「オンラインインターなら、費用はずっと安いらしい」——通学型のインターナショナルスクールの学費表を見て手が止まったあと、そう聞いて検索された方は多いと思います。たしかに、オンラインインターと通学型インターの費用は、構造そのものが違います。ただ、その違いを「安い・高い」の一言で片づけてしまうと、いちばん大事なところを見落とします。
この記事でやるのは、授業料の額あてではありません。1年間に家から出ていくお金を、費目ごとに全部並べて比べることです。通学型は授業料の外側に費用が積み上がります。オンラインはオンラインで、授業料の外側に別の種類のコストが乗ります。片方だけを正直に書くのはフェアではないので、両方を並べます。読み終えるころには、あなたのご家庭が続けられる線を、自分の数字で引けるようになっているはずです。

比べるべきは授業料ではなく、1年間に家から出ていく総額
学校選びの検討がいちばん狂いやすいのは、授業料という一列だけを横に並べてしまうときです。授業料は、たしかにいちばん大きな一項目です。けれども、家計から実際に出ていくお金は授業料だけではありません。出願の時点から、入学の年に、そして毎年、授業料の表には載っていない費目が静かに積み上がっていきます。
オンラインインターと通学型インターの費用を比べるなら、見るべきなのは「年間で、この家からいくら出ていくのか」という一本の数字です。そしてその数字は、1年だけでは終わりません。小学校から高校まで通うなら12年、中学からでも6年。単年では小さく見えた差も、在学年数を掛けた瞬間に、まったく別の大きさになります。

ですから、この記事の残りは費目の話です。まず通学型、次にオンライン。どちらにも、パンフレットの1ページ目には書かれていない列があります。
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通学型インターナショナルスクールで、授業料の外側にかかる費用
通学型の特徴は、校舎という実体を全員で維持していることです。建物があり、送迎のバスがあり、給食室があり、グラウンドがある。その質の高さがそのまま魅力でもありますが、維持のための費用は、かならずどこかの費目として家庭に配分されます。下の表は、授業料の外側でよく発生する費目を、性質と「見落としやすい理由」で整理したものです。

| 費目 | 性質 | 見落としやすい理由 |
|---|---|---|
| 出願料・登録料 | 出願のたび | 併願すると学校の数だけかかります。合否にかかわらず戻らないことが多い費目です。 |
| 入学金 | 初年度のみ | 授業料とは別枠で、まとまった額になりやすい。月額換算の感覚で考えていると驚く部分です。 |
| 施設維持費・資本賦課金 | 毎年(学校により初年度のみ) | 校舎や設備を維持するための費用。学費ページとは別の場所に小さく書かれていることがあります。 |
| 制服・教材・端末 | 初年度に集中+成長のたび | 指定品はサイズアウトのたびに買い替えが必要。ノートPCやタブレットの機種指定がある学校もあります。 |
| スクールバス・通学交通費 | 毎年 | 距離で大きく変わります。毎日のことなので、年額に直すと無視できない大きさになります。 |
| 給食・昼食代 | 毎年 | 給食が必須の学校では、選べない固定費になります。お弁当の場合も、手間という別のコストが残ります。 |
| 課外活動・遠征・キャンプ | 毎年(学年が上がるほど増えやすい) | 制度上は任意でも、クラスのほとんどが参加する行事だと、参加しない選択はしづらくなります。 |
| 通学圏への転居・住居費 | 毎年(引越し費用は一度) | 学校の近くに住むための家賃差。学費の表には絶対に出てきませんが、費目のなかで最大になることがあります。 |
金額を書かないのは、意地悪をしているからではありません。学校差・都市差・学年差が非常に大きく、平均値を書くとかえって判断を誤らせるからです。年間の授業料が100万円台で通える国際校もあれば、400万円を超える学校もあります。幅で捉えたうえで、実額は必ず各校の公式サイトで最新のものをご確認ください。当サイトが公式資料から整理した情報はインターナショナルスクールの学費は高い?と、都市別の水準をまとめた学費データベースにありますので、実額の目安はそちらをどうぞ。
オンラインインターで、授業料の外側にかかる費用
ここが、この記事でいちばん正直に書きたい節です。「オンラインなら全部安い」とは書きません。 校舎・バス・給食・制服という費目が消えるのは事実ですが、そのかわりに、通学型では家庭が意識しなくてよかったコストが家の側に移ってきます。移ってきたものを見ないまま比べると、こんどはオンライン側で見積もりが狂います。

1. 端末・通信環境・机まわり。 毎日オンラインで学ぶなら、共用のタブレットを取り合う形は続きません。ある程度の性能の端末、安定した回線、そして手元を照らす明かりと、座り続けられる椅子。ここは初年度に集中する一時費用で、通学型の制服・教材にあたる位置づけだと考えてください。きょうだいが同時に受講するなら、その分だけ台数も必要になります。
2. 保護者の伴走時間という、見えないコスト。 これがいちばん見落とされます。低学年ほど、入室の見守り、機材トラブルの対応、時間割の声かけが必要になります。通学型ではこの時間を学校が引き受けていました。金額の欄には出てきませんが、共働きのご家庭にとっては、家計以上に効く費目です。学年が上がるほど軽くなる性質のコストなので、いま何年生かで負担感はかなり変わります。
3. 対面の関わりを別に確保する費用。 オンラインは、身体を動かす時間と、同じ空間で人とぶつかる経験を自動では与えてくれません。スポーツクラブ、地域の活動、習い事、キャンプ。ここを別に確保する前提で予算を組むのが誠実な設計です。これを足し忘れた見積もりは、あとから必ず崩れます。
4. 時差のある学校を選んだ場合の生活設計。 海外の学校をオンラインで選ぶと、授業が夜や早朝に入ることがあります。送迎の費用はゼロでも、家族の生活時間が動くという別のコストが発生します。金額ではありませんが、続くかどうかを決めるのはこの部分です。
そのうえで申し上げると、費目の数と一時費用の大きさで見れば、オンラインのほうが総額を抑えやすいのはたしかです。ただし「安い」ではなく「費目の構造が違う」と捉えたほうが、判断を間違えません。オンライン校の学費の実態はオンライン国際校の学費は本当に安いのかで詳しく整理しています。
4つの通い方を、同じ観点で比べる
ここまでの費目を、選択肢ごとに同じ観点で並べます。「通学型か、オンラインか」の二択ではありません。 通学圏に引っ越して通う、地元の学校に在籍したままダブルスクールにするという中間もあります。

表を見ていただくと分かるとおり、オンライン国際校は「対面での関わり・身体活動」の行だけは×です。ここを○にしたい気持ちはありますが、事実ではありません。オンラインインターと通学型インターの費用を比べて前者を選ぶなら、この一行を家庭側でどう埋めるかまでを含めて設計する。それが、後悔しない選び方だと考えています。
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わが家の「続けられる線」の出し方
費目が並んだら、あとは自分の数字に落とすだけです。紙とスマホの電卓で30分あれば足ります。

STEP 1、教育費に回せる月額の上限を決める。 年収からではなく、手取りから住居費・生活費・貯蓄を引いた残りで線を引きます。大切なのは、収入が一時的に下がっても払い続けられる額にしておくこと。ボーナス前提の計算は、続けられる線にはなりません。
STEP 2、卒業までの総額に引き伸ばす。 その月額に12か月と在学予定年数を掛け、入学金・制服・端末など初年度に集中する費用を足します。これが、無理なく出せる総額の上限です。ここで通学型は初年度の山が高く、オンラインは端末という別の山があることを思い出してください。
STEP 3、総額に収まる通い方を選ぶ。 通学型がそのまま収まるなら、それがいちばんです。収まらないなら、転居せずに通える範囲で探す、ダブルスクールにする、オンラインを選ぶ。諦めるのは、いちばん最後で構いません。
よくある質問
オンラインにすると、家から出ていく総額はどのくらい変わりますか?
費目の数と一時費用の大きさで見れば、通学型より総額を抑えやすい傾向はあります。ただし端末や通信環境、対面の関わりを別に確保する費用が家庭側に移るため、差は「授業料の差」ほど大きくならないこともあります。学校ごとの実額は必ず公式サイトでご確認のうえ、この記事の費目表で自分の家の数字に置き換えてみてください。
途中で通学型に切り替えることはできますか?
できる場合が多いですが、編入の時期・空き枠・語学要件は学校ごとに大きく異なります。費用の面では、切り替えの年に入学金や制服などの一時費用がもう一度発生する点を見込んでおくと安心です。切り替えを視野に入れるなら、志望校の編入条件を早い段階で確認しておくことをおすすめします。
きょうだいがいる場合は、どう考えればいいですか?
通学型では、きょうだい割引がある学校とない学校で総額が大きく変わります。オンラインでは学費が人数分かかるうえ、同時に受講するなら端末も人数分必要になります。一方で、送迎や通学定期が要らない点は人数が増えるほど効いてきます。人数を掛けた総額で比べてください。
補助や無償化の制度は使えますか?
幼児教育・保育の無償化や高等学校等就学支援金といった制度はありますが、インターナショナルスクールはいわゆる一条校に当たらない場合が多く、その場合は対象外となることがあります。認定状況や自治体の運用で扱いが変わるため、必ず最新の公式情報でご確認ください。全体像はインターに補助金や無償化はある?で整理しています。
安いかどうかではなく、12年続けられるかどうか
オンラインインターと通学型インターの費用を並べてみると、見えてくるのは「どちらが安いか」ではなく「どちらの費目の形が、わが家の暮らしに馴染むか」という問いです。校舎の維持費を分担する代わりに、毎朝の道のりと、放課後のグラウンドと、給食の時間を手に入れる。その費目を手放す代わりに、住む場所の自由と、初年度の身軽さを手に入れる。どちらにも、払うものと受け取るものがあります。
私たち NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月の開校を予定しているオンラインの国際学校です。運営は株式会社NIJIN。母体のNIJINアカデミーには、すでに900名を超える子どもたちが在籍しています。校舎を持たないぶん、費用の前提そのものが違う——それが私たちの位置づけです。同時に、この記事で×をつけた「対面での関わり・身体活動」を、ご家庭まかせにしないための設計を今つくっているところでもあります。2027年の春(4〜5月)には、体験クラスとしてのプレ開校も準備しています。
学費の金額はまだ確定していないので、ここでは書きません。決まり次第、1期生募集の情報とあわせて、開校情報のメールで最初にお届けします。今日は、何も決めなくて大丈夫です。 まずは費目を書き出して、わが家の線を引くところから始めてみてください。


