務教諭の設置も盛り込まれました。
誤解されやすい点も書きます。今回の改正は残業代を支給する制度に切り替えるものではありません。時間外勤務手当を支給せず定率の教職調整額で処遇するという枠組みは維持したまま、率だけを引き上げる形です。そしてまだ決まっていないこともあります。枠組みそのものを見直すべきだという意見は法改正後も出され続けており、議論は続いています。ここから先は変わる可能性があり、断定できません。最新の内容は文部科学省の公表資料でご確認ください。
私立学校は扱いが違う——労働基準法が適用される
ここまではすべて公立の話です。私立学校の教員は給特法の対象ではなく、原則として労働基準法が適用されます。時間外労働には労使協定(36協定)が必要で、2割5分以上の割増賃金(労働基準法第37条)が発生する——制度上は「残業代が出る」側です。ただし固定残業代として一定時間分が月給に含まれている場合、その時間を超えなければ追加支給は生じません。基本給と固定残業代の内訳・想定時間数を求人票と就業規則で確認してください。設置者ごとの待遇差は教員の給与比較でも扱っています。

第三の働き方——時間と報酬の関係を、自分で設計する

NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月開校予定のオンライン国際学校で、いま創業メンバーを募集しています。働き方は給特法の構造とちょうど裏返しです。5つの働き方(パート〜フル)から選べ、教えること以外にマーケティング・Web・事業提携・HRも担えます。「どれだけ働くか」と「何を担うか」を、はじめに自分で決める。完全リモートなので通勤という固定費もありません。
報酬は、募集ページに5つの働き方モデルと報酬レンジの例が示されています(担任中心のモデルで合計月25〜30万円、規模が育った例で月95〜114万円)。ただしこれは事業計画に基づく試算であり、確定額や個別の契約条件を保証するものではありません。報酬はジョブ型で、報酬テーブルは面談時に全公開されます。金額を先に断言しない点では給料表が公開されている公立のほうが明確で、そこは正直に書いておきます。年齢や勤続年数で自動的に上がる仕組みもなく、開校前ゆえ実績もこれからです。求めているのはゼロから創れる人——まだ何もない場所から創ることにワクワクする人で、英語力はCEFR B2目安。いま学校で働いていることは誇っていい仕事で、辞めることをすすめる気はありません。ただ教える情熱は手放さず、時間と報酬の決まり方だけを変える選択肢が現実にあることは、知っておいて損はないと思います。

自分の「時間あたり」を可視化する3ステップ

まず1か月の時間外在校等時間を出す(出退勤記録の直近3か月を平均すると実感に近い)。次に教職調整額の実額を出す——給料月額×5%を給与明細と突き合わせます。最後に割り戻す。教職調整額をその時間で割れば「時間外1時間あたりの上乗せ額」が出ます。すすめるのは辞める理由を作るためではなく、数字にすると判断が感情から離れるからです。
よくある質問
教員に残業代が出ないのは違法ではないのですか?
給特法が時間外勤務手当・休日勤務手当を支給しないと定めているため、支給されないこと自体が直ちに違法となるわけではありません。ただし枠組みが実態に合っていないという指摘は続いており、見直しを求める意見は法改正後も出されています。個別の勤務実態は弁護士や所属の教職員団体にご相談ください。
10%になれば残業代が出るようになりますか?
いいえ。今回の改正は率を令和12年度までに10%へ段階的に引き上げるもので、時間外勤務手当を支給する制度に切り替えるものではありません。給特法の基本的な枠組みは維持されています。なお2026年1月からの5%を平均給料月額36万4,069円で計算すると月1万8,203円です。
部活動の指導は残業になりますか?
時間外勤務を命じられるのは超勤4項目に限られ、部活動は含まれません。一方で上限指針が数える「在校等時間」には含まれます。休日の部活動指導に手当を設けている自治体もあり、扱いは異なります。
出典
- 文部科学省「教師の処遇改善」(4%から令和12年度までに10%へ):mext.go.jp
- 文部科学省「給特法等の一部を改正する法律案が参議院本会議において可決され、成立しました」(令和7年6月11日):mext.go.jp
- 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」:mext.go.jp
- 文部科学省「学校における働き方改革について」(上限指針・在校等時間):mext.go.jp
- 文部科学省 中央教育審議会 配付資料「教職調整額の経緯等について」(4%の算定根拠):mext.go.jp
- 総務省「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要」:soumu.go.jp
- 政府広報オンライン「給特法等改正法」:gov-online.go.jp
- 労働基準法第37条(割増賃金):e-Gov法令検索
数字を持ったうえで、自分の働き方を選ぶ
「教員 残業代」と検索したあなたは、不満をぶつけたかったのではなく、自分が置かれている仕組みを正確に知りたかったのだと思います。残業代が出ないのは給特法の設計によるもので、率は2026年1月に5%へ上がり、令和12年度までに10%へ向かう。ただし枠組みは変わらず、議論はまだ続いている。ここまでが今日確認できる事実です。
NGAが2027年9月に開こうとしているのは、偏差値で子どもを並べない脱偏差値のオンライン国際学校です。同じ発想を働き方にも当てはめたのが「5つの働き方」で、勤務時間の長さではなく担う役割で報酬が決まる設計にしています。給特法の話をここまで読んだあなたなら、この設計が何を解こうとしているのか、たぶん一番よく分かるはずです。NGAが目指しているもの →
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- 私立学校の教員からの転職
- 英語を教える資格
教える情熱はそのままに、時間と報酬の決まり方を次の働き方へ。


