インターナショナルスクールに通いながら公立小学校に籍は残せる?実務と手続き

『公立小に籍は残せる?答えは、自治体で割れる。』という二重在籍の実務をテーマにしたキービジュアル

「インターナショナルスクールに通わせたい。でも、公立小学校の籍はどうなるのだろう」——知りたいのは建前ではなく、実際にどう扱われるかだと思います。結論から書きます。公立小学校に籍を置いたまま対面のインターに通う形は、「二重在籍として認められている」のではなく、「公立小に在籍したまま登校していない状態」として運用されています。運用は自治体で割れます。在籍を前提に受け入れる町もあれば、欠席が学年末まで続けば進級を認めず学年末で除籍と明記する市もあります(出典:横浜市「インターナショナルスクール等への就学について」)。この記事は籍が実際にどう扱われ、どこへ何を出すのかという実務だけを扱います。制度の全体像はインターナショナルスクールと義務教育の関係をまとめた記事にありますので、あわせてご覧ください。

日本の家庭のリビングで、保護者が学校からの書類とノートパソコンを前に、就学の手続きを調べている静かな情景
調べるほど答えが割れる。それは、あなたの調べ方の問題ではありません。
目次

「公立小学校に籍を置いたまま」は、二重在籍ではありません

まず言葉を整理させてください。ここでつまずくご家庭がとても多いからです。市町村の教育委員会は、区域内に住所を有する学齢児童・学齢生徒について学齢簿を編製しなければならないと定められています(学校教育法施行令第1条。出典:文部科学省「参考法令等」)。これにもとづいて就学すべき学校が指定され、お子さんはそこに在籍します。一方、学校教育法第1条の学校(一条校)ではないインターナショナルスクールは、この仕組みの外側にあります。法律上の在籍は公立小学校のひとつだけで、インターに通うことは学籍としてカウントされません。

つまり「二重在籍」と呼ばれている現象の正体は、二本の学籍ではありません。公立小に在籍したまま、そこへ登校していないという一本の状態です。だから問いは「二重在籍が認められるか」ではなく、登校しない在籍者を、その自治体と学校がどこまで受け入れるかに変わります。自治体判断になる理由が、ここにあります。

「籍を置いたまま」が二重在籍ではない理由を3点で示した図解。学籍はひとつ・実態は在籍したまま長期欠席・受け入れ方は自治体で割れる
言葉を整理すると、確認すべき相手が変わります。

2027年9月開校予定/2027年春プレ開校

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    籍を残したまま通うと、公立小学校の側では何が起きるか

    ここは一次情報がいちばん具体的です。沖縄県北谷町の教育委員会は、民間教育施設等に通う児童生徒の取扱いを教育長決裁の文書で定め、公開しています(出典:北谷町教育委員会「民間教育施設等に通う児童生徒の取扱いについて」)。日本国籍のみのお子さんは町立学校に就学したうえで民間教育施設に通う=町立学校の在籍ありと整理され、実務は次のように動きます。

    • 指導要録を作成し、学級に配置する
    • 教科書は通常の児童生徒と同様に給与される
    • 給食費は、在籍校へ登校して食べた日数分を日割りで支払う
    • 災害共済給付掛金は年230円を徴収(一度も登校がない長期欠席の場合は対象外)
    • 出欠の扱いは、令和元年10月25日の文部科学省通知等を参考に、教育委員会と連携して校長が判断する
    • 進級・卒業の認定は、学校教育法施行規則第57条・第58条にもとづき、平素の成績を評価して校長が判断する

    最後の一行がいちばん重いところです。進級も卒業も自動ではなく、校長の判断だからです。同じ「籍を残す」でも着地は大きく違い、横浜市は欠席が学年末まで続けば学年末で除籍と明記しています。なお北谷町では、町立小学校4校で115人、中学校2校で34人が在籍したままインター等に通っていると報告されています。珍しくはない。けれど制度として整理されきってもいないのが実情です。

    よく誤解されるのが「出席扱い」です。自宅でのICT等を活用した学習を指導要録上の出席扱いにできる仕組みは確かにあります(出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日)。ただしこれは不登校児童生徒への支援として設けられた制度で、保護者と学校の十分な連携や対面指導、計画的な学習プログラムが前提です。北谷町も出席扱いを認める施設を具体的に列挙していますが、そこに一般のインターは並んでいません。

    日本語のことも正直に書きます。北谷町の資料には、国語の授業を受けていないためにひらがな・カタカナ・漢字が十分に身につかない児童が多いという現場の記録が残っています。日本語が不安なご家庭には、日本語を「友達との対話」で学べる姉妹サービス〈ともだちじゃぱん〉もおすすめです。

    手続きの実務——どこへ、何を出すのか

    ケース別に流れを整理します。最初にやることは共通してひとつ、市区町村の教育委員会(学務課・学事係など)に相談することです。新宿区も世田谷区も事前相談を求めています。

    ①すでに公立小に在籍していて、これからインターに通わせる。教育委員会への相談が入口です。北谷町のように『民間教育施設等への通学確認書』の提出を求める自治体もあります。

    ②引っ越してきて、最初からインターに通わせる。住民異動(住民課)→ 教育委員会での転入学手続き → 学校での転入学手続き、の順です。北谷町ではこの二番目に通学確認書が加わります。

    ③重国籍で、就学義務の猶予・免除を受ける。学校教育法第18条と施行規則第34条にもとづき保護者が市町村教育委員会に願い出る形で、教育委員会が独自に免除することはできません(出典:文部科学省「就学義務の猶予又は免除について」)。世田谷区・つくば市・横浜市はいずれも、将来外国籍を選択する可能性が高く他に教育の機会が確保されると認められる場合に猶予・免除ができるとしています(出典:世田谷区つくば市)。免除を受けると公立学校の在籍はなくなり、小中学校の卒業資格・入学資格は与えられません

    ④公立小へ戻る、または転出する。新宿区は、インター等から区立学校へ移る場合は継続して通い続けることを原則とし、インターを退学したことが確認できる書類を求めています。長期休業を理由とした一時的な就学もできません(出典:新宿区「インターナショナルスクール等への就学をお考えの方へ」)。転出時は学校から在学証明書と教科書給与証明書を受け取ります。

    ⑤「区域外就学」は使えるのか。区域外就学は学校教育法施行令第9条にもとづく仕組みで、受け入れ校の承諾を証する書面、住所地の教育委員会への届出、教育委員会間の協議が必要です(出典:文部科学省「区域外就学について」)。住所地以外の市町村の学校に通う制度であって、インターに通うために籍だけを置く制度ではありません

    ※制度・自治体の運用は2026年9月時点の公開情報です。最新は各公式でご確認ください。

    ここまで調べても、不安が消えないのはなぜか

    ひとつめは、答えが住む場所で変わること。在籍を前提に受け入れる自治体もあれば、学年末で除籍と書く自治体もある。同じ日本国内で我が子の籍の扱いが変わるのは、受け入れにくい事実です。

    ふたつめは、学校との関係が宙ぶらりんになること。港区は、学校に籍がある以上は指定された登校日に登校するのが前提で、行きたい日だけの登校は認めていないとしています(北谷町資料内の他教育委員会の対応より)。籍を残すとは、学校に対して「通う意思のある子」であり続けることでもあります。

    みっつめは、進学の入口です。一条校でないインターの小学部を終えても小学校の課程を修了したことにはならず、中学校からの入学は原則として認められません。オンラインでの学びのしくみを見る →

    第三の答え——籍の論点が、そもそも起きない形

    お気づきかもしれません。ここまでの論点は、すべて「日本の学校に通わなくなる」ことから生まれています。除籍も、進級判定も、通学確認書も、出発点は同じです。裏返せば、日本の学校に通い続けるなら、籍の問題は最初から発生しません。

    NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は2027年9月に開校するオンラインのインターナショナルスクールで、放課後や週末に日本の学校と併用する形を前提にしています。日本の学校の籍はそのまま、進級も卒業も進学ルートも通常どおり。籍の相談も確認書も要りません。制度上の位置づけが習い事と同じだからです。中身は英会話ではなく、英語で教科を学ぶ本物のインターの学びを、日本語の支えを前提に少しずつ移行していきます。順位をつけない少人数の対話が中心で、費用は対面インターの約5分の1を目指しています。全体像はダブルスクールという選択にまとめています。

    正直に書くべきこともあります。校庭も、対面の友だちも、学校行事も、オンラインにはありません。そこは日本の学校が担う部分です。実績もこれから積み上げていく学校です。

    籍を残して対面インターへ通う場合・就学義務免除でインターへ移る場合・NGAダブルスクールの3つを5観点で比較した表。NGAは校庭や対面の友だちがバツ
    どれが正解かではなく、どこを手放せるかで選びます。
    日本の家庭のダイニングで、保護者と小学生の子どもが向かい合い、書類とカレンダーを見ながら穏やかに話している情景
    決める前に、子どもと話す。その順番が、あとで効いてきます。

    迷ったら、この3ステップで決める

    STEP 1、教育委員会に「籍の扱い」を先に聞く。学校ではなく市区町村の教育委員会です。質問は3つ。籍は残せるか、出欠と進級はどう扱われるか、必要な書類は何か。これで自治体の答えはほぼ出ます。

    STEP 2、通う形を先に決める。フルタイムで対面インターへ移るのか、日本の学校に通いながら国際教育を足すのか。ここが決まれば手続きは自動的に決まります。前者なら①〜④が必要で、後者なら手続き自体が発生しません。

    STEP 3、小さく始めて、あとから増やす。まず週1〜2回、英語で教科を学ぶ時間をつくり、お子さんの反応を見てから次を考える。取り返しのつく順番で進めることが、この分野ではいちばん強い戦略です

    籍をどうするかを決める3ステップ(教育委員会に籍の扱いを聞く・通う形を先に決める・小さく始めて増やす)を示した図解
    順番を変えるだけで、判断はずいぶん楽になります。

    先に押さえておきたい3つの疑問

    Q. 公立小学校に籍を置いたままインターに通うのは、違法ですか?

    A. 籍を残すこと自体が違法になるわけではありません。むしろ自治体の説明は、日本国籍のお子さんは公立学校に就学したうえで通ってくださいという組み立てです。ただし登校しない状態が続けば出欠・進級・卒業の判断は校長に委ねられ、横浜市のように学年末で除籍とする自治体もあります。違法かどうかではなく在籍の中身がどうなるかで考えてください。

    Q. 出席日数がゼロでも、公立小を卒業できますか?

    A. 保証はできません。修了・卒業の認定は施行規則第57条・第58条にもとづき、平素の成績を評価して校長が判断します。認める自治体もあれば、進級を認めないと明記する自治体もあります。全国一律ではないので、必ず在籍校と教育委員会にご確認ください。

    Q. 放課後や週末だけオンラインで併用する場合、学校への届け出は必要ですか?

    A. 必要ありません。日本の学校に通い続けたうえでの併用は、制度上は習い事や塾と同じ位置づけです。就学義務は日本の学校に通うことで果たされており、籍の論点は発生しません。ここがオンライン併用型のいちばん大きな利点です。

    【2026年9月時点】自治体別——「公立小学校の籍」は、あなたの区・市ではどう扱われるのか

    ここまで読んで、それでも検索の手が止まらないとしたら、理由ははっきりしています。あなたが本当に知りたいのは「日本全国では原則こうです」ではなく、「うちの区の教育委員会は、どう言っているのか」だからです。実際、この話題を検索する人が続けて調べている言葉は、ほとんどが自治体名つきです。「インターナショナルスクール 公立小学校 籍 港区」「インターナショナルスクール 公立小学校籍 千代田区」——検索窓に打ち込まれているのは、制度の一般論ではなく、住所の話なのです。

    そこで、この記事では2026年9月8日時点で、主要自治体の教育委員会が「自分たちのウェブサイトで実際に公表している内容」だけを読み、そのまま並べました。電話で聞いた話や、口コミ、他社メディアの要約は入れていません。公表資料が見つからなかった自治体については、無理に埋めず「確認できなかった」と書いています。制度の運用は自治体の判断に委ねられている部分が大きく、推測で書くことがいちばん危ないからです。

    自治体 インター専用の公表ページ 公表内容の要点(2026年9月8日確認) 出典URL
    東京都港区 あり(FAQ形式) 日本国籍の児童生徒は学校教育法に定める義務教育諸学校に就学しなければならず、インターへの通学は就学義務の履行にならないと明記。重国籍の場合は就学義務を免除する制度があるため学務課へ相談するよう案内。あわせて、2026年9月から「港区インターナショナルスクール施策に向けた検討委員会」を設置し、就学義務制度との関係整理を検討中。 https://www.city.minato.tokyo.jp/gakuji/faq/innter2.html / https://www.city.minato.tokyo.jp/kyouikushomu/inter.html
    東京都千代田区 あり(区立以外に在籍する方向けページ内) インター等は学校教育法に基づかない各種学校であり、日本国籍の子が就学しても就学義務を履行したことにならないと明記。卒業しても小中学校の卒業資格が得られず、入学資格等で不利益が生じることがあると踏み込んで書いている。重国籍の場合は学務課学務係へ就学義務免除の手続きが必要。就学猶予は病弱等の身体的事由、就学免除は重国籍という整理。 https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/gakko/zaiseki.html / https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/gakko/gimuyuyo.html
    東京都世田谷区 あり(専用ページ) インターは学校教育法第1条の学校ではなく各種学校または無認可施設と明記。日本国籍のみの場合は就学義務が果たされず、卒業後も中学校・高等学校への入学(編入学)資格が与えられない。重国籍で将来外国籍を選択する可能性が高く他に教育機会が確保されている場合は就学義務の免除を受けられるとし、必要書類として①外国籍確認書類(パスポートや出生証明書の写し等)②教育機会確保の証明(学生証・入学許可書・在籍証明書の写し等)を具体的に列挙。 https://www.city.setagaya.lg.jp/02046/1836.html
    東京都新宿区 あり(専用ページ+就学猶予免除ページ) 日本国籍のみの子をインター等に通わせることは「就学義務違反」となると明言。就学義務違反の場合、インター等を卒業しても区立中学校への入学は認められないと公表。重国籍の場合は「就学猶予(免除)願」を学校運営課へ提出。免除の解除手続き前に相談が必要で、一時的な区立学校の就学はできないとも書かれている。日本国籍のみの場合も学校運営課への連絡を求めている。 https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/gakko01_inta_00001.html / https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/syugakuyuyo.html
    東京都渋谷区 なし(入学・転入手続きページ内に言及) インター専用の解説ページは確認できなかった。ただし入学・転入・就学手続きのページに、私立やインターナショナルスクールから区立小中学校へ転学を希望する場合は学務課学事係での手続きが必要で、必ず事前に問い合わせるようにと明記されている。区立以外の学校へ入学したときは早めに連絡し、就学通知書と在学証明書または入学承諾書の提出を求める運用。就学義務の猶予・免除に関する記載は当該ページ上では確認できなかった。 https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/gakko-kyoiku/nyugaku-tennyu-shugaku/tetsuduki_g.html
    神奈川県横浜市 あり(専用ページ) 市内には一条校のインターナショナルスクールが存在せず、これらの学校の卒業は義務教育課程の修了と認められないと明記。日本国籍のみの場合、指定学校で学年末まで欠席が継続したときは進級を認めず除籍すると、籍の帰結まで書いている数少ない自治体。重国籍の場合は区役所戸籍課で相談のうえ、外国人学校等の在学証明書等や外国籍証明書の提出が必要。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/gakku-meibo/tsugakukuiki/sonota/20241225.html
    大阪府大阪市 確認できなかった インターナショナルスクールに特化した公表ページは、2026年9月8日時点の検索では確認できなかった。入学案内のページには、国立・府立・私立学校へ入学する場合はお住まいの区役所の就学事務担当窓口へ連絡し入学許可書を持参するよう案内があるが、各種学校であるインターについての個別の記述は見当たらない。したがって、大阪市にお住まいの場合は市教委学事課または区役所の就学事務担当へ直接確認するのが確実。 https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000010124.html

    ※上記はすべて2026年9月8日時点で各自治体の公式ページを閲覧して整理したものです。制度の運用は変わりますし、ページの更新日も自治体によって数年単位で差があります(たとえば千代田区の該当ページの更新日は2018年5月、世田谷区は2024年8月、新宿区と港区は2026年8月でした)。最終的な判断は、必ずお住まいの自治体の教育委員会へ直接ご確認ください。

    港区——2026年9月から、区として「就学義務制度との関係整理」を始めた

    港区は、この論点でいま最も動きがある自治体のひとつです。区のFAQページでは、日本国籍の児童生徒は学校教育法で定める義務教育諸学校に就学しなければならないため、インターナショナルスクールへの通学は認められていないという趣旨が、はっきりと書かれています。重国籍の場合には就学義務を免除する制度があるので学務課に相談を、という案内もあります。ここまでは他区と同じ整理です。

    港区が違うのは、その先です。区は「港区インターナショナルスクール施策に向けた検討委員会」を設置し、区の地域特性を踏まえて、就学義務制度との関係整理や、子どもたちが安心して学べる環境の確保に向けた取組を進めるとしています。開催は2026年9月から2027年3月にかけて3回程度、翌年度も複数回が予定されています。つまり港区では、いま現在「籍と就学義務の扱いをどうするか」が行政の議題として動いている最中だということです。

    これは、港区にお住まいの方にとっては二つの意味を持ちます。ひとつは、現時点で窓口に問い合わせても、担当者が「検討中です」としか言えない部分があり得ること。もうひとつは、いま出ている答えが、来年には変わっている可能性があることです。港区の場合は、一度聞いて終わりにせず、進学の節目の前にもう一度確認する価値があります。

    千代田区——「不利益が生じることがあります」と、はっきり書いている

    千代田区は、区立以外の学校に在籍する方向けのページのなかで、インターナショナルスクール等について触れています。国公立・私立に通う場合は入学許可証明書や在学証明書等の提出を求める、という一般的な案内に続けて、インター等は学校教育法に基づかない各種学校であるため、日本国籍の子が就学しても就学義務を履行したことにはならない、と書かれています。

    さらに千代田区は「卒業後、小中学校の卒業資格が得られず、入学資格等で不利益が生じることがある」という書き方をしています。多くの自治体が「資格は与えられません」と事実だけを述べるなかで、「不利益」という言葉まで踏み込んでいるのは、それだけ相談が多いということの裏返しかもしれません。

    千代田区の就学義務猶予・免除のページでは、猶予と免除がきれいに整理されています。就学猶予は病弱等の身体的事由等で就学が困難な場合、就学免除は二重国籍者がインターナショナルスクールなど学校教育法第1条以外の学校へ入学する場合。必要書類は国籍を確認できる書類(パスポート等)と、入学先(在学)の学校を確認できる書類の二点です。窓口は教育委員会事務局子ども部学務課学務係で、メールでの問い合わせ先も公開されています。

    世田谷区——免除の必要書類まで具体的に公表している

    世田谷区は「インターナショナルスクール等への通学について」という独立したページを持っています。インターは学校教育法第1条の学校ではなく、各種学校または無認可施設である、という位置づけの説明から始まり、日本国籍のみの場合は就学義務が果たされないこと、そして卒業後も中学校・高等学校への入学(編入学)資格が与えられないことが、順番に書かれています。

    実務的に役立つのは、免除申請の必要書類が具体的に列挙されている点です。①外国籍を確認できる書類(パスポートや出生証明書の写し等)、②教育を受ける機会が確保されていることの証明(学生証、入学許可書、在籍証明書の写し等)。この二点を持参して学務課就学係へ届け出る、という流れです。そのうえで「就学義務が免除されても、学校教育法第1条に定められた小学校・中学校の卒業資格及び入学(編入学)資格は与えられない」と、免除=解決ではないことを念押ししています。

    ここは誤解が生まれやすいところなので、繰り返します。就学義務の免除は「義務を果たさなくてよい」という許可であって、「インターの卒業を小学校卒業とみなす」という認定ではありません。免除を受けても、日本の中学校に入学する資格そのものは生まれないのです。

    新宿区——「就学義務違反」という言葉を使い、中学入学の扱いまで書いている

    新宿区は、公表の粒度がとくに細かい区です。多くのインター等は一条校に該当せず各種学校または無認可の教育施設と位置づけられていること、日本国籍のみの子をそこに通わせることは「就学義務違反」となること、そして就学義務違反の場合はインター等を卒業しても区立中学校への入学は認められないこと。ここまでを、区のページのなかで明言しています。

    手続きの整理も明確です。重国籍の子は学校運営課へ「就学猶予(免除)願」を提出。日本国籍のみの子の場合も、学校運営課まで連絡が必要とされています。また、就学猶予・免除のページには「一時的な区立学校の就学はできません」という一文があり、免除の解除手続きの前に学校運営課への相談が必須とされています。これは後述する「長期休業中だけ公立に戻れるのか」という問いへの、事実上の回答になっています。手続きは2025年1月末から電子申請(LoGoフォーム)にも対応しています。

    渋谷区——インター専用ページはないが、戻るときの入口は明示されている

    渋谷区については、インターナショナルスクールに特化した解説ページを見つけることはできませんでした。ここは正直に書きます。ただし、入学・転入・就学手続きのページには、私立やインターナショナルスクールから区立小中学校への転学を希望する場合は学務課学事係での手続きが必要であり、必ず事前に問い合わせるように、という記載があります。区立以外の学校へ入学したときは早めに連絡し、就学通知書と在学証明書または入学承諾書を提出する、という運用も書かれています。

    つまり渋谷区は「インターに通わせる前の判断材料」はサイト上に多くありませんが、「戻るときの窓口」ははっきりしている、という状態です。渋谷区にお住まいで検討中の方は、学務課学事係へ、後述する質問文をそのまま使って確認するのが早いと思います。

    横浜市——籍がどうなるかを、いちばん具体的に書いている

    横浜市の公表内容は、この記事のテーマにとっていちばん直球です。市内には一条校のインターナショナルスクールが存在せず、これらの学校の卒業は義務教育課程の修了と認められない、という前提を示したうえで、日本国籍のみの場合について「指定学校で学年末まで欠席が継続したときは進級を認めず除籍する」と書いています。

    「籍を置いたまま」という発想そのものに、期限があることを明示しているわけです。多くの自治体が籍の帰結まで書いていないなかで、横浜市の記述は、読む側にとっては厳しいけれども親切です。重国籍の場合は区役所戸籍課で相談のうえ、外国人学校等の在学証明書等や外国籍証明書の提出が必要とされています。

    大阪市——インターに特化した公表資料は確認できなかった

    大阪市については、2026年9月8日時点の検索では、インターナショナルスクールに特化した公表ページを確認できませんでした。入学案内のページには、国立・府立・私立学校へ入学する場合はお住まいの区役所の就学事務担当窓口へ連絡し、入学許可書を持参するようにという案内がありますが、各種学校であるインターについての個別の記述は見当たりませんでした。

    ここで「大阪市は緩いのだろう」と推測するのは危険です。公表していないことと、運用していないことは、まったく別だからです。大阪市の場合は市教育委員会事務局の学事課、または区役所の就学事務担当窓口へ直接確認してください。就学事務が区役所に分かれている自治体では、区によって説明の細かさが変わることもあります。

    学齢簿と指導要録は、実際にはどう扱われるのか

    「籍」という言葉は日常語ですが、実務では二つの別々の帳簿に分かれています。ここを分けて理解すると、教育委員会と学校で答えが食い違って見える理由がわかります。

    ひとつめが学齢簿です。文部科学省が公開している関係法令等によれば、学校教育法施行令第1条は「市町村の教育委員会は、当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童及び学齢生徒について、学齢簿を編製しなければならない」と定めています。編製は学年の初めから5月までの間に行われ、住所が変わればその都度加除訂正されます。ポイントは、学齢簿が住民票を土台にしているということです。学校に来ているかどうかではなく、その市町村に住んでいるかどうかで載る。だから、インターに通っていても住民票がある限り、学齢簿からは消えません。

    ふたつめが指導要録です。こちらは学校教育法施行規則により、校長がその学校に在学する児童等について作成する帳簿とされています。氏名や進級・卒業といった学籍に関する記録と、出欠状況や学習状況などの指導に関する記録に分かれており、保存期間は学籍に関する記録が20年、それ以外が5年とされています。進学時には、校長が抄本または写しを進学先の校長へ送付します。つまり指導要録は、その学校に在学している人の記録であり、学校側が管理します。

    この二つが別物であることが、あなたが感じている「宙ぶらりん」の正体です。教育委員会に聞けば「学齢簿には載っています」と言われ、学校に聞けば「出席はゼロなので、このままだと進級判定ができません」と言われる。どちらも嘘ではなく、見ている帳簿が違うのです。

    もうひとつ知っておくと安心なのが、猶予・免除を受けた子の扱いです。文部科学省の説明では、就学義務の猶予または免除があった者については、学齢簿の編製上、別に簿冊を編製することとされています。居所が1年以上不明な子についても同様の扱いをするとされ、昭和32年の通達では指導要録も別に保管するとされています。免除を受けると「消える」のではなく「別のところに移る」というイメージが、実態に近いと思います。

    そして、住民票が動いたときの扱いも文部科学省が整理しています。国外への転出期間が1年以上と判明していて転出届を提出した場合は、住民票が消除され、それに伴って学齢簿も消除されます。このとき学校からは除籍されることになります。逆に転出期間が1年未満であれば学齢簿上の変更は不要で、その子は指導要録上の長期欠席扱いとなります。1年という線が、籍が残るか消えるかの実務的な分かれ目になっている——ここは覚えておく価値があります。

    どこからが「不就学」と判断されるのか

    「不就学」という言葉を検索して、心臓が縮む思いをした方もいると思います。実際にどういう手続きが動くのかを、文部科学省の公表資料に沿って整理します。

    起点は学校です。文部科学省の就学事務Q&Aによれば、校長は、欠席が7日間続いたときや出席状況が良好でないときに、正当な事由がないと認められるならば、速やかにその旨を当該学齢児童または学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならないとされています。この通知を受けて、教育委員会が保護者に対して出席の督促を行います。

    つまり流れは、①学校が欠席を把握する → ②正当な事由がないと校長が判断する → ③教育委員会へ通知 → ④教育委員会が保護者へ出席督促、という順番です。ある日いきなり「不就学」と認定されるわけではありません。学校教育法には、督促を受けてもなお就学させない保護者に対する罰則規定も置かれていますが、私たちが今回確認した自治体の公表資料の範囲では、罰則の適用に言及しているものはありませんでした(条文の正確な文言は、e-Gov法令検索で「学校教育法」をご確認ください)。

    実務上、より現実的に効いてくるのは罰則ではなく、進級と籍のほうです。横浜市が公表しているように、学年末まで欠席が続けば進級を認めず除籍という運用をとる自治体があります。文部科学省も、経済的事情や居住地の変更などを理由に学齢児童生徒が実質的に未就学となる状況が生じないよう、市町村教育委員会に留意を求めています。ここでも、判断の主体は市町村教育委員会です。だから答えが自治体ごとに違うのです。この点をぼかして「大丈夫です」と言い切るサイトがあれば、そこは疑ってください。

    なお、この記事が扱っているのはフルタイムの対面インターに通うために公立小を長期欠席するケースです。日本の公立小学校に通いながら、放課後や週末にオンラインで国際教育を「足す」形は、そもそも出席状況に影響しないので、この論点自体が発生しません。ここは決定的に違います。詳しくはダブルスクールの始め方をまとめたガイドもあわせてご覧ください。

    区域外就学・指定校変更とは、何がどう違うのか

    「区域外就学の制度を使えば、籍の問題を回避できるのでは」という相談をよく見かけます。結論から言うと、この二つはインターの籍の論点とは別の制度です。ただ、混同されがちなので、文部科学省の説明に沿って違いを押さえておきます。

    指定校変更は、学校教育法施行令第8条に基づく手続きで、同じ市町村のなかで、教育委員会が指定した学校を別の学校に変えてもらうものです。文部科学省は、いじめへの対応、通学の利便性、部活動等の学校独自の活動などを理由とする場合を例として示しており、学年途中の申立てにも対応できるとしています。

    区域外就学は、施行令第9条に基づく手続きで、住んでいる市町村とは別の市町村の学校に通いたい場合のものです。こちらは、住所のある市町村教育委員会との協議に基づき、受け入れる側の市町村教育委員会が承諾することが必須とされています。二地域居住のような事情に使われることがあります。

    両者の根本的な違いは、市町村の内か外か、そして市町村間の協議が要るかどうかです。そして——ここが大事なのですが——どちらも「一条校から一条校へ」の話です。インターナショナルスクールは一条校ではないため、区域外就学や指定校変更の枠組みで「インターに通いつつ籍を確保する」ことはできません。制度の対象そのものが違うのです。既存のセクションでも触れたとおり、ここは期待をかけない方が結果的に楽になります。

    「長期休業中だけ公立に通う」「行事のときだけ戻る」はできるのか

    これは、籍を残したい保護者がいちばん現実的な落とし所として思いつくアイデアです。夏休みの前後だけ、あるいは運動会や卒業式だけ、地元の学校に顔を出す。子どもの地域とのつながりも切れず、籍も生きる。理屈としてはよくできています。

    しかし、公表資料のなかにはこれを明確に否定しているものがあります。新宿区は、就学猶予・免除のページで「一時的な区立学校の就学はできません」と書いており、免除の解除手続きの前に学校運営課への相談が必要だとしています。制度上の籍は、出たり入ったりするスイッチではなく、そのときどちらか一方にある状態だ、という整理です。

    もっとも、これは「学籍としての就学」の話であって、地域行事や学校開放、PTA主催のイベント、放課後子ども教室のような場に参加できるかどうかは、また別の運用になります。自治体や学校によって、また校長の判断によって、可能な場合もあれば難しい場合もあります。ここは自治体の公表資料からは読み取れませんでしたので、断定は避けます。もし地域とのつながりを残すことがご家庭にとって重要なら、それは学籍で確保しようとせず、学校や地域に直接相談して個別に道を探すほうが現実的です。

    そして、これも書いておかなければ不誠実でしょう。地域とのつながりを本当に切りたくないのであれば、そもそも日本の学校を離れない形——昼は地元の公立小学校に通い、放課後や週末にオンラインで国際教育を足す形——のほうが、はるかに素直です。籍をどう保つかを考え続けるより、籍を離さない設計にしてしまうほうが、悩みの総量が小さくなります。

    転入・転出のとき、実際に何が起きるか

    引っ越しは、この論点がいちばん動く場面です。順番に見ていきます。

    他の自治体から引っ越してきたとき

    転入すると、住民票の異動に伴って、新しい自治体の学齢簿にお子さんが載ります。多くの自治体では、この段階で就学通知書が送られてきます。ここで「区立には通わせず、インターに通う」場合、自治体は届出を求めます。渋谷区は、区立以外の学校へ入学したときは早めに連絡し、就学通知書と当該学校の在学証明書または入学承諾書を学務課学事係へ提出するよう案内しています。新宿区も、国・私立学校等に就学する場合は「区域外就学届」の提出を求め、転入後すみやかに手続きするよう書いています。千代田区も入学許可証明書・在学証明書等の提出をお願いしています。

    注意したいのは、これらの届出様式が基本的に「一条校に通う場合」を想定して作られている点です。インターは各種学校なので、様式にそのまま当てはまらないことがあります。だからこそ、各区が「まず窓口へ連絡を」と書いているのです。黙って引っ越して、就学通知書を放置するのがいちばんまずい対応です。

    海外へ引っ越すとき(国外転出)

    文部科学省の整理が明快です。転出期間が1年以上と判明していて転出届を提出した場合は、住民票が消除され、それに伴い学齢簿も消除され、学校からは除籍されます。転出期間が1年未満の場合は学齢簿上の変更は不要で、指導要録上の長期欠席扱いとなります。転出期間が確認できない場合は、転出後1年までは欠席扱いとし、1年を超えたら居所が1年以上不明である旨を異動事項欄に記入して、就学義務の猶予または免除があった者と同様に別の簿冊を編製する、とされています。

    帰国するとき

    文部科学省は、帰国時には高等学校入学資格の要件を確認したうえで、進学に必要な資格を整える必要があるとしています。別の簿冊に記録されていた児童生徒については、帰国時に改めて学籍の編製手続きが取られることが想定されるとも書かれています。ここでも実際の判断は自治体の教育委員会です。海外のインターに通っていた期間をどう評価するかは、学校ごとの編入学試験や面談を含めて、個別に決まります。

    公立小学校へ戻るとき

    戻る場面では、どの自治体も「事前相談」を強く求めています。渋谷区は私立やインターからの転学希望者について学務課学事係での手続きが必要で必ず事前に問い合わせるようにと明記しており、新宿区は免除の解除手続き前の相談を必須としています。既存のセクションで触れたとおり、新宿区は退学の確認書類を求める運用です。手続きを取ってから動くのか、動いてから手続きするのかで、空白期間の扱いが変わることがあります。順番を間違えると、子どもの居場所が数週間なくなる。これが、この論点でいちばん実害の出やすいところです。

    中学進学の入口で、実際に何が起きるか

    ここが、この問題の本丸です。小学校の6年間は、正直なところ、何とでもなってしまいます。問題が形になって現れるのは、中学校の入口です。

    公表資料は、驚くほど一致しています。世田谷区は、インター等を卒業しても中学校・高等学校への入学(編入学)資格は与えられないと書いています。千代田区は、小中学校の卒業資格が得られず入学資格等で不利益が生じることがあると書いています。横浜市は、これらの学校の卒業は義務教育課程の修了と認められないと書いています。そして新宿区は、就学義務違反の場合、インター等を卒業しても区立中学校への入学は認められない、と最も直接的に書いています。

    言い換えると、こういうことです。小学校段階でインターに通った場合、日本の中学校に進もうとしたときに、「小学校の課程を修了した」という前提が満たされていないと扱われる可能性がある。これは学力の問題ではありません。お子さんが英語も算数も十分にできていても、制度上の修了の記録がない、という手続きの問題です。

    そして、就学義務の免除を受けていても、この点は変わりません。世田谷区が明記しているとおり、免除されても卒業資格および入学(編入学)資格は与えられないからです。免除は「義務違反ではなくなる」ための手続きであって、「日本の学校への切符」ではないのです。

    だからこそ、多くのご家庭がインターを選ぶときには、中学・高校もインター系で続ける前提を立てます。それ自体はまったく悪い選択ではありません。ただ、6歳の時点で18歳までの道筋を確定させることになる、という重さは知っておいてください。「合わなかったら公立に戻ればいい」という安全網は、思っているより細いのです。

    教育委員会に聞くときの、そのまま使える質問文

    ここまで読んで、「結局、うちの区に聞くしかない」と思われたはずです。そのとおりです。ただ、漠然と「インターに通わせたいのですが」と聞くと、たいてい一般論が返ってきて、いちばん知りたいところが抜け落ちます。そこで、そのまま読み上げられる質問文を用意しました。学務課・学事係・学校運営課などの就学担当につないでもらったうえで、順番に聞いてください。

    まず名乗って、状況を1文で伝える

    「〇〇(区・市)に住んでいる〇年生の子の保護者です。国籍は日本のみ(または日本と〇〇国の重国籍)です。〇〇インターナショナルスクールへの就学を検討しており、就学義務と学籍の扱いについて確認させてください。」

    そのうえで、この6つを順番に聞く

    1. 「日本国籍のみの子が一条校でないインターに通う場合、そちらでは就学義務の扱いはどうなりますか。就学義務違反という整理になりますか。」——自治体によって言葉づかいが違います。まずここを揃えます。
    2. 「その場合、指定校の学籍は残りますか。残るとして、いつまで残りますか。学年末で除籍という運用はありますか。」——横浜市のように期限を切る自治体があります。「いつまで」を必ず聞いてください。
    3. 「学校からの出席督促や、教育委員会からの督促は、どのタイミングで来ますか。事前に届け出ておけば督促の対象外になりますか。」——ここを聞いておくと、ある日突然の連絡に驚かずに済みます。
    4. 「途中で公立小学校に戻りたくなった場合、どの窓口へ、何を持って、いつまでに行けばよいですか。戻るまでにどのくらい日数がかかりますか。」——出口を先に確認するのが鉄則です。
    5. 「インターを卒業した場合、そちらの区立(市立)中学校への入学はできますか。できない場合、どういう手続きが必要になりますか。」——ここは絶対に聞いてください。答えが最も重く、最も自治体差が出ます。
    6. 「いま伺った内容が書かれている、区(市)のホームページや資料はありますか。URLか資料名を教えてください。」——これを最後に聞くのが、いちばん効きます。後で家族に共有できますし、担当者が変わっても話が戻りません。

    重国籍のご家庭は、これも足す

    1. 「就学義務の免除を申請する場合、必要書類は何ですか。原本と写しのどちらですか。」
    2. 「免除を受けたあと、解除して公立に戻るときの手続きと所要期間を教えてください。」
    3. 「免除を受けている間、学齢簿や指導要録はどのように扱われますか。」

    聞き方のコツ

    電話の最後に「念のため、お名前を伺ってもよろしいですか」と聞いておくと、二度目の問い合わせが格段に楽になります。そして、聞いた内容は日付・担当者名・回答をセットでメモしてください。数か月後、学校側から違う説明をされることが実際にあります。そのとき「〇月〇日に学務課の〇〇さんにこう伺いました」と言えるかどうかで、話の進み方がまったく変わります。

    それから、これは意外と大事なことなのですが、教育委員会の担当者は敵ではありません。彼らも、子どもが宙に浮くことをいちばん避けたいと思っています。「制度に反することをしたい」ではなく「子どもの学びを途切れさせない形を一緒に考えたい」という姿勢で相談すると、公表資料には書かれていない現実的な選択肢を教えてもらえることがあります。

    それでも残る「住む場所で答えが変わる」問題と、籍の論点が起きない形

    ここまで7つの自治体を並べてわかったことを、正直にまとめます。制度の骨格は全国共通なのに、あなたの家庭に返ってくる答えは、住所によって変わります。横浜市は除籍の時期まで書き、新宿区は中学入学を認めないと書き、渋谷区と大阪市はインターに特化した公表資料が見当たらず、港区は制度そのものを見直す検討を始めたところです。同じ日本で、同じ法律の下で、これだけ違うのです。

    そして、引っ越せば答えが変わります。担当者が代われば説明のニュアンスが変わります。数年経てば更新日が古いページが現実と合わなくなります。この不確実さを、6歳の子どもの6年間にわたって抱え続けるというのが、フルタイムでインターを選ぶということの、あまり語られない側面です。

    私たちがNIJIN GLOBAL ACADEMYをオンラインでつくっているのは、この論点を「うまく回避する裏技」を提供したいからではありません。そもそもこの論点が発生しない形にできるからです。日本の公立小学校に通い続け、籍も出席もそのまま。そのうえで、放課後や週末の時間にオンラインで国際教育を足す。学籍は日本の学校にあり続けるので、就学義務の話も、学齢簿の別簿冊の話も、除籍の話も、中学入学資格の話も、そもそも起きません。教育委員会に電話をかける必要すらありません。

    もちろん、正直に書いておくべきこともあります。NGAは2027年9月に開校予定で、まだ実績はこれからです。対面のインターにある校庭も、毎日顔を合わせる同級生も、放課後の部活動もありません。そこはオンラインの限界です。学費は対面のインターナショナルスクールの約5分の1を目指していますが、「安いから」だけで選んでほしいとも思っていません。

    それでも、英会話を習うのではなく英語で教科そのものを学ぶこと、順位をつけずに少人数の対話で進めること、そして何より、日本の学校での毎日を手放さずに世界を足せること。この三つは、いま日本にある選択肢のなかで、そう多くはないと思っています。日本の学校には日本の学校の良さがあります。それを引き算せずに、上に積む。それがダブルスクールという発想です。オンラインでの学びのしくみもあわせてご覧ください。

    よくある質問

    自治体のホームページに書いていないことは、やってもいいということですか

    いいえ。公表していないことと、運用していないことは別です。この記事で大阪市について「確認できなかった」と書いたのは、大阪市が認めているという意味ではありません。ウェブに載っていない自治体ほど、窓口で直接確認する必要があります。

    就学義務の免除を受ければ、あとで公立に戻れなくなりますか

    戻れなくなるわけではありませんが、解除の手続きが必要です。新宿区は、免除の解除手続きの前に学校運営課への相談を必須としており、一時的な区立学校の就学はできないとしています。戻る前提があるなら、免除を申請する時点で「解除するときの手順と期間」を確認しておいてください。

    指導要録に「不登校」と記録されると、進学に不利になりますか

    指導要録は、進学時に校長から進学先の校長へ抄本または写しが送付される書類です(学籍に関する記録は20年、それ以外は5年の保存)。ただし、この記事の主題である「インターに通うために公立小を欠席する」ケースと、いわゆる不登校とは、記録上も相談の入口も別のものとして扱われます。心配であれば、在籍校の担任や管理職に、どう記録されるのかを事前に確認しておくのが確実です。

    放課後や週末だけオンラインでインターの授業を受ける場合、教育委員会への届出は必要ですか

    日本の学校に通い続けたうえで、放課後や週末の時間に学ぶ形であれば、それは学習塾や習い事と同じ位置づけになります。学籍は日本の学校のままなので、就学義務にも学齢簿にも影響しません。この記事で扱ってきた手続きは、いずれも「一条校に通わない」ことを前提にしたものです。

    調べれば調べるほど不安になります。どこで区切ればいいですか

    お住まいの自治体の担当者から、上に挙げた6つの質問の答えを、日付と担当者名つきで得られたら、そこが一区切りです。それ以上は、ネット上に答えはありません。制度の判断主体はあなたの自治体の教育委員会であって、検索エンジンではないからです。

    7自治体を読んでわかったこと

    この記事を書くために、7つの自治体の公表ページを一つずつ開きました。読みながら思ったのは、どの自治体も、意地悪をしているわけではないということです。書きぶりの厳しさは、「あとで困る家庭を出したくない」という気持ちの裏返しに見えました。千代田区が「不利益が生じることがあります」とわざわざ書き、新宿区が中学入学の可否まで明記しているのは、そこで実際に困った家庭を見てきたからでしょう。

    ※本セクションの制度・自治体に関する記述は、2026年9月8日時点で各自治体および文部科学省が公開している情報にもとづいています。運用は自治体の判断に委ねられている部分が大きく、内容は変更されることがあります。最新の情報は、必ずお住まいの自治体の教育委員会へ直接ご確認ください。

    主な出典(すべて公式・一次情報)
    文部科学省「就学事務Q&A」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1309979.htm
    文部科学省「11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422252.htm
    文部科学省「1.就学義務の猶予又は免除について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422228.htm
    文部科学省「3. 就学すべき学校の指定の変更や区域外就学について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422231.htm
    文部科学省「6. 学齢児童生徒が国外に転出した場合における学齢簿や学籍の取扱いについて」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422239.htm
    文部科学省「9. 入学期日に出席しない学齢児童生徒や1年以上居所不明の学齢児童生徒の手続について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1422250.htm
    文部科学省「関係法令等(学校教育法施行令第1条ほか)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1307959.htm
    港区「インターナショナルスクールへの通学について」https://www.city.minato.tokyo.jp/gakuji/faq/innter2.html
    港区「港区インターナショナルスクール施策に向けた検討委員会」https://www.city.minato.tokyo.jp/kyouikushomu/inter.html
    千代田区「千代田区立以外の小学校・中学校・中等教育学校に在籍している方へ」https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/gakko/zaiseki.html
    千代田区「就学義務猶予・就学義務免除について」https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/gakko/gimuyuyo.html
    世田谷区「インターナショナルスクール等への通学について」https://www.city.setagaya.lg.jp/02046/1836.html
    新宿区「インターナショナルスクール等への就学をお考えの方へ」https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/gakko01_inta_00001.html
    新宿区「就学猶予・免除(重国籍等)」https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/syugakuyuyo.html
    新宿区「【届出が必要です】国・私立学校等に就学する方へ」https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/gakko01_000001_00002.html
    渋谷区「小中学校 入学・転入・就学援助の手続き」https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/gakko-kyoiku/nyugaku-tennyu-shugaku/tetsuduki_g.html
    横浜市「インターナショナルスクール等への就学について」https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/gakku-meibo/tsugakukuiki/sonota/20241225.html
    大阪市「小学校・中学校・義務教育学校の入学」https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000010124.html

    籍のことで、進路をあきらめなくていい

    ここまで調べてこられたあなたは、制度の隙間を突きたいのではなく、我が子の6年間を宙ぶらりんにしたくないだけなのだと思います。その気持ちは、正しい。

    日本の学校には、日本の学校にしかないものがあります。毎日の教室、校庭、行事、名前を呼んでくれる先生。それを手放さずに、世界を足せる時代になりました。籍を守ったまま、英語で教科を学び、順位のつかない場所で自分の言葉を持つ。NGAは2027年9月開校で、これから育っていく学校です。今日、大きな決断をする必要はありません。まずは開校の最新情報を受け取るところから始めてみてください。

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