「何かご質問はありますか」。学校見学の質問を用意していったつもりでも、最後にそう聞かれて言葉が出てこず、帰りの電車で聞きたかったことが次々に浮かんできた——学校説明会に行ったことのある方なら、覚えのある感覚ではないでしょうか。準備不足だったからではありません。とっさに浮かぶ質問は、たいていパンフレットに答えが書いてあるからです。
この記事は、学校見学の質問を15個、観点別に並べたものです。それぞれに「なぜ聞くのか」「どんな答えなら安心で、どんな答えは要注意か」を添えました。インターでも、オルタナティブスクールでも、公立でも、オンラインでも、そのまま使えます。

学校見学の質問が無駄になるのは、「書いてあること」を聞くから
学校側は、よく聞かれることへの答えを用意しています。カリキュラムの特色、英語の時間数、進学実績、教育理念。どれも大事ですが、そこは冊子に書いてあり、当日もほぼ同じ言葉が返ってきます。
聞く価値があるのは2種類だけです。ひとつはどこにも書いていない事実——人数、頻度、直近1年に実際に起きたこと。もうひとつは答え方そのもの。即答できるか、資料を取りに行ってくれるか、質問をやんわり別の話にすり替えるか。学校の体質は、答えの中身より答え方に出ます。「把握していないので確認して連絡します」と言える学校は、むしろ信頼できます。

そもそもどんな基準で選ぶかは学校選びの判断基準を30項目に整理したチェックリストに整理しました。あちらが判断基準をつくる記事なら、この記事はその基準を見学の場で口に出して確かめる記事です。
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授業と先生——「ふつうの日」を聞き出す4つの質問
見学日は、学校のいちばんいい日です。確かめたいのは特別な日ではなく、お子さんが1年間過ごすなんでもない1日のほうです。
質問1「昨日の時間割を、そのまま見せてもらえますか」
今日ではなく昨日、と指定するのがコツです。標準の時間割ではなく、実際に動いた1日が見えます。その場で学級通信やホワイトボードを出してくれれば安心。年間計画やモデルカリキュラムに話がずれるなら、日々が記録されていないのかもしれません。
質問2「1コマのうち、子どもが話している時間はどのくらいですか」
探究型、対話重視、主体的な学び。理念はどの学校も似た言葉で語ります。だから言葉ではなく配分で聞きます。「半分は子どもが話しています」と言われたら、その場面を1つ挙げてもらってください。具体例が出れば本物です。
質問3「担任の先生は、この3年で何人入れ替わりましたか」
教員の定着率は、学校の内側を正直に映します。ただし入れ替わりが多いこと自体は悪ではなく、開校まもない学校では自然に起こります。見るべきは理由を説明できるか。「産休と海外転居が重なりました」と言える学校と、はぐらかす学校では意味が違います。
質問4「先生のうち、常勤は何人ですか」
総人数より、常勤と非常勤の内訳が実態を語ります。子どもの変化に気づくのは、毎日同じ場所にいる大人だからです。「先生同士が学び合う時間は週にどのくらいですか」もあわせて聞くと、個々の力量に頼りきりかどうかが見えます。
つまずいたとき——対応と評価をたしかめる4つの質問
学校選びで効いてくるのは、うまくいっている日ではなく、うまくいかなかった日にその学校がどう動くかです。
質問5「先週、子ども同士のトラブルは何件ありましたか」
「いじめはありません」と返ってきたら、いったん立ち止まってください。子どもが集まればぶつかり合いは起きます。ゼロは、無いのではなく見えていないのかもしれません。件数と対応をセットで話せる学校が安心です。
質問6「学校に来られない日が続いたとき、最初にどなたが動きますか」
担任か、養護教諭か、学年主任か、外部の相談員か。役割が決まっている学校は、その場面を何度も経験しています。「柔軟に対応します」だけなら、「直近で実際に動いたケースを差し支えない範囲で」と踏み込んでください。
質問7「評価表の実物を、名前を伏せて見せてもらえますか」
評価の思想は書式に出ます。数字が並ぶのか、記述が中心か、子ども自身の振り返り欄があるか。「点だけでは測りません」という説明と実物が食い違う学校もあります。「この欄は誰がいつ書くのですか」と1つだけ聞いてください。
質問8「うちの子がついていけていないと、いつ、どうやって分かりますか」
怖いのは、気づいたときに手遅れになっていることです。学期末の面談まで分からないのか、月ごとに共有があるのか。頻度と手段が具体的に返る学校が安心です。「何かあればご連絡します」だけなら、その「何か」の基準を聞き返してください。

お金と出口——見積書に載らない3つの質問
費用と進路は、いちばん聞きにくく、いちばん後から効いてきます。聞かなかったぶんの不確実さは、そのままご家庭が引き受けることになります。
質問9「授業料以外に必ずかかるお金を、卒業まで全部教えてください」
「必ず」と「卒業まで」を両方入れるのがコツです。入学金、施設費、教材費、制服、行事費、交通費、寄付金の慣行。任意と書かれていても実質的に全員が出しているものを正直に教えてくれるかで、学校は分かれます。年額を紙に書いてもらえれば、比較の精度は一気に上がります。
質問10「過去3年で、授業料の改定はありましたか」
入学時の金額のまま卒業を迎えられるとは限りません。改定の有無と幅を聞くだけで、数年先の見通しは立てやすくなります。長く通わせるつもりだから確かめている、と伝われば、真剣に答えてくれるはずです。
質問11「合格実績ではなく、昨年度の卒業生が実際に進んだ先を人数で教えてください」
合格実績の一覧ではなく、実際に進んだ先を人数で聞きます。あわせて卒業資格も。日本国内では、学校教育法第1条に定める学校(一条校)でないインターやオルタナティブスクールに通っても、それだけで就学義務を果たしたことにはならず、地元校に籍を残す前提になります(運用は自治体により異なります)。詳しくはインターナショナルスクールと就学義務をご覧ください。
誰も聞かない質問——「やめるとき」を先に聞いておく
見学の質問は、ほとんどが入口の話です。どう入るか、何が学べるか、いくらかかるか。けれど家族を消耗させるのは、たいてい出口のほうで起こります。出口の説明が明快な学校は、それだけ多くの家庭と誠実に向き合ってきたということです。
質問12「この1年で、途中で転校されたご家庭は何組ありましたか」
件数より、答えの落ち着きを見てください。「2組です。転勤と、本人に合わなかったケースでした」と淡々と話せる学校は、離れる家庭を失敗として扱っていません。「うちに合わなかっただけ」と相手側の問題に片づける答え方には注意してください。
質問13「合わないと分かったとき、転校の相談にのってもらえますか。返金規定は」
返金規定は口頭ではなく文書で確認してください。学期途中の退学、年度途中の休学、海外転居。どこまでが規定で、どこからが個別対応か。転校は珍しくありません。実際に動いたご家庭の準備はインターナショナルスクールへの転校で確かめることにまとめています。
オンライン説明会で聞くべき2つの質問
オンラインは遠方の学校も候補にできる一方、対面なら勝手に目に入るもの——廊下の空気、休み時間の声、掲示物の古さ——が届きません。確かめにくいところを、質問で埋めにいきます。

表のとおり、オンラインは1日の流れが体感しにくく、卒業資格の扱いも学校によって分かれます。ここは正直に書いておきます。一方で公立は先生の異動が制度で決まるため見学時点では読みにくく、オルタナティブスクールは出口の設計が学校ごとに違います。どのタイプにも見えにくい面があります。向き不向きはオンラインインターナショナルスクールのメリット・デメリットに整理しました。
質問14「今日お話しされている先生は、実際に毎日授業をしている先生ですか」
説明会に出るのが広報担当だけの学校と、現場の教員が出てくる学校があります。良し悪しではありませんが、後者のほうが教室の実感がこもった答えが返ってきます。広報担当だけなら「現場の先生と話せる機会はありますか」と聞いてください。
質問15「画面の向こうで子どもが黙ってしまったとき、どうしていますか」
オンラインでよく起きるのが、カメラの前で固まってしまう時間です。当てるのか、チャットで拾うのか、少人数の部屋に分けるのか、そっとしておくのか。方針が具体的に返る学校は、その場面を何度も経験しています。
聞いたあと、家でどう決めるか
リストを持っていくと、聞くこと自体が目的になりがちです。大切なのは持ち帰ったあと。やることは3つだけです。

STEP 1は、答えを要約せずに書き留めること。「対応してくれるそうです」ではなく「担任がまず動き、3日目に学年主任が入ると言われた」と、言い回しごと残します。要約した瞬間に、どの学校の答えも同じ顔になります。
STEP 2は、全校に同じ質問をすること。学校ごとに聞くことを変えると、印象の良し悪しでしか比べられなくなります。15個すべてでなくてかまいません。外せない5つを決めて、それだけは必ず全校で聞いてください。
STEP 3は、24時間おいてから話すこと。直後は校舎のきれいさや先生の感じの良さに気持ちが引っぱられます。一晩おいてメモを読み返し、お子さんに「どうだった?」と聞いてください。大人が見ていたものと子どもが見ていたものは、驚くほど違います。
NGAなら、こう答えます
ここまでの15の質問は、私たち自身にも向けられるものです。NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月に開校予定の脱偏差値のオンライン・インターナショナルスクールで、運営は株式会社NIJINです。姉妹校のNIJINアカデミーには、すでに900名を超える子どもたちが在籍しています。2027年4〜5月には体験クラス(プレ開校)を予定しています。
質問2への答えは「子どもが話している時間のほうが長い」設計です。質問6については、オンラインだからこそ来られない日を最初に見つけやすいという事情があります。質問13の返金規定と転校の相談は、開校時に文書でお示しします。
正直に言えば、向かないご家庭もあります。校庭で体を動かす時間や、毎日の対面での関わりをいちばん大切にしたいなら、オンラインは物足りないはずです。生活リズムをつくる伴走にもご家庭の手が要ります。だからこそ、私たちにも遠慮なく同じ質問をしてください。
よくある質問
学校見学の質問は、いくつ用意していけばいいですか?
15個すべてを読み上げる必要はありません。質疑応答は5分から15分程度のことが多いので、その場で聞くのは5つ前後が現実的です。残りは個別相談や体験クラス、メールに回してください。優先順位は、いちばん不安な領域から決めるのが確実です。
こんなことを聞いたら、印象が悪くなりませんか?
数や頻度、直近の事例を尋ねるのは正当な質問です。長く通わせるつもりだから確かめている、と一言添えれば、たいていの学校は歓迎してくれます。むしろ質問したことで態度が変わる学校なら、それはその学校について分かったという情報です。
オンライン説明会だけで決めても大丈夫ですか?
説明会だけで決めるのは、対面でもオンラインでもおすすめしません。可能なら体験クラスや個別相談まで進んで、お子さん自身が学ぶ場面を一度は見てください。実際の授業に近い体験があるかどうかが、見極めの分かれ目になります。
質問することは、失礼ではありません
いい質問ができなかった日のことを、責める必要はありません。何を聞けばいいか分からないのは、まだその学校を知らないから当たり前です。質問は学校を試すためではなく、これから何年も預ける相手と、最初にきちんと話すためのものです。
NIJIN GLOBAL ACADEMYは2027年9月に開校予定です。校舎を持たないオンラインという形、少人数の対話を中心にした学び、そして1期生募集の情報を、メールでいち早くお届けします。次の見学の前に、この15個のうち5つだけ選んでおく。それだけで、帰り道の景色は変わります。


