秋になると、お住まいの自治体から就学時健康診断の案内が届きます。封を開けて、来年の春にはこの子がランドセルを背負うのだと実感した瞬間に、ふと手が止まった——そんな方もいるのではないでしょうか。近所の公立小学校に進ませるのが自然だとは思う。でも、幼児期に育ってきた英語をここで手放すのは惜しい。小学校からインターナショナルスクールに入れるという選択は、うちにも現実的なのだろうか。
この記事は、その迷いを抱えたまま検索した方のために書いています。「入れる」「入れない」の一言で片づけるのではなく、多くのご家庭がつまずく就学義務・英語ゼロ・費用という三つの不安に、分かっていることと分からないことを分けてお答えします。そして最後に、全日制のインターだけではない通い方も並べます。読み終えたときに、決断そのものではなく「次に確認すること」が手元に残るように書きました。

小学校からインターナショナルスクールに入ると、何が変わるのか
幼児期のプリスクールと、小学校からのインターナショナルスクールは地続きに見えて、前提がいくつも入れ替わります。まずお金の入口が変わります。幼児期は、施設の位置づけや自治体の判断によって幼児教育・保育の無償化の対象になる場合がありますが、小学校段階でそれに相当する全国的な仕組みは、一般には用意されていません。制度の運用は自治体ごとに違うので、実際にどうなるかはお住まいの窓口でご確認ください(インターナショナルスクールに使える補助制度にも整理しています)。
次に学習言語が英語になります。英会話の時間が増えるという話ではありません。算数も理科も社会も、考えることそのものを英語で行うようになります。同時に、日本語と日本の学習内容は「学校が当然やってくれるもの」ではなくなり、家庭が意識して設計する対象に変わります。漢字をどう積み上げるか、日本の歴史や地理をいつ触れさせるか。この設計を後回しにしたご家庭ほど、数年後に困りやすいというのが正直なところです。
そして人間関係をつくり直すことになります。同じ幼稚園から一緒に上がる友だちはいません。転勤で年度の途中に誰かが帰国することも珍しくなく、出会いと別れの回転が速い環境です。それを豊かさと感じる子もいれば、負荷と感じる子もいます。そもそもインターとはどういう学校群なのかから整理したい方は、インターナショナルスクールとはを先にお読みください。

小学校からインターナショナルスクールに入るとき、就学義務はどうなるのか
いちばん多いご質問がこれです。要点だけ正確にお伝えします。日本の学校教育法が定める「学校」(いわゆる一条校)には、多くのインターナショナルスクールは含まれていません。そのため、インターに通わせる場合、保護者の就学義務がどう扱われるかは、公立小学校に通わせる場合と同じようには考えられないという点に注意が必要です。学齢簿の扱い、在籍校への届け出、出席の記録の残り方——このあたりは自治体や学校によって運用が分かれます。
だからこそ、この記事で断定的な結論は書きません。お住まいの市区町村教育委員会に、必ずご自身の状況で確認してください。相談は入学の何年も前からでもできますし、就学時健診の案内が届いたタイミングは、むしろ聞きやすい時期です。制度面の考え方をもう少し詳しく知りたい方は、インターナショナルスクールと義務教育の関係にまとめています。ここを曖昧にしたまま学校選びを進めると、後から家族全員が消耗します。順番として、いちばん先に片づけておく話です。

英語ゼロでも大丈夫か
結論から言うと、学校によります。英語を母語としない子どもを受け入れる仕組み(EALやESLと呼ばれます)を厚く持つ学校もあれば、一定の英語力を入学の前提にしている学校もあります。同じ「インターナショナルスクール」という看板でも、ここは大きく違います。学校説明会では、受け入れの有無だけでなく、担当者は何人いるのか、通常のクラスにはどのくらいの期間で合流するのか、途中でつまずいたときに誰が見るのかまで聞いてください。
年齢については、一般に入学時期が早いほど言語の負荷は軽い傾向があると言われます。ただし、それはいいことばかりではありません。日本語での読み書きや抽象的な思考が育つ時期に英語環境の比重が大きくなると、日本語の力が思うように伸びない、あるいは学習言語としては英語も日本語も中途半端になる、という悩みは実際に起こります。これはインターを否定する話ではなく、事前に手当てができる話です。詳しくはインターに通うと日本語が遅れる?と、インターナショナルスクールのデメリットを先にお読みください。良い面だけを見て決めないほうが、結果的に長く続きます。
小学校からインターナショナルスクールに通う費用と、「続けられるか」という問題
費用は学校による幅がとても大きく、当サイトの整理では年間おおよそ100万〜345万円、主要校の中心帯は約200万〜345万円です。ここに入学金、施設費、スクールバス、教材費、行事費、場合によっては寄付金が加わります。数字は毎年改定されるため、一次情報は必ず各校の公式サイトでご確認ください。学校ごとの比較はインターナショナルスクール学費データベースに、授業料以外に何がかかるのかは学費の内訳にまとめています。
そしてもうひとつ、小学校からを検討する方に必ずお伝えしたい構造があります。小・中学校の9年間は、一条校ではない学校に通う家庭にとって、公的支援がもっとも薄くなりやすい期間です。幼児期には無償化という入口があり、高校段階でも学校の認可の形によっては公的な支援に手が届く場合があります。その間の9年が、まるまる家計に乗ってきます。だから判断すべきは「初年度に払えるか」ではなく、9年間払い続けられるかです。使える可能性のある支援は補助制度のまとめで確認できますが、対象や要件は自治体・年度によって変わるため、こちらも公式でのご確認をお願いします。
通い方は、ひとつではありません
ここまで読んで「やっぱり難しいかもしれない」と感じた方へ。小学校からインターナショナルスクールという選択は、実は全日制に入れるかどうかの一択ではありません。大きく三つの通い方があります。
1. 全日インターナショナルスクール。もっとも英語環境が濃く、国際的なカリキュラムを最初から積み上げられます。反面、費用は最も重く、通える範囲に学校があるかという地理の制約も受けます。日本語と日本の学習内容は家庭側で設計する前提になります。
2. 公立小学校+インター的な学びの併用(ダブルスクール)。公立小に在籍しながら、放課後や週末に英語で学ぶ場を足す形です。日本語と日本の学習の土台を保ちつつ、英語の時間を積み増せるのが強み。費用も全日より抑えやすい。一方で、子どもの体力と時間の使い方には注意が要ります。考え方と組み方はダブルスクールで詳しく整理しています。
3. オンラインのインターナショナルスクール。住む場所に左右されず、国際的な学びに参加できます。校舎を持たない分だけ費用が抑えられる傾向があり、体調や気質に合わせて関わり方を調整しやすい。反面、対面ならではの密度や、生活リズムづくりは課題になります。どんな学校があるかはアジアのオンライン・インターナショナルスクール一覧をご覧ください。

表にすると見えてくるのは、どれかを選ぶことは、どれかを諦めることでもあるという当たり前の事実です。すべての行に○がつく通い方はありません。全部を取ろうとせず、ご家庭がいちばん譲れない一行はどれかを先に決める。それだけで、選択はぐっと楽になります。
決める前に確かめておきたいこと
1. 就学義務の扱いを、教育委員会に自分の言葉で聞いたか
ネットの情報や先輩保護者の話だけで判断しないでください。運用は自治体で違います。「うちはこの学校を検討している」と具体名を挙げて相談すると、答えが具体的になります。
2. その学校の英語受け入れ体制を、人数と期間まで確認したか
EALやESLがある、という回答で満足しないこと。担当者は何人か、週に何時間か、通常クラスへの合流までどのくらいを想定しているか。ここまで聞いて初めて比較になります。
3. 日本語をどう積むかを、家庭の計画として書き出したか
誰が、いつ、何を使って。曖昧なままだと必ず後回しになります。地域の日本語補習、家庭学習、日本語での読書習慣。小学校段階で決めておくと、後の負担がまったく違います。
4. 9年分の総額を、紙に書いて共有したか
初年度ではなく9年分。授業料以外と値上げの可能性も含めて。途中で続けられなくなる転校が、いちばん子どもに負荷をかけます。

NGAは、どこに位置する学校なのか
三つめの「オンライン」に関心を持たれた方に、私たちの立ち位置もお伝えします。NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、2027年9月に開校予定の脱偏差値のオンライン・インターナショナルスクールです。対象年齢は6〜18歳、つまり小学校段階が入口になります。運営は株式会社NIJIN。日本最大級のオルタナティブスクールNIJINアカデミーには、すでに900名を超える子どもたちが在籍しています。
NGAが大切にしているのは心理的安全性です。具体的には、関わる人数と関わり方を、その子自身が選べるということ。カメラをオンにするか、声を出すか、チャットで書くか。どれも参加です。「自分と世界を、好きになる」「人を責めず、仕組みで解決する」を土台に、世界そのものを教材にして学びます。近くに全日インターがない地域のご家庭にも開かれています。
同時に、正直に申し上げます。NGAが向かないご家庭もあります。毎日校舎に通い、同じ子どもたちと体を使って過ごす濃さを最優先にしたいなら、通える範囲の全日インターのほうが合います。日本の学習指導要領に沿った進度を確実に押さえたい場合も、公立+併用のほうが素直です。他の選択肢と公平に並べたうえで、合うと感じたときにだけ検討してください。
よくある質問
公立小学校に在籍しながら、インターナショナルスクールに通うことはできますか?
在籍と通学の扱いは、自治体や学校によって運用が異なります。実際に併用しているご家庭もありますが、届け出の要否や出席の扱いは一律ではありません。必ずお住まいの市区町村教育委員会と、在籍予定の学校の両方にご確認ください。放課後や週末に英語の学びを足すダブルスクールの形であれば、在籍はそのままで組める場合が多いようです。
英語がまったく話せません。小学校からインターに入るのは無理がありますか?
一律に無理とは言えません。英語を母語としない子どもの受け入れ体制がある学校なら、ゼロから始めるお子さんも珍しくありません。ただし体制の厚みは学校差が大きいので、必ず学校ごとに確認してください。あわせて、日本語をどう積み上げるかの計画も同時に立てておくことをおすすめします。
途中で公立小学校に戻ることはできますか?
転入学の可否や手続きは、自治体・学校によって異なります。学齢簿がどう扱われているか、学習の到達をどう確認するかなど、事前に把握しておきたい点があります。「戻れるかどうか」は、入る前に教育委員会へ確認を。戻る道が見えていること自体が、思い切って選ぶための支えになります。
選ぶのは、いまの学校ではなく、9年間の暮らしです
小学校からインターナショナルスクールへ。この選択が難しいのは、学校の良し悪しの問題ではなく、就学義務・言語・お金という三つの現実が同時に動くからです。逆に言えば、その三つを一つずつ確認していけば、迷いは必ず減っていきます。今日できることは、決めることではありません。教育委員会に電話をかける日を、カレンダーに書き込むことです。
NIJIN GLOBAL ACADEMYは2027年9月に開校予定です。加えて2027年の春には、体験クラスとしてのプレ開校も準備しています。関わる人数も関わり方も自分で選べる学びのしくみと、1期生募集の情報を、メールでいち早くお届けします。今日はまだ、何も決めなくて大丈夫です。ただ、お子さんの学び方には思っているより幅があることだけは、覚えておいてください。
国際教育の選び方を、もっと知る
- インターナショナルスクールの幼稚園の費用はいくらか——小学校以降との違いと見極め方
- 開校まで15ヶ月——どんな思いでこの学校をつくるのか——創業の動機と準備の記録
- 親が英語を話せなくても、子どもをバイリンガルに育てられるか——家庭でできることの現実解
- 不登校でも、世界とつながって学べる——オンラインインターという選択肢
- 偏差値で測れない力を、どう育てるか——受験レースに疲れる前に読みたい3つの視点
- 子どもの英語は何歳から始めるのが正解か——早すぎ・遅すぎの不安に答える
- アジア・オセアニアで学べるオンライン国際教育7つを比較——わが子に合う選択肢を正直に
- オンラインインターナショナルスクールの学費は安いのか——費用相場を正直に比較
- インターを卒業した子の進路と、大学進学のリアル——出口から逆算して選ぶ
- 教育費を抑えながら、子どもに国際教育を受けさせる方法——費用の作り方


