教員免許を活かせる副業——公務員の制限を踏まえて、現実に選べるもの

「教員免許を活かせる副業 制限の前提と、現実の選択肢」と書かれた採用記事のキービジュアル

「教員免許 活かせる 副業」で検索したあなたが最初に確かめるべきなのは、収入の話ではありません。いま自分がどの立場にいるかです。公立学校の教員は地方公務員であり、報酬を得て仕事に従事することは地方公務員法第38条で制限され、任命権者の許可が要ります。私立の教員は公務員ではなく、可否は学校法人の就業規則しだい。教職を離れている免許保持者には、そもそもこの制限がかかりません。同じ免許でも、この3つで話がまったく違います。

本記事は一次資料(e-Gov法令検索)で条文を確認してから、免許と教職経験が実際に評価される5つの仕事、許可が必要な場合の進め方、所得が年20万円を超えたときの確定申告まで順に整理します。

目次

大前提——公立教員は地方公務員法第38条の制限下にあります

誤解されやすいところを条文どおりに置きます。地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条「営利企業への従事等の制限」は、職員は任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない、と定めています(非常勤職員には一部の例外規定があります)。

押さえる点は3つ。制限は会社経営に限らず報酬を得て従事すること全般に及ぶこと。全面禁止ではなく許可制であること。同条第2項が許可の基準を人事委員会規則で定めることができるとしているため運用は自治体で異なること。ネットの体験談がそのまま自分に当てはまらない理由がここにあります。さらに第35条(職務に専念する義務)第33条(信用失墜行為の禁止)もあり、可否は第38条だけで決まりません。

教育公務員には、教育に関する仕事についての別の条文がある

もう一本あります。教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第17条「兼職及び他の事業等の従事」です。教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで従事できる、と定めています(県費負担教職員は市町村の教育委員会が判断)。

ここを「教員なら教育系の仕事は自由」と読むのは明確な誤りです。条文が求めるのは任命権者が認めること——手続きは必要です。

この記事は「教員は副業OK」と言うためのものではありません。公立学校の教員は、許可なく報酬を得て従事することを法律で制限されています。可否を判断できるのは所属先の規程と任命権者だけです。

あなたはどの立場か——切り分けると、話がまったく変わる

教員免許を持つ人の立場を3つに切り分けた図。公立学校の現職教員は任命権者の許可が必要・私立学校の教職員は学校法人の就業規則しだい・非常勤講師や教職を離れている人は前提が異なる
同じ免許でも、立場が変われば前提が変わります。自分がどこにいるかを先に確定させると、調べるべきことが一気に絞れます。

公立学校の現職教員は、前章の枠内にいます。出発点は求人探しではなく勤務先の規程と申請手続きの確認。順番を逆にすると、良い話が来てから断ることになります。

私立学校の現職教職員に地方公務員法は適用されません。ただし自由という意味ではなく、学校法人の就業規則と労働契約が基準です。届出制も許可制も原則禁止もあるため、就業規則を読むのが最短です。

非常勤講師と、免許はあるが教職についていない人

公立の非常勤講師は、第38条第1項のただし書きに非常勤職員の規定があり、教育公務員特例法第17条第2項でも非常勤の講師は同条第1項の適用外とされています。ただし任用形態は自治体ごとに分かれるため、自分の任用は辞令と要綱で確認するしかありません。

そしていま学校を離れている人。ここが最も自由度の高い層です。免許は失効していなければ資格として残り、教職経験は年数分そのまま職務経歴になります。持っているものは、思っているより市場で通用します。

免許と教職経験が本当に評価される5つの仕事

免許そのものにお金が払われる場面は多くありません。評価されるのは「学習指導要領を読める」「学年ごとのつまずきを知っている」という能力です。需要が安定した5つを、準備とあわせて挙げます。

①教材制作・編集——出版社や教育系企業が指導経験者を執筆・校閲に起用します。準備は、担当学年・教科の単元を1つ選び、指導案とワークシートを実物で持っておくこと。実績の提示が採否をほぼ決めます。

②模試・問題作成——作問と解説執筆は経験者の需要が根強い領域。過去に作った良問を出題意図つきで整理しておきます(守秘義務に触れない範囲で作り直す)。

③オンライン家庭教師・個別指導——免許保持者を優遇する事業者は珍しくありません。準備は通信環境と手元を映す道具。教室と同じ授業を持ち込むと、たいてい合いません。

④学習支援NPO・行政の学習支援——有償ボランティアから業務委託まで幅があり、報酬は控えめでも教職とは別の実務経験が積めます。

⑤教育系の執筆・監修・研修講師——準備は、自分の専門を一言で説明できる状態にすること。「小学校教員です」より「小3の算数のつまずきを300人分見てきました」のほうが声がかかります。

収入の考え方——時給ではなく「単価×再現性」で見る

副収入を時給で捉えると消耗します。見るべきは単価と再現性の掛け算。1回きりの高単価は生活設計に乗りませんが、月に数本続く仕事は小さくても計算できます。たとえば、NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)の創業メンバー募集には、教える役割と教える以外の役割を組み合わせた5つの働き方モデルと報酬レンジの例が出ています(担任中心のモデルで合計月25〜30万円、規模が育った例で月95〜114万円)。ただしこの金額は事業計画に基づく試算であって確定額ではなく、報酬テーブル自体は面談時に全公開されます。それでも、収入がどういう組み合わせで作られるのかを先に把握できるだけで、条件が分からないまま問い合わせて時間を溶かす工程は減らせます。NIJIN GLOBAL ACADEMYの創業メンバー募集を見る →(詳細な条件は選考の中で確認できます)

許可が要る場合の、現実的な進め方

許可が必要な場合に踏むべき3ステップの図。勤務先の規程と要綱を先に読む・任命権者に正式な手続きで許可を申請する・従事内容と報酬を記録し確定申告の要否を確認する
順番が結果を分けます。仕事を決めてから規程を読むのではなく、規程を読んでから探す。この順にすると、断る場面がほとんどなくなります。

第1に、勤務先の規程と要綱を先に読む。兼業許可の要綱・基準は教育委員会や人事担当部署が持っています。何が許可されやすく何が対象外かは、条文ではなくこの運用文書にあります。

第2に、正式な手続きで許可を申請する。書くのは従事先・業務内容・従事時間・報酬の有無と額の目安。判断されるのは本務の遂行に支障がないか、職の信用を損なわないかです。勤務時間外であること、本務と利益相反しないことを説明できる状態に。相談段階から担当部署を通すほうが早く進みます。

第3に、記録を残し、税の扱いを確認する。国税庁のタックスアンサーによれば、1か所から給与を受けている給与所得者で、給与所得・退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要とされています(要件は複数あります)。詳細は必ず国税庁の情報や税務署等でご確認ください。

全体像は教員免許を活かせる仕事、教えること自体を次のキャリアにするならインター教員になる方法へ。

第三の選択肢——「副業」ではなく、収入の設計そのものを変える

公立学校の現職教員・私立学校の現職教職員・オンライン国際学校の創業メンバーの3つの立場を、自分の判断で報酬のある仕事を始められるか・報酬レンジの例が応募前に見られるか・教える以外の役割でも収入を得られるか・働く場所を自由に選べるか・安定した実績と基盤があるかの5観点で比較した表
どれが優れているという表ではありません。公立の安定した基盤は明確な強みで、開校前の創業メンバーにはそれがありません。強みの置き場所が違うだけです。

本業に副業を足すのではなく、本業そのものを複数の役割で構成するという設計もあります。NGAが2027年9月の開校に向けて募集する創業メンバーは、この形です。5つの働き方(パートタイムからフルタイムまで)があり、教えることに加えてマーケティング・Web・事業提携・HRを選べます。完全リモートで、募集ページにはモデルごとの報酬レンジの例(事業計画に基づく試算。報酬テーブルは面談時に全公開)が置かれています。収入の柱が最初から複数あるため、外に副業を探す前提になっていません。

ただし正直に書きます。これは「公務員のまま副業ができる」という話ではまったくありません。公立の現職教員が関わる場合、報酬の有無にかかわらず前章の許可の枠組みが先に来ます。立場によっては、まず情報を集めるところから——それが正しい順番です。加えて開校前ゆえ、実績や制度はこれから積む段階です。

それでも、教職を辞めて自由に働きたい人や在宅で教育に関わり続けたい人にとって、場所と役割を自分で決められる形は現実的な選択肢になり得ます。教える情熱を手放す必要はありません。変えられるのは働き方のほうです。

よくある質問

公立学校の教員は副業をしてもいいのですか?

許可なく報酬を得て従事することは地方公務員法第38条により制限されています。全面禁止ではなく許可制で、許可の基準は同条第2項により人事委員会規則で定めることができるため運用は自治体で異なります。

教育に関する仕事なら大丈夫ですか?

「大丈夫」とは言えません。教育公務員特例法第17条は本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合に従事できると定めています。認定が前提で、無条件の許容ではありません。

いま教職についていません。何から始めればいいですか?

この立場が最も動きやすい層です。指導案・作問など実物の成果物を2〜3点そろえること。免許は失効していなければ資格として残ります。

条文を確かめてから、選択肢を並べる

この検索の裏には、たいてい切実な事情があります。家計を少し楽にしたい、教室の外でも力を試したい、いつか働き方を変えたい。どれも教職への誠実さと矛盾しません。だからこそ最初にやるべきは求人探しではなく、自分の立場の条文と規程を確かめることです。

出典:e-Gov法令検索地方公務員法(第33条・第35条・第38条)、教育公務員特例法(第17条)、国税庁タックスアンサーNo.1900。最終確認は必ず一次資料と所属先で。

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