「教員 退職金」と調べているとき、知りたいことは一つだと思います。今の自分が辞めたら、いくらになるのか。先に公表値を置きます。総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、令和5年度中に定年退職した都道府県の教育公務員(勤続25年以上)は6,210人で、1人当たりの平均退職手当額は2,297万3,000円。同じ年度に自己都合で退職した都道府県の教育公務員は13,730人で、平均は211万6,000円でした。開きはおよそ10倍あります。
この差は運でも評価でもなく、支給率という一枚の表でほぼ説明がつきます。多くの自治体が準拠する国家公務員退職手当法では、勤続25年で自己都合退職した場合の支給率は28.0395月分、勤続35年以上で定年退職した場合は47.709月分。この記事では①支給率が勤続年数と退職事由でどう変わるか、②自分の概算の出し方、③自治体・私立で何が違うか、を公的資料の数字だけで整理します。シミュレーションサイトの推定値は使わず、法令の条文と公表統計、そして計算式を開いた概算だけを置きます。
勤続年数別の支給率——自己都合と定年で、これだけ違う
退職手当の骨格は「退職日の給料月額 × 支給率」です。その支給率が、勤続年数と退職事由で決まります。
| 勤続年数 | 自己都合退職(第3条) | 定年退職等(第4条・第5条) | 差 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 5.02月 | 8.37月 | 約1.7倍 |
| 15年 | 10.38月 | 16.22月 | 約1.6倍 |
| 20年 | 19.67月 | 24.59月 | 約1.25倍 |
| 25年 | 28.04月 | 33.27月 | 約1.19倍 |
| 30年 | 34.74月 | 40.80月 | 約1.17倍 |
| 35年 | 39.76月 | 47.71月(事実上の上限) | 約1.2倍 |
出典:国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)第3条・第4条・第5条、および附則第6項・第8項。附則第6項の調整率100分の83.7を乗じた後の値で、小数第3位以下を四捨五入しています(勤続25年の自己都合は正確には28.0395月、勤続35年の定年退職は47.709月)。定年退職等は勤続35年を超えても35年として計算するため(附則第8項)、47.709月分が事実上の上限です。基本額そのものにも給料月額の60月分という上限があります(第6条の3)。地方公務員の退職手当は地方自治法第204条第2項により各自治体の条例で定められます。多くの自治体が国の制度に準じていますが、金額も区分も自治体により異なりますので、必ずお勤めの自治体の退職手当条例をご確認ください。
差がいちばん開くのは勤続10年です。自己都合の10年は本来10.0月分ですが、そこに100分の60が乗り、さらに調整率が乗って5.02月分まで落ちます。「10年勤めたのに1年分の給料にも届かない」と感じるなら、それは気のせいではなく設計です。勤続20年を境にこの減額はなくなります。
この5.02という数字は、辞めどきを年齢と勤続年数で先に固定してしまいます。だからこそ、辞めるかどうかの二択の前に、辞めずに増やせる柱があるかどうかを見ておく価値があります。NIJIN GLOBAL ACADEMYの創業メンバー募集を見る →——募集ページには「授業は週1回〜」「副業 月10万円〜」を含む5つの働き方モデルと報酬レンジの例が置かれています(担任中心のモデルで合計月25〜30万円、規模が育った例で月95〜114万円)。ただしこれは事業計画に基づく試算であって確定額を保証するものではなく、報酬テーブル自体は面談時に全公開される、という前提つきの数字です。上の表で自分の支給率を確かめたうえで並べて見る材料にはなります。
退職手当は3つの掛け算——なぜ自己都合だと減るのか

①退職日の給料月額——諸手当は原則入らない
算定の基礎になるのは、原則として退職日の給料月額(本俸)です。地域手当や期末勤勉手当は、ここには入りません。年収ベースで考えると実際より大きく見積もってしまうので、給与明細の「給料」の行だけを見るのが正確です。取扱いは自治体の条例によります。
②支給率——勤続年数と退職事由の掛け合わせ
国家公務員退職手当法では、勤続1〜10年は1年につき100分の100、11〜15年は100分の110、16〜20年は100分の160、21〜25年は100分の200と積み上がります。そのうえで自己都合退職には、勤続1〜10年で100分の60、11〜15年で100分の80、16〜19年で100分の90という減額がかかります。20年以上で減額がなくなるのは、この規定が19年までしか置かれていないからです。最後に附則第6項の調整率100分の83.7が全体に乗ります。
③調整額——役職に応じた加算、ただし自己都合は半額かゼロ
基本額とは別に調整額が加算されます。在職期間のうち区分の高い60か月分をもとに計算される、役職に応じた上乗せです。ここでも扱いが分かれ、自己都合等で退職した人は勤続10年以上24年以下だと半額、勤続9年以下だとゼロになります(第6条の4第4項)。
自分の金額のおおよそを出す——計算例
やることは掛け算一つです。退職日の給料月額 × 支給率。仮に給料月額35万円の方が自己都合で退職する場合、勤続10年なら35万円×5.022=およそ176万円、勤続20年なら35万円×19.6695=およそ688万円、勤続25年なら35万円×28.0395=およそ981万円。給料月額45万円で定年退職(勤続35年以上)なら45万円×47.709=およそ2,147万円です。
限界も正直に書きます。①これは基本額のみで調整額を加えていません。②支給率も減額の区分も自治体の条例次第です。③上の35万円・45万円も説明のために置いた仮の金額です。あくまで「桁を確かめる」ための計算だと思ってください。自分の数字にするには、給料表の見方と額面と手取りの違いを押さえておくと早いです。
自治体で違う・私立は別制度——ここは必ず留保が要る
地方公務員の退職手当は、地方自治法第204条第2項に基づき各自治体が条例で定めます。総務省の調査自体が「条例(案)第3条」「同第5条」という区分で集計しているとおり国の制度に準じた形が広く取られてはいますが、準じているだけで同一ではありません。早期退職募集制度の有無や条件も自治体ごとです。実際、令和5年度に都道府県の教育公務員で勤続25年以上の応募認定退職(早期退職募集)をした人は3,128人おり、平均は2,243万5,000円。定年退職の平均2,288万5,000円と大きくは変わりません。
私立学校やインターナショナルスクールの場合は、各法人の退職金規程によります。公立と同じ計算式が使えるわけではなく、制度そのものがない場合もあります。求人票と就業規則で個別に確認するほかありません。

第三の働き方——退職金は「辞めるコスト」だが、辞めなくても試せる

退職金を計算している人の多くは、辞めたいから計算しているわけではありません。辞めるという選択肢のコストを知っておきたいから計算しています。とても健全な行動です。そして計算し終えたあと、多くの人が「今は動けない」という結論にたどり着きます。それも正しい判断です。ただ、選択肢は「辞める/辞めない」の二つではありません。
NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)が2027年9月の開校に向けて募集している創業メンバーは、完全リモートで、担任クラスは8名単位、授業は週1回から設計できます。教えることに加えてマーケティング・Web・事業提携・HRなどのジョブを選べ、パートからフルまで5つの働き方モデルが置かれています。いま自由に働きたいと思っている方にも、専門性を伸ばして次の段階へ行きたいと思っている方にも、「辞めてから探す」以外の順番があり得るということです。
正直に言えば万能ではありません。勤続年数で積み上がる退職手当のような仕組みはなく、開校前ゆえ安定した実績もこれから積む段階です。そして公立学校の教員が在職のまま関わるには、営利企業等への従事制限(地方公務員法第38条)があり、任命権者の許可が要ります。ここを飛ばして「副業で始められます」とは言えません。確認したうえで可能な範囲から始める。それが現実的な順番です。

辞める前にやる3ステップ

まず自治体の退職手当条例を引きます。「○○県 職員の退職手当に関する条例」で公開されており、第3条から第5条あたりに支給率が載っています。次に給与明細の給料月額と掛け算する。ここまでで自分の桁が確定します。最後に辞めずに試せる範囲を確認する。兼業の許可基準も自治体ごとに公開されていることが多く、読むだけならコストはゼロです。
よくある質問
勤続10年で辞めたら教員の退職金はいくらですか?
国の制度に準じる場合、自己都合退職の支給率は5.022月分です。給料月額30万円なら約151万円、35万円なら約176万円が基本額の目安。加えて調整額は勤続10年以上24年以下で半額になります。実際の支給率も減額区分も自治体の条例によります。
勤続25年の自己都合退職と定年退職では、どのくらい違いますか?
支給率で比べると自己都合が28.0395月分、25年以上勤続後の定年退職等が33.27075月分で、約1.19倍の差です。年数が長くなるほど倍率の差は縮み、勤続10年時点の約1.7倍がもっとも開きます。
教員の退職金の平均額はいくらですか?
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」では、令和5年度中に定年退職した都道府県の教育公務員(勤続25年以上)6,210人の1人当たり平均が2,297万3,000円。同じ調査の全地方公共団体では教育公務員7,051人・平均2,294万7,000円、一般職員10,170人・平均2,212万6,000円です。
私立学校やインターナショナルスクールに移ると退職金はどうなりますか?
各法人の退職金規程によります。公立の支給率がそのまま適用されるわけではなく、制度の有無や算定方法は学校ごとに異なります。求人票と就業規則で個別に確認してください。
開校前のNGAに、在職しながら応募できますか?
募集ページには週1回からの授業設計や副業モデルを含む5つの働き方が示されています。ただし公立学校の教員が在職のまま報酬を得て関わる場合、地方公務員法第38条により任命権者の許可が必要です。可否も条件も自治体によって異なるため、必ず事前にご確認ください。
出典
- 国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)第3条・第4条・第5条・第6条の3・第6条の4、附則第6項・第8項:laws.e-gov.go.jp
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」第9表の1・第9表の2(団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額):soumu.go.jp
- 地方自治法(昭和22年法律第67号)第204条第2項:laws.e-gov.go.jp
- 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条(営利企業への従事等の制限):laws.e-gov.go.jp
金額を知ったあとに残るのは、あなたの願いのほうです
退職金の額は、積み上げてきた年月がそのまま数字になったものです。大きいと感じた方も、思ったより少ないと感じた方も、その数字はあなたの働きの証明であって、これから何をするかの答えではありません。数字が出たあとに残るのは、たいてい「まだ教えていたい」か「もう一本、自分の柱がほしい」のどちらかです。どちらも正しい気持ちで、どちらにも道があります。
NGAは、点数で子どもを並べない学校を2027年9月につくろうとしています。脱偏差値のオンライン国際学校を、まだ何もない場所から立ち上げる。退職金という制度が「勤め上げること」に報いる仕組みだとすれば、創業という働き方が報いるのは「まだない場所に最初に立つこと」です。同じ教える仕事でも、価値の置き場所が違います。NGAが目指しているもの →を先に読んでから、応募するかどうかを決めてもらえたらうれしいです。
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数字を確かめた人から、次の一歩は具体的になります。


