私立教員の年収は公立より高い?——校種別の差と、学校ごとに差がつく理由

「私立教員の年収は公立より高い? 平均では見えない、学校ごとの差」と書かれた採用記事のキービジュアル

「私立教員 年収」の検索候補には、ランキング・1000万・新卒・20代・30代・東京・小学校・高校が並びます。知りたいのは、公立と比べて実際いくらか、でしょう。先に公表値を出します。文部科学省「学校教員統計調査」令和7年度(中間報告)の本務教員の平均給料月額は、私立小学校365,300円/公立小学校336,100円私立中学校381,400円/公立中学校341,600円。小・中学校では平均で私立が月3〜4万円高い、という数字です。

ただ本題はその先です。高等学校になると公立359,300円・私立359,300円で平均がほぼ同額になるのに、私立は月45万円以上が20.0%25万円未満が13.4%と分布が二極化しています。平均が同じでも中身は同じではない。私立の年収は学校法人ごとの給与規程で決まり、応募段階では外から見えにくい——ここがこの記事の論点です。

校種 私立 公立
小学校 平均給料月額 365,300円(文科省・令和7年度中間報告) 336,100円(同)
中学校 平均給料月額 381,400円(同)/45万円以上が28.5% 341,600円(同)
高等学校 平均給料月額 359,300円(同)/45万円以上20.0%・25万円未満13.4% 359,300円(同)
高等学校 平均勤務年数 15.4年(文科省・令和4年度確定値) 19.7年(同)

※いずれも本俸のみで、諸手当も期末勤勉手当も含みません。令和7年度は中間報告のため確定値で動く可能性があります。この数字がどう決まるかを以下で分解します。

目次

私立教員の年収を平均で見る——小学校で+2.9万円、中学校で+4.0万円

まず言葉の整理から。平均給料月額は本俸のみで、諸手当も期末勤勉手当も、公立教員の教職調整額すら含みません。月給でも手取りでも年収でもない——この前提を外すと比較が崩れます。

差は小学校で29,200円、中学校で39,800円。私立が上です。ただし私立小学校は全国で学校数も教員数も少なく、母数が小さいぶんばらつきが大きい点には注意が要ります。

高等学校では、平均がほぼ同額になる

ところが高等学校は公立359,300円・私立359,300円と平均がほぼ並びます。ここで「高校は公私で変わらない」と結論を出すと、いちばん大事なものを見落とします。

平均が同じでも実態は違う——私立高校の給与は二極化している

同じ調査は給料月額の分布も示しています。私立高等学校の本務教員は月45万円以上が20.0%いる一方で、月25万円未満が13.4%います。私立中学校では45万円以上が28.5%。平均が公立と同じ数字でも、その平均額に近い人が最も多いとは限らない。これが私立の給与の正確な描写です。

令和4年度(確定値)の高校データも示唆的です。公立は平均給料月額353,200円・平均勤務年数19.7年、私立は355,300円・15.4年。私立は勤務年数が4年以上短いのに給料月額はほぼ同水準(本俸のみの比較で、賞与・退職金の差は含みません)。

つまり「私立は公立より高いですか」への誠実な答えは、高いでも安いでもなく学校によって違い、その幅が公立より大きいです。受ける一校がその幅のどこにいるかは、平均値からは分かりません。

なぜ学校ごとに差がつくのか——3つの理由

私立教員の年収が学校ごとに差がつく3つの理由を3枚のカードで整理した図。学校法人ごとに独立した給与規程・生徒募集と経営状況との連動・専任や常勤講師や非常勤という雇用形態の幅
私立の年収がばらつくのは水準の高低ではなく、決まり方の仕組みが公立と違うからです。3つの理由を押さえると、募集要項の読み方が変わります。

第一に、給与規程が学校法人ごとに独立していること。公立教員の給与は47都道府県と20の政令指定都市が給与条例で定め、給料表が公開されています。私立にその全国共通の物差しはなく、公立の給料表に準じる法人も独自体系の法人もあります。

第二に、経営状況と直結していること。私立学校の収入は生徒募集と強く結びつくため、同じ都道府県の同じ校種でも給与水準や昇給設計が変わります。

第三に、雇用形態の幅が広いこと。専任教諭・常勤講師・非常勤講師で待遇はまったく異なり、任期や更新条件も法人ごと。分布の下側にも上側にも、この3つが効いています。

念のため。これは私立学校を批判する話ではありません。給与規程を自分たちで設計できることは私学の強みでもあります。問題は水準ではなく、応募側から事前に見えにくいという情報の非対称性です。

ランキングや1000万は、公的統計でどこまで確認できるか

正直に書きます。校名別の年収ランキングも、私立教員の年収・賞与を直接示す公的統計も、一次資料では確認できません。第三者サイトの平均賞与などの数字は裏が取れないため採用しません。

参考になるのは日本私立学校振興・共済事業団「私学共済統計速報 令和7年9月分」です。加入者1人当たりの標準報酬月額は合計386,225円、小学校415,692円、中学校438,072円、高等学校406,336円、幼稚園270,410円(令和7年9月末現在)。ただし標準報酬月額は社会保険の等級区分であって、実際の支給額そのものではありません(上限・下限があります)。加入者には事務職員等も含みます。

物差しに民間全体も置きます。国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円、正社員は545万円。ただしこれは賞与を含む年収で、給料月額とは次元が違います。給料月額を12倍して年収として並べることはできません。結局、1000万という問いに公的統計が答えられるのは分布まで——私立高校で月45万円以上が20.0%いる、という事実までです。

年収を気にすることは、キャリアを高めたいという願いと切り離せません。それはわがままではなく、教育への情熱と両立します。NIJIN GLOBAL ACADEMYの創業メンバー募集を見る →——職種別の報酬モデルとレンジの例を先に公開し、複線収入として月25〜30万円から月95〜114万円のレンジを示しています。なお、この金額は事業計画に基づく試算で、報酬テーブル自体は面談時に全公開されます。数字を確かめてから考えられます(詳細は選考の中で)。

第三の働き方——報酬モデルを先に示す

私立学校の教員・公立学校の教員・オンライン国際学校の創業メンバーの3つを、応募前に金額が分かる・勤続年数で自動的に上がる・教える以外の役割で収入を増やせる・働く場所を自由に選べる・安定した実績と基盤がある の5観点で比較した表
どれが優れているという話ではありません。勤続年数で着実に上がる仕組みは公立の明確な強みで、創業メンバーにはそれがありません。強みの置き場所が違うだけです。

私立の給与でいちばん消耗するのは、高低そのものより入ってみるまで分からないことかもしれません。NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)が2027年9月開校に向けて募集する創業メンバーは、その順番が逆です。第一に5つの働き方モデルと報酬レンジの例を公開(月25〜30万円から月95〜114万円の複線収入レンジ)。第二に収入の複線化——教えることに加えマーケティング・Web・事業提携・HRなど5つの働き方から選べます。第三に完全リモート。求めるのは英語CEFR B2+目安と、ゼロから創ることを楽しめる姿勢です。

もちろん万能ではありません。勤続年数で自動的に上がる仕組みはなく、開校前ゆえ安定した実績もこれから積む段階です。優れた私学は数多くあり、そちらが合う方も当然います。言いたいのは優劣ではなく、金額を先に見せる設計もあり得るということだけです。

応募前に年収を見極める3ステップ

私立学校の求人で年収を見極める3ステップの図。募集要項を基本給と手当と雇用形態に分解する・公的統計の分布に提示額を置いてみる・収入の柱が何本あるかを数える
平均値を探すより、募集要項を分解して公的統計の分布に置くほうが早く正確です。見えない部分は、選考の場で聞けます。

まず募集要項を分解する——基本給、諸手当、賞与の有無、雇用形態(専任・常勤講師・非常勤)、任期と更新条件。金額が応相談としか書かれていなければ、それ自体が情報です。次に公的統計の分布に自分を置く。提示額は45万円以上の層か、25万円未満の層に近いのか。平均ではなく分布と照らすと位置が見えます。最後に収入の柱の本数を数える。一本ならその昇給設計を、増やせる働き方なら到達点を確認します。

校種別・年齢別に広く見たい方は教員の年収の調べ方を、インターの教員給与に絞りたい方はインターナショナルスクール 教員の給料・年収をご覧ください。

よくある質問

私立教員の年収は公立より高いですか?

校種によります。平均給料月額では小学校(私立365,300円/公立336,100円)と中学校(私立381,400円/公立341,600円)は私立が高く、高等学校は公私とも359,300円です。ただし私立は分布の幅が大きく、平均だけでは判断できません。

新卒・20代の私立教員の年収はどのくらいですか?

年齢別の私立教員の給与を示す公的統計は確認できないため、金額は断定しません。分かるのは分布まで(私立高校で25万円未満13.4%・45万円以上20.0%)です。実額は各校の募集要項の初任給欄が唯一確実な情報です。

東京の私立は地方より高いですか?

都道府県別の私立教員の年収データは公的統計として確認できません。公立には地域手当という制度上の地域差がありますが、私立は法人ごとの規程です。同じ都内でも差があるため、地域より法人単位で見るほうが実態に近づきます。

私立教員で年収1000万円は可能ですか?

公的統計で確認できるのは分布までです。私立高校で月45万円以上が20.0%という事実が、公表資料で言える上限側の情報。校名と金額を結びつけた数字は裏が取れないため扱いません。

平均ではなく、あなたが受ける一校の数字を見る

「私立教員 年収」と検索したあなたは、教育への思いと生活のリアルのあいだで誠実に折り合いをつけようとしているのだと思います。結論は単純です。私立は高くも安くもなく、学校ごとに違い、幅が公立より大きい。見るべきは平均ではなく、あなたが受ける一校の数字です。それを早い段階で開示している場所も、探せばあります。

出典:文部科学省学校教員統計調査私学共済統計速報、国税庁民間給与実態統計調査

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